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第129話 ノエルの15歳の誕生日。

トムの冒険者としての修行が始まりました。これからは、独りで活動しなければなりません。

(9月22日です。)

  今日、イチローさん達のアジトに行って、イチローさん達と警護の契約をしたことを、頭領に申し入れた。別に、了解を取るつもりはない。ただ、伝えに来ただけだった。


  番頭みたいな人が、『足切り料』とか『礼金』とか言ってきたので、シェルさんが惚けて、貰えるならば、今までの給金も貰いたいと言っていた。頭領の親分は、僕達の噂を聞いていたので、終始、愛想笑いをしていた。退職金だと言って、金貨1枚をくれた。文句を言っていた番頭が、しこたま殴られていた。


  これで、イチローさん達10人は、裏家業から足が洗えた訳である。







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(9月30日の午後です。)

  あれから、ずっと、朝、起きてから、剣の型の稽古をトムと一緒にしている。特に、トムの得意な『足さばき』を生かす動きを重点に教えている。それから、ギルドでダンジョンの依頼をこなしていた。


  ジェリーは、ノエルから魔法の特訓だ。同じ『聖』魔法使いだから、呑み込みが早い。それよりも、ノエルの教え方がうまいのだ。さすが、元僕の先生だっただけのことはある。


  『ヒール』は、もちろんの事、『ホーリー』や『キアリー』などの一連の聖魔法を教えてあげた。大司教国に行っても、きっと魔法の指導者はいるだろうが、基礎的なこと位は、今のうちに使えるようになって損はない。あと、水魔法だが、この魔法は、クレスタさんが基本的なところを教えていた。既にアイス・ランスやアクア・カッター程度なら使えるし、フリーズ系で相手を凍らせることも覚えた。


  魔力と魔法の威力は、使えば使う程強化されるので、いつも魔力切れを起こすまで頑張らせる。倒れたら、少し休ませて、ノエルの魔力を注いで、復活させ、またトレーニングだ。これはきついと思うが、魔力300以上は欲しいところだ。王国の魔導士長レベルが無ければ、大司教様が務まらないという、訳の分からない理由で特訓をしている。


  トムは、メキメキ腕を上げている。土魔法特性があったので、ロック・シールドを覚えてもらう。土で防御壁を作る魔法だ。実践でも役に立つ。最初の頃は、ゴブリンに回り込まれて、背面から攻撃を受けて、死にそうになってしまったこともあった。今は、ロック・シールドで背面を守りつつ、ゴブリンの足を切り飛ばしている。ゴブリンの群れのような集団を殲滅しようと思ったら、相手に致命傷を与える戦い方ではなく、戦闘能力を失わせる戦いをするのが秘訣だ。


  心臓を突き刺して、血まみれになりながら、相手の体から剣を抜くよりは、片足の脛を切り飛ばした方がずっと楽だし、ゴブリンには非常に有効である。このバカ魔物達は、我慢するという事を知らない。痛いと、地面を転がりながら痛がる。後で、頸動脈をスパッと切れば一丁上がりである。


  今日は、朝から最下層を目指している。最下層の魔物は、以前はアイアン・ゴーレムだった。今回もきっと同じだと思う。今は、新たに魔物が湧き出しているので、早期ダンジョンクリアをする必要がある。僕達は、他の冒険者達が、4階層で苦労しているのにも構わずに、どんどん、下に進んで行った。ドロップ品も結構あったが、僕にとって魅力のある物は無かった。トムも、魔石とドロップ品だけを回収する様になっていた。


  いよいよ地下10階層、最終階層だ。ここは、廃墟エリアだった。シーンとしている。突然、甲高い声が聞こえた。それと、女性の笑い声。見上げると、汚らしい全裸の女性が3匹、空を飛んでいる。ハーピーだ。僕達を見つけると、股の間を手で広げて、どす黒いものを見せ付けてくる。トムは、顔を真っ赤にしながら、ジッと見ている。まあ、そう言う年頃だから、仕方がない。


  近づいて来たハーピーの1匹が、突然、紫色の唾を吐いて来た。毒液だ。ハーピーの股間に見とれていたトムは、咄嗟に右に避けたが、左手に少し掛かってしまった。みるみる、左手が紫色に腫れてくる。エグい攻撃だが、相手の挙動をしっかり見ていれば、避けられない攻撃ではない。


