表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紅き剣と蒼き盾の物語(コミュ障魔王と残念エルフの救世サーガ)  作者: 困ったちゃん
第24章 王国の西はタイタン領です。
240/753

第238話 犯罪都市コルトン

犯罪のない明るい町にするのは大変です。ゴロツキがいなくなっても、予備軍がゴロツキになってしまいます。キリがありません。

(6月7日です。)

  次の日、ジルちゃんとジェーンさんを連れて、冒険者ギルドに行った。二人の能力測定だ。最初は、ジェーンさんだ。


******************************************

【ユニーク情報】2026.06.07現在

名前:ジェーンフェラルド・グレーテル

種族:人間族

生年月日:王国歴2002年5月8日(24歳)

性別:女

父の種族:人間族

母の種族:人間族

職業:無職 冒険者 B

******************************************

【能力】

レベル    46( 16UP)

体力    220( 80UP)

魔力    180( 60UP)

スキル   190( 90UP)

攻撃力   240(130UP)

防御力   120( 30UP)

俊敏性   200( 30UP)

魔法適性    雷

固有スキル

【魅了】【瞬動】

習得魔術  サンダー・テンペスト 

習得武技  【居合】

*******************************************


  え、何もしていないようだったのに、何故に各レベルが上がっているのか分からない。それに固有スキルに【瞬動】って、毎日、僕の動きを真似していたためかも知れない。とりあえず、これで冒険者ランク『A』も見えて来た。


  次は、ジルちゃんだ。ジルちゃんも魔法の能力が上がっていればよいのだが。

******************************************

【ユニーク情報】2026.06.07現在

名前:ジルベリナ・ウオッカ

種族:人間

生年月日:王国歴2010年6月6日(16歳)

性別:女

父の種族:人間族

母の種族:人間族

職業:高校生  冒険者ランク E

******************************************

【能力】

レベル     7

体力     50( 20UP)

魔力    150(110UP)

スキル    20(  5UP)

攻撃力    30( 20UP)

防御力    40( 10UP)

俊敏性    70( 30UP)

魔法適性  火 土 光

固有スキル

  なし

習得魔術  ファイアボール、ロックウオール、ライティング      

習得武技  なし

*****************************************


  うん、ちゃんと練習した成果が出ている。それどころか、魔力の上昇が半端ない。ジルちゃんは、早速冒険者登録をした。


  今日は、そのまま南のダンジョンに行く事にした。ジェーンさんは、あの『灼熱の短剣トリトーン』を装備している。鎧は、ミスリル製の軽鎧だが、そのうち、掘り出し物があるかも知れない。ジルちゃんは、高校の冒険者セットBだ。Bセットは、魔導士用のセットで、対魔法攻撃に強いマントとブーツだった。これは、何か間違えている気がする。魔導士の相手は、魔法系の魔物ばかりではない。やはり、物理攻撃にある程度耐えられる防具が必要と思われるが、今日は間に合わないのでこれで我慢することにした。


  先頭は、ジェーン、中堅にジルちゃんで後衛は僕だ。今日は、地下4階層の廃墟エリアから行く事にする。このエリアは、ケルベロスが階層ボスだが、ボス以外でもトロールとかオーガなど、B~Cランクの魔物が数多く出現する。威力のある攻撃で短時間に殲滅しないと、次の魔物が出現してしまう。最初は、オーガだ。此方に向かって走って来る。ジルちゃんがロックウオールで突進を阻止する。ジェーンさんが、瞬動でオーガの脚の下に潜り込み、『トリトーン』をオーガの下腹部に差し込む。差し込むと同時に、オーガは、背中から業火を噴出させて焼け死んだ。『瞬動』も凄いけど、『トリトーン』の業火が凄い。しかも柄に魔火石を嵌め込んでいるので、剣のスキルに魔法の火属性が加重されている。なるほど、それならあの常識外れの威力も分かると言うものだ。トロールが群れで襲ってきた。ジルちゃんがライティングで、相手の目を瞑す。後は、ジェーンさんの一人舞台だ。次々と「トリトーン」の餌食になって行く。最後のケルベロスは、犬ころの様に『キャイーン』と一鳴きしてから、死んで行った。背中に業火の射出孔が大きく開いてしまった。これでは売り物にならない。ドロップ品は、ミスリルの小手左だった。とっても嫌な気がした。


