表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
193/753

第191話 タイタン市に戻ってきました

漸くゴロタが戻ってきます。プチ浦島太郎のようです。

(10月20日です。)

  エーデルは、今日もジェーンさんに怒られていた。一応、ギルドの責任者いわゆるギルドマスターなのだが、いつもいつも、他の冒険者と一緒にダンジョンに行ったり、森に採取に行っている。


  この前なんて、駅馬車の護衛までやっていた。これでは、ギルマスの仕事なんかできる訳が無い。ヘレナさんやテルちゃん、マリちゃんがいるから、ある程度は運営できている。


  新しい冒険者を養成したり、現在の冒険者達をランクアップさせるためのクエストを集めたりと、ギルマスの仕事は多いのに、昨日まで、またダンジョンに潜っていたので、今日は、朝から怒られていたのだ。


  今日は、王都に行って、ギルド本部の会合に出ることになっている。フレデリック殿下には、ジェーンから手紙を出しておいたそうだ。僕さんがいなくなってから半年、しっかりと自分の仕事をしなければいけないのに、相変わらず好き勝手にやっている残念姫だった。


  クレスタは、忙しいが張り合いの無い毎日を送っていた。タイタン市の一等地で、お店を開いているが、僕と一緒に世界を回って食べたお菓子を再現したところ、飛ぶように売れている。


  今、お菓子工場を市の郊外に作っているが、完成したら、王都にも出店するつもりだ。でも、あの人がいないと、どんなに儲かっても褒めてくれる人がいないし、お金の管理だって、シェルがいなくなって、自分でしなければいけない。


  儲かっていても、誰も知らないのだ。何のために働いているのか分からなくなってしまう。早く、帰ってきてくれないかしら。もうすぐ、26歳の誕生日なのだ。それを考えると、少し寂しくなるクレスタだった。


  フランちゃんは、治療院の拡張と、支店の建設を考えている。今のところ、領都内の街や村は、ゲートでつながっているが、エクレア市から馬車に乗ってきている患者さんまでいる。馬車で3日かけてアント町まで行き、その後、ゲートでタイタン市に来るのだ。


  そういえば、アント村とハッシュ村は、この前、人口が1万人を超えたので、町に昇格した。町になると、代官や総督が常駐し、衛士隊や騎士隊の分駐所を作ることになるのだ。また、学校も中学校を作らなければならない。経費も掛かるが、年貢や税金の収入も多くなるので、領主にとっては喜ばしい事である。


  それよりも、エクレア市の治療院分室だが、フランちゃんの治療院の評判を聞いたエクレア伯爵が、是非、エクレア市にも分院を作って貰いたいと言ってきたのだ。治癒師は、聖ゼロス教会大司教国から招聘することができるが、運営を誰に任せればよいのか悩んでいる。


  まあ、フミさんかミレイさんのどちらかだろうが、どっちにしても、あっちに行ってしまうと寂しくなるので、ちょっと考えてしまう。まあ、僕さんが帰って来るまでは、動けないので、暫く様子見をしようと思っているフランちゃんだった。








------------------------------------------------------------

(10月21日です。)

  突然、僕達が領主館に帰って来た。その知らせは、王都の屋敷にもすぐ伝わり、夕方には妻と婚約者そしてジェリーちゃん達が一堂に介してのお帰りなさいパーティになった。


  妻と婚約者は、お帰りなさいのキスが一人10分ずつ割り当てられた。当然、シェルは除外だ。それから、ジェリーちゃんや使用人達へのお帰りの挨拶キスだ。同時に、ジェリーちゃんとジルちゃん以外には、チップをあげている。王都の屋敷からも交代々々に来た。セバスさん達、男性従業員には今までの慰労で、握手とチップをあげている。


  夕方、ハッシュ村の冒険者ギルドと『ラビット亭』それに『エーデル・ホテル』と『シャトーワイス』の従業員にも挨拶をした。あれ、ギルドのマリちゃん、随分綺麗になっているが、知らんぷりをしていた。そういえば、旅館がいつの間にかホテルになっている。別館も建設中だった。ランクの低い冒険者達は、町民の作った旅館や民宿に泊まるが、女性パーティや高ランク冒険者は『エーデル・ホテル』に泊まる。女性専用フロアがあるので、安心して泊まれるそうだ。今度、西の谷に、温泉専門の旅館を作ろうと思っている。でも、あの山から下りて来るワイバーンがいる限り、直ぐには無理かも知れない。娼館には、挨拶に行かないことにした。シェルから、絶対に行ってはいけないと言われているのだ。自分の店なのに行けないのは寂しいが、僕には用のない店なので、特に問題は無かった。


  その日の夜、僕は皆と一緒に寝ることになった。ベッドが足りないので、皆のベッドを運び込んで大きなベッドにしたのだ。7人とジェリーちゃんが一緒だ。当然、夜のセレモニーは無かったが、それでも良いと言うので、皆で寝ることにしたのだ。エーデルが残念そうな顔をしていたが、それは仕方が無かった。


  次の日、ノエル、ビラ、シズちゃんと一緒に王都の屋敷に行った。3人が学校に行くためだ。僕は、皆の誕生日プレゼントを買うためと、冒険者ギルドで、能力測定をするためだ。全ての能力が解放されたと言っていたが、それを確認するためにギルドに向かうことにした。


  最初に王立冒険者ギルド本部に行って、能力測定機にカードをかざした。


*************************************

【ユニーク情報】

名前:僕 (ゴーレシア・ロード・オブ・タイタン)

