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紅き剣と蒼き盾の物語(コミュ障魔王と残念エルフの救世サーガ)  作者: 困ったちゃん
第27章 ヘンデル帝国タイタン侯爵領
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第270話 北の村ノースシーエンドの悲劇

ゴロタのチートぶりが発揮されます。今回は、思いっきりやってしまうみたいです。

(2月6日です。)

  翌日、タイタン領内の各市の行政庁から応援を貰って、救援所を大規模に開設した。食料はたっぷり準備している。


  また、タイタン領内の市長村からボランティアを募集している。街の整備や病人の看護、孤児の保護などやる事は一杯だった。 


  今日は、シズちゃんとノエルをハルバラ市に連れてきている。フランちゃんも今日だけ来て貰った。


  ゴロタとノエル、シズちゃんの3人で街の外に出てみる。最初は北側だ。海までは、小さな村が1つあるそうだが、その村まで行ってみる事にした。


  村はノースシーエンド村と言い、北の寒い海に漁に出て生計を立てている貧しい漁村だそうだ。昔は、駅馬車や荷馬車で道の往来も多かったのが、今は誰も通らなくなったそうだ。


  ゴロタ達は、歩いてノースシーエンド村まで行く事にした。雪が深いので、道に沿って雪を溶かし乾燥させながら歩いて行く。


  行く途中、多くの魔物に遭遇した。レッサーウルフにサーベルキャット、大きいものでデビルグリズリーだ。


  皆、シズちゃんの『ヨイチの弓』の餌食だ。魔物が出現してから、矢を射るまで1秒も掛かっていない。それで、全矢命中だ。


  デビルグリズリーの魔石だけ回収する事にした。かなり大きかったからだ。


  夕方、村に近づいてみると、人の気配がしない。魔物の村だった。いや、元人間の村と言った方が良い。800体位のゾンビが彷徨っている。後、レブナントが数体いる。きっとレブナントは元村長とか騎士だったのだろう。着ている服も小綺麗だった。


  イフちゃんを飛ばして探索させたが、生きている者はいないようだった。ゴロタは、『転移』でノエル達をハルバラ市に戻し、自分だけで村を処理する事にした。


  『飛翔』で、高度500m位のところまで浮上する。村の真上で、大きな火球を出現させた。ゆっくり火球が落ちて行く。突然、白い光で当たりが覆い尽くされる。


   ズゴゴゴゴゴゴ


  眩しい光の球が膨れ上がる。次の瞬間、衝撃波がゴロタを襲った。半径10キロ位の樹々は皆、倒されてしまった。ゴロタは、蒼き盾が守ってくれている。


  大きなキノコ雲が、地上6000mまで立ち上って行く。雲の間から、雷が迸っている。光と雲は、ハルバラ市からもきっと見えただろう。


  全てが終わった。神々の怒りの光により、村は消滅した。後に残ったのは、直径1キロ位の大きな円形の穴だった。穴の一部は海に接していたので、大量の海水が流れ込んできていた。


  あっという間に、大きな入江ができてしまったのだ。この入江は、交易船の停泊地となり、村も大きな交易港として栄えるのだが、それはずっと後の事だった。


  今日の作業は終わりだった。こんな作業を、後どの位しなければならないのだろうか。


-----/----------/-----------/-----


(2月12日です。)

  ハルバラ市を平定してから1週間経った。街は、落ち着きを取り戻しつつあった。街角に転がっていた死体は、全て埋葬した。市民も、自宅に戻って来た。


  元市役所の職員ら役人も何人か残っていて、市役所と郡政事務所の機能も一部戻って来たが、圧倒的に人手が足りなかった。


  ボランティアを3つに分けた。食料支給の炊き出し班、道路や街路灯を整備するインフラ班それに人口調査の戸籍斑だ。


  道路は、それほどでも無かったが、公共施設の損傷が激しかった。現在、家屋を失った市民が一時避難している施設の補修を最優先にした。


  今日は、クレスタを連れて来ていた。それにビラだ。ビラは、炊き出し班、クレスタはインフラ班だ。特に、クレスタには水道管の埋設をお願いした。


  深さ60センチ以上の穴を掘り、レンガを敷き詰めて行く。周りの土を固めて水路を作っていく。蓋として、レンガを敷き、雨水などが入らないように周囲を塞ぐのだ。


  所々に汲み出し所を作ったが、将来的には、各家庭や建物に引き込むつもりだ。タイタン市では最初からあるのだが、帝国では初めての施設だそうだ。市の郊外に給水所を設け、毎日、魔道士が風車を回して井戸をくみ上げている。まだ魔道士がいないが、帝国の魔法学院から採用すれば解決するはずだ。


  市民の建物の復旧も始まった。バンブー建設は、建設以外に建材の販売もしている。大量の建材を持ち込んで、空き家になっている建物を倉庫として使わせてもらっている。


  補修、建設も請け負っている。腕のいい職人と魔導士を大勢連れてきているのだ。ゴロタが、経費の2割を負担するから、市民には格安で注文を受けるように依頼しているので、飛ぶように建材が売れていくし、作業依頼も多い。


  あと、治癒院の復旧を最優先にしてもらった。侯爵邸よりも優先して補修するようにしてもらっている。すでに、ある程度は使用可能になっているが、給食がうまくいかない。設備が揃わないのだ。帝都に注文しても1か月位かかるそうだ。大量に食事を作る設備は特殊なので、すぐにはできないらしい。給食は、近くの食堂数店にお願いするしかないが、お粥などの特殊料理は手間ばかりかかってしまうので、割高になってしまう。しかし、それはしょうがないので、開院を急ぐことにした。タイタン領内と王都それに帝国内から治癒師と薬師それに看護師を採用することにして、現在募集中だ。ホテルを借りて、当面の宿舎にする。


