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第127話 帝都リオン市のトムとジェリー

獣人の国の帝都に到着しました。前にも似た状況がありました。

(9月11日夕方、帝都に着いた。)

  中央フェニック帝国の帝都、リオン市に到着した。もう夕方だったので、城門が閉まる前に市内に入ろうとする人たちで一杯であった。城門の外には、入れなかった人たちを相手の簡易旅館や食堂が軒を連ねていた。


  僕達は、駅馬車に乗ったまま、列に並ぼうとしたが、大司教様の執事さんが車外に出て、門番の中でも偉そうな人に話しかけていた。しばらくすると、正門が大きく開けられ、駅馬車に中に入るように案内された。ラッキーだったのは、僕達以外の一般乗客達だった。城門内に入ると、すぐ脇の衛士詰所から、衛士長が出て来て、皆の身分を確認していた。イチローさん達は、驚いたことに冒険者カードを持っていたので、入城OKだった。


  僕達の冒険者証を見て、衛士長の顔が青ざめてしまった。実際には、狼人だったので、顔色は分からなかったが。本日の宿泊先を聞かれたので、未定であると伝えたら、帝城の近くのホテルを紹介された。イチローさん達は、いつもの通り、別の一般ホテルに泊まるそうだ。宿泊費はいくら補助があるからと言っても、自分持ちなので、廉価なホテルに泊まるらしい。


  城門から、ホテルまで、馬車でゆっくり走って1時間の距離だった。ホテルは、かなり大きなホテルで、車寄せには、ポーターが大勢並んでいた。また、このパターンかと、うんざりして来た。持つ荷物も無いのに部屋まで付いてきて、チップを欲しがるのだ。僕達の荷物はもちろんの事、大司教様一行の分までイフちゃんに預かって貰っている。イフちゃん、もう、殆どクローク係だ。


  馬車のドアを開けてくれたので、降りて待っていると、ポーターの一人が、荷物はありますかと聞いてきた。荷物が無いということを聞くと、吃驚したが、それ以上付いて来ることは無かった。良かった。


  フロントで。ホテルの部屋を取ろうとしたら、すでにスイートルームを取っているとの事だった。いや、部屋代が高いから断ろうとしたら、帝室から費用は貰うことになっているので、本日の滞在費は不要だと言われた。いい皇帝陛下かも知れない。しかし、何故だろう。イチローさんが、『レイド村での事件解決が評価されたかも知れません。』と言っていた。


  僕達は、久しぶりにスイートルームで寝ることになった。主寝室にはキングサイズのベットが2つ、並べられており、控えの部屋にはダブルベッドが2つ並べられている。ビラは、控えの間で1人で寝て貰い、僕達5人で主寝室で寝ることにした。僕は、今日は、早く寝たかったので、ちょっと嫌だった。


  食事は、ホテルのディナーコースにした。大司教様は、婆やのフミさんと二人で座ったので、執事さんとレミイさんにも座るように言ったが、とんでもないと断られてしまった。でも、その恰好で立っていられると、レストランの人達も困ってしまうので、部屋でルームサービスを取って貰うことにした。食事中、暑いので、ローブを脱ぎたいと大司教様が言い始めたので、婆やのフミさんが仕方なく、脱がせてあげたが、フランシスカ様、その恰好はおかしいでしょう。いくら『ちっぱい』だからって、ブラジャーもせずに白いニットセーターは。下は、赤のプリーツミニで、しかも生足に、皮ブーツだし。大司教国では、普通の恰好だったみたいだが、此処では色の濃いセーターにしましょうね。そういえば、婆やのフミさんは、黒のロングドレスを着ている。いや、脱がなくていいですから。








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(帝城内です。)

  帝城内のレオ・ナルド・デ・リオン4世皇帝陛下の執務室では、皇帝陛下と重鎮が集合していた。


  「すると、何か、フランシスカ・エド・ゼロシッシュ32世大司教様がお忍びで我が国に来たのか?」


  「御意。」


  「で、同行者が、シェルナブール・アスコット・タイタン公女殿下だと。あの『獅子王』の娘にして、グリーンフォレスト連合公国の次期女王陛下となられる予定の方か。」


  「御意。」


  「それと、もう一人がグレーテル王国のエーデルワイス・フォンドボー・グレーテル王女殿下だと。」


  「御意。」


  「最後に、その者達と結婚又は婚約しているのが、あの『殲滅の死神』だというのか。」


  「御意。」


  「ああ、災難だ、大厄災だ。誰か、塩を持ってこい。」





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  僕達は、いつものお休みのキスをしてから、夜のセレモニーをしている。今日は、ビラ以外の全員とセレモニーをする約束だ。クレスタさんが最初で、最後がノエルだった。今日は、ノエルと寝る予定だったが、明日の予定のシェルさんが反対側で寝ている。もう、セレモニーが終わっているので、眠るだけのはずだが、なかなか寝てくれなかった。


  翌日、僕達は、冒険者ギルドに行ってみた。以前、競売に掛けたワイバーンの特殊個体の入札状況を確認したら、すでに応札されていた。大金貨25枚だった。みな、吃驚した。これで、僕の口座残金は大金貨60枚になった。


  ギルドの裏で、ケルベロス1匹とシルバーウルフ4匹、シルバーウルフの頭8個を出して、値踏みして貰った。シルバーウルフの頭は、即金で金貨5枚で買い取られたので、大金貨4枚になった。そのままイチローさんに渡したら、怪訝そうな顔をした。


