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第281話 初めてのバスケットボール

異世界では、色々と経験が出来るみたいです。元の世界では、ボールを使ってのスポーツは余りありません。皆、食べるのに必死だからです。

  午後は、体育の合同授業だった。大きなボールを相手側のバスケットに入れるゲームだ。ボールを持って歩いてはいけないというルールだ。


  あまりルールを知らないゴロタは、最初、皆のやり方を見ていた。原則、相手に触ったり、押したり、殴ってはいけないルールだ。


  皆、ボールを床に叩きながら走っている。そうか、あのドリブルというのをしている間は、歩いたり走っても良いのか。よし、次にボールを持ったら、ドリブルで走って行こう。


  ゴロタのチームが走ってきた。ゴロタは、一緒に走っていく。前に立ち塞がる相手チームの選手を『瞬動』で躱す。ボールがパスされてきた。


  受け取ってから、ドリブルを始める。相手側が接近してくる。直ぐに、右と左に進路を変えて躱して行く。ゴール下でジャンプする。ゴールのリングが胸の下だ。ゆっくりリングの中にボールを落として、ふんわりと着地する。


  相手チームが、五郎太が魔法を使ったと抗議しているが、魔法は全く使っていない。その証拠に、魔力センサーは無言だった。


  次は、相手の攻撃だ。パスを重ねて、味方ゴール付近まであっという間だった。ゴロタは、全速力で走った。ゴール下で、相手を待つ。相手が3m位まで接近した時、相手の直前に移動する。


  吃驚した相手が、一瞬動作を止めた隙を逃さず、ボールを奪う。その場で、ゴールを狙ってシュートする。特にスキルを使わずにいたが、みごとにリングの真ん中にスポッと入ってしまった。


  後は、ゴロタの独壇場だった。ゴールと相手からのボール奪取は、殆どがゴロタだった。


  ゲームは,10分ハーフの20分のみだった。ゴロタは、汗も出なかった。午前中に絡んできた男の子も、諦めた顔をしていた。


  次のチームが演習をしている間、暇だったので、シュート練習をしていた。ダンクでシュートし、下で受け取り、またダンクを入れる。ボールは、全く床につかない。


  その様子が、動画にとられ、世界中に拡散したことをゴロタは知らなかった。


  放課後、帰ろうとしたら、ノエルがゴロタの腕を取ってきた。ゴロタは、詩絵留さんを待つつもりだったが、ノエルは、今日は私と帰る番だと言ってきた。


  仕方がないので、ノエルと一緒に帰る。ノエルの家は、学校から30分位の所だった。家の作りは、詩絵留さんと全く同じだった。


  家の中には、ワカコさんがいたと思ったら、光合成画像だった。おやつは、『焼きそば』だった。これは美味い。早速レシピをスカウターに確認した。難しそうなのは、ウスターソースの作り方位だ。


  終わったら、ノエルの部屋でお勉強だったが、詩絵留さんの時と同じだった。エッチが好きなのも、元の世界のノエルと一緒だった。でもJC相手では、犯罪になるので、キスと胸を揉むだけにした。


  しかし、元の世界と同じく大きな声を出している。余りにも大きな声だったので、用心にシールドをかけておいた。


  終わってからは、勉強どころではなかった。急いで身支度を整えた。ワカコさんが帰ってくるのだ。1階のリビングで勉強を始めた頃、ワカコさんが帰ってきた。ワカコさんは『和歌子』だった。和歌子さんは、薬剤師をしているそうだ。


  ゴロタの自宅に帰ってから、ノエルから連絡が来た。和歌子さんの寝巻き姿が映し出されているので、直接、話しているようだ。便利な念話装置だ。


  通話の内容は、やはり『あなた誰?』だった。以前のゴロタは、ジッとしているか、胸に手を置く位で、あんなサービスをしたことはないそうだ。考えてみれば、ゴロタが15歳になったばかりは、そんな風だったような気がする。


  ゴロタは、ノエルの部屋に転移し、昨日と同じように富士山一周の飛行デートをした。これで、詩絵留さんと一緒だ。


  ノエルに聞いたところ、2人の他に女子校に通っている『薄雪ちゃん』という子とも付き合っているそうだ。五郎太君、この国は、完全一夫一婦制の国だったはずですが?


  薄雪というのは、花の名前で、正式には『西洋薄雪草』というのだそうだ。一般的には、『エーデルワイス』だ。


  明日、ゴロタの家に遊びにくるそうだ。いや、それって詩絵留さんもノエルも了解済みなのですか?ノエルが、『誰のせいだと思っているのよ。』と言うようなジト目で、ゴロタを見ていた。


  この日の夜、八郎潟博士から呼び出しがあった。ゴロタの魔力調査だ。ゴロタだって、自分の魔力を全力で出した記憶が余りない。開けられたゲートを潜ったら、そこは博士の研究所だった。研究員が大勢おり、色々と機械をいじったり、小さな動物に、変な機械をつけて何やら計測している。


  ゴロタを見て、博士は『飯を食ったか。』と聞いてきた。八郎潟博士には、もう話下手ではなくなっていた。しかし、食事に関して、賎しいと思われるのも嫌なので、単に首を横に振るだけにした。博士は、研究室の外のサロンに連れて行ってくれた。そこは、研究所付属のサロンらしく、店員も白衣を着ているのには、驚くと言うか、別の風俗店に来たかと思ってしまった。