  戸籍調査が終了すれば、無人の建物や家屋の実態が明らかになるので、そこを徴用すれば何とかなるだろうと考えていた。何はともあれ、大金貨1枚以上が毎日飛んでいく。


  ゴロタは、朝、ハルバラ市に転移してから、女性陣を市内に置いて、自分だけ、周囲の警戒に当たるようになった。魔物の数が異様に多いのだ。低級魔物ばかりだが、これほど多いのは異常だ。どこかにダンジョンがあり、漏れ出て来ているのかも知れない。


  今日も、ゴブリンの集団を3つ殲滅した。1つの集団は、10体くらいで、上位ゴブリンもいない烏合の集と言うだったので、殲滅に魔法など必要ないが、それでも10体以上の群れが3つは多すぎる。


  イフちゃんを飛ばしても、ダンジョンを発見できなかった。あまりにも魔物が多すぎるから、湧く場所が特定できないのだ。


  西の森の中に入ってみると、オークたちが森の動物を狩っていた。十分な獲物がないのか、皆、痩せている。このまま放置すると、森の資源が無くなってしまう。


  仕方がないので、すべての魔物を殲滅していった。西の森の中の魔物を掃討するのに、今日1日かかってしまった。ダンジョンはなかった。


  南の街道沿いには魔物が少なかったので、西の方角が怪しい。明日は、西の森の向こうの村まで行ってみようと思うが、今日は、もう終了だ。皆を連れて、タイタン市に帰ることにした。ボランティアの皆も一緒だ。ボランティアの皆は、タイタン市から自分の出身市町村にゲートを使って戻っていく。ゴロタ達はもちろん、領主館に戻ることになる。


  クレスタには、申し訳ないが、今の作業が終了するまで、毎日、やって貰いたい。フランちゃんとフミさんも交替で支援をお願いしている。ノエルは、栄養価の高い食事を補給するのに役立っているので、毎日お願いしている。エーデル、ビラとシズちゃんは、周辺の魔物掃討だ。シェルとジェーンは役所仕事を手伝ってもらっている。


  2月15日には、衛士隊200名が、赴任する予定だ。ハルバラ市の旧衛士隊本部を使う予定になっている。損傷が酷いが、我慢してもらおう。タイタン市の警戒が薄くなるが、現在、訓練中の新人衛士隊300名を早期実戦配備にする。


  旧北部辺境郡の町村の内、殆どは平定したが、まだ西の端の村と東の町と村3町村が手付かずだ。今までの町村に巣食っていたゴロツキは全員処刑した。当然、裁判は受けさせない。今まで、散々罪も無い人々を食い物にして来たのだ。処刑されてもあたりまえだ。裁判で刑が確定するまでメシを食わせるのもシャクに触るからだ。


  処刑の前に、ゴロタが『威嚇』を使って罪を白状させている。聞くのは、簡単にしている。


  罪もない市民を殺したか?


  女を強姦したか?


  女、子供を殴ったか?


  全てに『いいえ。』と答えたゴロツキは、一人もいなかった。


  保護した女性と子供は200人以上に上った。皆、タイタン市に『転移』させ、孤児院と救護院に一時的に入所させた。タイタン市の孤児院では足りないようだったので、エクレア市の孤児院にも分散して保護することにした。


  これからは、東西の辺境の町村を浄化していくつもりだ。


-----/----------/----------/-----


  次の日、ゴロタは郡内最西端のハラス村に行った。人口1800人位の小さな村だった。村内は、平穏そうだった。この村は、西の森から木材を伐採することを生業にしている者が多い。


  おかしい。村人に異常は無いのだが、村長の対応が変だ。女性達も口を利かない。新しい領主が見えたのだ。歓迎の愛想笑いぐらいあっても良いのに、下を向いて黙っている。握りしめた拳が震えている。きっと、ゴロツキどもが脅しているのだろう。ピンと来たゴロタは、15歳以上の男性を集めさせた。


  約700名位集まった。これで全部かと聞くと、『全部です。』と村長が答えた。


  ゴロタは、イフちゃんを飛ばした。村の中に隠れている子供以外の男は、殺して良いと許可しておいた。四方八方で爆発音が聞こえた。男達の叫び声が聞こえる。


  どんなに上手く隠れても、イフちゃんから逃げるのは不可能だった。20分後、村内が静かになった。ゴロタは、皆の前で初めて口を開いた。


  「僕はタイタン公のゴロタだ。この村は、僕の領地になった。この村以外から流れて来た者は、前に出てください。」


  誰も出てこなかった。ゴロタは『威嚇』を使って、強制的に前に出させた。男達は、泣きながら前に出て来た。全部で90人位だ。


  村長に、1人1人の罪状を聞いた。強盗、殺人それに強姦と誘拐は死刑だ。村長の訴えにより、次々と黒い灰になっていく。女性達から唾を吐かれている灰もあった。最後の方は、半狂乱だったが、声も出せず、逃げられもせずにゴロタに焼かれてしまった。


  処刑が終わった。村人達は、皆、泣いていた。ゴロタは、2か月分の食料を与えて村を後にした。ついでに周辺の魔物を殲滅するのも忘れなかった。

遂に、地形を買えてしまいました。隕石の衝突でもないのに、入り江が出来てしまいました。

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