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第227話 レミイさんは謎の女性でした。

 フランちゃんのお付きのレミイさん、あまり話題に上ってきません。年齢も良く分かりませんでした。

(2月14日です。)

  僕にとって、年に2回の苦痛の日のうち、最悪の日がやって来た。『チョコの日』だ。今年は、先行予約と年間予約の2本立てだ。


  先行予約は、昨年暮れの12月24日に予約に外れた人限定の予約だ。12月24日の予約に漏れた女の子が、次回、2月14日に向けて予約するのだが、予約券は銀貨1枚のチョコ購入権だ。いくら何でも、チョコ程度に銀貨1枚は高いと思うが、この日は、愛の告白の日、特別に僕との甘いキスが出来る権利だ。但し、舌を入れるのは厳禁で、ルール違反は、即退場らしい。シェルさん、それでいいんですか?やはり、クレスタと二人で計画したらしい。


  次に、年間予約だ。これは、今日の2月14日と、12月24日の聖夜の日のケーキ購入権が付いている。銀貨4枚だが、特典として、『僕のキスしても良い権』と、12月24日の『抱きついても良い権』の2つの権利が付いている。しかもキスしても良い権は、舌を入れても『見て見ぬふり権』が1回ついている。訳が分からない。いつも舌をいれられるので、今回は、それを売ろうと言う趣旨らしい。ただし、限定100名様だそうだ。


  一般のチョコ購入権は、大銅貨3枚で、握手券付きだ。これは3000枚売ったそうだ。今日は、家に帰れそうにありません。先行予約券200名と年間予約券100名所持者は、『クレスタの想い出』の中で、僕と二人っきりで行う。いくつかの注意があって、パンツの脱ぐのは禁止、僕の下半身を触るのは禁止などであった。しかし、敵も考えて来る。


  今回は、皆ブラジャーをしていない。先のポッチを押し付けながら濃厚なキスをするのだ。僕は、キスだけでもボーッとしてしまうのに、オッパイの感触で、もう気を失いそうになってしまう。化粧と、チョコと女性の特有の匂いで、カーテンに仕切られた部屋の中は物凄い事になっている。300人が終わってから、手を丹念に洗って握手会だ。今日は、衛士隊の他に騎士団の人達も応援して貰っている。いよいよスタートだ。タイタン市の中央広場には、3000人の女の子の渦が出来ている。あ、もうパンツを脱ぎ始めている子がいる。駄目だ、この子、キスをしてきた。最初から舌を出している。え、この子、スカートをめくり上げている。一体、何をしたいのですか?もう修羅場だった。女の子達が、列を乱して殺到してくる。このままでは、ケガ人が出てしまう。僕は、思わず飛び上がってしまった。衛士隊と騎士団の人達が汗だくになって、整理をしている。


  クレスタさん、もう、こんな事はやめませんか?クレスタのいう事には、これは金もうけではない。平素のご愛顧に対する感謝の気持ちだそうだ。シェルさんも同意の上の行政サービスだそうだ。ああ、まだまだ続くのかと思う僕であった。ちなみに、『もう中止する。』と言う脅し文句に冷静さを取り戻した女性達が秩序正しく握手してくれたので、午後7時にはすべて終わった。終わった後には、ぐっしょり濡れたパンツと、何に使ったかすぐわかる変な道具が散乱していた。





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(2月18日です。)

  今日、タイタン領司法庁の庁舎が出来上がった。衛士隊本部の隣だ。今までは、行政庁司法部だったが、『庁』に格上げだ。王都の大学を出た上級職員を採用したところ、応募が殺到した。大学で法律を勉強しても、貴族出身でもない限りその知識を生かす職業があまりないようだ。司法庁の仕事は、多岐にわたる。一番大切なことは治安維持である。衛士隊を直轄部隊として、領内全域に法と秩序の維持を図らなくてはならない。


