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第23話 スタンピード

本編から、ゴロタが普通の人ではないことが分かってきます。それよりも、シェルさんも人外です。

常識外れの無双はさせないようにしたつもりでしたが、どうでしょうか?

(11月1日です。)


  エーデル姫は、去年、15歳になった時に、冒険者登録をすましていた。今日の朝、シェルさんとエーデル姫が、冒険者ギルドで確認した能力だ。

******************************************

【ユニーク情報】

名前:シェルナブール・アスコット

種族:ハイ・エルフ

生年月日:王国歴2005年4月23日(15歳)

性別:女

父の種族:エルフ族

母の種族:ハイ・エルフ族

職業:王族 冒険者D

******************************************

【能力】

レベル    16 (+ 8)

体力     60 (+25)

魔力    120 (+20)

スキル    55 (+13)

攻撃力    60 (+35)

防御力    45 (+25)

俊敏性    60 (+42)

魔法適性    風

固有スキル

【治癒】【能力強化】【遠距離射撃】【誘導射撃】

習得魔術  ウインド・カッター 

習得武技  【連射】

*******************************************


  物凄い上昇値だ。また、習得武技に『連射』が追加された。アーチャーにとっては、心強い武技だ。エーデル姫の能力は、『E』ランク冒険者としてはかなり高い方だ。


******************************************

【ユニーク情報】

名前:エーデルワイス・フォンドボー・グレーテル

種族:ハイ・エルフ

生年月日:王国歴2004年11月01日(16歳)

性別:女

父の種族:人間族

母の種族:人間族

職業:王族 冒険者E

******************************************

【能力】

レベル    12

体力     70

魔力    110

スキル    35

攻撃力    40

防御力    35

俊敏性    30

魔法適性    火

固有スキル

【熱攻撃】【熱感知】【威嚇】

習得魔術  ファイア・ボール 

習得武技  なし

*******************************************


  いつの間にか、エーデル姫も16歳になっていた。というか、今日が誕生日だ。で、エーデル姫は、今日はお城で誕生祝の会だそうだ。各国の王族やお貴族様、王国内のすべてのお貴族様と大商人、豪農そして教会からは大教皇様とその僕たちがお城に集まってくるそうだ。


  僕達は、昨日のうちに、エーデル姫が大好きなオムライスを作ってお祝いをした。オムライスのほかに、ケーキにも挑戦した。僕としては、満足できる出来ではなかったが、二人はとてもおいしいと全部食べてくれた。そのうち、スキルに料理が追加されるのではないかと期待している僕だった。


  今日は、久しぶりのシェルさんと二人きりの夕食だった。僕にとっては、いつもの夕食にしか過ぎなかったが、変に意識しているシェルさんだった。そうしているうちに、夜も遅くなり、今夜はエーデル姫も帰ってこないとのことだったので、早めに寝ることにした。久しぶりにゆったりと寝れる。


  そうして眠りかかった矢先、


      カーン、カーン、カーン、カーン、カーン


  町中に響く鐘の音。飛び起きる二人。何があったのか。王国に来て、こんなことは初めてだ。簡単に着替えて、下に降りると、裏の離れから、ダッシュさんとシズさんも出てきた。シズさんの不安そうな顔。ダッシュさんに確認すると、敵が攻めて来たか、魔物が城内に現れたときに鳴らす鐘の打ち方だそうだ。敵ということは、考えにくい。今日はエルダー姫の誕生日で、隣国すべてから国賓が来訪しているのだから。そうすると『魔物』か。


  シェルさんに目配せで合図をして、2階に駆け上がり、いつもの装備をする。シェルさんは、ボウガン用の矢を50本、矢筒にセットする。かなりの太さになってしまった。


  二人で、冒険者ギルド本部へ向かう。


  冒険者ギルドには、続々と冒険者達が入っていく。僕達も入っていくと、大広間のカウンターの上にフレデリック殿下が立っていて冒険者に指示を与えている。現在、北門に魔物が殺到しているそうだ。城壁の上から騎士団が攻撃をしているが、北門が破られると、グレーテル市内での市街戦になってしまう。


  そうすると強力な火力が使えなくなるので、何としても阻止しなければならない。また、東西の門にも、警戒人員を割かなければならず、圧倒的に戦力が足りないので、冒険者に手伝ってもらいたいとのことであった。そう説明している間に、騎士団の人が走りこんできた。


  「北門が破られそうです。すでに外壁の外側にいた騎士団500名が壊滅状態です。敵は、オークとオーガが主力で、特殊個体もいるみたいです。あと、ゴブリンもいますが総数は分かりません。」


  情報がもたらしたのは悲観的な状況であった。北門から6キロ位離れた森の中には、古いダンジョンがあり、お宝も堀つくされたようで、長い間、放置されていたみたいだ。そうすると、魔物が異常発生することがあるとのことだった。


    『スタンピード』


  誰もが、頭の中をよぎる言葉。まさか、いや、きっとそうだと。


  「よし、分かった。あなたは控室で休んでくれ。みんな、聞いていたとおりだ。これから、冒険者達を東西の門の警戒に当てる。これは私からの『指名依頼』だ。よろしく頼む。細かな編成は秘書のモンデに任せているので、その指示に従ってくれ。」


  カウンターから降りたフレデリック殿下は、僕達を見つけて、駆け寄ってくる。


  「聞いたとおりだ。悪いが、君たちも協力を頼む。」


  フレデリック殿下の話では、現在、ギルド本部に登録している『A』ランクパーティは4組、うち1組は近くのダンジョンを攻略中で、他の3組は、遠隔地に行っていて留守だそうだ。結果、強力な火力を持っている冒険者が皆無とのことであった。


