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第183話 タイタン市の災難

今日は、恐ろしいことが起こる予感がします。ゴロタは、無事に乗り越えられるでしょうか。

(2月14日です。)

  今日は、朝から皆が忙しそうにしている。平素、料理をしないシェルやエーデルまで、台所に行って何かを作っている。甘いチョコレートの香りが、室内にまで漂ってきていた。昨日は、白薔薇会の皆さんやサクラさん達が台所を占拠していた。お陰で、昨日の夕食は全てチョコレートの作り損じだったのは勘弁してもらいたかった。


  僕は、朝食後、一人でタイタン市街に出掛けた。今日は、一人なのでゲートを使わず、歩いて行く。屋敷の正門まで、1キロ、のんびり歩いて10分くらいだ。正門の両脇には衛士が2名立っている。この任務に付いてから1か月、初めて門を通ろうとする者がいたので、吃驚していたが、その者が領主様だったので2度吃驚していたようだ。衛士達は、街の衛士隊から派遣されているので、交代制になっているようだが、僕の方から声をかける。


  「お早うございます。」


  これだけでも、精一杯頑張っているのだ。それからは、残雪の残る草原の中に新しく出来たシェル通りを歩く。左手には、シェルの森が見える。道の両脇には、誰が植えたのか、桜の木が10mおきに植えられている。街まで2キロ、計400本の桜並木だ。僕は、春になるのが待ち遠しかった。きっと見事な桜が見られるだろう。桜並木の外側には、金木犀を植えようと思っている。秋に金色の可愛い花と良い匂いがするはずだ。


  そういえば、シェルが、街に入ったら、気配を消して歩くように言われたので、気配を消してから、街に到着した。街に入ると、街全体が異様な雰囲気だった。男は、皆、ソワソワしている。街の中のケーキ屋さんやお菓子屋さんでは、店頭で客引きの人達が声を張り上げている。


  しかし、女性達の狙いは、今日、新しくオープンする王都の高級チョコレート専門店の支店だ。店の名前は、『ガディバ』と言う。長い行列が出来ていた。売れ筋は、大銅貨3枚の『愛の告白セット』らしい。限定3000個と言うことだが、間もなく売り切れらしい。と言うことは、それだけで、金貨9枚の売り上げだ。来年からは、絶対に税金を掛けよう。行政庁の真ん前、街のど真ん中にクレスタの店がある。レンガ造りのしゃれた店で、1階が店舗、2階が喫茶店、3階が工場になっている。店の名前は『クレスタの想い出』と言う。まあ、お土産店だが、売っているのが


  『タイタンの月』

  『白い愛人達』

  『タイタン・バナナ』


  など、いつかどこかでみたようなお菓子だ。その他に、工芸品や木工品も売っている。でも、記念の三角旗や木刀って買う人がいるんですか?その店でも、今日はチョコレートを売っている。白いチョコで文字を書くサービスが好評で、『ガディバ』と同じ位の行列が出来ている。もちろん、地の板チョコはハート型だ。


  今日は、イチローさん達が店頭で販売をしている。女性客には、握手サービスも付けている。肉球のプニプニがたまらないらしい。クレスタから、30分だけ、店の前に立っていてくれと言われていたので、気配を消すのを止めて、一人で立っていると、『キャーキャー』言いながら女の子達に囲まれてしまった。遠くから走ってくる女の子もいた。もう、大変な騒ぎだった。僕には、意味が分からなかったが、皆が綺麗なリボンの付いた箱や袋を渡してきた。


  サクラさん達が、後ろに控えていて、大きな袋に次々に入れていく。女の子達が、僕と握手したり、簡単なキスまでは許していたが、キスで舌を入れたり、股間を触ろうとした場合には強制排除していた。あまりにも凄い人だったので、衛士隊が警笛を吹きながら女の子の集団に突入を試みたが、すべて跳ね返されていた。衛士隊の皆さんがだらしないのか、女の子達が凄まじいのかは分からないが、僕はこのままでは死んでしまうと思い始めていた。


  何が何だか分からないうちに、30分が過ぎたので、ふっと気配を消して、サクラさんの後ろに『瞬動』で移動した。その後、店の中に入って行って、3階の工場まで逃げて行った。サクラさん達が、大きな声で『本日のイベントは終了しました。』と叫んでいた。あの、何のイベントだったのですか?後で聞いたところによると、タイタン市の女の子の間では、僕の人気が急上昇中らしい。年は18歳で背はそれなりだが、銀色に黒色のストライプが入っているボブヘア、エルフ顔負けの超絶美少年、それで超金持ちの貴族の領主様となると人気が出ないわけがない。


