第194話 グレーテル国王陛下が残念な事が分かりました。
男は誰でもエッチです。
(11月6日の朝です。)
今日は、朝食後、庭で、ゴーレム兵の剣舞を見せた。国王陛下は、一糸乱れぬ動きに驚かれるとともに、マリンピア魔導士長に、同じものを作れぬかと聞かれた。
マリンピア魔導士長は、もうすぐ冬だと言うのに、大汗をかきながら、現在の魔導士協会の実力では無理であると弁明していた。
僕は、皆の前で、ゴーレム21号を作って見せた。念話の内容までは明らかにしなかったが、『錬成』により、赤く光りながら、形が出来上がって行くのに、魔導士長は、口をアングリ開けて見入っていた。
出来上がったゴーレムを魔導士長の前に置き、手をゴーレムの胸に当てて、魔力を注いでくれるようにお願いした。魔力を流し終わった後、ゴーレムに命令をしてみるように言ったら、直ぐに動かし始めた。
このゴーレムは、魔力を注力した者の命令に従うように魔法陣を彫り込んでいるので、今は、マリンピア魔導士長の命令を聞くようになっている。このゴーレムを魔導士長にプレゼントしたら、国王陛下も1体欲しいと言う。
直ぐに作ってやって、国王陛下の魔力を注ぎ込ませたところ、完全服従ゴーレムの出来上がりである。
これには、非常に喜ばれて、次のイチローさん達の曲技披露も全く見ずにゴーレムと遊んでいる。もう、殆ど子供状態である。女王陛下も、呆れた様子で放っているようだった。
次に、国王陛下達に平服に着替えて貰って、ゲート部屋から行政庁の領主室に『空間転移』した。事務所に出てみると、各行政官が全員、『気を付け』をして、国王陛下に最敬礼をする。長官が、国王陛下の前に進み出て、臣下の礼を取った。
行政庁の外に出て、市内観光だ。周囲をイチローさん達が、秘匿警備をしている。まあ、本日、通りに出る人間は全て許可を出している人間だけにしているので、許可なく外に出てくれば、衛士隊に拘引されることになっている。
最初に『クレスタの思い出』を見てから、大学、高校それと治癒院を視察された。治癒院の院長を、僕の婚約者であるフランちゃんがしているのに吃驚していたが、彼女が聖ゼロス教会大司教国の大司教だったという事を知り、もう何も言えなくなっていた。
最後に、タイタン領騎士団及び衛士隊を閲兵して、視察は終了した。国王陛下は、タイタン市と各町村を結ぶ門柱に興味を示し、あちこち出たり入ったりしていたが、この門を王都と結ぶように命じられた。きっとそうなるだろうとは思っていたが、治安維持の問題から、野放図に開放はできない旨を直言したら、
「では王都側の門柱を騎士団直轄にして管理し、許可なく出入りをできなくするのでどうじゃ、」
と言われた。これ以上、反対はできないので、早速作ることにした。通常の馬車1台が通過できる大きさの物を作り、王都の衛士隊の前の広場にもう1柱を作ってあげた。
所要、30分程度だ。今は、誰も管理していないので、門柱があるだけだが、管理体制が出来たら、ゲートを開くことにした。
その後、領主館屋外に駐屯している騎士団の皆も、平服で市内に入ってきて、買い物をしたり、見物をしていた。中には、娼館の所在を聞く者もいたので、イチローさんが行き方を教えてあげていた。こうして、タイタン市の市内見学は成功裏に終わった。
領主館に戻ってから、国王陛下に個人的に呼ばれた。どうやら、部下の騎士に娼館の事を聞いたらしい。案内してくれないかと言われた。
僕は、娼館に行く事を禁止されているので、イチローさんにお願いして、一緒に行ってもらうことにした。行ってる間に、女王陛下から、夫の所在を聞かれたが、コミュ障発症中の振りをしてごまかした。国王陛下、旅の恥のかき捨てはやめましょうね。
次の日、国王陛下は、無事に王都へお帰りになった。タイタンの月が大量に売れて売り切れになってしまった事と、娼館の売り上げが開店以来の記録を更新したことは、おまけと言うことにしよう。
今回の歓迎式典費用は、大金貨15枚もかかってしまった。まあ、次回からは、テントや簡易ベッドそれにメイド服、執事服の出費が無いから、少しは安く済むものと思う僕だった。
しばらくして、ジェンキン宰相から、『転移門』の管理体制が整ったとの知らせがあった。どうやら、あの門の事を『転移門』と呼んでいるらしい。門そのものは、全く転移とは関係ないのだが、思惑通りなので、当然、そのまま呼ばせていた。
ゲートを繋ぎ、王都側に行ってみると、高さ3m位の石塀に囲まれた所に出た。
塀には出入り口が有り、大きな門と小さな門が有った。大きな方は、馬車用で、平素は、人間用の小さな方を使うらしい。門の両脇には、衛士2人が立っていた。
