第218話 南の別荘地の名前はニース・タウンです。
いよいよ別荘地が出来上がりました。
(10月3日です。)
今日は、学校が休みだったのでジルちゃんと一緒にハッシュ町に行って、冒険者ギルドに冒険者登録に行く事にした。ギルドに行ってみると冒険者であふれかえっていた。北のシェル・ダンジョンと南のダンジョン、まだまだ枯れておらず手早く金が稼げるという事で、各国からも集まって来ているようだ。僕達は混雑しているギルドの中を能力測定機の前まで行き、ジルちゃんの能力を測定してみる。
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【ユニーク情報】
名前:ジルベリナ・ウオッカ
種族:人間
生年月日:王国歴2010年6月6日(15歳)
性別:女
父の種族:人間族
母の種族:人間族
職業:貴族 中学生 冒険者ランク なし
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【能力】
レベル 4
体力 30
魔力 40
スキル 15
攻撃力 10
防御力 30
俊敏性 40
魔法適性 火 土 光
固有スキル
なし
習得魔術 なし
習得武技 なし
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うん、まったく普通の女の子のような能力だ。ただ、魔法適性が3種類とは、凄いことなのだが、その割には魔力が少ない。習得魔術もないし、将来の能力の伸びが予想できない。でも、まあ冒険者登録はできるだろう。ヘレナさんにお願いして、冒険者登録をして貰った。当然『F』ランクだ。ジルちゃんが、ギルドに併設されている『ラビット亭』をチラチラ見ている。子供が見るものではないので、あわてて、ギルドを出ることにした。
南の温泉ホテルの工事を見に行く。もう、建物の外側は出来上がっていた。煉瓦作りの3階建てだ。今は、内装と外周そして庭園を工事中だ。完成は12月の予定だ。裏手の従業員宿舎と、隣地の僕の別荘は、既に完成している。後は、家具をいれるだけだ。
従業員宿舎と僕の別荘は、木造2階建てで、真っ白な塗り壁と赤い瓦のコントラストが綺麗だ。ドアは、上が丸くなっており、窓枠と一緒に緑色に塗られている。南の海の斜面に建てられていた建物のイメージで作らせたものだ。確か、プロバ⚫スとか言う地方だった。別荘地に建てる建物は、バンブー建設により、全てこの様式で建てることが義務付けられている。馬小屋や倉庫も、勝手に作ってはいけないし、壁の塗り替えも勝手には出来ないのだ。
それから、赤や黄色の看板も禁止だ。一般旅館の入り口の看板も青銅のエッチングによるものに統一した。
フレデリック殿下の別荘と、国王陛下の別荘は、煉瓦作り2階建てで統一している。森の一部を残して、通りからは見通せないようになっている。
北からのメインストリート沿いの商店も、ほぼ出来上がっている。やはり、商店もプロバン⚫風に統一している。この外壁のため、高価な珊瑚砂を大量に使っているが、それは仕方がない。ゲートを使って、現地から搬送してきたのだ。
表通りには、レストランやおみやげ物やさん、スイーツ販売店を並べ、生活用品や食料品は裏通りに配置した。
衛士詰所や診療所などの公共施設も表通りに造った。後、北側の森は、木々を間引いて、遊歩道を通る予定だ。一緒に作ろうとしたら、人手が足りないので、来年にしてくれと言われてしまったのだ。
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(11月1日です。)
今日は、エーデルの誕生日だったが、南の森の温泉と別荘地の入居開始日だ。本当は、僕の温泉観光ホテルの開業日と合わせて、12月1日にしようとしたが、旅館業者や店舗業者から早く入居したいとの要望が強く、仕方がなく今日にした。町の入り口に、大理石で大きな門を作り、町名を刻んだ。町の名前は、『ニース・タウン』とした。