  この日、僕達は5階層まで潜って行った。5階層は、森林エリアだったが、巨大な猿の魔物が階層ボスだった。単なる猿なら、直ぐに殲滅できるのだが、このクラスになると、大きさも半端ない。全長30mはありそうだ。キング・ゴリラだ。胸をドラミングして脅かしている。本当は、臆病な生き物であった。ビラがいればテイムするのだが、今回は、討伐することにした。ジルちゃんが、光魔法で敵の目を瞑す。次に、ゴリラのアキレス腱をジェーンさんが切り離す。『瞬動』で近づき、『瞬動』で離れる。まさしく『ヒット・アンド・ラン』の攻撃である。堪らず倒れ込むゴリラ。ジェーンのサンダーストリームで気を失わせ、そのまま胸の上にのって、『トリトーン』を突き刺した。これで闘いは終わりだった。ドロップ品は、やはりミスリルの小手左だった。畜生。





-------------------------------------------------------------

(6月10日です。)

  コルトン市の行政長官補であるクオンさんがゲートを通じてタイタン市の行政庁に駆け込んできた。どこから来たのか、ゴロツキドもがコルトン市に集まってきたのである。そして今日、鎮圧しようとした衛士隊20名が、彼等に惨殺された。彼等が市庁舎に雪崩れ込んできたので、クオンさんは、サンダーボルトで撃退したが、庁舎を囲まれてしまったらしい。クオンさんは、直ぐにゲートを使って『転移』してきたらしい。早く、戻らないと、市の職員達が危ないから、早く戻らなければならない。行政庁に在所していたシェルに、それだけを告げると、また、ゲートを使って戻っていった。


  タイタン市から直接コルトン市に行くことはできない。クオンさんは、一旦、公開ゲートでニュー・タイタン市に行き、その後、行政長官補の執務室のゲートから自分の執務室に行かなければならない。この事を知っているのは、自分達だけだ。コルトン市には、ニュー・タイタン市の行政長官補クスシさんと一緒に戻った。二人とも、装備を整えて、市役所の事務室に出ていく。ゴロツキどもは、クオンの雷撃を警戒して入ってこない。二人は、市役所の外に出ていく。500人以上はいるゴロツキどもは、ショートソードを構え、完全装備の二人を見てギョッとしていたが、相手がたった二人の女と分かって、勢いを取り戻した。


  「お前達、このままで帰れると思ってるの?全員、武器を捨てなさい。」


  クスシさんが大きな声で威嚇するが、声が震えている。2対500の戦いなどしたことがない。ゴロツキの代表みたいな男が、馬鹿にしたような態度で、


  「捨てなければ、どうするんだい。魔法一発で、俺ら全員をやっつけられるのかい。」


  彼等は、魔法使いの弱点を知っている。普通の魔法使いは、対人魔法は1人にしか掛けられない。クスシさん達は、少しは広範囲だが、せいぜい10人位が限界だ。しかも、それほどの広い魔法では、連続攻撃ができなくなってしまう。魔力のチャージを待たなくてはならない。1人では、絶対に敵わない。しかし、今は二人だ。交代で掛ければ、連続のように掛けられるはずだ。クスシさんがファイアーボールを敵の真ん中に落とす。半径5m位の中にいる男達4人を火だるまにする。続いてクオンさんが、サンダーボルトで先頭の3人を倒す。彼等は、魔法攻撃を警戒して密集しないでいた。


