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第247話 ステノーさん、怖いです。

話は、次々と飛んでしまい、災厄の神との決戦は、当分ないみたいです。でも、キチンとした神様と戦いにならなければいいのですが。

(10月3日です。)

  僕が、ステノーさんに会いにきたのは、グレーテル国王陛下から晩餐会に誘われたからだ。僕は、使者の人に、自分の一存では決められないとして断ろうとしたが、聞くだけ聞いてみようと言うことになった。それに、妻達もジェーン以外、誰も会ったことが無いので、皆、揃って転移してきたのだ。皆の認識は、ダンジョンボスで、ジェーンの命の恩人で、美人だということだった。


  会ってみて、皆、言葉を失った。人間離れした美しさだ。まあ、人間ではないのだが。左右完全対称の目鼻立ち。彫りの深い目とスーと通った鼻筋、大きすぎず小さすぎない口、完全8.5頭身のプロポーション、出るべき所と引っ込むところがはっきりと区別できる体形、神様って不公平と女性なら誰でも思ってしまうだろう。


  シェルを始め、皆が自己紹介をする。最後に、ステノーさんが自己紹介をした。その自己紹介が凄まじかった。


  『妾は、大地の母神ガイアと海神ポントスの子で、ネーレウス、タウマース、ケト、エウリュビアーと兄弟である海を統べる神ポルキュースを父とし、父の妹ケトを母とし、名前をステノーと申す。エウリュアレ、メデューサの姉であり、異母妹にエキドナや、スキュラ、セイレーンがおります。』


  『ゴロタ殿は、祖母アテーナーの産みしティターン12神と繋がりがあるものと思われます。』


  え、僕って、太古の神々につながる血筋なの?確かに、一族名は『タイタン』だったけど、それって人間族じゃあ無かったの?皆は、同じことを思った。どうも、僕の出自について、分からないことが多すぎる。でも、彼女が神の子とすると、真実味のある話であった。


  皆で、会食となった。僕の両脇には、シェルとエーデルが座り、その両脇にはクレスタとビラ、その隣にジェーンが座った。僕の向かいにはステノーさんが座った。シェルは、とっても憂鬱だった。


  今までだって、次から次へと女性が現れては、ゴロタ君の婚約者や妻になっているのに、今度は、邪神とはいえ、神様。それも絶世の美女、人間ではありえないほどの均整の取れた顔立ちとスタイル。どうやったら、こんな事になるのかと考えてしまう。しかも、神様たちって結構エッチ。神話では兄妹だろうが、親娘だろうが、すぐに愛し合ってしまう。この調子だと、ゴロタ君だって絶対に餌食にされてしまう。ああ、何とかならないのかしら。それに今回の件で、最も重要なのは、彼女が不死だという事。いくら私が長生きといっても、不死にはかなわないわ。ああ、ゴロタ君、相手は人間だけにしておいて。お願いだから。


  自分だけ、長生きして、僕を独り占めしようと考えていた狡くて残念なエルフだった。


  会食は、海鮮料理だったが、ステノーさんは、ほんの少しつまんだだけで、あとはレモンのスライスと海藻を食べていた。今、着ているロングドレスは、かなり襟の開きが大きく、何か取ろうと腕を伸ばすと胸のポッチが見えそうになる。女性陣は、それが我慢できないらしく、皆で、ステノーさんの洋服を買いに行く事にした。そういえば、今、着ているのは、この屋敷に来る途中で買った間に合わせだった。


  ステノーさんのドレスはオーダーメードにした。身長172センチ、バスト93センチ、ウエスト56センチ、ヒップ89センチとナイスバディだ。ドレスは、特急便で作ってもらう事にしたが、1週間かかるそうだ。色は、真珠の表面のような白と、青空に浮かぶ雲の端のような水色にした。腰に、ベルトを垂らして貰う。女性陣の注文は、ただ一つ、胸の形が分からなくなり、脚が隠れるようなデザインということだったので、多くの皺、ドレープというらしいが、それを胸の前に入れたロングドレスにして貰っていた。


  洋服をオーダーした後は、ティファサンで宝飾品だ。国王陛下の晩餐会に行くならば、首飾りとティアラが必要だが、首飾りは要らないというので、ティアラだけにした。色は青が好きだと言うので、サファイアの並んだティアラにした。あれ、ステノーさん、目の色、赤く無かったですか?聞けば、目の色と髪の毛の色は自由に変えられるらしい。今は、サファイアに合わせて水色の目になっている。


  女性陣達が、小声で『ずるい。』と言っているのが聞こえた。






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(10月10日です。)

  今日は、ステノーさんと一緒に王宮の晩餐会に参加する。午後、3時過ぎに宮城に到着した。このためだけに、4頭立の馬車を3台準備したのだ。僕とステノーさんで1台、警護のオーガ騎士さん二人で1台、それにゴブリンメイドさん達のために1台だった。