  それと、犯罪者の処罰だ。裁判を受けさせるとともに、司法長官が認定した弁護人を付けさせなければならない。そのための試験をしなければならないが、これは非常に専門的知識を要するので、王立法務学院の教授にお願いしている。あと、権利関係の法執行だ。土地の使用権や、建物の登記、使用者それに夫婦、親子関係の届け出もある。行政庁と役割分担をしなければならないが、結構、争いがあるようだ。それと損害賠償等の訴訟事務もある。


  裁判は、判事が行うが、王都の司法庁を退官した人などの中から専任する。刑事裁判、民事裁判それに徴税の異議申し立てなどを受ける行政裁判だ。判事適任者は、法律知識のみならず良好な社会常識を持たなければいけないので、選考が難しいらしい。


  司法庁は、児童を守る施設の監督官庁もしなければならない。法律違反ではないが、市民の不満の相談窓口もある。内容によっては、裁判や話し合いをさせるのだ。契約関係の争いもあるし、絶対、早く司法庁を開設しなければならない。


  ジルのお父さん、ウオッカさんは2月1日に男爵に陞爵している。3月1日に来て貰うように、国王陛下にお願いしにいった。エクレア領の騒動を聞いていた国王陛下は、直ぐに許可をくれたんだけど、あれから、領内にはゴロツキがいなくなったらしい。やはり法と正義により強い執行機関が必要な事は、国王陛下も十分に理解してくれていた。


  国王陛下との謁見が終わって帰ろうとしたら、ジェンキン宰相に呼ばれた。特に用は無かったはずだが、僕はいやな予感がした。聞くと、淡々領と王都との間にあるブリンク伯爵領が困ったことになっているらしい。ブリンク伯爵というと、あの幼女趣味の狒狒親父だ。僕を誘拐して変な事をしようとした奴だ。うん、あいつが領主なら領民は困っているだろう。ジェンキン宰相は、早い段階で、ブリンク伯爵を爵位剥奪して、領地を没収したいらしい。今、そのための証拠集めをしているが、なかなか上手くいかないらしいのだ。それに、抵抗された場合、王都との間のグレート・グレーテル大峡谷が邪魔をして、国王軍の派遣が迅速にできないのも問題だ。争いが長引けば、内乱になりかねない。なんとか力を貸して貰えないかというのだ。解決の時期を聞くと、次の収穫までに何とかしないと、領民が飢え死にしてしまうかも知れないと言ってきた。次の収穫と言うと9月だ。それまでに、ブリンク領を安定させるのは至難の技だと思う。ジェンキン宰相に、優秀な官吏を100名程借りられないかと申しこんでおく。最初、100名は無理と言っていたが、交渉のすえ、70名を1年間、貸してくれることになった。それで3月から早速来てもらう事にした。あと、法務大学の本年度卒業生のうち、30名をタイタン領官吏として採用する許可も得ることができた。法務大学も、公費助成で法律の専門家を育成しているので、地方領主が採用試験をするのが難しいのだ。毎年、30名を採用すれば、10年後には300名、20年後には600名の優秀な職員が各省庁で働いて貰えるのだ。これで、将来的な懸念は無くなった。


  ジェンキン宰相が集めているブリンク伯爵の不正、悪行の資料を預かって、今後は僕の方で調査するので、王国の調査員は手を引くようにお願いした。調査がダブって気付かれては何にもならない。ブリンク伯爵領は、エクレア領よりも広大だ。子爵領が1つに男爵領が2つある。そういえば、エクレア領にも男爵領が1つあったはずだが、どうなったのだろう。


  ジェンキン宰相に聞いたら、30年前に後継者が途絶えて、いまは空位のままだという。所領は、あのボラード市から南全域だったそうだ。きちんとした男爵だったので、後継者を探したが、なかなか見つからずに現在に至っているそうだ。その間、エクレア辺境伯とボラード市長にあの地域の施政を任せていたそうだ。


