第151話 新婚旅行で、南の谷を目指します。
エーデル姫と結婚したら、もう甘い甘い新婚旅行です。
(4月11日です。)
今日、モンド王国へ出発する予定だ。準備は、大体揃っているが、エーデルの山登り道具を、いくつかそろえた。遭難は、あり得ないが、ずっとお姫様抱っこpもつらい。
その前に、冒険者ギルドに行って、この前のワイバーンの落札価格を聞いた。大金貨9枚だった。大金貨1枚を足して、口座残高を大金貨100枚にした。
また、1匹、オークションに出すことにした。最低落札価格を大金貨4枚とした。
ついでに、エーデルの能力確認をした。
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【ユニーク情報】
名前:エーデルワイス・フォンドボー・グレーテル・タイタン
種族:人間族
生年月日:王国歴2004年11月01日(18歳)
性別:女
父の種族:人間族
母の種族:人間族
職業:王族 冒険者 A
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【能力】
レベル 50(11UP)
体力 230(40UP)
魔力 250(40UP)
スキル 150(30UP)
攻撃力 250(650UP)
防御力 180(60UP)
俊敏性 200(40UP)
魔法適性 火
固有スキル
【熱攻撃】【熱感知】【威嚇】
習得魔術 ファイア・ボンブ
習得武技 【熱刺し】【貫通】
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エーデルも遂に『A』ランクだ。もともと素質があったので、当然と言えば当然か。早速、冒険者証を書き換えた。それに武技に【貫通】が加えられている。どんな武技なのか、今から楽しみだ。
名前から想像するに、何体もの魔物を刺し通す武技かなと思うが、この場では試せないので、今後のお楽しみという事にしておこう。
ギルドを出てから一旦、屋敷に戻り、皆とお別れのキスをした。思いの他長かったのは、シェル達だけでなく、3階から降りて来た女性陣ともキスしていたからだ。特にクスシさん、変に色っぽいのは何故ですか?
屋敷のゲート部屋から、モンド王国のデビドリア辺境伯領都に『空間転移』する。途端に、大気が冷えているのに気が付く。まだ4月だと言うのに、雪がチラホラ降りそうだ。極地に近いせいか、一気に冬が来るのだ。
デビドリア辺境伯に挨拶に行った。ブリッジブックさんにミニスカートのプレゼントをした。王都で最近はやっているマルチストライプのものだ。ブリッジブックさんは、既にミニスカート姿になっていたが、どうも暖色系の野暮ったいデザインだったので、喜んでくれるだろう。
エーデルを紹介したら、辺境伯に、この前の女性と違う事を聞かれた。実は、エーデルを入れて妻が3人いることを正直に話したら、『それは羨ましい。』と言われた。その後、是非、娘も貰ってやってくれないかと言われてしまった。ブリッジブックさんは平気を装っていたが、耳が真っ赤だった。
このような時、エーデルは全く役に立たない。彼女は、自分の分を愛して貰えれば満足するタイプなのだろう。
僕は、他にも4人候補者がいるので、もう無理だと断った。辺境伯は、それを聞いて、今日は是非、この屋敷に泊まって行ってくれと言ってきた。
ん、怪しい。危険を感じた僕は、それも断って、これから南の谷を目指すので、今日はゆっくり休みたいと言った。もう、コミュ障なんて言ってられない。噛んでもいいから、はっきり断った。前回、クレスタさんの時も強引に迫ってきたブリッジブックさんだ。今日、此処に泊まったら、もう一人連れて帰らなければならなくなりそうだ。
早々に退出した僕は、後ろを振り返って、誰も尾けていないことを確認してからホテルに入った。今日の夜は、ここで一泊の予定だ。
エーデル姫は、僕とずっと二人きりなので、上機嫌である。部屋に入ると、早速、キスを要求してきた。まだ、夕食前なのだが、少し時間があるので、付き合ってあげたが、甘い時間が過ぎていった。ホテルの食事は、海鮮コースにして貰った。大きな魚を平たい鍋で野菜と一緒に焼いた料理がうまかった。パエ何とかと言ったが、直ぐ忘れてしまった。
