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第196話 レヴィアターン現る

今日は、久しぶりに戦闘になります。。

(11月25日です。)

  翌日、帝都の帝城において、ヘンデル皇帝陛下に拝謁した。僕は、儀礼上、臣下の礼を取り、ビラはカーテシによる礼をした。


  皇帝陛下は、僕の活躍と息災を祝うと共に、直ぐに用件を行ってきた。僕に魔物討伐を手伝って貰いたいそうだ。最近、帝国の北の海で、SSS級の魔物が出現した。既に第5次討伐隊まで出しているが、ほぼ壊滅状態になって逃げ帰っている。今回、第6次討伐隊を編成しているが、もう、これが最後の部隊だ。これ以上出すと、国内の治安維持と国防に支障が出てしまう。そこで、僕の力を借りたいそうだ。


  既に、グレーテル国王陛下には了解を貰う親書を出しているが、了解を貰うのにワイバーン竜騎士でも2週間以上の往復期間が必要で、もう間に合わない。僕を帝都内で見かけたとの情報を得たので、ぜひ立ち寄って貰いたいとの依頼を出していたのだ。


  僕は、その魔物がどのような魔物かを確認すると、驚きの事実が判明した。魔物は、海神リバイアサンだった。王国では、レヴィアターンと呼ばれている。7つの災厄のうち『嫉妬の神』だ。


  その姿は蛇と竜の間で、硬い鱗に覆われている。リバイアサンが他の魔物と違うところは、その大きさであった。とにかく大きい。その全身を見たものはいないが、頭が波打ち際にあっても、尻尾が遥か彼方に消えてしまう位だそうだ。頭を、水面の上に出し、吐き出す水の威力は、山を削り、谷を埋めると言われている。帝国軍は、そんな敵を相手に、既に7000名もの将兵と魔道士を失っているそうだ。


  しかし、この魔物は伝説上の生き物だったはず。何故、今、現れたのか。やはり、僕の運命と関係あるのだろうか。現在、第6次討伐部隊2000名は、北の海に面した小高い丘の上に部隊を展開している。敵を刺激しないように、注意して監視しているそうだ。もう、北の海は氷結し始めているが、敵は、薄氷を割って頭や尻尾を海面上に出しているそうだ。


  僕は、皇帝陛下の依頼を受けることにした。帝国騎士団長パトロン将軍とと帝国魔道士協会マーキン魔道士長は、前線で指揮しているので、現地で落ち合うようにとのことだった。皇帝陛下の勅許状を貰って、僕達は帝城を辞した。グレート・セントラル市を出てから、飛行服に着替え、ビラと共に、北に向かった。地形等を確認したかったので、ワイバーン程度の速度で飛行した。ビラも飛行には慣れてきたようだ。


  北の海まで2000キロ、馬車でも20日以上かかる距離だ。帝国軍は、一体、何台の馬車を用意したのだろう。しかも、季節は冬、馬の食べる飼料も運ばなければならない。


  僕達は、1時間飛行する度に、一旦、地上に降りた。どんどん雪が深くなってくる。飛行中、シールドを張っているので、冷たい風は完全に防いでいる。しかし、大気そのものが、冷えている。呼吸する空気も当然冷たいのだ。ビラが、寒さで小刻みに震えている。低体温症だ。地上に降りて、ヒールをかけ、手のひらをビラの胸に当てて血液を温めてあげる。それからテントを出して、暖かい室内で、暖かいチョコレートを飲む。南の大陸で取れる砂糖をたっぷり入れたチョコレートだ。


  今日は、行程の半分も進めなかった。日照時間が短くなっている。まだ午後3時半頃だというのに、辺りは薄暗くなっている。聖夜の頃になると、一日中、太陽が昇らない地域もあるそうだ。もう、この辺の村で泊まろうと思ったが、集落の気配がない。眼下は、深い針葉樹の森が広がる。


  地上に降りて、テントを張ろうかと思ったが、木の上から落ちてくる雪や氷が危ないので、雪で小屋を作る。単に、丸く積み上げて、小山のようにし、横穴を掘っただけだ。横穴が崩れないように固めて、中に入る事にした。結構広い作りにして、中にマットを敷いた。


  ライティングの魔法で明るくして、魔火石で室内を暖かくする。ビラが、中で身体を綺麗にしている間に、外で、ユキウサギを焼く。匂いに釣られて、飢えた狼や熊が近づいてくるが、イフちゃんの餌食だ。固形スープをお湯で溶かして、大きな腸詰とキャベツを煮る。後は、有り合わせで夕食にした。2人で食べる野営食は、初めてかも知れない。とても美味しかった。






  翌日の昼過ぎ、部隊の駐屯地に到着した。空を飛んで来た2人に、駐屯地内は騒然としたが、僕達と分かって、それなら不思議はないと変に納得されてしまった。それよりも、兵士達は、死の不安から解放された喜びでわきあがっていた。


  未だ戦いもしないのに、勝った気になっているようだ。丘の上から海を見ると、それは沖合をゆっくりと横切っていた。長さは、500m以上はありそうだ。頭と尻尾の両方が一編に出て来ないので、確かな長さは分からない。


  リバイアサンは、僕に気が付いたのか、首をこちらに向けて、じっと見つめていた。突然、口を大きく開けた。開けた口が、青白く光ったかと思うと細く白い光線がこちらに放射されてきた。光線と思ったのは、水の筋だった。