  「そこで、相談だが、君たちには北門へ向かって貰えないだろうか。北門には、正規の王国騎士団が戦闘中だが、何分、相手方は魔物、剣や槍だけでは殲滅はむずかしい。まして、夜間。夜目の聞かない騎士団では圧倒的に不利な状況だ。応援してくれないか。」


  「うん、分かった。」


  僕の答えを聞いて、胸を張るシェルさん。


  「分かりました。北門守備隊の責任者はどなたですか。命令書を書いていただけるとありがたいのですが。」


  「分かった、準備しよう。北門の守備隊長はスターバ王国騎士団長殿だ。」


  スターバ団長なら面識があるので、話が通りやすいだろう。僕は、命令書に僕の希望通りの配置をするようにと書いて貰いたいことをシェルさんに伝えた。これを伝言ゲームのようにフレデリック殿下に伝える。


  「分かった。手配する。」


  フレデリック殿下の命令書を持って、北門に向かう。ギルドを出てから、シェルさんをオンブする。その方が、二人で走る時間の4分の1の時間で到着するからだ。北門に到着したら、大変な状況だった。騎士団の方達が大勢負傷して、北門の内側に寝かされていた。治癒師がヒールをかけているが、間に合わないようだ。


  スターバ騎士団長を探したところ、すぐ見つかった。北門の上で大声で指揮を執っていたのだ。僕は、命令書を掲げながら、城門の階段を駆け上がった。シェルさんを背負いながら。


  「スターバ騎士団長。シェルです。」


  シェルさんが、僕の背中から、団長に声を掛けた。団長は、僕達だとすぐわかったが、シェルさんが背負われているので、怪我をしたのだと思って、


  「シェル殿、如何した。怪我は大丈夫か。」


  シェルさんは、シュタッと背中から飛び降りて、命令書を団長に渡した。それを読んだ団長は、


  「この命令書は了解した。しかし、どうするというのだ。北門の外には500匹を超える魔物が殺到しており、外にいた1個連隊は全滅した。上から見ていることが出来ないほどの状況じゃ。北門の扉が最後の扉じゃ。これを開けることなどできん。そんな状況で、貴殿らにできることなどないじゃろう。」


  これは、正解だった。打って出るにしても、敵が密集している門を開ける訳にはいかない。攻めるもできず、守りも難しい。これが今の戦況だった。僕は、シェルさんに耳打ちした。


  「分かりました。ここは、私たちに任せてください。団長さんは、遠距離火砲をドンドン打ち込んでください。王国中の魔法使いをここに集めて撃ち続けてください。東西の門は、冒険者達が死守しますから。」


  シェルさん、まるで将軍みたいです。そして、僕はシェルさんを再度、背負って城門の上の屋根の上に立った。地面まで、おおよそ40m。シェルさんをしっかり背負ってから、パッと下に飛び降りた。


    「えーーーー!」


  見ていたスターバ団長や、他の兵士たちは、びっくりして城門の端に駆け寄り、下を確認した。僕達は、魔物に囲まれて平然と立っていた。両手には短剣を持ち、背中にはシェルさんをオンブして。


  もうすでに、10匹位の魔物が僕の周りに倒れていた。飛び降りながら、切り捨てたのだ。左手に持った短剣がまぶしい位に光り始めた。青色から、白色にそして赤色に光り始めたとき大音響を縦ながら、水平に短剣を振り払った。


    バシュ-------ン!


  僕を中心に赤いリングが拡がっていく。魔物を焼き尽くしながら。


  おおよそ300m位先まで、円状に広がり、後には燃え上がる魔物達の断末魔が聞こえてくる。魔物のランクなど関係ない。ゴブリン、オーク、オーガ、数は少ないがサイクロプスもいたようだ。


  焦土と化した範囲の外にいて、殲滅を免れた魔物達おおよそ100頭は、最初何があったか分からなかった。しかし、プスプスと燃え残っている仲間の先に立っている人間に気が付いた。あいつをやっつけなければと、すべての魔物が殺到した。


  シェルさんは、僕の背中から降りて、様子を見ていた。




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  ゴロタ君は、国王陛下から使ってはいけないと言われた『あの剣』を使ってしまった。凄い威力だ。でも、本当に大丈夫なんだろうか。ゴロタ君の様子がおかしい。目が真っ赤に充血していて、瞳に光がない。何か、ブツブツつぶやいている。よく聞いてみると『早く帰りたい。』と言っている。でも魔物が殺到している。


  このままだと、ゴロタ君が魔物のご飯になってしまう。シェルは背中からボウガンを前の方に回して右腰辺りに下げた。次に、矢筒からすべての矢を抜き出して、束ごとドンと地面に突き刺した。そのうちの3本を抜き出して、ボウガンにセットすると、あまり狙わずに


    ビシュッ!!!


  と、撃ち出した。矢は3方向に飛び続け、先頭の魔物3頭の目玉に1本ずつ命中した。矢が飛び続ける間に、下を見ずに次の3本をボウガンにセットし、目標の魔物の目玉の位置だけ確認して、撃ち出した。3匹の魔物の目玉に3本の矢が突き刺さるのをイメージしながら。


  次から次へと、矢を撃ち続け、間もなく矢が無くなるかなと思ったときに、ゴロタ君の声がした。


  「シェルさん、ありがとう。もう大丈夫だよ。」


  その声を聞いたシェルは、もう撃ち続けることが出来なかった。涙が溢れて、敵を見ることが出来なくなったからだ。


「呪われた剣」使っても特に呪われませんでした。

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