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第133話 クレスタさんと結婚しました

いよいよクレスタさんの生まれ故郷に到着です。結婚式は、クレスタさんが24歳になる前にするつもりです。

(10月28日、チェダー市に到着しました。)

  僕は、一度来たことがあるので、懐かしい感じがしたが、シェルさん達は、初めての訪問である。クレスタさんの両親と会うのに、変に緊張していた。特に、シェルさんは第一夫人という事になるので、威厳を保とうとして、凄く滑っていた。ガーリック男爵夫妻との話し合いで、結婚式は、11月1日になった。その日は、エーデル姫の誕生日だが、エーデル姫は何も考えていないようでニコニコしている。あのう、あなたの誕生日ですが大丈夫ですか?



  ウエディングドレスは、お姉さんのお下がりを着るそうだ。胸の調整だけで着れるようだった。お姉さんも長身の超絶美人さんだった。


  それからが忙しかった。クレスタさんを連れて、リンダバーク村にあるクレスタさんの仲間のアジトに行った。クレスタさんは、最初、次元の切れ目から、アジトが見えるのに、吃驚していたが、空間を跨いで向こう側に行くと、今度は感動していた。


  アジトには、皆がいた。急に空間に切れ目が出来て、クレスタさんと僕が出てきたのには、皆、吃驚していたが、皆、魔導士として活躍していたことから、失われた古の魔法、『空間転移』の事は知識としては、知っていたので、騒ぎは直ぐに収まり、クレスタさんとの再会を喜んでいた。


  まだまだ、忙しい。僕は、土魔法で、お風呂を作ると、皆をお風呂に入れた。平素、シャワーだし、ここ最近は冷え込んで来たので、シャワーも週に1回位しか浴びなかったせいか、物凄く女性特有の匂いがしていた。全員が、お風呂に入った後、とりあえず、街に行く恰好をして貰った。武器は持たなくて良いと伝えた。皆、精一杯のおしゃれをしたが、クレスタさんのミニスカート姿とは1世紀位の差を感じた。


  僕は、次元の切れ目を、エクレア市のガチンコさん店の裏庭とつなげ、皆を向こう側に行かせた。ガチンコさんから、エーデル姫用に作り直していたレイピアを受け取った後、クレスタさんの案内で最新モードの服を買いに行った。普段着のミニスカート上下とフォーマルのミニスカート上下、下着、靴下、靴、コートと一通り買ったら、もう夕方になってしまった。もう金貨5枚以上は買っている。


  最後に、高級バッグ店でブランドハンドバッグを、宝石店でネックレスとブローチを買ってから、チェダー市の男爵邸に戻った。大金貨2枚が飛んで行ってしまった。ブランドバック店では、同じ商品を9個も置いていなかったので、少しバラバラになってしまったが、年長者から好きなバッグを選んでいた。


  それから、男爵邸の立派さに驚いていたが、後のことはクレスタさんに任せることにした。男爵邸は、十分な広さと客室があり、まだまだ余裕があった。


  夕食の時、エーデル姫に、例のレイピアを誕生日に先駆けてプレゼントした。ワイバーンの皮の鞘には、石突部分と鯉口部分に金の竜の装飾があり、水竜の地肌にシルバーウルフの毛で巻き込んだ柄にも、金の龍の装飾のある素晴らしく派手なレイピアだった。


  抜くと、赤みを帯びた刃体は、いかにも切れ味の良さそうな輝きを放ち、長さも、今、エーデル姫が使っているものと殆ど変わらなかった。


  エーデル姫は、感激のあまり、僕に長い長い長いキスをしていたが、クレスタさんの仲間達から顰蹙を買っていた事には全く気が付いていないようだった。シェルさんは、このレイビアが大銅貨2枚だったことに感激し、僕に感謝のキスをしていた。何の感謝なのか分からない僕だった。


  ビラが何となく不満そうな顔をしていた。自分だけ、特別な武器を持っていないという雰囲気だったが、クレスタさんの魔石装着機能付きの杖と違って、ノエルとビラはワンドだけしか持っていないことから、その内、魔法適性を見て、武器を選択してみるつもりだった。


  この結婚式を終えたら、直ぐにリンダバーク村に戻るつもりだ。クレスタさんの仲間達をアジトに帰すとともに、ノエルとの婚約を正式に決めなければならない。それから、クレスタさんとの新婚旅行に行くつもりだ。


  11月1日、チェダー市のアリエス教会で、結婚式を挙げた。父親のガーリック男爵は、最初から最後まで泣き続けだった。きっと親不孝な娘だったのだろう。それが、今や世界的に有名な男の妻となるのだ。まあ、有名な二つ名『殲滅の死神』という男ではあったが。


  それだけではない。エルフ大公国の姫や、グレーテル王国の姫と並んでの妻の地位を得ている。きっと、父親のカーマン王国での地位も、上がるであろうと周囲から思われていた。事実、お義父さんには外務大臣就任の声もかかっているらしい。


  その日、クレスタさんと二人きりで寝た。クレスタさんは、もう疲れ切っていて、今夜は早く寝ようと言ってくれた。僕に異存はない。お休みの軽いキスをしてから、二人で、ぐっすり眠った。






     『全能の王にして世界を救う者よ。目覚めの時は来た。南の谷を目指せ。』


     『全能の王にして世界を救う者よ。目覚めの時は来た。蘇りし雛を探せ。』


  僕は、また夢の中で声を聞いた。







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(11月3日です。)