種族:古の伝承による全てを統べる種族

生年月日:王国歴2005年9月3日(19歳)

性別:男

父の種族:魔族(災厄の神)

母の種族:ハイ・エルフ族(精霊シルフィード)

職業:全能の王にして世界を救う者、冒険者:ランクSSS

******************************************

【能力情報】

レベル      60(  35UP )

体力    12000(5000UP )

魔力    17000(4000UP)

スキル   13000(4000UP)

攻撃力   15000(5000UP)

防御力   15000(2000UP)

俊敏性   12000(2100UP)

魔法適性   すべて

固有スキル

【威嚇】【念話】【持久】【跳躍】【瞬動】

【探知】【遠見】【暗視】【嗅覚】

【聴覚】【熱感知】

【雷撃】【火炎】【氷結】【錬成】

【召喚】【治癒】【復元】【飛翔】

【念動】【転移】【水棲】【重力】

【調伏】New【変身】New【神の御業】New【蘇生】New

習得魔術 すべて

習得武技 【斬撃】【絶通】【絶断】【爆裂】

******************************************


  さすがにレベルや能力は全く上がっていなかった。討伐らしいことはワイバーンを刈った位だったからだ。それよりも、スキルの『調伏』って何だろう。それに『神の御業』って、フランちゃんのスキルだった筈。あと、『変身』と『蘇生』って、もう何でもありの神の領域のような気がする。


  受付に行って、『調伏』スキルについて調べて貰う。銀貨1枚が掛かるがしょうがない。受付の人が暫く調べてから教えてくれた。


  調伏とは、『天上界の神の力を借りて、内外の悪を打破すること。魔障を打ち消すこと。』だそうだ。


  という事は、レブナントの瘴気などは、これで消滅させることが出来るはずだ。聖なる力と似ているが、あらゆる負の力に効果があるので、応用範囲はグンと広くなる。


  変身は、まだ使えないが、何に変身できるのだろうか。まあ、あまり気持ちの悪い者には変身したくない。


  最後の『蘇生』って、絶対、神様の領域だ。ただ、どの程度有効なのかは、不明だ。まさか、ゾンビになって復活なんてのは無いだろうが、死んでからの有効時間が損傷部位の復活程度などは、経験を積まなければ分からない。


  ギルドで確認していると、クエスト依頼ボードで初心者の少年が一生懸命、依頼書を呼んでいる。青銅の短剣と盾を装備しているが、どうも似合わない。傍に、ポーターらしい女の子がいるが、12歳位だろう。


  ようやく『E』ランクになったので、受注できる割のいいクエストを探しているのだろう。どうやら、見つけたようだ。あれは『D』ランクの討伐依頼だ。女の子が、反対しているが、少年は受注したいようだ。うん、きっと、あの孤児院の子達に違いない。15歳になって、お兄ちゃんが、冒険者登録をしたのだろう。あの女の子は妹だろうと思う。お兄ちゃんが大銅貨2枚を払って、受注していた。


  ギルドを出て行く兄妹を、そっと追い掛けて行く。どうも気になるのだ。王都の北の郊外に向かっている。依頼は何だろう。兄弟は、王都の近くの集落に行った。この集落からの依頼らしい。僕は、気配を消して、依頼主らしい長の話が聞こえるところまで近づく。向こうからは、全く気付かれない。どうやら、依頼はゴブリンの討伐らしい。


  ゴブリンは、低レベルの魔物だが、『E』ランクのなり立てでは、1対1で、やっとこなせるレベルだ。依頼のように数体では、絶対に戦力不足だ。きっと報酬の良いのにつられてしまったのだろう。冒険者の初心者は、死亡率が極めて高い。その相手は、ゴブリンが殆どだ。


  皆、ゴブリンを馬鹿にしている。身体は小さいし、武器は貧弱だからだ。しかし、闘争心の高さと俊敏さを見落としている。きっと、このお兄ちゃんもそうなのだろう。本当なら、無視してもいいのだが、小さな女の子がいるので、見過ごすことができない。


  お兄ちゃんは、もう青銅の短剣を抜いて、現場に向かって行った。現場は、牧場の北側、柵の向こう側だ。僕は、500m位離れたところから、『遠見』スキルで様子を見ている。


  ゴブリンが出てきた。3体だ。一度に3体のゴブリンをソロで殲滅するには、『C』ランク以上でなければ無理だ。僕は、どうしようか迷ったが、2体を『威嚇』で、行動不能にしておいた。敵の武器は、棍棒だ。ゴブリンは、数が多いので油断しているのか、動ける1体が無防備で襲い掛かって来た。少年は、滅茶苦茶に短剣を振っている。その内の1打がゴブリンの頭を横殴りした。1体は、倒れた。


  僕は、もう一体の『威嚇』を解いた。急に動けるようになったゴブリンは、棍棒を振りかぶって来た。あ、少年の左腕に当たった。きっと折れただろう。僕は、『神の御業』を発動して骨折を修復する。少年は、やはり短剣を振り回して、ゴブリンの腹を切り裂いた。僕は、残る1体の『威嚇』を解いたが、そのゴブリンは森の奥に逃げて行った。


  小さな女の子は、震えているだけだった。少年は、泣きながら、ゴブリンの耳を削ぎ、胸から魔石を取り出していた。この少年たちは、明日も生きて行けるのだろうか。そう思いながら、王都に『転移』した。


  

冒険者として生きて行くの大変です。何人も、若い子が死んでいきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