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第235話 クズレオ市の悲しみ

ゴロタは、女の子を救います。でも、幼子の貞操は散らされてしまっていました。

(まだ5月3日です。)

  僕は、女の子の足を縛っている紐を解くと、全身にヒールを掛けた。出血は止まったが、気を失ったままだ。猿轡を外し、そっと抱え上げた。軽い。年齢は、8歳位だろうか。部屋を見回すと、この子の服らしいものが、部屋の片隅に纏められている。その服も持って、隣の部屋に行ってみる。元いた部屋のベッドは、女の子の出血で汚れていたので、他のベッドを探したのだ。その部屋にはベッドは無かった。幾つかの部屋を探して漸くベッドのある部屋に行った。


  洗濯石で、全身を綺麗にした。所々に、何かの液体が付いていて気持ち悪かったが、我慢をした。女の子に服を着せてから、『スリープ』を掛けて直ぐには起きないようにした。クズレオの所に戻り、クズレオの前に立った。クズレオは、あらゆる物を垂れ流しながら這いずり回っていた。


  崩れは、僕を見て呻いた。


  『お前は、誰だ。』


  喋ることは出来ないが、思念は読み取れる。


  「お前?僕は新しい領主様だぞ。お前呼ばわりは不敬すぎるぞ。」


  僕は、肩まで腕を灰にしてやった。直ぐに傷口にヒールを掛ける。


  「お前は、人間としてやってはいけない事をした。罰を受けて貰う。」


  今度は、太腿まで灰になった。直ぐにヒールを掛ける。クズレオは、泣きながら、懇願した。合わせる手はもう無いが。


  『お願いだ。何でもやる。命だけは助けてくれ。』


  「お前に残されているのは、命だけだが。名誉も財産も無いぞ。ブリンク以下、全員死んだ。」


  クズレオは、絶望の淵に立たされた。逃げようと思った。誰か助けを呼ぼう。大きな声で、手下を呼ぼうとしたが、舌を引き千切られていて言葉にすることは出来なかった。


  僕は、クズレオの髪を掴むと、ダルマのような身体を持ち上げる。そのまま外に出ようと思ったが、こいつのベッドも持っていく事にした。


  クズレオ市の真ん中の中央広場にコイツを転がす。這うこともできなくなったコイツを晒し者にしている。市民が、遠くから見ている。怖くて近づけないのだ。


  僕が、女の子を連れに屋敷に戻ったら、広場から大きなどよめきが聞こえた。きっと、クズレオは撲殺されるだろう。仕方が無い。眠ったままの女の子を抱いて、広場に出ると、クズレオの残骸があった。夥しい血が流れている。


  1人の女性が僕に駆け寄ってきた。自分の娘だという。女の子を渡してあげた。母親が、しっかり抱いているのを確認して『スリープ』を解除した。女の子は、ゆっくりと目を覚ました。母親に抱かれている事に吃驚していた。女の子は、傷一つない綺麗な身体だ。勿論、大切なところだって傷一つない。今回の地獄のような体験も、時が経てば夢だったと思えるかもしれない。いや、思って貰いたい。母親は、僕に礼を言いながら帰って行った。僕は、クズレオの屋敷にシールドを掛けた。もう、誰も入れない。


  次は、ゴロツキのアジトと衛士隊本部を潰す事にした。まずは、市長で衛士隊で徴税官長官でゴロツキのボスのゲスヤロを始末しに行く。最初に市役所に行く。いなかった。いるのは、市長代行という役人だった。ゲスヤロは、殆ど市役所には興味がないらしい。興味があるのは金だけのようだ。