  トムは、ショートソードを左脇に抱えて、ナイフをハーピーに投げつけた。ナイフが、肩に刺さったハーピーが、地面に墜落する。なかなか威力のあるナイフ投げだ。トムは、右手に持ち替えたショートソードで、ハーピーの首を切り落とした。切り口から、おびただしい紫色の血が吹き出て来た。きっと、この血にも毒が混じっているのだろう。


  僕は、剣を抜いていなかった。まだ2匹のハーピーがいる。もう、トムの飛び道具は無い。上空からの毒唾攻撃もそうだが、あいつらは、自分のウン●を投げつけてくる。とても嫌だ。


  僕は、人差し指を伸ばし親指を立てて、ハーピーを狙う。ハーピーの両肩を撃ち抜く。肩の付け根の羽根ごと両肩を失ったハーピーが、墜落して嫌な音を立てた。どこかを骨折したのだろう。トムが、トドメを刺した。トムの毒を、『キアリー』で解毒するのも簡単だが、市販の解毒薬を飲ませた。完全解毒まで時間が掛かるが、これも経験だ。毒でフラフラしながらも、意識をしっかり持ち続けなければ、早晩、命を失うことになってしまう。


  トムは、魔石を取り出すときに、ハーピーの股の間をチラチラ見ていた。それじゃあ、怪我するよと思ったら、案の定、指を切っていた。魔石も、毒まみれだったが、洗濯石で綺麗にした。トムは、僕に気づかれない様に、洗濯石を自分の股間に当てていた。見なかった事にしよう。


  ドロップ品は、大人のオモチャだった。捨てていく。トムが、勿体なさそうな顔をしていたが、どこで売るつもりなんだろう。


  ラスボスは、やはりアイアンゴーレムだ。こいつは、物理攻撃に滅法強い。ほぼ無敵だ。魔法攻撃も外部からの攻撃は、そこそこ防御してしまう。僕は、イフちゃんに椅子を出して貰って、座ることにした。トムを呼んで、以前のドロップ品の余りのミスリルソードを渡した。


  まず、ゴーレムの左膝関節だけを狙う様に指示した。動きは、トムの方が格段に早い。必ず、勝てる筈だ。長期戦が始まった。ゴーレムの動きは緩慢だ。今のトムの運動能力なら、捕まることはない。攻撃も単調だ。踏みつけるか、殴りつけるしかない。


  トムは、右に、右にと回りながら、ゴーレムの左膝に攻撃を続けた。30分以上も掛けて、やっと左膝を切断できた。ゴーレムは、一旦、倒れたが、直ぐ立ち上がった。右膝を折り、高さを揃えている。然し、移動は簡単にはできなさそうだ。


  次は、背面から飛び上がって、左腕の付け根を狙う。3m位ジャンプして、上から切り下げる。連続して攻撃する。


  これは辛い。10分もしたら、大きく肩で息をしている。いくら、持久力があっても、100回近くジャンプをしているのだ。無理も無い。疲労回復のポーションを3本飲み、攻撃再開だ。結局、左腕が、ブラブラになるまで、やはり30分以上掛かってしまった。


  トムは、一旦後方に下がり、助走を付けて、ゴーレムの背中に思いっきり飛び蹴りをした。物凄い音と共に、ゴーレムは前のめりに倒れた。片腕、片足では立ち上がる事は出来ない。後は、首に集中攻撃だ。途中、休みながらだが、1時間ほど掛けて、首の切断に成功した。


  切断したと同時に、ゴーレムは、金属の欠けらに崩れてしまった。大きな魔石が転がっている。ドロップ品は、ミスリルソードだった。トムは、借りたミスリルソードの刃こぼれが酷いので、新しいミスリルソードを僕に返そうとしたが、僕は、貸した方を返して貰った。ミスリルソード位、『復元』で簡単に修復できるのだ。


  金属の欠けらは殆どが、鉄鋼だったが、中にミスリルの破片もあった。魔石とミスリルの破片を回収して、帰ることにした。トムは、疲れ切った顔をしていたが、目が笑っていた。


