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紅き剣と蒼き盾の物語(コミュ障魔王と残念エルフの救世サーガ)  作者: 困ったちゃん
第15章 グレーテル市内に一戸建てを買いました
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第147話 スケート対決をしました。

 前回や今回は、お話の展開には全く役に立ちません。ただ、面白いかなと思って、書いているとこんなお話になってしまうのです。

(1月11日の午後です。)

  いよいよ、スケートの対抗競技が始まった。各チーム5名ずつのリーグ戦だ。僕は、2回滑らなければならない。1回5周の勝負だ。


  最初の相手は、デッセン伯爵領チームだった。僕の相手は、2mを超える超長身選手だ。今日の僕の履くスケート靴は、競技用の刃が長くなっている物だった。引っ掛からないように注意しなければならない。ウエアも貸してくれると言ったが、股間のモッコリ恥ずかしいから、飛行服のまま出場した。


  スタートラインに立った。スタート合図が鳴る。相手選手が飛び出した。僕は昨日の様に大きく左足を踏み出した。刃が長い分、力が入りやすい。僕はグイーーンと加速した。最初のコーナーで、相手の後ろに追いついた。相手が、インを取っているので、アウトから抜こうとした。その時、急に相手は外に膨らんで来た。激突された僕は、大きく外に膨らみ、壁に激突した。


  相手選手は、そのまま先へ行ってしまった。なるほど、そういう競技か。納得した僕は、大きく滑り始めた。相手が次のコーナーを滑り終えようとする時、僕は、すでに追いついていた。直線で逃げようとする相手に構わず、右側から一瞬で前に出て行く。相手が、妨害しようと右に進路を変更したが、間に合わない。


  次の2週で、また相手の後ろに追いついた。ちょうどコーナーに差し掛かった。相手の右横を通り過ぎようとしたとき、相手は、また右に膨らんで来た。明らかに衝突狙いだ。僕は、そのまま、5m近く跳躍し、前方3回転をしてからはるか先に着氷した。当然、対象を失った相手は、コントロールを失って壁に激突した。僕の圧勝だった。敵チームから、魔法を使っただろうとクレームがついたが、審判魔導士が魔法痕跡を調査しても何も検出されなかったので、勝利が確定した。


  チームは、3勝2敗で勝利した。勝負中、クレスタが、何かヒラヒラしたボールのような物2つを振って応援してくれた。途中、大きく足を上げるものだから、観衆が、競技ではなくて、クレスタばかり見ていたのはしょうが無いと思った。


  次は、デゴマ男爵領チームとの勝負だ。相手チームは、小人族を集めている。おかしい。体力勝負なら絶対巨人族が有利なのに。理由は、直ぐ分かった。コーナーがとにかく早い。コーナー速度だけだったら、僕も敵わない。


  相手は、全く速度が落ちないばかりか、コーナーでチョコマカと足を蹴りだし、加速していくのだ。僕は、直線勝負に出た。直線になるまでは、相手の真後ろに付き、直線になってから、右と見せかけて左から一気に抜く。その後は、絶対スピードの差で、離していく。


  筈だった。おかしい。スケートの刃が氷にへばりつく。あれ、この感じ、魔法だ。コースの外で、僕の前の氷にだけ、超低温魔法を掛けている者がいる。氷も、超低温になると、スケートの刃では溶けなくなり、全く滑らなくなってしまうらしい。これだけ離れていて、ピンポイントで魔法をかけ続けるのは、素晴らしい能力だが、相手が悪かった。僕は、ほんの少しだけ、自分の力を熱のまま前に放出した。他からは全く見えないが、氷の中で、魔法と僕の熱の争いだ。別に勝つ必要はない。氷の表面温度がマイナス5度位になってくれればよいのだ。


  再び、スケートが滑り始める。後は、いつも通り、直線で猛加速、コーナーで頭が氷面に着くほどの傾斜走行、そして猛加速。あまりにも僕の蹴りが激しいので、観客達に氷の欠片をまき散らしてしまった。またまた、僕の圧勝だった。


  次は、ブリッジブックさんが滑る番だった。ブリッジブックさんは、身長170ンチ以上の長身だ。相手は、やはり小人族だった。僕は、嫌な気がした。また、何かしてくるのではと考えてしまう。それよりも、ブリッジブックさん、そのスーツ、余りにもピッタリしすぎて胸のポッチがはっきり分かるんですけど。レースは始まった。圧倒的な差を付けてブリッジブックさんが先行する。残り、後1周というとき、ブリッジブックさんの進路上に、ほんの少しだけ、亀裂が入った。普通は、誰も気が付かない。


  しかし、僕の『遠見』スキルでは、はっきり見えた。今、滑っている敵の選手からは、魔力を感じない。きっと、また外からだろう。ダメだ、間に合わない。ブリッジブックさんは、見事に転倒して動かなくなった。敵選手は、ブリッジブックさんの脇を通り過ぎて行く。勿論、亀裂は無くなっている。僕は、魔法の発射元を探した。いた。敵の応援団席に、フードを被った魔導士が、立ち去ろうとしている。僕は『威嚇』スキルを思いっきり放射した。その魔導士は、その場でしゃがみ込んで気を失ってしまった。失禁、脱糞をしたことは、遠くにいた僕が知る訳がなかった。


