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紅き剣と蒼き盾の物語(コミュ障魔王と残念エルフの救世サーガ)  作者: 困ったちゃん
第24章 王国の西はタイタン領です。
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第244話 衛士隊の新卒採用試験です。

 ついに、100万文字を突破しました。文章が冗長なのかもしれませんが、良く書いたものだと思います。次は、200万文字をめざします。

今回のお話は、来春卒業予定者の試験です。大卒は、幹部候補生です。

(9月10日です。)

  今日は、来年3月卒業見込みの学生達の衛士隊採用試験初日だ。


  初日は、学科試験のみだ。採用試験は、3区分に分かれている。中学卒業程度、高校卒業程度そして大学卒業程度だ。僕には、中学卒業程度でも難しいレベルだった。


  学科試験は、5科目と論文だ。国語、理科、数学、地理・歴史それと魔法学だ。国語は、読み書きの他に、昔の言葉や文章を読んで質問に答える問題だ。理科は、生き物や魔物の種類と特徴、植物やキノコの見分け方の他に、体積と重さの関係や、星の動きや天気などかなり難しいものだった。数学は、距離と時間や面積と立体の体積、あと二つの式から答えを出す問題など、僕には全く見当もつかない問題だった。地理・歴史は何となく分かった。世界を旅しているおかげのようだ。


  問題は魔法学だ。僕の知らないと言うか、全く魔法とは関係のない問題のようだった。古代魔法文字なんか、絶対に間違っている問題だった。これは、一度、教科書を点検してみることにしよう。


  論文は、『騎士と衛士の共通点と違いについて』という設問だった。


  受験者は、中卒が1600名、高卒は1200名だった。大卒は、180名だったが、大卒の採用予定が5名なので、36倍もの受験倍率は意味がなかった。大卒以外の採用予定は、中卒が150名、高卒が150名なので、概ね10倍の受験倍率だった。


  試験は、タイタン市、エクレア市、ニュー・エクレア市の他に、王都でも受験できるようにした。合格者には、手紙で通知するので、指定日に集合する様に指示される。不合格者には連絡は行かない。郵便代もかなり高額のためだ。


  1週間後、2次試験が始まった。二次試験は、やはり各都市の衛士隊本部で実施されるが、それぞれに試験日が違う。僕達が試験官をやるので、4回に分けて実施する予定だ。最初はタイタン市での試験となる。


  タイタン市の衛士隊本部に行くと受検者たちが緊張して待機していた。2次試験の最初は、持久走だ。5キロを20分以内が目安だ。30分以上は、直ちに不合格だ。持久走が終了すると、能力測定だ。ギルドにある測定器機と同じものを使う。体力と俊敏性の合計値が70以下は不合格だ。


  午後は、魔法力の測定と剣術の模擬戦をして貰う。模擬戦は、3人のチームで総当たり戦だ。


  2次試験の結果は、その日のうちに発表された。翌日は、面接だ。面接試験は、ダンヒル大佐とダーツ大佐それにウオッカ司法長官だ。


  ウオッカさんの質問が、かなり専門的で、判断が難しい質問だったらしい。別に、正解を答える必要は無いらしい。考えずに諦める者や、口先で誤魔化そうとする者、中にはウオッカさんに食って掛かる者もいたらしい。当然、不合格だ。これで、すべての試験が終わった。総合成績の上位者から、合否をきめて行く。合否結果については、全員に送付する。採用は、来年4月だ。それまでの間に犯罪を犯したりすると、当然、合格取り消しとなる。


  中卒は1年間、高卒は半年間の養成期間を経て、実践配置となる。大卒は、高卒者と一緒に3か月間だけ養成訓練を受けて貰い、その後、司法庁、行政庁での勤務をして貰った後、衛士隊の士官として配置になる予定だ。給料は、王都の衛士隊の1.2倍にしている。余り高くすると、王都の衛士隊に行く者がいなくなってしまうので、ジェンキン宰相から念を押されていた。まあ、地方赴任手当程度の増額だ。あと、これは、ジェンキン宰相には内緒だが、宿舎と昼食は無料なので、応募者達の人気が高いそうだ。当然、制服と装備品も無料だ。剣などの装備品は、王都にあるダッシュさんの店『亀の甲羅武器店』にすべて任せている。本当は、エクレア市のガチンコさんの店でも良かったのだが、やはり身内優先はしょうがない。


  衛士隊標準装備は、ミスリル製のショートソードに、ミスリル製の軽鎧セットだ。魔道士には、ショートソードに、魔力の通り道を掘り込んでやる。これは、僕が直接作業する。既に、中途採用者のうち60人分位は作業した。但し、掘り込んだ分だけ強度が弱くなるのは仕方がない。


  養成所は、着々と出来上がっている。既に外壁は完成している。石造りの3階建てだ。本館の裏に、寄宿舎が建っている。これは、木造2階建てで、男子寮と女子寮に分かれている。中庭は、演習場だ。一番裏に、剣道場がある。一度に60人が稽古できる広さだ。これから、内装作業に入るが、来年2月まで掛かるようだ。それまでに、教官と給食の調理師などを雇わなければならず、結構やることはいっぱいだ。ダーツ大佐、頑張って下さい。