  僕は、タイタン市にもどってから、早速イチローさん達に、ブリンク伯爵領の内偵をお願いした。今度は、領地の移譲ではない。簒奪だ。場合によっては全面戦争になる可能性もある。そのためにも、他の貴族や配下の貴族から異論が出ないように正当な理由を作らなければならない。そのための証拠集めだ。


  まあ、あの伯爵の事だ。ボロボロ出て来るはずだ。ついでに、配下の子爵1人と男爵2人の素行や領地の経営についても調べてもらうようお願いした。ジェンキン宰相は9月までと言っていたが、領民の苦労を考えると、なるべく早く行動を起こすつもりだ。







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(3月1日です。)

  今日は、司法庁の開庁日だ。長官は、ウオッカ男爵、ジルの父親だ。法律の専門家で、長く王国行政庁司法部で勤務していた。法律の素人である僕にとって、領内経営にはなくてはならない人材だ。職員も、今年春、卒業予定者以外は、みな厳しい選抜試験を通過したものと、ジェンキン宰相から派遣して貰た高級官吏たちだ。衛士隊は、司法庁の管理下にあるが、一応独立した機関だ。しかし、衛士隊の年間予算作成や施設管理は司法庁の職員がすることになっている。


  あと、裁判所及び刑務所も司法庁の管轄で、業務は本当に広範囲にわたっている。衛士隊は、エクレア市の衛士隊と定期的な人事交流をしている。お互いの勤務場所を通じて、自分達の問題点を把握し、より市民に寄り添った司法行政の執行隊になって貰うためだ。


  ボラード市の施政は、うまく行っているみたいだ。ケント市長代行に、お父さんの事を聞くと、殺されるまで30年近く市に勤めていたらしい。当時は男爵領だったので、行政長官をしていたそうだ。男爵がいなくなってから市長になったので、市長は10年位しか経験していないそうだ。その男爵の事を聞いたら、古い話なので、誰も覚えていないが、文献が残っているので調べてくれた。


  男爵は、マルタン男爵と言うそうだ。ブリューゲル・マルタンという名前で、息子さんが一人いたそうだ。30年前、新婚旅行で、南の大陸に行ったのだが、行方不明になってしまった。きっと海で遭難したのかも知れない。たった一人の息子さんだったので、悲嘆にくれた男爵閣下は思い精神障害を患い、あっという間に亡くなってしまったそうだ。今、息子さんが生きていれば50歳位だが、もう死んだのだろう。男爵家の財産は、今も市で保存しており、市長公邸も男爵の屋敷だったのを、ガトリングが勝手に市長公邸にし、それまでの市長公邸はあのゴロツキどものボスに使わせていたそうだ。どおりでデカかったわけだ。


  この日の夜は、レミイさんが夜の当番だ。当番といっても、妻以外の婚約者とは、深い関係にはならないようにしている。そういえば、レミイさんともあまり口をきいたことは無い。レミイさんは、形式的に僕とお休みの軽いキスをしたら、そのまま眠ってしまった。たしか、ゼロス教の高位神官は結婚が禁止されていたはずだ。しかし、行為そのものは奨励すると言う男にとっては美味しい宗教だ。レミイさん、あなたはもしかして高位神官なのですか?レミイさんは、年齢不詳の女性だ。年配にも見えるし、少女のようにも見える。髪の毛は、栗色で、ストレートのロングヘア、まあシスターにはよくある髪型だ。身長は165センチ位で、目鼻立ちのハッキリした、いわゆる北方大陸系の顔だ。胸は結構大きいが、太っているわけではない。フミさんとは違い、あのことに関しては興味がない感じがする。うん、謎の女性だ。明日、ギルドに連れて行って、冒険者登録をしてみよう。そう思ったら、直ぐに眠ってしまった僕だった。

レミイさんの素性が分かりそうですが、レミイさんは、覚えていないようです。

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