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第257話 永遠の処女神アテーナー様

今日は、戦いの日です。アテーナー様は知恵の神様ですが、ゼウス様から生まれたときは、完全武装で生まれたそうです。

  アテーナー様は、ゼウスとメティス間に生まれた娘で、知恵を司る絶対処女神であると言われている。オリンポスに12の神殿を持ち、其々の神殿で芸術や戦術を研究している。


  ポセイドンさんも、妻以外の女とエッチするなら、それなりの場所ですればいいのに、あろうことか。性に嫌悪感を持っていると言われるアテーナー様の神殿で始めなくてもいいのにと思う。それに、メデューサさんのあの時の声、物凄く大きいので、気付かれない訳ないと思うのだが。


  まあ、さっきからメデューサさんを見ているポセイドンさんの股間がモッコリしているので、きっと、その時も見境無く始めただろうことは、容易に想像できるのだが。


  アテーナー様の所在は、12の神殿のうち、ニケの神殿にいることが多いので、そこに行ってみることにした。これから行っても良いのだが、ポセイドンさんとの戦いで疲れてしまったので、明日、行くことにした。ポセイドンさんは、どうもアテーナー様が苦手なようで、さっきの戦いであそこを怪我したとかここが痛いだのと言い訳をしている。仕方がないので、ゴルゴン3姉妹さんと4人で行くことにした。場所は、メデューサさんが知っているというので、大丈夫だろう。


  その日、バンガローに帰ったら、ステノーさんとエウリュアレさんが心配そうにしていた。遠い場所での戦いだったが、神のみの知覚で、激しい闘いが行われていることが分かったらしい。その日の夜は、皆にロースト・ターキーを作ってあげた。エウリュアレさんには、丸ごと1羽だった。








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  アテーナー様のニケ神殿までは1パーセクの距離だそうだ。メデューサさん達と一緒に行くのだが、メデューサさんの力では、時空を曲げるパワーが足りないようだ。僕は、メデューサさんと手を握って、力を流し込もうとしたが、その瞬間、目の前に見たこともない空間が広がっていた。真っ暗な空間に、明るく光る光の渦が幾つも浮かんでいるのだ。近くのは大きく、遠くのは小さく、もっと遠いのは小さな点にしか見えない。数は無数と言っても良いくらいだ。近くの巨大な星の渦が自分達の星がある渦なのだろう。


  その外側の疎らな星々の一つに近づき、その回りにある欠片のような星、青い星に近づいた。その星の1点がぐんぐん大きくなってきた。雲海の中にそびえ立つ神殿が見えた。あれが、目的地なのだろう。


  僕は、ハッと気がついた。目の前に、ゲートが開いていた。今の光景は何だったのだろう。神のみが知る時空、異界なのだろうか。そもそも天上界とは、人間界の上にあるものではないようだ。全くの別の世界。それが人間界と繋がっているに過ぎないのだろう。


  これ以上考えても、仕方がないので、皆でゲートの中に入っていった。ゲートの向こう側は、神殿の入り口の下だった。回りを見ると、どうやらこの神殿は高い山の上にあるようだ。山の下の方には雲海が広がり、はるか遠くに幾つかの神殿が見える。見えている神殿は、全部で5個だった。


  大きな石の階段を上がろうとしたら、石の巨神兵が上から降りてきた。メデューサがゴルゴンになって、巨神兵を石化しようとしたが、元々石の巨神兵が、これ以上石化するわけがない。ほんと、おバカさんなメデューサさんだった。


  僕は巨神兵の胸めがけて指鉄砲を撃った。胸に深く大きな穴が空いて巨神兵が動かなくなった。階段は、見たところ100段位ある。1段が2m位あるので、ステノーさん達は上がるのに苦労していた。手伝おうかとも思ったが、上る途中で、スカートがめくれてしまうので、少し観察することにした。真ん中辺まで上ったところで、休憩する事になったが、ステノーさんが涙目で抗議してきた。僕だけ、空を飛んで狡いと言うのだ。仕形がない。ここからは、全員で手を繋いで飛行することにした。僕と手を繋ぐのは、メデューサさんとステノーさんだったが、ステノーさんがニコニコしているのが気になった。ステノーさん、あくまで、あなた達は地上界での同居人ですからね。


  階段の上は、メタル・ゴーレム兵の集団が、整列してこちらに向かってきた。大きさは、1m位で小さいのだが、数が半端無く多い。神殿も馬鹿でかいが、その殆どを埋め尽くしている。数は、万では聞かないだろう。メデューサさんが、また石化をしようとしていたが、メタルが、石になる訳もなく徒労だった。3人は、僕の後ろに隠れてしまった。あの、皆さんは一応、神様ですよね!