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エクレア市の近くのダンジョンが異常に湧き出しているそうだ。北にあるビランサ村に行く途中に深い森がある。この森の奥に古いダンジョンがある。このダンジョンがあったおかげで、エクレア市の冒険者ギルドも賑やかだったのだ。しかし、余りにも冒険者がダンジョンを探索し過ぎてしまい、3年位前に枯れてしまったらしい。潜っても何も出てこなくなったのだ。魔物の出ないダンジョンなんて、単なる洞窟だ。洞窟探検が趣味ならいいが、金儲けが目的の冒険者が行くわけがない。結果、エクレア市のギルドは、閑散となっていたのだ。これまで、近くの森での薬草採取や警護任務位しか無かったのだが、最近、森の中で、魔物に襲われる旅人や村人が多くなって来ているそうだ。出現してくる魔物もゴブリンやオーク程度なら、放置していてもいいが、食人鬼のオーガらしい。これは、間違いなく枯れたと思っていたダンジョンが復活した兆しだ。放っておくとスタンピードになりかねない。既に数組の冒険者に依頼を出していたが、未だにダンジョンボスの討伐が出来ていないらしい。


  僕は、ジェーンとジルちゃんの2人を連れて、ダンジョンクリアの依頼を受けることにした。ジェーン達2人の装備を見ると、武器はまあまあだが、防具がミスリル製だと言うだけなので、やや寂しい気がするが、急遽だったので、我慢することにした。ダンジョンは、北の城門から歩いて2時間位の所だったが、途中の森にも魔物が出現するので、討伐しながら進んでいくことになる。


  オーガは、ゴブリンやオークよりは知能が高いが、それよりも体力と俊敏性が高いことが厄介だ。通常の人間では、無傷で討伐するのは難しい。僕でさえ、最初の頃は、正面から闘わずアキレスを切断してからのとどめだった。今の2人の戦闘力では、その方法がベストかも知れない。


  森の中から、オーガ2匹が出てきた。でかい。通常種の5割増しかも知れない。4m超えのサイズだ。得意個体かもしれない。頭の角が禍々しい。僕達を見て、ニヤリと笑った。黄色い牙が剥き出しだ。このサイズの2匹では、ジェーン達には難しいかも知れない。僕が、『オロチの刀』を抜こうとする前に、ジルが、フラッシュ・ライティングを2匹の目の前で破裂させた。目を覆うオーガ達。すかさず、ジェーンが『灼熱の短剣トリトーン』で炎の斬撃を放つ。浅い。オーガの足首をかすめていく。しかし、オーガにとっては、予期せぬ攻撃だ。注意が、足首に向いてしまった。すかさず、ジェーンの面打ちが、オーガの腕に斬り付けられる。僕は、もう一匹のオーガを縛り付けておく。ロープなど要らない。『念動』のロープだ。


  ジェーンが下がる。ジルちゃんの炎撃が、オーガを襲う。体毛が燻り、煙が立ち込めているが、大して効かないようだった。しかし、構わずに連続無詠唱で放ち続ける。オーガは堪らずに、逃げ始めた。ジェーンが、『瞬動』接近し、背中から心臓めがけて短剣を繰り出す。ズブリと刺さっていく。瞬間、雷撃を流し込む。1匹目のオーガが倒された。2人とも、肩で息をしている。


  直ぐに、もう1匹の拘束を解く。オーガは、仲間が殺され、怒り狂っている。ジルが、フラッシュライトを3発連続で撃った。オーガは、完全に目が死んでしまった。網膜が焼け焦げただろう。もう、ブンブン棍棒を振り回している。ジェーンが『トリトーン』に気を込めていく。短い刃体が赤く光り始めた。ジェーンが、下から跳ね上げるような逆袈裟斬りを決めた。オーガは、肺から肩に掛けて切り抜かれた。切り口が焼け爛れている。オーガは漸く、動かなくなった。もう2人は限界のようだった。ジルちゃんの魔力は、もう僅かしか残っていないだろう。ジェーンも、動きに精彩を欠いている。今日は、もう帰ることにした。オーガからは、大きな魔石が出てきたのでとりあえず回収しておく。


  翌日、ダンジョンの入り口まで行くことができた。トロルの群れに囲まれてしまったが、ジェーンの『トリトーン』が威力を発揮した。ジェーンが、ソードに気を込めて横になぎ払うと、トロルどもが近づけなかった。ジルちゃんが、ファイアをピンポイントで撃ち始める。心臓付近に深く炎が突き刺さっていく。初めて見る技だ。自分の炎攻撃が弱いため、1点集中を心がけて練習しているそうだ。ジェーンは、昨日と同じように、『トリトーン』の炎攻撃と、雷撃魔法を織り交ぜながら、チャンスと見ると『瞬動』で接近してトドメを刺していた。


  ダンジョンの中は、ガランとしていた。最初の第1階層には、何もいなかったた。普通なら、ゴブリンが群れていても良いのだが、何もいない。しかし、奥から嫌な気配がしてくる。僕達は、ゆっくりと進んでいく。ジルが、ライティングで明るくしてくれるので、遠くまでよく見えた。まあ、僕には、関係なかったけど。第二階層へ行く階段の前に何かがいた。向こうを向いて、しきりに何かを食べていた。凄まじい妖気だ。頭から何かが生えて瞬いている。よく見ると、蛇のようだった。


  不味い、あいつは今の2人ではレベルが高すぎる。あいつは『ゴルゴン』だ。しかも、もの凄い飢餓感を発散している。

いよいよ、新しい魔物が登場です

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