第148話 ハッシュ村に別荘を建てます。
いよいよ150話目、本編148話目です。だんだんネタがなくなってきます。思い付くままに書いていると、内容が矛盾だらけになってしまいます‼
クレスタとの新婚旅行は、終わりました。次は、どうでもいいことに力を注ぎます。
(2月1日です。)
僕は、グレーテル市の屋敷に帰ってから、ジェンキン宰相に家を建てる相談をしていた。ハッシュ村に、別荘を建てたいのだ。しかし、まだ17歳の僕では、どうやって家を建てて良いのか分からなかった。大人のダッシュさんは、全く役に立たなかった。今の店も、ダッシュさんの親方から譲って貰った物だし、建築関係の知り合いが居なかったのだ。そのような場合に頼りになるのは、やはり長くこの都市に住んでいるジェンキン宰相だった。
ジェンキン宰相は、あの辺の地域をゴロタ領にする計画があるという。今年4月に、エーデル姫と結婚したら、名誉子爵ではなく公爵に叙爵するので領地を持たなければならない。そのため、現在、候補地を選定中だが、ハッシュ村周辺は、エクレア辺境伯も中々、統治できないので放置しているのが現状である。南のマッキンロウ山脈までの3村を任せる案が有るそうだ。
で、その話は別にして、別荘建築となると、建築士と現場を見なければならない。そこで、測量をして、井戸水や汚水処理方法も検討して、設計図を作成する。その後、その設計図を元に、大工さんや壁屋さん、屋根屋さんが家を建てていく。家が出来ても、庭師などを入れて、景観を整えないと、直ぐに廃屋のようになってしまうらしい。
まず設計だ。宰相の知り合いを紹介して貰う。職人街にあるバンブー設計所だった。シェルとクレスタを連れて行ってみると、かなり大きな事務所だった。宰相の紹介だったので、所長のバンブーさんが設計と建設の両方を担当してくれる事になった。バンブーさんも、ドワーフ族だった。
僕の要望を伝えた。別荘の居住者は、概ね30名。家族が10名位、同居人が10名位、使用人が10名位だ。使用人は、別棟で良いが、お風呂などは差を付けたくない。母屋は、2階建ての煉瓦作りで、バスが4つ以上、キッチンが2つ以上ほしい。30人以上が会食できる大広間と20人以上が利用できる食堂も欲しい。
かなり贅沢な要望だ。資材も搬入しなければならないので、費用も高額になるが構わないかと言われた。ある程度の費用は払えるので、心配無いと伝えた。現地調査に、往復2か月掛かると言われたので、その点も心配無いと伝えた。『何が心配ないのか?』と相手が不審がるので、『空間転移』で、バンブーさんをハッシュ村の僕の家に連れていった。雪に覆われた僕の家の前に移動したバンブーさんは、余りの出来事に声を失ってしまった。
直ぐに正気に戻ったバンブーさんは、僕の家の設備を調べ、周囲の土地の形状を調べていた。
何やら、メモをしていたが、大きく頷いて、僕に聞いてきた。
「このゲートは、ずっと開けていられるのですか?」
僕も、その辺の事は分からなかった。ただ、閉めようと思わない限り、ずっと開いているのは間違い無かった。
「たぶん。」
しかし、魔物が多い地域なので、開けっ放しは不用心だ。それに大工さん達の安全も心配だ。やはり、シェルかクレスタが常駐した方が安心できる。南の谷に行くのは、この家が完成してからでも良かった。この家が完成したら、『空間転移』部屋を作って、常時、グレーテル市の屋敷と繋げて置こうと思っている。僕は、この家が出来たら、平素は、ここで生活するつもりだ。採集と食事作りができれば良い。
現地調査は終わった。事務所に戻り、僕はゲートを閉めた。バンブーさんから『測量士と共に、もう一度行きたいので、明後日の午後、もう一度来てくれ。』と言われた。屋敷に帰ってから、今後の計画を話した。こちらに住みたければ、こちらに、彼方に住みたければ彼方にと、自由にしてもらいたい。セバスさん達とイチローさん達は、原則、こちらに住んで貰って、この屋敷を守って貰う。サクラさん達は、原則、向こうに住んで向こうの家を守って貰う。クリスさん達は、どちらにも仕事があるので自由にしてもらう。ただ、向こうには冒険者ギルドはないので、お金を稼ぐのなら、こちらに居た方が良いだろう。サクラさんには、向こうの家を守るのに手が足りなければ、知り合いなり家族を呼んでくれても良いことにした。ハッシュ村の別荘の完成予定は、今年の12月位を予定している。
それから、僕達は忙しかった。現地の調査立ち会い。資材選び。設計の打ち合わせ。あっという間に、1か月が過ぎた。エーデル姫との結婚式が迫っていた。予定では、4月1日に結婚することになっていた。その前に、フランシスカさんの誕生日が迫っていた。昨日、婆やのフミさんから相談があった。このままでは、世間知らずのお嬢さんのままで大きくなってしまう。まず、この家での立場をハッキリさせていただきたい。それから、冒険者として、苦労させて貰えないかと。
シェルさんと相談した。フランシスカさんと婚約するべきかを。フランシスカさんには、両親はいない。婚約するのに、支障があるとすれば、元大司教という立場だけだった。でも、フミさんがお願いしてくるという事は、きっと大丈夫なのだろう。
