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第286話 インペリアル・ダンジョン

魔物が多いのは、何か原因があるはずです。

  東京エリア内の魔物達を、ある程度殲滅していったら、魔物達の動きに変化があった。この国の皇帝、『天皇陛下』と言うらしいが、その陛下が、昔お住まいになっていた場所に集まっては消えて行くのだ。


  怪しい。消えると言う事は、衛星で探知できない場所、つまり地下だ。ゴロタは、一つの仮説を立てた。この東京エリアだけに魔物が沸いている。そいつらは地下に逃げて行った。そこにあるのは、


    『ダンジョン』


  に違いない。そばに行ってみると、こんもりと生い茂った林の中にそれはあった。洞窟の入り口だ。


  ダンジョンか、タダの洞窟がは、潜って見なければ分からないが、今は、その時ではない。


  ゴロタは、一旦、ダンジョン、もしかするとただの洞窟の入り口をシールドで封印して、研究所に戻った。


  八郎潟博士は、エリア内に魔物がいなくなったことを喜んでいたが、ダンジョンの話を聞いて眉を曇らせた。根源的に居なくなった訳ではないからだ。


  取り敢えず、放射能シールドを解除した。後は、周辺の土を除染するだけだ。除染処理車が処理して行く。後ろの大きな箱には、アルプス3500と書かれている。前の大きなシャベルで土を掘り返し、吸引して行く。暫くすると、綺麗な土が後ろにばら撒かれる。10台横並びで除染して行く。


  残留濃度は、1年間、毎日、その土を10キロずつ食べても大丈夫な年20mSV以下の線量だ。


  ダンジョン攻略の前に、エリアの整地だ。ゴロタは、詩絵留さんに、学校にクレスタと言う女性がいないか聞いた。


  ノエルが、英語の教師がクレスタさんと言うらしいと教えてくれた。去年から、英語の特別講師になっているとのことだった。


  次の日、会ってみると、まんまクレスタだった。クレスタさんに事情を話し、公園で土魔法を使わせてみた。最初は、地面に穴を開ける。うん、直ぐ出来た。次に、土からレンガを作る。これも直ぐ出来た。


  今度は、地面に土塁を盛り上げさせる。それも、かなり大きめのを。うんこれも問題ない。息が上がっているクレスタさんに、公園を元に戻させた。途中、魔力切れを起こしてしまったが、ゴロタが手を握って魔力を流したら、たちまち元気になった。


  お礼にと、肩を抱いてハグしてきたが、ハグの途中から、キスになり、キスの途中から舌を入れて来た。詩絵瑠さんとノエルとエーデルの3人がかりで引きはがしにかかったが、175センチの身長のクレスタさんだ。彼女達の力では、なかなか剥がせなかった。


  十分に堪能したクレスタさんは、スカートの中に手を入れて、何やら直していた。きっと、パンツが濡れて気持ち悪いのだろう。ああ、この世界でも同じだった。


  その日の夜、クレスタさんが、ゴロタの家に遊びに来た。魂胆は分かっている。男と女の付き合いをしたいようだった。


  しかし、ゴロタはまだ中学生だ。教師と生徒、絶対にまずい気がして、シールドで1m以内に近づけないようにした。かわいそうな気がしたが、クレスタさんとだと抑制が効かない気がしたのだ。クレスタさん、涙を浮かべながら帰って行った。


  次の日から、ゴロタとクレスタさんで、東京エリアの整地が始まった。自衛隊の重機も入っているが、ゴロタ達の方が早かった。クレスタさんの魔法レベルと魔力値はどんどん上がって行った。お昼休みになると、クレスタさんは、二人だけになりたかったが、詩絵瑠さん達の内の1人が必ずゴロタの傍にいて、目を光らせているので、思い通りにはいかなかった。


  東京エリアの復元はどんどん進んでいった。藤沢市から始まり、今では大田区まで、森が続いている。ゴロタ達が整地した後、自衛隊の無人飛行機が上空から種をまく。


  ゴロタは、それを『練成』と『復元』で、早期に育成していく。あっという間に大木になるのだ。ケヤキやクスノキのような大木もあるが、ナラやクヌギのような広葉樹、それに針葉樹も少し混じっている。


  とりあえず、森は空気の浄化作用があるし、精霊の力で魔物を封じ込めることも期待できる。北は久喜市や牛久市位まで、東は千葉市の端くらいまでを整地、植林するつもりだ。西は、高尾山から都心までずっと森で覆いつくす。


  すべて終わるのに、1か月以上かかってしまった。来年から、復興工事を始めるそうだ。今度は、皇居を中心にきちんと都市計画を作るそうだ。自然と都市の共存がメイン・テーマだそうだ。


  そういえば、クレスタさんがゴロタと同居を始めた。未成年のゴロタが1人で暮らしているのは、健全ではないと教育委員会を説得して、義理の姉弟の登録を許可されたのだ。ゴロタの親権者でもある八郎潟博士も同意したので、誰も反対できなかった。でも、義理でも姉と弟があんなことをするのは良いのか不思議だった。