夜、エーデルと寝ていると、誰かがドアをノックした。嫌な予感がしたが、開けるとやはりブリッジブックさんだった。
中に入れて貰いたいと言ってきた。しかし、エーデルがいるので、不味いと思ったが、エーデルが構わないと言ってきた。しょうがないので、中に入れると、エーデルの姿を見て、顔を真っ赤にしながら、今日、一緒に寝てくれないかという。
は?この人何を言っているのだろうか。
何もしなくてもいいから、今日、一緒に寝てくれれば、それで満足できるからという。何を満足するのか知らないが、それはおかしいと思った。エーデルとは、新婚旅行中だし、婚約者でもない女の人と一緒に寝るなんて考えられない。
エーデルは、『ウフフ』と、変な笑いを浮かべて、本当に何もしないなら構わないと言った。ちょっと、エーデルさん、何を考えているんですか。
ブリッジブックさんが、着ているコートを脱いで、エーデルの反対側に入ってきた。と、同時にエーデルが僕に迫ってきた。ジッとしている僕だったが、隣のブリッジブックさんの胸が僕の右手に当たっているのが気になった僕だった。
翌朝、目が覚めたらブリッジブックさんは居なかった。エーデルは満足しきった顔をしていた。この子、残念なだけじゃなく怖い子かも知れないと思う僕だった。駅馬車の停車場に行くと、ブリッジブックさんがいた。見送りに来たと言う。しょうがないので、お別れの軽いキスをした。また、帰りに寄ってくれと言う。機会があったら寄ることにすると答えておいた。ところで、ブリッジブックさんって幾つなの。年を聞いてなかったので、確認したら、14歳だと言う。もう絶対寄らないことにした。捕まってしまう。
駅馬車は、1台しか出発しなかった。警護の部隊は付かない。乗客の自己責任らしい。その分、運賃は安かった。乗客は、お婆さんが一人だけ。隣村まで行くと言う。人間族が珍しいのか、どこから来たのかとか、二人の関係はとか聞いてきた。僕の最も苦手なパターンだった。僕が黙っていると、エーデルが丁寧に答えていた。昔の変なしゃべり方になっている。
「私たちは、北のグレーテル王国という所から来たのですの。私たちは夫婦ですの。」
お婆さんは、エーデルの喋り方に危険を覚えたのか、以後、黙ってしまった。お昼は、川の傍だった。お婆さんは、寒いからと外に出ないで、馬車の中でお弁当を食べていた。僕達も、サンドイッチを持って来ていたが、テーブルと椅子を出して、お茶を沸かして、普通に昼食を取った。シールドを張っているので、中は温かい。エーデル姫が隣に座りたがったが、人目があるので向かい側に座らせた。
うん、この子が常に考えていることが、分かってきた。本当に、あちらの我慢が出来ない残念な子だった。見た目だけだったら、本当に可愛らしいお人形さんみたいな美少女なのに、どうしてこうなったのですか、教えてください、メイドのジェーンさん。
ジェーンさんは、王宮の中でクシャミをしていた。
夕方、ドレーン村に到着した。何もない小さな村だった。旅館は、普通の民家を改造したいわゆる民宿だった。2階に泊まるのだが、シャワーしかなかった。しかも、水しか出なかった。この季節に水シャワーはつらい。僕は、シャワー石を準備し、温水を出すセットをした。
エーデル姫が一緒に入りたいと言った。え、とても狭いので、二人一緒は無理だと言ったが、それでも入りたいとベソをかき始めた。絶対、嘘泣きだということは分かったが、仕方が無いので、一緒に入った。
身体が密着してしまう。僕は、石鹸石で汚れを素早く落とし、シャワーで流してから、急いでシャワー室から出た。身体を拭いていると、エーデルも出て来て身体を拭いてくれと言う。新しいバスタオルで丁寧に拭いてあげた。まるで子供だ。
エーデルは、18歳、丁度そういう年頃なのかも知れないが、これでは何もできない。エーデルに、イチャイチャするのは午後9時以降に限定するように申し入れた。ダメと言っているわけではない。しかし、朝から夜までずっとは困るのだ。しばらく、考えたエーデルは、一言。
「嫌!」
ああ、シェルさん、助けてください。
次の日の駅馬車の乗客は、僕達二人だけだった。エーデルの目が怪しく光った。僕は、諦めて、馬車の外に声が漏れないようにシールドを張り続けた。
淫靡な馬車の旅は続いた。
新婚旅行を満喫しているのは、エーデル姫だけのようです。これで、ゴロタが正常男子だったら、今頃『腎虚』ですね。