  チームは、2勝3敗で惜敗だった。結果、3チームとも1勝1敗の引き分けだった。


  競技会の打ち上げには、デビタリア辺境伯も参加して、大きな宴会場の1室で行われた。各チームの選手と引率コーチなども参加していた。最初は、和やかに進んでいたが、お酒が入ったら、汚い手を使ったとか魔法を使っただろうという、まあ良くある口喧嘩になった。僕は、知らん顔をしてポテトのピザを食べていた。これは美味い。手をソースとチーズだらけにして食べていると、辺境伯が近寄って来て、僕に話しかけてきた。旅行身分証明に記載されているデザイア伯爵の添え書きと、国王陛下の勅書が気になったのだろう。僕は、『3等宝珠武功勲章』を見せて、北のダンジョンを制圧した話をした。辺境伯は、冒険者に関する知識が無かったので、通常人に見える僕が、なぜそのような武功を建てられたのか興味がわいたらしい。あす、昼食を一緒にどうかと勧められた。特に、異論がないので、ご招待に応じることにした。


  僕がトイレに行こうと、部屋の外に出ると、ブリッジブックさんが一人でいた。僕を見つけると、『ウフフ』と笑って僕の手を引く。


  嫌な予感がしたが、黙って従って付いて行くと、小さな小部屋に入って、いきなりキスをしてきた。僕は、ブリッジブックさんを力一杯押し退けて、逃げ出した。そのまま、クレスタを連れて、ホテルへ逃げて行った。クレスタは、何があったのか、直ぐ気が付いてくれたようで、その日の夜は、いつもより優しかった。


  次の日の昼前、デビタリア辺境伯邸を訪問した。え、ブリッジブックさん、何でここにいるんですか?ブリッジブックさんはデビタリア辺境伯のご令嬢らしい。正式には、ブりッジブック・デビタリアという名前だそうだ。


  僕は困ってしまった。昨日、あんなに邪険に扱ってしまったので、怒っているのではないかと心配になったのだ。クレスタは、平気な顔だった。デビタリア辺境伯は2mを超える長身だった。奥方も180センチはあるだろう。ブリッジブックさんは、奥方似なのだろう。しかし、この国の女性って、その方面に恥じらいとか節操って無いのですかね。ブリッジブックさん、僕を見ながらスカートの裾をめくりあげるのやめてください。昼食会は、和やかに終わった。ブリッジブックさんは、デビタリア辺境伯の隣、僕達の向かい側に座ったからだ。


  サロンに行って、お茶会になった。僕は、南の谷について、色々聞いてみた。南の森は、世界の果てに至る難所と言われている。深い森が続き、昼なお暗い場所だ。来月末までは、雪と氷に閉ざされて立ち入ることもできない。森の向こうには、大きな谷があると言われているが、はっきりしたことは分からない。その先は、1年中、雪と氷に覆われた極地となっているそうだ。あまりの寒さのため、植物が一切生えないところらしい。


  谷を渡る術がないので、真偽のほどは、分からないが、神々の国とも言われているらしい。雪と氷におおわれているのに、『フェニックス』いわゆる『火の鳥』の生まれるところと言われている。とにかく行ってみなければならない。ワイちゃんを使って、森をパスしても良いが、今までの経験から、森を横断することが大切なのだろう。そうしなければ、運命の扉が開かないような気がした。


  クレスタも、同意してくれたので、今月一杯、この街に滞在することにした。ブリッジブックさんが、街を案内したいと言っていたが、丁重にお断りした。クレスタとスケートをしたり、川で魚釣りをした。街は夏祭りで、花火をあげるらしい。二人で、大きな家の屋根の上に飛び乗り、花火を見る。クレスタが指を絡ませてくる。ゆったりとした時間が過ぎていく。


  この街は、美味しいものが多い。ケガニにホタテにサーモン。特に、サーモンとキャベツなどの野菜を鉄板で焼いて和の国風の味噌味のタレを掛けて食べる料理は絶品だった。後、羊肉とキャベツを一緒に焼く料理も美味かった。変な形の鍋を使っていたが、羊のしつこい油が皆落ちるように出来ているのだ。後で、この鍋を買って置こう。


  ラーメンも美味かった。スープが味噌味で、麺が太い。コクがあって、寒い時には、芯から温まるスープだった。


  クレスタと二人でいるとき、ときどきシェルさんが何をしているのか考えることがある。え、何故、シェルさんだけなんだろう。クレスタに、自分のこの気持ちの理由を尋ねてみた。クレスタは、『あなたの心の一番大切な所に、シェルさんがいるからよ。そこには、自分はいないみたいね。』と、寂しそうに言った。


  僕は、クレスタもシェルと同じ位、好きなのに、どうしてそうなのか分からなかった。1月31日、二人の新婚旅行は終わった。大量の『白い愛人たち』というお菓子をお土産に買った。

 これ以上、スケートやスノボーの話を続けても、しょうがないので、突然ですが、新婚旅行を終了させました。まあ、ハッシュ村の小屋での甘い1日で十分満足しているクレスタさんでした。

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