門を出ると、そこは管理事務所になっていた。タイタン市の旅行証明証か、グレーテル市民証を持っていおない場合は、厳しくチェックするし、馬車、荷車は荷物のチェックが有り、禁制品、密入国者を取り締まっていた。王都から、タイタン市に行く場合、タイタン市民以外は、銀貨5枚を徴収していた。まあ、管理事務所経費が掛かるので、当然かなと思ったが、かなりの利益が出るような気がする。タイタン市では、旅行証明証発行手数料が銀貨1枚であるが、永久使用できるので、利益が上がることはない。
『転移門』使用料は、徴収していないので、王都に行く人や、戻る人は自由に使えるようにしている。
転移門の運用が軌道に乗った頃、変な噂が流れてきた。王都の貴人が、密行でタイタン市に来ているが、行き先は、ハッシュ町の娼館らしいというのだ。
僕は、直ぐにピンと来たが、お客様の個人情報は、口が裂けても言えないので、黙っていることにした。
以外に、残念な国王陛下だった。
ビビさんは、『シャトー・ワイス2号店』を開いた。場所は、娼館の隣だ。今度のウエイトレスは、全員メイド服だ。この前、僕が臨時に作ったものを安く買い取り、超ミニスカにしている。
サービスは、本店と同じだ。違うのは、指名料を払うと隣に座って、濃厚なサービスがある事と、店外デートができる事だ。娼館の従業員が、非番の日のアルバイトで働いている。
店外デートは、当然、娼館の自分の部屋を使っているようだ。非番なので、1日の限度人数を超えなければ、本人の自由だ。但し、お客さんにとっては、少し割高になるようだ。
王都から来た、若い子が引っかかっているようだ。当然、2号店は、15歳未満入店禁止だ。
その内、ノーパン・サービスデイをやりたいと言ってきたが、ビビさんに任せることにした。
エリーさんも、2号店を出店したい様だったが、娼館の従業員がもう居なかったので、諦めた様だ。
行政庁には、娼館経営の許可申請が大量に出されているが、タイタン領直営店しか認めていないので、全て却下している。
現在、娼館の2号店を近くに建設中だ。経営は、エリーさんの母親のメリーさんにしてもらおうと思っている。流石に、もうそろそろ、バニースタイルには無理がある気がしたのである。
今度、採用する娼婦は、帝都と獣人の国、中央フェニック帝国の帝都から採用するつもりだ。知り合いに会う事も無いだろうという理由だ。
ハッシュ村や隣村から使用した3人は、全て退職してしまった。寿退社が2名と、自分の店をエクレア市に開いたのが1名だ。もう、領内から採用するのはやめにしようと思った僕だった。
娼館2号店は、来年1月に開店予定だ。もうそろそろ、従業員を募集しなければならない。明日、シェルとエリーさんそれにイチローさんを連れて、ヘンデル帝国の帝都グレート・セントラル市に行ってみよう。
次の日、僕達は、ドエスさんと面会していた。新規採用をしたいので、募集を手伝って貰えないかお願いした。色街の組合に情報を流したり、面接会場の準備があるので、3日くれと言う。それと、応募1名につき大銀貨1枚を貰いたいと言ってきたが、冷やかしにまでお金を払いたく無いので、採用決定1人につき支払うことにした。
その後、4人で、中央フェニック帝国の帝都リオン市に転移した。この街のことはイチローさんに任せた所、風俗関係の組合があるので、そこに行ってみる。
組合長に会ったら、見覚えがあった。あ、あの裏稼業の頭領だった。イチローさんもビックリしていたが、頭領の方がもっとビックリしていた。あれから、僕の噂が世界中を駆け巡っているらしい。
僕が、新しく娼婦を募集したいと言ったら、一切の条件を付けずに、了解してくれた。それどころか、直ぐに各遊郭に説明に行って欲しいと言われた。
ヘンデル帝国の帝都には、4軒の遊郭が有り、約800人の遊女が働いている。足抜け金の額に差はあるが、それさえ払って貰えば、店には一切文句を言わせないとまで言ってくれた。
800人全員の面接はできないので、年齢制限と、犬人、猫人そして兎人に限ると言ったら、かなり少なくなった。今日は、履歴書を置いていくので、明後日、面接をする。採用が決定したら、即日、引っ越すので、対応できる人だけに絞ることにした。
明日は、エリーさんの郷で、希望者を探すことにして、今日はこの街に泊まることにした。
僕は、シェルと一緒のダブルの部屋にしたが、エリーさんは、イチローさんと一緒に泊まりたいと言ってきた。もう、2人ともいい大人なので、好きにさせていたら、イチローさんは、1人が良いそうだ。
イチローさんの話では、今、娼館で働いている子の中で好きな子がいるそうだ。将来、その子と結婚する約束をしているので、他の女の子とは遊ばない事にしているとの事だ。
相手の子は、毎日何人もの男と商売をしているのだから、操を立てても仕方ないのではと思ったが、それは仕事をしているのであって、操とは関係ないと、強い口調で言われた。
獣人の貞操観念って、人間とは違うんだなと思ってしまうた僕だった。
王都とタイタン市が繋がりました。これでよかったのでしょうか?