  代行の案内で、衛士隊に行ってみる。たちの悪い顔立ちの衛士達が、僕を見て後ずさる。広場の状況を見ていたのだろう。取り敢えず、指鉄砲で、全員の両膝を撃ち抜く。衛士隊本部の中に入っていく。代行が、こわごわ後ろから付いてくる。中には、60〜70人位の衛士達が剣を抜いている。屋内でロングソードを抜いても、あまり振り回せないのに、そんな事など考えもしない馬鹿衛士どもだ。前から順番に、肺の中で小さな火を燃やした。本当に小さな火だ。拳の大きさしかない。しかし、温度は3000度位ある熱い火球だ。一度に10人位ずつ、火球を生じさせていく。1分も掛からず、全員が口と鼻から煙を出している。肉の焼ける匂いもする。代行が、後ろでリバースしていた。


  1階には誰もいなくなった。2階に人の気配がする。30人位か。2階に上がって、今度は、衛士達の肺の中を凍らせる。マイナス273度だ。一瞬で、心臓が活動を停止する。胸を掻き毟りながら絶命していく。


  ボスはいなかった。あ、屋上に3人いる。きっとボスだ。後の2人は、人質だろう。小さな女の子の気配だ。屋上に上がっていく。いた。ボスのゲスヤロがナイフを女の子の首に当てている。


  「来るな。近づくと、コイツらがどうなるか知らないぞ。」


  うん、知らなくて良い。もうすぐ死ぬんだから。暇だったので、一応聞いてみる。


  「助かりたいか?」


  「あ、当たり前だ。」


  「幾ら払う。」


  「は?助けてくれるのか?金貨5枚を払うから助けてくれ。」


  だめだ。話にならない。ゆっくり近づいて、ナイフを取り上げた。ゲスヤロは、じっとしている。動けないのだ。『威嚇』を弱くかけておいた。強くかけると、気を失ってしまうので、逆にナイフが女の子を傷つけて危ない。女の子達を解放する。後ろで、代行が保護してくれた。ゲスヤロを、そのまま、宙に持ち上げる。ヒョイと投げ捨てるように、念動を動かす。ゲスヤロは、放物線を描いて広場に落ちた。手足が変な方向に曲がっている。後の措置は、市民に任せた。


  次はゴロツキどもだ。ゴロツキの事務所は、血塗られても構わないが、後で金目のものを探すときに厄介だから、綺麗に殲滅する予定だ。


  事務所は、少し離れた所にあった。衛士隊と一緒にゴロツキどもが固まっていた。コイツらは、本当に馬鹿だと思う。


  爆裂系で殲滅したいが、我慢して、超ミニボンブを頭蓋骨内で爆発させる。頭蓋骨の中で、脳がおかゆのようになってしまう。音もしない。面倒だが、これなら血は出ない。あ、ダメだ。鼻から溶けた脳漿が垂れてきている。全員の脳内をグチャグチャにするのに10分位掛かってしまった。それから事務所に入って行った。若い衆が2〜3人ほどいたが、泡を食って逃げて行った。後ろから指鉄砲で膝を撃ち抜いてやった。足がちぎれかかっているが放っておく。


  もう、誰も居ない。取り敢えず、徴税官と衛士隊をタイタン市から呼ばなければならない。後ろにいた代行は、ズボンを濡らしている。胸元は、自分のリバースしたものだらけだ。それでも、時たまリバースしようとしている。


  事務所にもシールドをかけた。立ち入り禁止だ。衛士隊は、50人も呼べば良いだろう。徴税官も5人位か。ゲートをタイタン市に繋いで、必要な人員を呼び寄せた。これ以上はタイタン市の事務があるので呼べないだろう。


  市役所に戻った。職員を集めて、訓示することになってしまった。恥ずかしいが、しょうがない。


  「えーと、僕はゴロタです。新しい領主です。市長は、死にました。新しい市長は、代行さんになって貰います。」


  訓示が終わった。皆、キョトンとしていた。小学生だって、もう少し上手く話せる。拍手が、まばらに聞こえてきた。僕は、なんとなく悲しくなってきた。一生懸命に話したのに、言いたいことが伝わらない。じんわりと涙が出てきた。それを見た職員達が、可哀想に思って、ちゃんと拍手をしてくれた。後日、このエピソードが芝居になった。一生懸命、市民のために頑張ったのに報われない悲劇だった。題名が、


