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紅き剣と蒼き盾の物語(コミュ障魔王と残念エルフの救世サーガ)  作者: 困ったちゃん
第15章 グレーテル市内に一戸建てを買いました
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第144話 モンド王国の国王陛下デル・モンド4世

魔人の国の国王様はいたってまともな国王様でした。

(1月5日です。)

  あれから、スターバ将軍閣下の孫娘、ジェリーちゃんが良く遊びに来るようになった。婆やさんと一緒に来ているが、最近、ジェリーちゃんの洋服のスカートの丈が短くなってきている。ジェリーちゃん、あなただけは清く正しく生きて欲しいと思うのですが。ジェリーちゃんとフランシスカさんは仲が良いみたいだ。きっと、精神年齢が同じ位なのだろう。


  今日は、シズさんの15歳の誕生日だ。ギルドに行って、シズさんの冒険者登録をすることにした。シズさんの冒険者ランクは『E』だった。まあ、妥当だろう。一生懸命、採取や掃除をしてランクアップしてください。後、ワイバーンの特殊個体が応札された。大金貨28枚だった。全てを預け、この前依頼していた大銀貨20枚を受け取る。これで、口座の大金貨は68枚になった。切りが悪いので、手持ちから2枚出して、残高70枚にした。手持ちのワイバーンを1匹、オークションに出そうとしたら、2匹ないかと言われた。言い値で買う方が2名いるそうだ。僕は、オークションに出す分の他に、2匹出し、1匹大金貨10枚で売った。代金は口座に入れて貰うようにお願いした。これで、口座残金は大金貨90枚になった。それからスケルトンドラゴンやリッチの魔石をゴロゴロ出して買い取って貰った。金貨7枚になった。うん、当分の生活費ですね。


  次に、王城に行って、宰相に屋敷の購入費の残金を支払わせてもらった。後程、屋敷の権利証を届けるそうだ。


  今日、シズさんは、父親のダッシュさんに会いに行くそうだ。僕は、シズさんの誕生日プレゼントを買いにティファサンに行く。ダイヤの指輪を買ったが、店長が、社長を連れて挨拶に来た。僕は、上得意らしい。もう、屋敷を買ったことは知っているらしく、今度、お嬢様達にご挨拶がてら新商品などをご紹介したいと言ってきた。『いつでもどうぞ』と立ち合いのイフちゃんが言ってくれた。いえ、それって、とても迷惑なんですけど。それから、ケーキ屋さんに行ってバースデーケーキだ。ケーキ屋さんが、皆さんの誕生日一覧を渡して頂ければ、お屋敷まで、お届けすると言ってくれたが、個人情報だし、必ず屋敷にいるとは限らないので、断ることにした。勿論、イフちゃんがだが。


  ダッシュさんは、吃驚していた。シズを預けて10日間、一体何をしたんだ。あいつは。『あいつ』とは、僕のことだった。シズさんは、ダッシュさんに剣の形を披露していたのだ。シズさんは、剣を構え、気を溜めた。軽く斬撃を放った。人形が砕けた。しかし、良かったのは構えだけ。剣を振る動作はぎこちない。ダッシュさんは、剣の振り方をシズさんに教えてあげた。構えの時のように、手の内は柔らかく、意識しないで振りかぶり、降り下ろす際には、スピードではなく、相手を斬る意識を持って振る。絶対に振り切らずに、相手の面の位置で、手の内を絞る。剣を止めようとしないこと。剣は、自然に止まる。


  今まで、ダッシュさんが、シズさんに剣を教えたことはない。どのみち、ものにならないだろうから、健康のためにと思ってやらせていただけだ。剣の形も、通っている道場で覚えたみたいだ。しかし、これからは違う。剣の理から教えていかなければ。ダッシュさんは、一人ニヤニヤしていた。今日の誕生パーティーにはダッシュさんも招待した。何故か、ジェリーちゃんもいる。皆でご馳走を食べ、ワインを飲んで騒いだ。最後に、ケーキだ。ケーキは、二段重ねの大きなものだ。なんと言っても30人分だ。ケーキの大きさも半端じゃない。