驚いた事に、別荘の住人は、全員が来町していたし、一般旅館も満員で、店舗も全てオープンしていた。旅館が12軒、店舗が30店以上あるが、オーナーや従業員は、この町に住むので、現在の居住人員は、3000人程度だ。しかし、これから、観光客相手の業者も増えるだろうし、別荘地の第二次募集も始めるので、最終的には1万人以上の居住人員にするつもりだ。
この日の夜は、新しく出来たレストランで、エーデルの誕生日パーティーだ。海はないが、王都から取り寄せた新鮮な魚介をふんだんに使った料理だ。パスタやピザなどは食べきれない程の量だった。
誕生日ケーキは、クレスタが焼いたものに、エーデルの蝋人形を飾り付けで載せていたが、殆ど瓜二つだった。土魔法で造ったらしいが、これだけで商売できるレベルだ。シェルやエーデルの蝋人形を売り出したら、銀貨1枚以上で売れるだろう。後、希望により、本人や家族のものを作っても良い。でも、その商売よりも、クレスタはケーキ屋をしたいそうだ。シェルと相談して、すでに店舗はできているそうだ。従業員は、いない。白薔薇会のうちから、1人手伝ってもらうだけの小さな店だ。後は、いつ開店するかを決めるだけだそうだ。
今日は、エーデルと二人で、出来たばかりの別荘に泊まる。使用人はいない。別荘の管理組合に頼んで、定期的に掃除をして貰うだけだ。
二人で別荘に入ろうとすると、お姫様抱っこをしたまま入ってくれと言われた。何でそんなことをするのか分からなかったが、新婚で新居に入るときは、そうするものよと言われた。あのう、僕達、もう新婚じゃないはずなんですが。
別荘は、1階が大きなリビングと寝室が3つ、2階が寝室6つの小さなものだった。僕の部屋は、東南の角部屋だった。その部屋だけ、大きなキングサイズのベッドで、他の部屋は全てツインにした。僕以外に最大限18人が泊まれるようにしたのだ。リビングで、お茶を飲みながら、誕生日プレゼントを渡す。大きなダイヤのブローチだ。この前エーデルが拾ったダイヤの原石をカットしたものだ。ティファサンでは、売れば大金貨2枚はするといっていたが、エーデルが拾った物の内の1個だ。惜しくはなかった。
※※※※※※※(大人の事情で省略しました。)
翌朝、旅館街を散歩した。あのドエス商会が運営する娼館もあったが、他の旅館と外観は変わらなかった。中を除くと、玄関の奥に飾り窓があった。入り口には、屈強そうな男が、執事服を窮屈そうに着て立っていたが、店内には女性は居なかった。今は、お客さんと寝ているか、一人で寝ている時間なんだろう。この店は、完全予約制で王都とタイタン市に予約する小さな店があるそうだ。
予約の入っていない子は、ニース・タウン内の他の旅館の宿泊客のお酌相手に派遣している。1時間で銀貨1枚半を貰うことになっている。そのうち、3割を派遣された旅館に納めるそうだ。当然、お色気サービスはあるが、本番はしない。
我慢できなくなった客は、1時間の派遣代と施設利用料それとサービス料を支払って、ドエス商会の旅館に行くのだ。ハッシュ村の娼館よりも倍近い費用がかかるが、結構その売り上げも多いようだ。
一般旅館も、謝礼金が入るので、コンパニオンがお客さんを外に連れ出すのは黙認しているようだ。もちろん、僕が経営する温泉観光ホテルは、バンケット以外のコンパニオン派遣を受け入れていない。家族連れ専門の健全旅館も、コンパニオン派遣を受け入れていないが、それでも十分に利益が取れているようだ。
朝食は、エーデルと二人で、川が見えるカフェで摂ることにした。もう、川で釣りをしている人がいる。結構釣れているみたいだ。川から水を引き込んで、誰でもが簡単に釣りができる池は、まだ営業開始時間前だ。そこでは、釣った魚をバーベキューにしてくれるので、昨日は長蛇の列だったそうだ。
衛士詰め所に行ったら、当番の衛士6人にダーツ大佐が指示中だった。昨日は迷子3人、酔っぱらいのトラブル1件だったそうだ。