3月3日に、フランシスカさんと婚約することに決めた。シズさんには、婚約予定の指輪を上げたが、フランシスカさんにも上げなくてはならない。今日、あのティファサンでダイヤの指輪を買う予定だ。それから、シズさんとフランシスカさんには、高校に進学して貰う。特に、フランシスカさんは、世間知らず過ぎるので、同年代の少女達と友達になって貰えれば少しはまともになるかも知れない。二人の意向を確認したら、シズさんは、王立騎士学校に、フランシスカさんは、王立魔法学校への進学を希望していた。入学試験は、両校とも3月10日だ。いわゆる併願阻止のためらしい。僕には、その理由が良く分からなかった。
今日、バンブーさんが尋ねて来た。測量が終わったので、地鎮祭をやりたい。どなたか、聖職者を連れてきてくださいとの事だった。日取りは、3月8日を予定しているそうだ。その日が、日取りが良いらしい。そういえば、建築代金の3割を、前金で払わなければならないそうだ。総工費が大金貨20枚なので、その3割、大金貨6枚を地鎮祭までに払わなければならない。
3月3日に、フランシスカさんを冒険者登録するので、その時、口座から降ろしてこよう。やることが一杯で、冒険の旅に全然出られない。この調子だと、南の谷への旅行は、エーデル姫と一緒になるかも知れない。
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3月3日、フランシスカさんの15歳の誕生日だ。一緒に冒険者ギルドに行った。クレスタさんも一緒に行ってくれる。フランシスカさんが冒険者登録をすることにした。能力値はこの前測定したので、分かっているが、冒険者ランクが、どうなるかだった。測定の結果、普通に『F』ランクだった。
次に、クレスタさんの能力を測定してみた。かなり上がっているはずだ。
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【ユニーク情報】
名前:クレスタ・ガーリック・タイタン
種族:人間
生年月日:王国歴1998年11月3日生(24歳)
性別:女
父の種族:人間族
母の種族:人間族
職業:貴族、冒険者:ランクA
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【能力】
レベル 52( 6UP)
体力 390(90UP)
魔力 700(180UP)
スキル 320(20UP)
攻撃力 240(50UP)
防御力 150(30UP)
俊敏性 500(80UP)
魔法適性 風 水 土
固有スキル
【防御】【探知】【料理】
習得魔術 ウインド・スパイラル
アイス・シャベリン
アース・クエイク
習得武技 なし
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すべての能力の向上が著しい。早速『A』ランクに更新した。もう、このギルドでは誰も騒がなかった。普通、5年に1人、『A』ランク冒険者が生まれれば良い方だそうだ。今度、エーデル姫も連れてこよう。結構上がっているはずだ。
受付窓口で、この前のワイバーンの応札状況を確認すると、大金貨8枚で落札していた。すこし、相場が下がって来たのかも知れない。しかし、持っていてもしょうがないので、また1匹出すことにした。最低落札価格は、大金貨4枚とした。
その足で、バンブーさんに内金を払いに行った。地鎮祭に必要な物は、ワインとパンと生きたニワトリか羊だそうだ。大地に、生き血を吸わせて、神の御怒りを鎮めるらしいが、一体どこの風習なのかと思ってしまう。神官さんは、ゼロス教の元聖職者でも良いかと聞いたら、それでもいいらしい。結構、いい加減だ。
バンブーさんの事務所と繋いでいる『空間転移』用のゲートは、開いたままだった。うん、やはり、1回つないだ空間同士は、新たなエネルギーを与えない限り、繋がりっぱなしになるらしい。
それから、ケーキ屋さんに行って、フランシスカさんの好きなケーキを買うことにした。フランシスカさんは、凄く悩んで、チョコ一杯のデコレーションケーキにした。あと、悩んでいたフルーツタルトケーキも買うことにした。それ位のお金はいつでも持っている。タルトケーキは、小分けにしていたので、30個買うことにした。奥で、焼き上がったタルトを大急ぎで切っているようだった。
夜、大広間で誕生パーティを開いた。フランシスカさんは、顔を上気させながら、思い切って15本の蝋燭の火を消した。僕からのプレゼントを貰って喜んでいたが、その意味を理解していなかったようだ。もしかすると、婚約指輪という存在を知らないのかも知れない。婆やのフミさんがフランシスカさんに耳打ちをしていた。聞いていたフランシスカさんの顔が赤くなっていく。そして、ようやく意味を理解したらしく、大粒の涙を流し始めた。フミさんが優しく肩をさすっていた。
誕生パーティ-には、スターバ将軍の孫娘のジェリーちゃんも招待していた。フランシスカさんの指輪を見て、顔を真っ青にしている。うん、でも、まだまだ駄目だよね。誕生パーティ及び婚約披露パーティは無事終了した。ケーキや料理はセバスさん達の分もあったので、お持ち帰りして貰った。
クスシさんが、僕を見つめている。何か、用事があるのだろうか。以前、どこかでお会いしましたかね。いまだに10人の顔と名前が一致しない僕だった。その日の夜、フランシスカさんと一緒に寝たが、何事も無く終わった。いつものように、軽いキスをして、裸足の脚を絡めて来るだけだった。
フランシスカさんは、きっと結婚と言うものが何なのかを知らないんでしょう。精神年齢は、10歳児です。