    『クズレオ市の悲しみ』


  と付いたそうだ。僕は、その題名を聴いてもっと悲しくなってしまった。


  今日は、クズレオ市に泊まることにした。クズレオの屋敷に泊まるのは嫌だったので、一番上等なホテルの最上階、スイートに泊まった。領主は、泊まる部屋が決められていて、それ以外に泊まってはならないそうだ。ホテルでは、代行と一緒に夕食を取った。もう代行では無い。市長だ。名前をケインと言った。


  ケイン市長と、新しい市名について相談する。僕に考えはない。ケイン市長が、『パーセント市』を提案してきた。以前のこの街の呼称だそうだ。異論はないので、それにした。


  夕食後、お客さんが来た。昼間の母親だ。改めてお礼に来たと言う。嫌な予感がした。お礼に来たのに、たった1人だ。超ミニスカで、胸が大きく開いているシャツを着ている。胸のポッチが飛び出ている。


  しかし、折角訪ねて来たのに追い返す訳にも行かない。ケイン市長は気を聞かせて先に帰ってしまった。部屋に入れると、突然抱きついて来た。僕の顔をしっかり掴んでキスをしてきたのだ。キスくらいなら良いかと思ったら、舌を入れてきた。ここまでだ。僕は、母親を抱き上げて、持ち上げ、そのまま廊下に出た。そっと降ろしてから、1人で部屋に戻り、鍵を掛けた。


  明日から、必ずシェルか誰かと一緒に居ようと思った僕だった。これから南の全ての町や村を回るつもりだ。悪代官や衛士は懲らしめなければならない。でもそのたびごとにこんなことがあっては、シェルの前で正座10時間では済まなくなってしまう。次の日、市内にはこんなに多くの子供達がいたのかと思うほど子供達がいた。皆、太陽の下で元気一杯だ。これなら心配ない。あの母親も娘と一緒に歩いている。目を合わせないようにしよう。クズレオの領内は2町4村だった。全て回るのに3日掛かってしまった。


  それから、コルトン市に向かった。シェル達が待っている。北の村々は危機を脱していた。大量の食料と人手があったおかげだ。市の職員や、融資の人たちが手分けをして食料を運んだそうだ。5月末に市長・町長・村長会議をやることにした。場所は、ニュー・タイタン市の市役所だ。


  久しぶりにシェルと一緒になった時、ふと、あの母親のことを思い出してしまった。シェルはジト目で僕を見ている。僕はドキドキしてしまった、その日の夜、正座させられ、全てを白状させられてしまった。


  次の日、シェルと2人で、リザードマンの村、カフェ村に行くことにした。カフェ村は、いつもと変わらない村だった。僕を見ても、以前、水竜を討伐した僕とは気づかなかったようだ。村の長に、今度、領主になったことを知らせておいた。この村に、領主が来たのは、久しぶりらしい。本当なら、年に1回、王都に行って新年の挨拶をしなければならないので必ず渡しを使うはずなのに、ブリンクはずっとサボっていたみたいだ。


  カフェ村では川の渡河料の4割を、税として支払っているらしい。僕は、当面の税を免除すると言ったら、吃驚していた。交通インフラに課税するということは、物流が停滞するのに、何を考えていたんだろう。村長には申し訳ないが、その内、谷の上に橋をかける予定だ。それまで、一生懸命稼いでもらいたい。橋ができてしまうと、この村の現金収入はなくなってしまう。でも、水竜の皮は貴重品で良い金になる。水竜漁で生計を立てていくだろう。

ゴロタにとって、女の子の純潔ってあまり興味がないようですが、そのために女の子が不幸になることは許せないようです。

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