  僕達は、リンダバーク村のノエルの実家に行った。ノエルやシェルさん達も一緒だ。当然、『時空の切れ目』を使って行ったのである。


  ダンテさんとワカコさんは元気そうだった。ワカコさんは、あれから治癒師として活躍している。教会の裏手が薬草園になっていた。ノエルは、ワカコさんに抱きついて、暫く泣き続けていた。ワカコさんも泣いていたし、ダンテさんも涙を浮かべていた。やはり15歳の娘の事が心配なのは当然であった。ひとしきり、泣き続けた後、ノエルさんが、僕と婚約したいと両親に告げた。15になった時に考えるという事だったが、もう15歳である。それでも、ノエルの考えが変わらないということだったので、両親も婚約を認めることになった。


  その日は、クレスタさんの仲間達や村長さんも一緒になっての婚約パーティとなった。食材の殆どを、僕が準備することになった。婚約しても、ノエルと僕は一緒の部屋では寝れないようで、ノエルが泣いて頼んでもダメだった。


  今日、クレスタさんに誕生日プレゼントを渡した。この前、王都に行った時に買ったものだ。ダイヤの耳飾りだった。金貨3枚の品物だったが、ゆらゆら揺れる度にキラキラ光って、非常に目立つものだった。ノエルには、すでに婚約指輪はプレゼントしていたので、今日は、特にプレゼントは無かった。


  それよりも、僕が、ノエルとビラに提案をした。もう一度、王立魔法学院高等部に入学するのだ。これからも、僕と冒険をし続けても良いが、自分の魔法を完成させるためにも、しっかりした指導者とともに勉強し直す方が良いと思うのだ。


  最初、僕と離れるのを嫌がっていた二人だが、月に1度は会いに行くという約束をして了解して貰った。学生の間は、『亀の甲羅武器店』の2階に住んで、通学すれば良いし、学費や生活費で困ることは全くないので、充実した学校生活が送れるはずだ。本人が希望したら、大学まで進学しても良いと思う。


  翌朝、早速、僕とシェルさん達は、グレーテル市に空間転移で移動した。ダッシュさんの店の裏だ。店に入ると、ダッシュさんとシズさんが店で暇そうにしていた。シズさんは、僕の姿を見ると、目を輝かせていたが、ビラを見ると、何故か目が燃えていた。怖い。


  ダッシュさんに、また、2階を借りることにしたいと言ったら、部屋はそのままになっているという事だった。2階に上がってみると、物凄く懐かしい気がした。当面の生活に足りないものを確認するとともに、今日は、皆でここに泊まり、明日、転入試験を受けに行く事にした。その日の夜、ダッシュさんとシズさんも交えて、食事に出かけたが、シズさんがズーッとビラの薬指の指輪を見続けていた。






  翌日、ノエルとビラを連れて、王立魔法学院を訪ねた。事務局長のスターシャさんを呼んで貰うと、すぐに出て来て、応接室に案内してくれた。用件を話すと、暫く待ってくれと言って、応接室を出ていった。高等部主任教授のマリアンヌ先生が来て、二人の今の実力を知りたいという。


  最初は、魔力測定だった。ノエルが600、ビラが240というとんでもない値をたたき出した。続いて、魔力測定人形を使っての魔法実技だ。


  最初、ビラが雷魔法を使った。


    「サンダー・スピア」


  無詠唱で、ワンドを突き出すと、目も眩むような青白い電撃が一直線に魔力測定人形に向かって走り、粉微塵に砕いてしまった。


  続いて、ノエルの番だ。代わりの魔力測定人形に向かって、火魔法を使う。


    「ヘル・ファイア・ボンブ」


  やはり、無詠唱でワンドを振り下ろすと、空から大火球が降り注ぎ、数発の小爆発の後、大爆発をおこした。周りにシールドを何重にも張っていたので、何とか無事だったが、魔力測定人形は存在そのものが消滅しており、地面はマグマのように真っ赤に溶けていた。


  転入試験は終わってしまった。ノエルは、魔法大学1年に、ビラは高等部3年に転入となった。細かな手続きと、今年度分の学費を一括納入した。二人とも、特待生として授業料を無料にして貰えたが、卒業後の進路の不自由さを避けるため、二人とも辞退させてもらった。シェルだって、きっとそうするはずだ。


  ノエルは、本来だったら、まだ中等部だったが、飛び級どころか高等部も飛び越してしまった。入学後も、認定試験に合格すれば、最短、さ来年の3月には卒業になるようだ。グレーテル王立学院高等部の制服は、ブレザータイプだった。制服は、学院から支給される。ビラは、ついにセーラー服を諦めた。これは、僕の狙い通りだった。


  魔法学院の制服は、既にミニスカートだったが、膝上5センチ位だったので、ビラは、腰のところで捲り上げて、膝上30センチ位にしていた。ブレザーの裾から、ほんの少し、スカートのチェック柄が見える程度だ。これじゃあ、絶対に、階段でパンツが見えると思ったが、本人は全く気にしていなかった。


  シェルさんと、エーデル姫は、それぞれ実家に帰る事にした。国王陛下や大公閣下への挨拶は気が重かったが、それをしないと、離婚したのかと勘ぐられてしまいかねないので、僕はあきらめて律儀にこなした。


  大体の予定が全て終わったので、いよいよ新婚旅行を兼ねて南へ向けて出発だ。王都の外へ出てから、ワイちゃんを呼んだ。クレスタさんの実家まで、空を飛んで行く予定だ。空間転移でも良かったが、クレスタさんが、空の旅をしたいという。まあ、新婚旅行だからそれでも良いかとなったのだ。


  二人は、飛行服に着替えたが、この前、着た時に少し小さくなっていたので、今回、グレーテル市で新調しておいたのだ。僕は、15歳位までは成長が遅かったようだが、最近、ぐんぐん大きくなってきた気がする。



  空の旅が、始まった。

え、ノエルとビラが再入学ですか。ノエルの制服姿は、もう見ることはできません。大学は、制服がありません。

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