  ギルドに戻って、魔石とミスリルの破片を納品した。依頼完了報酬も含めて、金貨4枚になった。一般人の年収分だ。トムのレベルも19まで上がっていた。今回の依頼達成で、『C』ランク昇格だ。


  きっとソロでも、『B』ランクまで行くだろう。ギルドでは、最年少『C』ランク誕生に湧き上がっていた。普通は、『D』ランクまで1年、『C』ランクになるのは、早くても3年位は掛かるのが普通だ。後は、仲間を見つけて、いいパーティーを作って貰いたい。


  夜、ノエルの誕生パーティーと兼ねて僕の誕生パーティーをした。ワイちゃんも呼んだら、ブラックさんとバイオレットさんも付いて来た。イチローさん達も招待したので、全員で28名の大パーティーだ。


  イチローさん達は、高級ホテルのフルコースは初めての様で、緊張していた。当然、トム達も初めてだ。この前から、このホテルの滞在費は、僕が払っているので、何も問題が無かった。流石に、リオン国王の接待では、気が引けてしまう。


  ノエルへのプレゼントは、ダイヤの指輪にした。周りに小さなサファイヤが囲んでいる。金貨4枚半だった。昨日、1人でグレーテル王国の王都に行って買った来たのだ。買い物の補助は、イフちゃんにお願いした。店の店長は、慣れたものなので、10歳の女の子の注文にも、真摯に対応してもらっている。


  ノエルは、大喜びをしていた。婚約はまだだったが、もうそろそろ、指輪が欲しいなと思っていたようだ。


  急に、ビラが泣き始めた。自分だけが、指輪を貰ってないからだ。大司教様が、『自分も貰っていないから。』と慰めていた。全く、慰めになっていない。見かねたシェルさんが、今度の誕生日には、きっと貰える筈と、根拠のない慰めをしていた。


  料理は、チョウザメの卵の塩漬けから始まって、アワビのスープ、ザリガニの蒸し焼き、鹿肉のレアステーキと、豪華なものだった。飲み物は、泡の出る白ワインだったが、ボトル1本で大銀貨2枚もする高級品だった。ブラックさんやバイオレットさんには、ワインは少しだけにして貰い、あとは、トウモロコシから作った蒸留酒をそのまま飲んで貰った。大きな瓶が何本もならんでしまったが、発泡ワインに比べたらタダみたいなものだった。


  食事終了後、屋上の大浴場を貸し切って、皆でワイワイ入った。イチローさん達とトム達は入らない。まあ、そうだろう。


  皆で、身体測定だ。


    僕    159センチ

    シェルさん  157センチ

    エーデル姫  166センチ

    ノエル    150センチ

    クレスタさん 175センチ

    ビラ     165センチ


  僕が1年で、8センチ伸びた。シェルさんを抜いてしまった。全体的に、筋肉質になって来たような気がする。


  体重も52キロになっていた。しかし、大事なところはほとんど変化がない。


  皆で、ゆっくりお風呂に入っていると、大司教様が乱入して来た。全く前を隠す気がない。『ちっぱい』は知っていたが、下も殆ど生えていない。こんなのばっかりみたいで、ガッカリしている僕だった。


  ところで、なんでレイミさんも入って来るんですか。レイミさんは、大人だけあって、オッパイも大きいし、下半身も大人だった。あ、嫌な気がして来た。やっぱり、レイミさんの後に、婆やのフミさんも入ってきた。婆やさん、そのナイスバディの前、隠してください。フミさんは、一体何歳なんだろうか。身体は随分若く見えるが。


  僕は、お風呂の中で、近づいてきた大司教様に警戒していた。大司教様、そこは摘むところではありません。引っ張らないで下さい。


 あわてて、1人、お風呂を出た僕だった。


  翌日、僕は新しい冒険服を買った。鎧の調整は、自分でしたが、もうそろそろ、作り直さなければならないかも知れない。明日、西に向かって出発する予定だ。細かな旅の用品も準備した。大型テントも2つ準備した。イチローさん達用だ。


お約束の入浴シーンでした。これから、ずーっと大所帯で移動するのでしょうか?

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