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紅き剣と蒼き盾の物語(コミュ障魔王と残念エルフの救世サーガ)  作者: 困ったちゃん
第27章 ヘンデル帝国タイタン侯爵領
279/753

第277話 カイザー村って、逞しい。

北東郡の平定は、まだまだ先のようです。

(まだ、2月22日です。)

  ゴロタは、森の中、概ね10キロ四方位を掃討して行った。ゴブリンやオークそれにレッサーウルフなどの低級魔物しかいない。


  カープ村に戻り、ソロ村長に、森の魔物を掃討したことを伝えた。その証にベリアドベアを出して、皆に見せてあげた。村の若い男達は、恐怖と歓喜の入り混じった顔をしていた。何人かは、泣き始めていた。きっと親兄弟の誰かが食われたのだろう。


  ベリアドベアに捨てるところは無い。特に胆嚢は、胃腸薬として貴重らしい。ハラワタは、干して丈夫な紐になるらしい。臓物の中身と血液も肥料として活用できるのだ。


  カープ村には、もう用はなかった。カノッサダレス長官と、カープ村の南にあるカイザー村に行ってみた。カイザー村は、東の国境の森から10キロ位離れていた。


  カイザー村は、牧畜の村の様で、牛舎と綿羊の小屋が、村の家屋数よりも多かった。村の居住区は、高い土塀に囲まれ、まるで城砦の様だった。


  街道に面した所に門があり、門の先は、小さな広場となっていて、また塀に囲まれている。これでは、不用意に入ってしまうと、袋のネズミだ。農耕牧畜の村なのに凄い門構えだ。


  カノッサダレス長官は、門番の女性に、名前を告げ、村長に合わせてくれる様に頼んだ。門の奥の方から、若い女性が村の中心に走り出していた。


  暫くしたら、30歳位の女性が、数人の供を連れて現れた。厳重な警戒だ。この女性が、村長のアマゾンという人らしい。


  「これは、これはカノッサダレス上級認証官殿。お久しゅうございます。して、そちらの御仁はどなたですか?」


  「いや、私は今、認証官を辞め、ここにいるゴロタ公爵閣下の行政長官をしている。今日は、ご案内のために参ったのじゃ。」


  「フーン、で閣下の用事はなんですか?」


  随分、ぞんざいな口の聞きようだ。完全にゴロタを馬鹿にしている。身長こそ高いが、顔つきは全くの少年だ。髭の一本も生えていない。


  ゴロタは、このタイプの女性が苦手だ。昔を思い出してしまう。顔を真っ赤にして、カノッサダレス長官に耳打ちをする。


  「ゴロタ閣下は、何か困ったことがないかお聞きになっておる。何でも良いから言ってもらいたい。」


  「フーン、今、この村で困っていることって、男手が無いことだね。あのスケべな魔物の時に、殆どの男供は金玉を食われて死んじまった。残った男も、赤ずきん党との戦で死んじまったのさ。」


  驚いた事に、ここには10歳以上の男性はいなかった。皆、食われるか戦で死んだらしい。女性も3分の1位は死んでしまったが、なんとか生活しているらしい。


  「今日は、2人ともここに泊まって行くんだろ。歓迎してあげるよ。」


  アマゾン村長の目が妖しく光ったが、ゴロタは気が付かなかった。カノッサダレス長官は、少し困った顔をしていたが、ゴロタが拒否しないので、諦めた顔で村内に入って行った。


  もう夕方に近かった。農作業を終えた女性達が、続々と帰ってきた。ゴロタ達を見ると、頭を下げて通り過ぎるが、その目は、ジッとゴロタの色んな部分を見ていた。


  今日は、新領主とカノッサダレス長官の歓迎会を集会所でするそうだ。取り敢えず、村長の自宅に行き、泊まる部屋を教えて貰った。2階の広い部屋で、平素使わない部屋だそうだ。ベッドが2つ置いてあるが、カノッサダレス長官の部屋は1階だった。


  夕方、集会室に行ったら30人位の女性達がテーブルに付いていた。男性は1人もいない。それだけでも異様だったが、匂いが凄かった。香水の匂いと発情した牝の匂いが入り混じっている。


  最初に、ゴロタが挨拶だ。ギラギラした目付きをした女性の前で挨拶など、とても嫌だったが仕方がない。


  「えー、僕はゴロタと言います。今度、皇帝陛下から依頼されて、この村を含めた北東郡と北西郡を治める事になりました。来年1年間は、年貢も税金もありません。」


  皆、シーンとしてしまった。今までは、収穫の1割が帝国税、2割が郡税あと1割を村に納めていたのだ。それが無税だ。


  アマゾン村長が口を開いた。


  「すると村の運営はどうするのさ。教会や学校それに衛士だって雇いたいし。」


  全て、ゴロタが負担すると言ったら、またまたシーンとしてしまった。


  「これは来春までの必要経費です。」


  大金貨2枚を出した。大金貨など見たこともない村人達は、目を皿のようにしたが、アマゾン村長は慌てずに、大金貨は使いにくいので、金貨でくれないかと言ってきた。ゴロタは、すぐに金貨20枚を渡した。そばの女性が、大金貨を触らせてくれないかと頼んできた。触らせるだけなら構わないと思い、渡してあげた。1枚2キロの金貨だ。ズッシリと重い。交代で、皆が持って重さを確認してから返してくれた。