  シズさんは、ソワソワしている。今日は、自分が主役だ。それに、仮にだが婚約もしたつもりだ。きっと、今日、貰える筈だ。僕は、準備していたプレゼントを渡した。シズさんは、箱を開ける前から、泣いていた。中の指輪を見て泣き、左手薬指に嵌めて、また泣いた。ダッシュさんまで泣いている。あの、これは、あくまでも誕生日プレゼントですから。それ以上の意味は有りませんから。


  パーティが終り、僕がダッシュさんを家まで、送っていっている間に、シェルからシズさんへ、これからのことについて注意していた。正式に婚約をしていないので、一応、見習いとして扱うこと。これからは『シズ』と呼び捨てにすること。夜のセレモニーは、決して覗いたり真似しないこと。


  その日の夜、シズと二人っきりだった。昨日までと何も変わらない。あ、キスが長くなった。ベッドでは、大人しく寝ていた。夜、ふと目が覚めると、シズが僕の股間に手を伸ばしてじっとしていた。


  翌日、モンド王国に行く準備をする。デビちゃんへのお土産はネックレスにした。デザイア伯爵には、ダッシュさんの店のナイフにした。見た目が良ければ安くても良いと思っていたが、ダッシュさんのこだわりがあるようで、刃の部分にだけミスリルを打ち込んだものだった。上等な箱に入れて、大銀貨4枚だった。


  その日の夜は、皆とお別れパーティーだった。別にそんなに長い間ではないのに。何故かフランシスカさんが、自分も一緒に行くと、訳の分からない事を言い始めた。当然、無視することにした。この日の夜、そのフランシスカと一緒に寝る番だった。ベッドの中でもズーッとベソをかいていたが、抱きついてくるのだけは忘れなかった。


  翌日の昼過ぎ、クレスタと一緒に、デル・モンド市で泊まっていたホテルの部屋に『空間転移』した。階下に降りると、誰も居なかった筈の2階から、僕達が降りてきたので、フロントの人達が吃驚していたが、僕達だと分かると何故か納得していた。


  ホテルのチェックインが済むと、デザイア伯爵邸に向かった。挨拶と明日の国王拝謁の打ち合わせだ。デビちゃんも2階から降りて来た。僕を見つけると、飛び付いてきたので、クレスタが困った顔をしている。伯爵への挨拶を済ませ、応接間でグレーテル王国のお土産を渡す。デビちゃんが、とても喜んでくれた。伯爵も、見事な作りのナイフを見て目をみはっている。さすがダッシュさん、値段以上の良い仕事をしています。翌日、午前11時に宮城前で待ち合わせると言ったら、馬車でホテルまで迎えに来ると言ってくれた。


  ところで、今まで何処に居たのかを聞かれ、市内を見て回ったと嘘を言ってしまった。でも、グレーテル市の商標の付いているお土産を渡しているので、バレバレだとは思ったが、皆、知らんぷりをしていた。


  この日の夜は、市内の高級レストランで食事にした。デビちゃんも一緒だった。メニューは、海老料理メインのフルコースにした。ワインも頼んだが、少し渋味が強く、僕は余り好きでなかった。というか、酒類そのものが好きではない。飲めないわけではないが、『酔う』ということが無いので、酒類を美味しいと思わないのだ。


  食事が終わり、デビちゃんを伯爵邸に送ろうとしたら、今日は、僕のホテルに泊まると言う。もう、伯爵の了解をとったと言うのだ。伯爵は、何を考えているんですか。幼い娘を男と一緒に外泊させるなんて。まあ、何も無いんですけどね。前にも一度、一緒に寝てるし。