  オーガ騎士さんとゴブリンメイドさん達は屋敷で留守番させるようにお願いしたのだが、ステノーさんに『嫌だ。』と言われてしまった。理由を聞くと、『ウフフ。』と笑って答えてくれない。謎だ。しかし、その理由は直ぐに分かった。ゴブリンメイドさん達がステノーさんが歩くところに、バラの花びらを撒き始めたのだ。後ろでは、ステノーさんが歩き終わったところを掃除するゴブリンメイドさんもいた。どうやら、神様たちは、このようなところを歩くらしい。天上界って面倒臭いと思ってしまった僕だった。


  オーガ騎士さん達の必要な理由が直ぐ分かった。スターバさんが、王国騎士団の者達との練習試合をしたいと申し出て来たのだ。ステノーさん、最初から分かっていたのですか?オーガ騎士さん達は、無言で、練習試合の相手をすることに応じた。最初は、赤い髪のオーガ騎士だ。相手は、剣術指南役の騎士さんで、身長が190センチ位ある大男だった。お互いに、長い木刀を持って対峙した。


  『はじめ』の合図で、オーガ騎士さんの姿が消えた。僕には、はっきり見えたが、常人では、動体視力能力を大きく超越していた。相手の騎士さんは、耳のそばで唸る木刀の風切り音で、負けたことを認識した。オーガ騎士さんの木刀は、相手の右肩寸前で止まっていた。赤い髪のオーガ騎士さんは、5人の騎士さんと試合をして、全勝だった。


  青い髪のオーガ騎士さんも、試合をしようとしたが、もう相手はいなかった。グレーテル国王陛下は、オーガ騎士さんが動くたびに、鎧の下のミニスカが翻って、パンツがチラチラ見えるのに喜んでいたが、女王陛下にわき腹をつねられていた。


  食事は、王都に居住する貴族たちと一緒だった。皆、ステノーさんの美しさに目を瞠っていた。ステノーさんの紹介は、遠い国よりタイタン領に遊学に来られたお姫様ということにしていた。名前も、親の名前は名乗らないで、単にステノーとした。


  晩餐会のメニューは、流石、王宮とでも言うべき贅の尽くしたものだったが、ステノーさんは、ほぼ野菜のみを食べていた。聞くと、神へ捧げる生き物は、赦しを乞わなければならないらしい。神に殺される場合は、その時点で罪が許されるらしいのだ。


  よく分からない理屈だが、穢れた肉は、臭いそうだ。たまに穢れていない肉や魚があるらしいが、その時は、美味しく食べている。僕が狩ってきた生き物は、穢れていないので、屋敷で食べる肉料理は平気なのだそうだ。その理由は全く分からないが、どうやら僕の両親の出自と関係あるらしい。


  晩餐会の後は、ダンスパーティーとなったが、ステノーさんは、いつの間にかいなくなっていた。宮廷衛士に確認したところ、すでに帰ってしまったそうだ。僕を始め、誰も気がつかなかった。通路に少し、薔薇の花びらが残っていたので通った証跡が分かるだけだった。国王陛下が、ダンスを踊れなくて残念がっていたが、僕はホッとしていた。このままだと、誰かがステノーさんの怒り、つまり神の怒りを買ってしまうことになるかも知れない。明日、王都中の人々が『塩の柱』になってしまったら笑えない話だ。


  パーティーが終わってから、王都の屋敷に戻ると、ステノーさんはリビングでゲンさんとお茶を飲んでいた。ゲンさんは、初老の紳士という感じだったが、目が黒い亀の目なので、表情が良く分からなかった。


  シェル達も一緒にお茶にした。ステノーさんが、今度、あのダンジョンから妹達を連れてきて欲しいと言ってきた。え?妹達って、あのゴルゴンとメデューサですか?


  ステノーさんは、何もない空間から、大きな魔石が嵌っている杖を取り出した。この杖で、軽く妹達の頭に触れてくれと言って、僕に杖を渡してくれた。軽い杖だったが、素材は分からなかった。この杖は、『変化の杖』だそうだ。変化させられた者を、元の姿に変える力があるらしい。しかし、あくまでも『変える』だけで、『戻す』のではないので、力を失えば、また魔物の姿に戻ってしまうそうだ。


  ステノーさんは、自分の力で『変化』しているので、力を失わない限り、今の姿を維持できるそうだ。妹達は、10月28日に、あのダンジョンの最下層に復活するそうだ。シェル達も行ってもいいが、絶対に、『変化』するまで、目を見ないようにと言われた。


  また、自分と同じサイズの、ドレスと下着を準備して貰うようにもお願いされた。次の日、シェルがステノーさんのドレスを作った店で、ピンクと若草色のドレスを注文することにした。


  どうやら、エウリュアレさんは、とても大食いで、何でも食べたがるそうなので、あらかじめ、大量の食事を準備しておく必要があった。メデューサさんは、大きな声では言えないが、男が好きなようなので、直ぐにステノーさんのところへ転移させるつもりだ。着替えは、屋敷の中でしてもらおう。


  などと、準備していたら復活の日が来てしまった。

あ、あのエッチなメデューサさんと食いしん坊のエウリュアレさん、二人が復活したらとても危ないような気がします。

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