  二人の攻撃を見て、これ以上の攻撃は無いと見た奴等が襲いかかる。無詠唱でも、若干のタイムロスがある。ゴロツキどもが、目前に迫ってしまった。この位置では、ファイアーボールは打てない。二人は、後ろに下がりながら、クスシさんが小さなファイアーを連発する。しかし、彼らの前進を止める程度の威力しかない。その隙にクオンさんのサンダーボルトが撃たれた。今度は、6人程度に直撃した。しかし、それまでだった。もう攻撃はできなかった。雷撃により倒れた奴等を乗り越えてゴロツキどもが迫ってきた。1人のロングソードが、クスシさんの肩に食い込んだ。クスシさんは余りの痛さに意識を失いそうになる。


  クオンさんが、彼等に捕まった。そのまま抱えられて、どこかに連れていかれそうになる。クオンさんは、必死にスカートの裾を押さえている。その時だった。クオンさんの周りのゴロツキども10人ほどがバタバタと倒れた。続いて、クスシさんを取り囲んでいたゴロツキ10人が倒れた。ゴロツキどもは、一体何が起きたのか分からなかった。また、10人が倒れた。ゴロツキどもは、漸く何が起こっているか分かったようだ。市役所の前に立っている美少女だ。白い弓を構えている。矢はない。しかし、次々と矢が飛んでくる。しかも、1度に10本だ。ゴロツキどもは、一斉に下がって、建物や馬車の陰に隠れた。クオンさんが、倒れているクスシさんに駆け寄る。傷は深そうだ。出血が止まらない。クオンさんは、クスシさんを引きずりながら、市役所の方に向かう。大きな声で叫んだ。


  「誰か、助けて。こっちに来て。」


  市役所の男性職員が何人か駆け寄ってくる。クスシさんを抱えて市役所内に運び込む。シェルは、自分も市役所に戻ってクスシさんを『治癒』したいが、ゴロツキどもを威嚇し続けなければならない。クオンさんは、ヒールが使えない。慌てて来たので、ポーションを持って来ていない。このままでは、クスシさんが危ない。


  『ゴロタ君、早く来て。』


  シェルは、涙が溢れてきた。でも、泣いているのが分かったら、奴等は襲いかかってくるかも知れない。目が涙で雲ったって、狙いを外す訳ないが、面倒になることは間違いない。その時だった。市役所の中から、クオンさんの叫び声が聞こえた。


  「クスシさん、死んじゃダメ!」


  嫌な予感がした。間に合わないかも。その時だった。ゴロツキが隠れていた馬車が、火球に包まれた。一瞬で灰になる。


    『来た!』


  シェルは、確認もせずに市役所の中に飛び込んだ。ソファの上に、クスシさんが横たわっている。クオンさんが、抱きついて泣いている。シェルは、クオンさんを押し退け、クスシさんの肩の傷口に手を当てた。気を込めて、クスシさんに流し込む。みるみる傷口が塞がっていく。でも息をしていない。シェルは、クスシさんをソファから下ろして、床に横たえる。心臓に耳を当てる。音がしない。シェルは、心臓の上に両手を当てて、リズムよく押す。以前、イフちゃんがゴロタ君にやっていたのを真似してみる。


  『いち、にい、いち、にい。』


  何回か繰り返してから、クスシさんの鼻を押さえて、口に息を吹き込む。それから、また胸を押す。その繰り返しだ。もう泣いてなんかいられない。少しだけだが、クスシさんの頬に赤みがさしてくる。でも、まだ心臓の音がしない。シェルは、ゴロタ君が来るまで続けているつもりだった。誰かがシェルの肩を掴んだ。振り返るとゴロタ君だった。


  僕は、左手をクスシさんの左胸の上に当てた。手が青白く光り、突然、『バチン!』という音が聞こえた。電撃だ。クスシさんの身体が、のけぞった。すぐ、僕はクスシさんの胸に耳を当てた。続いて、手を鼻にあてて様子を見ていた。シェルの方を見て、ニコリと笑った。


  「帰って来たみたいだ。」

いくらロクデナシでも、生きたまま灰になるのはたまりません。あ、灰も残らなかったようです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