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第295話 衛士隊本部は消えてしまいました。

いよいよゴロタの本領発揮です。途中、グロイシーンがあります。読み飛ばして貰って結構です。

(4月1日です。)

   衛士達は、ゴロタのことを完全に見くびっていた。身長こそ大きいが、顔は少年のようだし、剣も持っていない。しかも、女連れだ。通常は、恐喝やたかりの被害者まっしぐらコースだ。


  ゴロタは、全く動じない。その場で立ち尽くしている。その様子を、恐怖のあまり動けなくなっていると誤解した衛士の一人がシェルの腕を掴もうとした。


    バチーン!


  その男の手が弾かれた。密かに、ゴロタが雷撃シールドを身体に密着して張っていたのだ。衛士は、右手にひどい火傷を負った。


  「こ、こいつら魔法使いだぞ。気を付けろ。」


  衛士達の顔色が変わった。火傷をした衛士を除いた残りの二人も剣を抜いた。ゴロタは、彼らが抜いた剣を、消滅させてしまった。瞬間で、柄だけになってしまった。この時、初めて自分達が相手をしている男が只者ではないことに気が付いた。


  ジリジリと下がり始めたが、そのまま逃がすようなゴロタではなかった。全員の足元から膝までを凍らせた。文字通り、凍ったのだ。痛みは、全く感じない。衛士達は、自分の身体に起きた変化を理解できなかった。無理に逃げ出そうとした衛士の脚が、身体から離れてしまった。地面に転がった衛士の膝元から血が吹き出てきた。初めて、痛みを感じた衛士は、大きな声で喚き出した。うるさいので、言葉を奪った。


  他の衛士達は、仲間を助けることも出来ずにじっとしている。下手に動くと、脚が千切れてしまうことを理解したのだ。シェルが、前に出てきた。


  「あなた達は、誰を相手にしているか分かってますか?新領主のゴロタ公爵閣下ですよ。」


  衛士の兄貴分格が呻きながら『殲滅の死神』と呟いた。皆、恐怖で震えている。シェルは、さらに聞いた。


  「ところで、この街では、まだ奴隷取引許可証が有効なのですか?」


  衛士達は、黙ってしまった。ゴロタは、『威嚇』を使った。男は、ポケットから1枚のカードを出した。それは、未記入の奴隷取引許可証だった。発行者は衛士隊総本部長の『サギヤン』と言う人物だった。


  ゴロタは、彼らの腕を燃やして消してしまった。泣きながら、じっと見続けている男達。痛覚は麻痺させておいた。痛さのあまり、動くと脚が取れてしまうからだ。それから、凍った脚を解凍する。酷い凍傷になっている。間違いなく壊死するだろうが、まあ、それはゴロタのせいではないことにしよう。


  娼館を1軒1軒覗いて行く。奴隷リングを嵌めている娼婦の首から、リングを消していく。文字通り、消しているのだ。異世界の核融合炉ターマクのエネルギーになってしまった。リングに呪いが掛けられていようが、なかろうが関係ない。素粒子に分解してしまったのだから。


  すべての娼婦を開放するのに、夕方までかかってしまった。程度の低い娼館にはゴロツキどもがたむろしていたが、一緒にターマクのエネルギーにしてしまう。


  ゴロタ達が、ホテルに戻ったのは、午後6時位だった。ホテルのレストランで食事を取ることにした。レストランの入り口に、ガラの悪そうな衛士が4人立っている。


  ゴロタ達がレストランに入ろうとするのを妨害しようとした。次の瞬間、彼らは消えてしまった。悲鳴一つ聞こえなかった。ロビーにいた衛士達が、何が起きたか理解できないまま、ゴロタに近づいて来た。


  ゴロタは、『威嚇』で衛士達の動きを止め、全員を異世界のターマク融合炉の中に吸収してやった。異世界の八郎潟博士は、急激なエネルギー上昇で、大汗をかいているだろう。


  衛士達がいなくなったので、ホテルの従業員達は、何が起きたのか分からずにキョトンとしていた。ゴロタ達が、レストランの中の窓際のテーブルに着くと、初めて我に返ったように、業務を再開し始めた。


  食事は、牛肉料理をメインにしたもので、普通に美味しかった。この地方は、食糧需給状況は満ち足りているようだ。食後のデザートを待っている間に、あの痩せた小柄な郡長官が訪問してきた。ゴロタが、椅子に座るように指示をすると、周囲を警戒しながら座って来た。


  「すみません、お待たせしてしまって。郡庁から衛士どもがいなくなるのを待っていたものですから、こんな時間になってしまいました。本来なら、私が待っていなければならないのに。」


  郡長官は、丁寧な口調でゴロタに詫びていた。


  「いいや、まったく構わない。ところで、私は、ご存知のとおり、この地の新領主となったゴロタですが、郡長官でよろしいのですね。」


  慌てて、立ち上がった郡長官は、その場でゴロタに臣下の礼をとり、


  「申し遅れました。私は、このサロマ北西郡の郡長官に任じられている2等上級認証官クロイツホルブと申します。クロイツと及びください。」


  2等上級認証官とは、帝国でもかなり高位の認証官だ。クロイツさんの話では、このサロマ市を始め、北西郡は、すべて衛士達が君臨している。今までは、帝国騎士団が国境付近に駐屯していたので、陰でコソコソ悪事を働いていたが、今では、はばかることなく、暴虐の限りを尽くしている。もともとサロマ市は、あの災厄以降、騎士団が壊滅してしまったので、治安が悪化していたが、今では治安維持が任務である衛士隊が治安を乱している状況だそうだ。