  デビちゃんとクレスタの3人で寝ることにした。お休みの軽いキスだけだったけど、デビちゃんが、クレスタの透け透けネグリジェから見えるナイスバディに目を丸くしていた。そういえば、以前は、こんなに透け透けじゃあなかった気がするんですけど。


  翌日、正装で迎えの馬車に乗り、宮城に向かうことにした。デビちゃんも一緒に乗っている。宮城では、直ぐに謁見の間に通された。玉座には、身体の大きな国王陛下が座っていた。脇には、ブッシュ将軍も立っていた。


  「余が、デリシャス・デル・モンド4世じゃ。」


  僕達は、それぞれに自己紹介をする。僕は最敬礼、クレスタはカーテシで敬意を表す。拝謁の儀式は、これで終わった。それから、北のダンジョン攻略に対し、『3等宝珠武功勲章』が授与された。


  それから、昼食会だ。デビちゃんも参加している。それと同い年くらいのお姫様も一緒だった。きっと、デリシャス国王陛下の王女殿下なのだろう。デビちゃんより頭一つ大きいが、顔の幼さは同じだった。


  国王陛下は、北の大陸の国情について色々聞いてきた。クレスタが、王国の制度や宗教、特産について詳しく話していた。今後、あの洞窟を開発し、洞窟内宿泊ポイントを作れば、20日程度で、カーマン王国と往来出来る筈と説明していた。クレスタは、少し誤解していた。僕がクレスタを背負って歩く速度は、常人の3倍以上だったので、洞窟の往復には、30日以上はかかる筈だ。だが、交易のために、馬車が通れるくらいに洞窟を拡幅すれば、劇的に利便性と速度が上がる筈。土魔法の魔導士を大量投入すれば可能だろう。


  デザイア伯爵の交易許可は直ぐに降りた。これで、莫大な関税と所得税が約束されたのだ。当然、王室も、上納金が見込めるので、ウイン・ウインだ。午後、先程の王女殿下とデビちゃんと一緒に王宮内を見て回った。王女殿下は、デリカという名前で、デビちゃんと同い年だそうだ。身長は僕と同じ位だったが、やはり13歳らしく胸は全く無かった。


  途中、ブッシュ将軍と会ったら、そのまま王国軍司令部の鍛錬場に連れていかれた。そこにはルーズ大尉もいた。ルーズ大尉は、僕の実力の一端を知っているが、ブッシュ将軍達は、誰も知らなかった。是非、手合わせをして頂きたいとの事だった。


  僕は、軽い気持ちで立ち会うことにした。その辺に転がっていた細い柳の枝を持った。皆は、驚いた。あんな細い枝では、木刀を受けることも出来ないだろうと思ったからだろう。最初は、身長180センチ以上の巨人族だった。僕よりも、30センチ以上大きい。相互に構える。僕は、枝をぶら下げているだけだ。相手の素晴らしい面が打たれた。間合い、速度そして気合い全てが、その一撃に込められていた。僕は、打突の一瞬手前、僅かに左に避けた。相手の木刀が僕の右脇を通りすぎる。相手の、流れた木刀の上を、僕の柳の枝が擦り上がって、相手の右親指をピシリと叩いた。相手は、木刀を落としてしまった。その後、3人と立ち会ったが、誰も、僕の柳の枝を触る事が出来なかった。


  最後に、ヒゼンの刀を抜き、明鏡止水流の二十の型を披露した。弱い『斬撃』を飛ばしながらの型に、誰も近づけなかった。最後に、上空に向けて思いっきり『斬撃』を飛ばした。轟音と共に雷雲が生じ、真っ赤な火柱が虚空に吸い込まれていった。空の雲に大きな穴が空いていた。きっと、王都中から、火柱が見えただろう。兵士達には、初めて見る光景だったかも知れない。剣技とも魔法とも違う。殆どの兵士は、ズボンの前が黒く濡れていた。

騎士団の人達、可愛そうです。人外のゴロタと争ってはいけません。

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