次に、エーデルと一緒に別荘地の方に歩いていった。新築の別荘が、森の中に点在している。住人の好みが出ていて、ベランダを大きくしたり片屋根にしたりと色々だ。珊瑚砂と泥を混ぜた壁の塗り方も色々だ。波模様にしたり直線的に筋を付けたりだ。家の周りに樹木を残して通りから隠すような人もいれば、川の斜面の方に向けて木を切り開き、芝生と花壇で綺麗に手入れしている人もいる。
今日は、少し肌寒いので、ミニ太陽をサービスする。地上3000mの空中に、直径30センチ位だが表面温度は6000度のミニ太陽だ。たちまち、5月の陽気だ。夕方には消滅するはずだ。このミニ太陽は、フライス村からも見えるだろうが、フライス村の気温が高くなるほどではない筈だ。あくまでも僕の推測だが。
実際は、フライス村の気温も3度程度上がったそうだ。
川の向こうに渡る吊り橋を渡ってみる。エーデルは、高いところが平気なようで、吊り橋効果は望めなかった。向こう側にも釣り人が数人いた。釣れている魚をみるとイワナとヤマメだった。エーデルが、川原の石をひっ繰り返している。小さいが綺麗な石を拾っていた。見ると翡翠だった。
小さいので、それほど価値はないだろうが、銀貨1枚はするだろう。これが一般の人にバレたら河原が荒らされる恐れがるので、直ぐに探すのを止めさせた。
しかし、釣り人がこちらをジッと見ていたが、僕達が直ぐに石を拾うのを止めたのを見て、再び釣りを始めた。危なかった。それから僕達は、向こう側の森を探索した。イフちゃんにも飛んでもらうが、熊や猪などの弱い獣くらいで、魔物の影は無かった。
マッキンロウ山脈を貫通する洞窟があれば、カーマン王国と交易が出来るが、いまだに発見されていない。もっと東側の方も探してみようと思う。どうしても無ければ、クレスタと二人で、トンネル工事旅行だ。きっとt、クレスタは喜ぶ筈だ。あの新婚旅行が忘れられないらしい。
お昼に、タイタン市に戻ると、『クレスタの想い出』が凄いことになっていた。行列が出来ているのだ。観光客が『タイタンの月』と『白い愛人たち』を買い求めているのだ。もう、ニース・タウンでは売り切れたらしい。並んでいるのは、王都に帰る前に、お土産を買わなくてはいけない人達だろう。
クレスタが作ろうとしているケーキ屋さんとは別に、お菓子工場をタイタン市郊外に作らなければならないそうだ。1日に、『タイタンの月』1000個と『白い愛人たち』2000個、『タイタン・バナナ2000個を作ることができる工場だ。職人が作れるのは1日に精々200個程度だ。30人近い職人と機材が必要になる。
工場が出来たら、エクレア市でも販売するそうだ。うん、領民から余剰金を巻き上げる気ですね。
王都のゲート検問所の側には、タイタン市の観光案内所が設置されており、ホテル、旅館の予約を一手に請け負っている。予約客の宿泊料金の2%を貰っているが、毎日、タイタン市に行って、予約状況と予約金をホテル、旅館に渡している。タイタン市への往復に銀貨1枚が掛かるが、十分に儲かっているようだ。
バンブー建設のタイタン支店に行って、工事の進捗状況を確認した。僕の温泉観光ホテルは、順調だが、国王陛下の御用邸は遅れぎみだそうだ。理由は、建築途中にジェンキン宰相の手直しが何回かあり、今も手直しをしている最中だそうだ。
まあ、僕とは関係ない話だからスルーした。バンブーさんが、別荘地の二次分譲を急ぎたいと言ってきた。前回の選考に漏れた貴族が、何としても買いたいと色々圧力をかけてきているそうだ。二次分譲地も全て川に面した場所にして100戸分を分譲する。二次分譲は、2割ほど高くした。それでも、当日、完売するだろうと言われている。
あと、エクレア市の行政庁の補修工事をお願いした。完全空調と下水道完備にしてもらうのだ。設計士が、早速見積りに行くと言っていた。それと、治癒院と孤児院も点検してくれるようお願いすることにした。
この別荘地の名前は、完全に実在の別荘地のパクリです。想像力が枯渇しています。