  特に、酷いのが、奴隷の扱いで、一時、奴隷が開放されていたのだが、サギヤン総本部長がサロマ市のトップになったと同時に、奴隷制度が復活してしまったそうだ。当然に、亜人に対する差別も復活している。


  衛士隊は、現在、サロマ市だけでも3000人近くいるそうだ。各町村にも200~500名位おり、郡庁からの税金と同額を市民から徴収しているそうだ。同額と言えば、税額が倍になっているという事になる。


  ゴロタは、今日、色街に行って、全ての奴隷娼婦を開放してきたことを告げた。反抗する衛士隊及びゴロツキどもは、現在は、この世界には存在していない事も教えてあげた。


  クロイツさんは、吃驚するやら関心するやら、目から大きな涙がこぼれて来ていた。


  クロイツさんに、今日、これから衛士隊総本部を攻撃する予定だが、一般の市民に被害が及ばないように、避難措置を講じてくれないかと依頼したら、総本部周辺には、サギヤンの息のかかった者の家や商店しかないので、気にしないで殲滅して貰いたいとの事だった。


  ゆっくり、デザートを楽しんだ後、一旦部屋に戻り、着替えることにした。クロイツさんは、ロビーで待って貰った。しかし、これが間違いだった。ゴロタは、階下で変な音がするのに気が付いた。人間の断末魔のような声だ。胸騒ぎがしたゴロタは、すぐ空間転移でロビーに行ったら、血の海の中でクロイツさんが息絶えていた。周囲には、衛士隊が十数人、立っていた。一人の衛士が剣を抜いており、その剣からが血が滴っていた。


  ゴロタは、彼らの脳味噌の中に、本当に小さなファイアボールを破裂させた。目と耳と鼻から血を垂らしながら、衛士達全員がその場に倒れ込んでしまった。ゴロタは、直ぐにクロイツさんの所に駆け寄り、胸に手を当てた。心臓を一突きされてしまっているので、まず傷を修復させなければならない。生きていればヒールが有効なのだが、死体には、ヒールは全く役立たずだ。


  ゴロタは、『復元』で、心臓をもとの状態、つまり剣で刺しぬかれる前の状態に戻してやった。しかし、これだけでは生き返る訳が無い。ゴロタは。『蘇生』スキルを発動した。強制的に肺を動かし、心臓の鼓動を再現する。人工呼吸と心臓マッサージを一緒にするようなものだ。時折、電撃を心臓の上から流してやる。そのたびに、ビクンとクロイツさんの身体がエビぞりになる。


  30分位、そうしていたが、クロイツさんは息を吹き返さなかった。完全に死亡してしまったのだ。シェル達皆が泣いている。ホテルの従業員達も、クロイツさんの事は良く知っていたのだろう。何人かの女性従業員が、ハンカチを目に当てている。


  ゴロタは、久しぶりに心の奥に燃え盛る『炎』を感じた。このままでは、サロマ市が消滅してしまう。ゴロタは、完全装備のシェル達と共に、衛士隊総本部へ向かった。


  衛士隊総本部は、広い敷地の中にあった。周囲を高い壁で覆っている。ゴロタは、正面の鉄製の大きな門扉を引きちぎって投げ捨てた。土魔法で、裏の通用口を岩で塞いでしまう。もう、逃げ場はない筈だ。


  ノエルが、ファイア・ストームで庁舎を焼く。地獄の業火もたじろぐほどの熱さだ。風魔法と火魔法の混合魔法が『天空の杖』の効果で、レベル4アップ、つまり今のは、レベル8、レベル1の128倍の超極大級魔法になっているのだ。シェルが『ヘラクレイスの弓』で、総本部から火だるまになって出て来る衛士達を一度に10本の炎の矢で焼き尽している。


  ビラが、『雷神の薙刀』を横に一閃した。超極大の雷属性の斬撃が、燃え盛っている総本部庁舎を嘗め尽くす。一瞬で、全てが瓦解した。最後に、ゴロタがミニミニ火球を地上5mの所で爆発させる。摂氏6000度の火球が爆発したのだ。総本部があった場所の地面が、半径100m深さ30mのマグマになってしまった。真っ黒で大きなキノコ雲が夜の空に登って行く。上昇気流に乗った火の粉がキノコ雲を明るく照らしている。


  あとで、焼け跡を掘り起こさせることにしよう。固まったマグマの中に、サギヤンがため込んだ金貨も一緒に溶けて固まっているはずだ。


  あの総本部の中にサギヤンがいたかどうかは分からないが、とりあえず女性陣は、すっきりした顔をしている。


  非番の衛士達が続々と集まってきている。全て女性陣の餌食となるとも知らないで。一人の衛士は、殺さないで捕まえた。サギヤンの居場所と自宅を聞くためだ。その衛士は、最後まで口を割らなかったが、ゴロタの『威嚇』の前では無力だった。全てを話してしまった。


  当然、その衛士の命は、ゴロタに捧げることになった。


  サギヤンの家もなかなか立派な屋敷だったが、用があるのはサギヤン一人だけだ。ゴロタは、堂々と家の中に入って行った。二階の奥の部屋にサギヤンがいた。若くて裸の女を盾にしている。右手に剣を持ち、左手で女の髪をひっつかんでいる。


  ゴロタを見て、サギヤンが呻いた。


  「お、お前は誰だ。」


  ゴロタの答えは決まっている。


  「僕、ゴロタ。」


  なるべく可愛らしく喋ったつもりだ。次の瞬間、サギヤンの頭が破裂した。女の背中に脳漿をまき散らしながら、動かなくなった。

ゴロタは、死者を生き返らせることはできません。組成は、仮死状態のものを生き返らせる技です。

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