  給料年払いの、前払いだ。イチローさん達は、大金貨など手にした事もないので、興奮していたが、取り敢えず、一旦、シェルさんに預かって貰い、3か月に一度、金貨10枚を貰うことにした。


  女性達は、買い物に行くことにしたようだ。特に、サクラさん達は、オフの時に着る洋服を買うそうだ。まあ、メイド服は、メイド服風の防護服だから、スカートのフリフリ感に欠けてはいたが。


  大司教様もレミイさんと買い物に行く事にした。うん、ブラジャー買いましょうね。


  後、レミイさんのメイド服以外のフォーマルミニとかカジュアルミニとかも買うそうだ。どうしてもミニが良いのですか。婆やのフミさんは、絶対にミニを買ってはいけません。僕は、強くそう思ったが、きっと買うのだろうなと諦めるのであった。


  ギルドのレストランで、一人ボンヤリしていると、若い犬人の男の子が、声を掛けて来た。


  「あのう、冒険者さんですか?ポーターさんですか?」


  黙って、固まっている僕。


  「冒険者さんなら、一緒にダンジョンに潜ってくれませんか?お金は払います。僕たち、どうしてもレベルを上げたいんです。」


  見れば、後ろには、同じ年頃の女の子もいた。2人は良く似ていた。まあ、獣人の見分けが不得手な僕の感想ではあったが。僕は、2人に椅子に座るように、手振りで合図した。


  事情を聞くと、2人は双子の兄妹で、冒険者になったばかりだそうだ。で、現在、『E』ランク。何とか討伐に行けるレベルだ。しかし、ソロで行くには無理がある。殆どの冒険者は、『E』ランクまでで死んでしまうのだ。攻撃力と防御力が圧倒的に足りないからだ。だから、高ランクのパーティーに入れて貰えればラッキーなのだが、普通は、そう上手く行かない。殆どが、荷物持ちか囮役、酷い時は逃げる時の魔物の足止め役だ。高位冒険者の友人か親族がいれば、なんとかランクアップが図れるだろう。


  2人には、他に兄弟はいないそうだ。両親も13歳の時に死んだと言っていた。それからは、街の掃除とか、荷物の配達の手伝いをしていた。


  浮浪者同然のところを、ギルドのポーターに誘われて、ずっとポーターをして来た。そして、15歳になったので、冒険者登録をしたが、採集や掃除では能力レベルが上がらず、『E』ランクにはなったが、その後、もう数ヶ月経ってしまったそうだ。


  僕は、黙って、依頼ボードに行き、『D』ランク依頼で、腐ったような依頼を持ってきた。近くのダンジョンに行って、魔光石の採取だが、枯れたダンジョンでは、深く潜らなければ魔物のドロップはでないはず。なのに報酬が『D』ランク相当では、誰も受けたがらない。


  僕は、これを受けるように、紙を差し出した。勿論、無言のままだった。男の子、名前は『トム』と言うそうだが、妹は、『ジェリー』という。決して、猫とネズミではない。れっきとした犬人である。トムは、依頼書を持って、受付で手続きをした。現在のランクの1ランク上までは、依頼を受けることが出来るから、問題はなかった。達成報酬の大銅貨4枚は、僕が貰うことにした。


  早速、ダンジョンに出かけた。2人の足で1時間の距離だ。10キロ位か。犬人は、猫人同様足が早いそうだ。トムの装備はナイフ、ジェリーの装備は樫の棒だ。服は、冒険服でも何でもない、ただの普段着だ。よく、これで生き延びて来たものだ。


  ダンジョンは、枯れきっていて、相当、深く潜らなければならないはずだった。しかし、驚いたことに第1階層からゴブリンの群れだった。僕が先に入って、ライティングの魔法を掛けて明るくすると、ゴブリンどもの真っ赤な目が光っていた。


  僕は、広範囲な『威嚇』を、ゴブリンが死なない程度に掛けた。全てのゴブリンが、その場で気を失った。トムに魔石を取るように指示した。慣れた手つきだ。しかし、生きたまま魔石を取り出すのは、初めてだったので、焦って上手くいかない。僕は、最初にトドメを刺すように教えてやった。手振りでだが。


  ジェリーには、僕の肉捌き用ナイフを貸してやった。ジェリーの方が手際が良かった。ゴブリンの死骸が無くなった段階で、カードを見たら2人とも、レベル4だった。『1』上がったらしい。1階層だけで、ゴブリンが30匹以上出てきた。おかしい。このダンジョンも何か起きているのだろうか?


  第2階層は、ゴブリンソルジャーだった。剣、弓、槍を構えている。


  僕にとっては、何も変わらない。剣を抜くまでもない。ただ、トム達が魔石を取る時に鎧が邪魔になるだけだ。ここでは、ゴブリンからドロップ品が回収できた。『魔光石』だった。10個ほど回収できたので、クエストクリアだった。


  トムが、魔石の他に剣や防具を回収しようとした。あまり価値はなかったが、彼らにとっては、貴重だろうから、持てるだけ持たせてから、帰ることにした。空間移動で帰っても良かったが、彼らの訓練も兼ねて、回収した鎧や県の入った大きな荷物を持たせて、ギルドに帰ることにした。


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