  クレスタさんは、チョコレートを買ったお客様を対象にプレゼント会を開催しようとしたのだが、こんなに大騒ぎとなるとは思わなかったらしい。来年からは、整理券を配布することにしたそうだ。


  夕方まで、騒乱は続いた。チョコレートを持った女の子が、街のあちこちで僕を探し回っている。『クレスタの店』の裏で、出待ちをしている女の子が100人位いた。また、領主館の正門の前では、プレゼント受付が設けられ、僕は、ゲートを使って屋敷に戻ることにした。クルリさん達白薔薇会の皆さんが、メッセージカードを1枚を大銅貨1枚で売っていた。このメッセージカードを挟んでないプレゼントは受け付けないことになっているらしく、1000枚準備したメッセージカードは、30分で売り切れてしまった。


  その隣では、僕のサイン入り似顔絵が銀貨1枚で売っていたが、準備していた100枚は、あっという間に売れたらしい。あと、クレスタが土魔法で作った100分の1サイズの僕のフィギュアも、色付けをしていないのに、1体銀貨5枚もするのに完売だそうだ。


  どうも、今年になってから、僕の噂が国内中に広まっているようで、遠く王都から来た女の子もいるらしい。そういえば、王都の屋敷も心配だが、セバスさんがいるから大丈夫だろう。問題は、プレゼントされたチョコレートだ。こんなに大量に食べたら、間違いなく、皆、鼻血を出して死んでしまう。明日、エクレア市と王都それに帝都の孤児院に持って行くことにしよう。


  可哀そうだったのは、タイタン市の男の子達だ。ほとんどの男の子は、お目当ての女の子からチョコレートを貰えなかったのである。後日、この日の騒動の事を『タイタン市の災難』と呼ばれるようになったことを僕は知らない。


  夜、食事の前にプレゼントタイムがあった。


  シェル、エーデル、ノエル、クレスタ、ビラまでは、いつものキスをしている。ジェリーちゃんとジルちゃんは別の部屋で待機中だ。続いて、フランちゃんとシズちゃんだが、口に軽いキッスをしただけだった。最後に、部屋から出てきたジェリーちゃんとジルちゃんは、ほっぺにチュッだ。


  それから、使用人達だが、最初は白薔薇会のメンバー十人だ。クレスタさんが見張っているので、キスで舌を入れたり、股間に触ったり触らせたりするのは厳禁だ。それからサクラさん達忍びの4人だ。いつものように軽いキッスだ。続いて、メイドさん達だが、最初はジェーンさん、続いてフミさんとレミイさん、それからイブさん達、屋敷のメイドさんという順番だ。この貰ったチョコは、僕が必ず食べなければいけないらしく、当分、デザートはチョコレートとなるようだ。


  この日の夜、久しぶりに皆の身長を測ることにした。測定場所は、裏の露天風呂の脱衣所だ。皆、素っ裸になったが、ジェリーちゃんがいるので、バスタオルを巻いている。


  僕    171センチ

  シェル    160センチ

  エーデル   167センチ

  ノエル    154センチ

  クレスタ   175センチ

  ビラ     166センチ

  シズちゃん  161センチ

  フランちゃん 158センチ

  ジルちゃん  134センチ

  ジェリーちゃん128センチ


  うん、ジルちゃんは大人になりかかっていたが、ジェリーちゃんは、完全にお子ちゃまだった。まだ、小学生なのだから、当たり前である。体重については、いつものように僕は外に出されてしまったので不明であった。僕は、この1年半の間に12センチも伸びている。もう18歳だと言うのに、成長を続けているのだ。父親のベルは、2m近い大男だった。シルは小さかったように思うが、よく覚えていない。僕も2m近くまで大きくなるのだろうか。もう、服を買い直すのも、いい加減飽きて来た。


  あ、そういえば、あの鎧セット、どうだろうか。帝国の帝都グレート・セントラル市で買ったアダマンタイトの防具だ。サイズが大きくて、しまいっぱなしだったが、出して付けてみた。まだ、大きかったが着れないことも無い。でも、何も急ぐことも無い。シールドを纏えば、防具を全く付けなくても良いからだ。今度、ガチンコさんに相談に行こうと思う僕だった。


  今日の夜の番は、フランちゃんだ。フランちゃんも、もうすぐ16歳だ。ほっぺにチュッ以上のことに興味を持つかと思ったら、まだまだのようなので、ぐっすり眠ることができた。


  チョコレートの日は、無事終わった。

タイトルだけが先行して、期待を裏切り申し訳ありません。何とか、戦闘に持ち込もうとしたのですが、話の流れでこうなってしまいました。ま、基本、ダジャレとエッチが売りのお話ですから。

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