  メタル軍団の先頭は、長槍と大楯の重装兵達だった。その後方に弓を構えている軽装兵、その後方に歩兵だった。その陣容が200人1単位で、無限に続いているようだった。


  僕は、ステノーさんに殲滅して良いか聞いたら、『アテーナー様が、来た者の力を試すために作られているので、神殿を壊さなければ平気。』といってくれたので、思いっきりやる事にした。


  僕は、『紅き剣』を出現させ力を込めた。真っ赤に光った剣を、メタル兵達に向けて凪ぎ払った。あらかじめ、『蒼き楯』で光の拡散を絞っているので、神殿の石柱には傷がつかないはずだ。殆どのメタル兵は消滅してしまった。溶けたのではなく、消滅したのだ。余りの高熱で、元素の結合が解かれてしまったのだ。メタル兵は、質量の無い光になってしまった。残ったのは、部隊の両側にいた僅かな兵のみだった。まあ、これはしょうがない。僕は、『紅き剣』を納め、『オロチの刀』と『ベルの剣』を抜き、明鏡止水二刀流で闘うことにした。


  僕が、部隊の間に入り込んでいった。両側から、メタル兵が殺到してきた。僕は、両手を大きく拡げ、回転を始めた。『明鏡止水流旋風剣』だ。回りに、青い斬撃が拡がっていく。こいつらは、きっと知能ゼロだ。斬撃で近づくことも出来ないのに、次々と迫ってくる。10分程で、周囲のメタル兵は動かなくなった。というかメタルの山になった。遠く、霞むくらいの距離に僅かにいるだけだ。


  僕は、1体のメタル兵を持ち上げた。軽い。素材は、オリハルコンだった。僕は、100体分程のメタル兵の残骸をイフクロークに収納した。叩き売っても、莫大な財産だ。4人は、神殿の中を進んでいった。2時間程歩いたら、ようやく本殿らしきものに到着した。その間、石の巨神兵やメタル番犬それに黄金のケルベロスが出現した。


  黄金のケルベロスは、指鉄砲で傷口を最小にして倒した。驚いたことに、黄金は純金だった。骨格は、きっと硬いもので作られているのだろう。オークションに掛けたら、いくらになるか想像も付かない。死骸は僕でも、持ち上げられなかった。まあ、『重力』スキルを使えば持ち上げられない物はないのだが。当然にすべて、イフクロークに収納だ。


  本殿は、石作りの宮殿だったが、これもデカイ。入り口には、メタルの巨神兵の門番が立っていた。用件を伝えると、大きな扉が独りでに開いた。皆で、中に入ると大きな広間だった。中には、猫の頭をした男の人が1人立っていた。


  『よくいらっしゃいました。私は、この神殿の家令をしておりますズールと申します。さあ、こちらにどうぞ。』


  豪華なドアが現れ、中は謁見の間のようだった。奥には、真っ白な大理石の台があったが、椅子はなかった。ひとりの女性が立っていた。長い金髪を垂らし、黄金の甲冑を装備している。左腕に装備している盾は、じっと見ていると吸い込まれそうになる。『アイギスの盾』と言うらしい。僕は、片膝を付いて臣下の礼をとった。ステノーさん達は、両膝を付いて、頭を下げていた。


  アテーナー様は、全てを了解していた。ステノーさん達に掛けた呪いも直ぐに解いてくれた。ステノーさん達は、白い光で包まれ、呪いは解かれた。僕は、アテーナー様に礼を言って、帰ろうとしたが、アテーナー様に呼び止められた。ステノーさん達には別室を準備をしているので、今日は、泊まって行くように言われた。特に断る理由もないので、皆で泊まることになった。


  しかし、僕だけは、アテーナー様に付いてくるように言われたので、ステノーさん達は文句を言おうとしたが、アテーナー様の冷たい視線を浴びて、黙ってしまった。僕は、とても嫌な気がした。このパターンは、今まで何回も経験している。何故、僕だけ、こんな目に遭わなければならないのか。


  でも、アテーナー様は、永遠の処女神だ。きっと、大丈夫だろう。もう何千年も処女を貫き通しているのだ。


    「きっと大丈夫。」


    「きっと大丈夫。」


  僕は、呪文を唱えるように、ブツブツと呟きながら、アテーナー様の後を付いて行った。

いやあ、殲滅でした。通常の神様レベルでは、絶対にやられています。ステノーさんレベルでは、歯が立つわけありません。

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