  この村では、一家で牛10頭を飼い、1年中、身を粉にして働いて、金貨2枚程度にしかならない。業者が乳製品を買いに来るのだが、バターやチーズは、買い叩かれてしまうし、老衰で死んだ乳牛など肥料にしかならないそうだ。


  それでも、男がいた頃は、それなりに牛も多かったが、女だけになったら限界がある。馬にも乗れない、牧草地も開拓出来ないとなると、ジリ貧になってしまう。


  しかし、幼い頃から育ってきた村を捨てる訳にも行かない。一生懸命、しがみついて生きて行くのだ。


  ゴロタは、バターの買い取り価格を聞いたところ、1キロで銅貨50枚だそうだ。チーズも1キロ銅貨60枚だ。これは、かなり安い価格だ。


  ゴロタは、バター、チーズの在庫を聞いたところ、冬の間は買い取りが来ないので、一杯溜まっているそうだ。冬だからと言って、牛の搾乳を辞めるわけには行かないのだか仕方がない。


  ゴロタは、明日、すべてを帝都に売りに行こうと言ったら、帝都まで1か月以上かかるし、大量の在庫なので荷馬車が何台も必要だと言う。ゴロタは、心配いらないので、アマゾン村長と、あと何人かで行こうという事になった。


  それからは、宴会だった。エールを飲み、チーズを食べ、ビーフシチューを食べ、エールを飲みとなってきた。最後は、ジャガイモとサツマイモを発酵させた物を濾過したものが出て来た。ゴロタは、アルコールに酔うことはないが、このお酒の強烈な匂いには、参ってしまった。


  アマゾン村長は、それをグビグビ飲み干していた。いつの間にか、ゴロタは女性達に囲まれていた。皆、ゴロタよりも年上そうだったが、随分密着している。隣のアマゾン村長は、さっきからゴロタの股間を擦っている。


  前に座った女性は、立ち膝をしているが、パンツがない。スカートが捲れて、変な物が見えている。このシーン、どこかで記憶がある。そうだ、白薔薇会の皆と初めて会った時だ。


  と言うことは、このままでは不味い、非常に不味い。カノッサダレスさんは、パンツ1枚にされている。隣の女性が、口移しでカノッサダレスさんにお酒を飲ませている。ダメだ、彼は役に立たない。


  その内、カノッサダレスさんの上に、素っ裸の女性が跨がり、腰を動かしている。ゴロタは、『今すぐタイタン市に帰る。』と言ったら、『女に恥を掻かせてはいけない。』と言われた。


  諦めたゴロタは、女性達のするままに任せた。最初は、アマゾン村長だった。その次からは覚えていない。顔の上にも変なものがあるし、それも誰のものか分からない状況だ。次々と跨ってくる女性の顔と股間の間など覚えていられなかった。


  カイザー村には、深夜まで多数の女性の叫び声が響き渡っていた。


  翌朝、午前3時、女性達は一斉に起き出して牛舎に向かう。搾乳だ。この時間に始めないと、餌を食べるのが遅くなってしまう。掃除、搾乳、餌やりと分担業務だ。


  ゴロタも手伝う事にした。搾乳をしてみる。普通、初めてではうまく出来ないそうだが、ゴロタは、『念動』を使って、短時間で搾乳を終えた。約20頭ほどを搾乳したら、朝食の時間だ。食事は、オート麦のミルク粥だ。


  今日は、アマゾン村長や皆の肌がツヤツヤしている。2年ぶりの女性もいたそうだ。フラフラのカノッサダレスさんは、食事が終わったらカトラス市へ帰っていった。


  食事を終えてから、乳製品の貯蔵庫に行って見る。大量のバターとチーズだ。チーズは、熟成が進んでいる。食べ頃だ。


  ゴロタは、全てをイフクロークに収納すると、帝都へのゲートを開いた。女性達は、こわごわゲートを跨いで、帝都に行く。帝都では、乳製品市場に行き、相場の値段で全量を売った。バターは、1キロで大銅貨1枚半、チーズは大銅貨2枚だった。


  バターは、2トン、チーズは1トンを持ち込んだので、金貨5枚になった。本当は、もっとあるのだが、値崩れが怖いので、これくらいにしておく。


  あと、皆と一緒にグレーテル王国の王都に行く。王都の市場では、バター不足だったらしく、キロ大銅貨2枚だった。あるだけのバターを売ったら、金貨8枚になった。


  皆は、王都の洋服店や装飾品それにスイーツ屋さんに興味があるらしく、なかなか帰ろうとしなかった。お土産や、自分用の物を買い続けている。お店の支払いは、全てゴロタだった。店の人も、ゴロタを見つけると、急に態度が変わって、大量の商品を売り付けてくるのだ。


  アマゾン村長が、ティファサンに行こうとしたが、シールドを貼って阻止した。お昼を、王宮前のレストランの個室で食べてから村に帰ることにした。何故か、皆、今日買ったミニスカドレスと毛皮のコートを着、それにロングブーツを履いていた。


  ゴロタは、村に皆を送り届け、帰ろうとしたら、今日も泊まっていけと言う。目が笑ってない。怖くなったゴロタは、『瞬動』で、アマゾン村長から10m以上も離れ、すぐにゲートでカトラス市に戻った。

過去に、似たようなことがあった気がします。

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