    『危ない。』


  と思った次の瞬間、僕の立っていた場所のすぐ脇が、幅10センチ位で縦に切り裂かれていた。ちょうど丘そのものに、ケーキカットが入ったようだった。兵士の数名が、縦に2分されていた。僕は、皆を丘の南側に退避させた。あの水の噴射は要注意だ。きっとシールドも1枚では役に立たないだろう。


  僕は、ビラをシールドで包んでから、1人でリバイアサンに近づいた。上空500m以上から見て、やっと全容が分かった。ウネウネと左右に身体を曲げて、前に進んでいる。本当に蛇だった。オロチの剣で軽く、斬撃を飛ばしたが、水面に波が立っただけで、リバイアサンの身体まで届かなかった。頭を海面の上に出すのを待って、直接、斬撃を当ててみたが、硬い鱗に弾き飛ばされ、ダメージを与えられない。これは、普通の攻撃ではダメかも知れない。一旦、引き返した僕は、シェル、エーデル姫、クレスタ、それにノエルを呼んで、総力戦を仕掛けることにした。


  総合火力で対抗するつもりだ。ゲートを開き、皆を呼びに行った。1時間後、皆は、完全装備で現れた。将軍達は、一体、何が起きているのか分からなかったようだが、幼女体型の超絶美少女エルフのシェル、ナイスバディ絶世の美女のクレスタ、可愛らしさたっぷり超絶美少女のエーデル、異国情緒たっぷりの美少女ノエル、僕のあの噂は本当だったのだと納得していた。ビラだけ、最初に来た時に、普通の評価なのはしょうがない、理由は、特にないが、ビラだって十分に可愛いと思う僕だった。もしかして、いつもセーラー服だったのは、そのせいですか?


  皆で作戦を練った。海神と言う位だから、火に弱いだろうと見当を付けていたら、将軍が恐ろしい事を教えてくれた。あの蛇は、火を吐くのだと。しかも単なる火ではなく、火の付いた油を吐き出すそうだ。それを浴びると、消えるまで燃え続け、骨も残らないそうだ。そればかりではない。辺り一面、火の海になり、近づく事も出来ないらしい。どおりで、海岸線がドス黒く汚れ、強烈な油の匂いが鼻をつく訳だ。海に棲みながら、海洋汚染をするなんて、バカ竜にもほどがある。


  取り敢えず、敵の動きを封じなければならない。クレスタが、海を凍らせてしまうのはどうかと提案して来た。もう、海面には薄氷が張っている。全凍結させるのも難しく無いだろう。それから、雷撃の攻撃をしてみる。ノエルとビラに任せることにする。物理攻撃は、かなり弱らせてから、僕とシェル、エーデルが担当する。


  これで駄目だったら、今日は諦めて一旦、引くことにした。クレスタが、キルケの杖を高く掲げ詠唱を始めた。


  『雪の女王たる白の精霊よ、氷の女王たる銀色の精霊よ、全ての糧を奪い、全てを死と静寂の世界に導きし精霊よ、冬の悪戯と思し召し、その全ての動きを止めし絶対零度の力を我に与えん。我の名はクレスタ・ガーリック・タイタン。我は命ずる。』


    『アブソリュート・ゼロ』


  絶対零度の空間が広がっていく。みるみる海面が分厚い氷に変わって行く。


 その時、リバイアサンの身体が赤く光り始めた。シールドだ。しかも、あの色は、熱シールドだろう。案の定、リバイアサンからはもうもうと湯気が上がり始めている。


    「今だ!」


  ノエルとビラが、詠唱を終えた雷撃を飛ばす。


    「「サンダー・ボルト!!」」


  レベル8の極大サンダーボルトが、リバイアサンを襲う。


    バリバリ、ズゴゴゴーーーン!!


  眩い雷球に包まれたリバイアサンの頭は、次の瞬間、消し炭のようになり、ポロリと落ちた。


    「やったー!」


  ビラが、禁句ワードを口走った。モコモコ、首から上が生えてきた。


  僕が特大の雷撃をお見舞いした。またまた消し炭ポロリ。クレスタは、溶けかかった氷の手入れだ。ミシミシ音を立てて溶けた氷が再氷結して行く。


    雷撃のガラガラ・ドッゴーーン

    首が落ちて、ポロリ

    首の再生がムクムク

    氷結のミシミシ


  この繰り返しだ。シェルとエーデルは、やる事がないので、雪だるまを作って遊んでいる。そのうち、帝国軍の15〜6歳の女性兵士と雪合戦を始めた。


  リバイアサンが、全身を氷の上に現した。あれ、短い。500m以上はあったのに、今は200m位だ。どうやら再生をするのに、自分の身体の一部を使っていたらしい。一旦、攻撃をやめて、様子を見る。リバイアサンは、氷の上でのたうち回っているが、滑って全く前に進めない。そのうち、大きな息をしながら、念話を飛ばして来た。


  『オマエハ、ダレダ?』


  『僕は、ゴロタだ。』


  『キイタノハ、ナマエデハナイ。ナニモノカトキイタノジャ。』


  リバイアサンがイラついて言った。この答えを、僕が上手く言える訳がない。


 「全てを統べるかもしれない。」


  『ナンジャ、ソレハ。フム、『ゴロタ』ジャト。ソレデハ700ネンマエニ、ワシヲセンメツシヨウトシタモノカ?』

リヴァイアサン、強いです。

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