  ゴロタは、貨幣の単位を知らないが、どうやらこの世界では1円と言うのが、最低単位らしい。グレーテル王国の鉄貨1枚分だろうか。カツ丼豚汁付きには、1200円と書いてあるので、大銅貨1枚と銅貨20枚だろう。まあ、夕食としては安い方なので、それを頼んだが、実に美味かった。特に、カツの脂身部分のジューシーさと衣のパリパリ感が堪らない。ただ、何で、その上にグリーンピースが乗っているのか良く分からなかった。


  この世界には、当然、貨幣そのものはなく、すべてカードであった。


  食後、ゴロタの身体測定がされた。身長148センチ、体重43キログラム。特に異常は無いはずだ。ゴロタは、今まで病気をした事がないのだ。


  いよいよ魔力測定の番だ。魔力を感知し、魔力量に応じた電気的信号が増減する値を示す装置だ。


  ゴロタは、銀色のボールのようなものに手を触れ、思いっきり魔力を流した。遠慮はしない。ボールが破裂した。


  魔力量20000というとんでもない値で止まっていた。これ以上計測できなかったのだ。通常の計測では、1000を超える事はめったにないので、最大計測値も20000になっていたようだ。完全に許容量オーバーだ。


  この計測機では、魔力量は計れても、魔力属性までは、測れないようだ。というか、魔力に属性があるのを知っているのかどうかも怪しい。ゴロタは、博士に聞いてみた。


  「魔力属性はどうやって測るんですか。」


  「魔力属性、何じゃそれは、魔力は魔力じゃろ。属性で値が変わるのか?」


  駄目だ、全く分かっていない。


  「この中に、魔力を持っている人がいますか?」


  一人の女性研究員が手を挙げた。眼鏡をかけ、髪を後ろで結わえている女性だった。目付きが少し、きつそうだ。ゴロタの苦手なタイプだ。


  ゴロタは、顔が赤くなってくるのを感じた。視線を博士の方に合わせながら、


  「何の魔法を使えますか。」


  「すみません。魔力を測定すると120という値なんですが、魔法の使い方は分かりません。」


  ゴロタは、とりあえず『火魔法』の使い方を教えた。当然、博士の方を見ながらだ。火の精霊に誰が何を命令するか。初級では、火の発生を命ずることになる。簡単な詠唱を教えて唱えさせてみた。


  「赤く熱き炎を持って全ての者を焼き尽す火の聖霊よ。我の名は、小林美憂。我は命ずる。炎を顕現せよ。ファイア」


  はあ、この女性の名前は、『小林美憂』というのか。美憂さんお手の先から、ボンと音が出ただけだった。煙さえ出て来ない。これは駄目だ。炎属性の魔力は無いようだ。水、風ともに失敗した。次に失敗したら、4大精霊以外となり少し難しくなる。


  「天空を揺るがし大地を切り裂く雷撃を司る雷の聖霊よ。我の名は、小林美憂。我は命ずる。雷を顕現せよ。サンダー」


  手から、雷光が閃光となって発生し、周囲の計測器を全て破壊してから、壁に大きな穴を開けてしまった。本人は、吃驚するとともに、一気に魔力を消費してしまったので、その場で立っていられなくなり、しゃがみこんでしまった。お尻の周りが濡れて来た。始めての経験で、失禁してしまったのだ。


  可哀そうだったので、直ぐに乾燥させてやった。早く着替えたほうがいい。同僚の女性研究員に抱えられて更衣室に連れられて行った。


  「彼女の魔法属性は、『雷』のようですね。雷といっても、雷撃から、微弱な電気を流すまでいろいろありますが、それは魔力制御能力と魔法レベルによって使える魔法が決まってきます。」


  「ふむふむ、なるほど。じゃが、五郎太君、どこでそんな知識を得たのじゃ。昨日の事と言い、君は一体、どうしてしまったのじゃ。」


  ゴロタは『しまった。』と思ったが、顔には出さず、続けて質問を続けた。


  「この世界で、魔導士はいないのですか?」


  「魔導士、それはどんな人なのだ。聞いたことは無いが。誰か知っているか?」


  「太古のファンタジー物語に出てくるという事は知っています。」


  「ファンタジー物語、何じゃそれは。SF小説のような物か?」


  「いえ、非科学的な現象ばかりですが、小さな子や厨二病の少年達が読む物語らしいです。」


  「ふむ、まあ良い。五郎太君、その魔導士にどんな用事があるのじゃ?」


  「いえ、魔法の使用に習熟されていれば、魔法のレベルについても知っていると思って。」


  「フーム。ところで、五郎太君、先ほど、『この世界』と言っておったが、君は、この世界の人間ではないのかな?」


  あ、もう駄目だ、完全に疑われている。どう言い訳しようか。うまい方法が見つからない。よし、こうなったらあの手だ。


  「あ、お腹が痛くなってきた。さっきのカツ丼かな?食べ過ぎかもしれない。トイレ行ってきます。」


  まあ、いままでこれでシェルから逃げて来たのだから大丈夫だろう。ゴロタは、トイレに行く振りをして自分の部屋に転移してしまった。


  後で、博士から連絡が入り、あの研究所からゲートを使って転移はできないようになっている。重力場移動装置の発動を制限しているのに、どうやって転移したのだと聞かれてしまった。


  あ、またやってしまったみたいだ。 

相変わらずのチートですみません。これから、ますますチートぶりが発揮される予定です。

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