  詩絵瑠さん達は、最近では、クレスタさんの事は諦めて、4人でローテを組むようになった。それって、元の世界と一緒なのですが。クレスタさんも横取りしたようで後ろめたいのか、何も言わずに、詩絵瑠さん達が来た時には、ゴロタの部屋で二人っきりにしてくれる。ゴロタは、当然、シールドを掛けて声が外に漏れないようにしているが、何を感じているのか、クレスタさんが1人で慰めているのが気配で分かった。


  もう一つ、詩絵瑠さんが、自分だけ『さん』付けは嫌だと言ってきた。ノエルやエーデルは愛称だから良いが、詩絵瑠さんは本名なのだから、『さん』を付けていると言うと、ベソをかきながら、自分だけそれでは嫌だと言う。


  仕方が無いので、『シェル』と呼び捨てにすることにした。途端に、泣き止んだシェルがニコニコしている。絶対、嘘泣きだ。今まで、何回だまされてきたか。


  あのセレモニーが始まった。


  「シェル。」


  「なあに、あなた。」


  「シェル。」


  「なあに、あなた。」


  ああ、女の子って。


  しばらくして、ゴロタは、ダンジョンの攻略を進めている。自衛隊員と一緒に潜っているのだ。ダンジョンの名前は、『インペリアル・ダンジョン』にした。元皇居の中のダンジョンだがら、『皇帝のダンジョン』という意味である。最初は、隊員20名と一緒に潜っていた。隊長は、女性自衛隊員の若林1等陸尉だ。ゴロタのいた元の世界では大尉に当たるそうだ。


  自衛隊の装備は、自動小銃とレールガンだ。自動小銃は、超小型爆裂弾を装填している。レールガンは、かなり大きいが、破壊力が凄まじい。初速はマッハ2以上らしい。


  しかし、ゴブリンのような低級魔物に銃器を使用するのはもったいないので、銃剣着装で、殲滅している。オーガのような中級以上になると、銃器が活躍する。しかし、1発で仕留めるのが難しい魔物もいるので、その場合には集中攻撃となる。


  魔物から魔石を取り出す要領を教えてあげた。オーガから真っ赤な魔石を取り出し、周りの血を拭き取って見せると、その美しさに皆、息をひそめた。いくつかの魔石を持って、隊に戻ったところ、隊の上層部では、国家管理するので買い取ることになったらしい。当然、価格水準は、ゴロタが教えてあげた。


  魔石を売却した代価は、隊員の個人収入にするという内規が定められたので、隊員達の目の色が変わった。中級魔物の魔石の買取価格が、最低でも隊員の1か月の給料以上なのだ。隊員達は、皆、ダンジョンに潜りたがったが、狭いダンジョンで、同士撃ちになってもいけないので、一度に最大20人までとした。その20人を、5人ずつのパーティで4個隊を編成した。1個隊の単位は分隊と言うそうだ。分隊長は曹長か准尉とされた。ダンジョン内の回収品は、換金後、階級に関係なく、皆で均等に分けることになった。


  ゴロタは、隊員の中で魔力の持っている者に対し、銃弾に魔力を込めるやり方を教えてあげた。血液の流れを感じるように、魔力の流れを感じ、それを銃把から弾倉に、弾倉から銃弾にと流すルートをイメージするのだ。魔力を込めた銃弾は、1発で中級魔物を仕留めることが出来るようになった。


  ダンジョンは、どんどん攻略が進み、最下層まで、あと少しという所まで行って、膠着しているそうだ。間も無く12月になろうかと言う頃だった。


  その頃、魔石の活用方法の研究も進んできて、魔力を持っている者が、魔石に魔力を流し込むと、色々と使えることが分かって来た。となると、ダンジョンは資源の宝庫という事になる。ゴブリンのような低級魔物でも、魔石を集めて、成型すると、価値のある大型の魔石になることが判明した。


  東京エリアの至る所で、樹木の肥料となっている魔物が、魔石の宝庫となった。かなり腐敗が進んでいるが、魔石はちゃんと存在していることが分かったのだ。手慣れて来ると、その場で腐肉にまみれながら魔石を回収することができる。当然、自衛隊員だ。非番の時に、探索に来るのだ。今は、もう寒いので、かなり厳しい仕事だが、非番のときは、全て自分の収入になるのだ。みな寝ないで頑張っている。


  このままでは、通常任務に支障が出るということで、東京エリアに魔石回収に行くのは、月に1度、それも5時間までと決められた。中には、既に回収し終わった地区を塗りつぶしたマップを売る者もあらわれた。白抜きの場所が、魔石がありそうな場所と言うわけだ。これって、完全に副業のような気がするが、魔物に対する防衛任務が無くなった現在、これくらいで目くじらを立てることは無いみたいだった。来年には、一般国民にも東京エリア探索及び開発を解禁する予定だ。その前に、稼げるだけ稼ごうと言うわけだ。


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  八郎潟博士の魔法と魔物の研究も大分進んだようだ。ゴロタが、シェル達に魔法の初歩を教えてあげた事が功を奏したらしい。著作も凄い勢いで出版されているようだ。


  『誰でも分かる魔法工学』


  『初めての魔法、これであなたも魔法使い』


  『そうだったのか、魔法Q&A100選』


  なんか、昔、買ったことがあるような気がするのは、気のせいだろうか。これらの本は、7か国語で翻訳され、世界のベストセラーになっているらしい。当然、ゴロタには1銭も入らない。

皇居の中にあるダンジョンでした。

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