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第111話 新婚旅行に出発しました。

新婚旅行は、二人だけの筈ですが、イフちゃんも付いてきました。と言うか、イフちゃん付きのベルの剣を持っていってるだけです。

(5月5日です。)

  今日は、新婚旅行に出発する日だ。僕は、新しく仕立てた冒険者服を着ている。この前、身長を図ったら、シェルさんとほぼ同じ156センチだった。どうも、最近、服がきついなと思っていたら、身長が伸びていたからだった。


  まあ、今年17歳になる割には、まだまだ小さいが、これからは『10歳位の少女。』とは呼ばせない。『13歳位の男の子』だ。もう『お嬢ちゃん』とか『坊や』ではない。『お兄さん』に格上げだ。


  そんな馬鹿な事を考えている僕だった。


  今度の冒険者服は、色は緑色、素材は木綿と羊毛の混紡で、襟付きのシングルジャケットで両胸、両脇に蓋付きポケットがあり、肩には肩紐止めが付いている。殆ど公国軍の制服みたいだが、素材と色合いが少し違うようだ。


  シェル用のおんぶ紐も持ってきたので、移動はかなりの速度で可能だ。ワイちゃんに頼めば、簡単なのだろうが、それでは、二人っきりにはならない気がした。


  イフちゃんは、『ベルの剣』が有る限り一緒なので、無視することにした。


  森は、段々深くなり、道も馬1頭が漸く通れる位の幅しかない。エルフの公国は、自給自足が原則で、森の恵みで生活をしている。大規模な交易がないのも、その必要性が感じられないからだろう。しかし、結婚相手だけは、他の郷から連れて来るのが一般的だそうだ。大公閣下も、南のサーズデイ公国の出身だ。


  ウッドワン公国に入ったのは、出発してから、7日目、5月12日だった。途中、村が3つと集落が1つあったが、旅館は無かったので、すべて野営だった。2人用のテントで、シェルさんと一緒の寝袋に入って寝ていると、最初の頃の旅を思い出す。


  僕もシェルさんも変わった。僕は、自分が何であるか、薄々と感じて来ていた。シェルさんは、恥じらいが無くなった。今も、僕の右手を自分の股間に挟んでいる。シールドは、しっかりと掛けている。森の動物を驚かさないためだ。


  ウッドワン公国に入って直ぐの集落に来たときである。この集落は、20戸ばかりの集落だったが、何者かに襲われたあとであった。至るところで、黒煙が上がり、男のエルフが数十人、倒れて動かない。見ると、全て胸を貫かれて、地面に黒いシミが広がっている。


  イフちゃんに頼んだところ、3人の生存者がいるとのことだった。その生存者は、集落の外の大きな木の上にいた。母親と娘2人だ。僕達の姿を認めて降りて来た。


  母子と集落に戻ると、自分の家に走っていったが、中には誰もいなかったようだ。聞くと、武装したゴブリンに襲われたようだ。集落の男は、武器をとる間もなく、殺されてしまった。残された女、子供は拐われて行ったのだろう。まだ、襲われて間がないので、無事かも知れないと言っていた。


  僕は、シェルさんを抱えて急いだ。間に合ってくれ。ゴブリンの巣は、当てが付いている。南の森だ。臭いが強く漂ってきている。魔物の腐ったような臭いと、血の臭いが混じっているが、精液の臭いがしないので、女達は未だ無事なんだろう。


  いた。数十匹の武装したゴブリン、ゴブリン・ソルジャーだ。20匹位が女や子供を抱えて歩いている。


  これから巣へ向かうのだろう。本来なら、ゴブリンの巣を突き止めてから、殲滅するのだが、今は救助が先だ。


  シェルさんが、手を横にして、僕に待つように合図した。ヘラクレイスの弓に、氷の魔石をセットして、構える。矢も弦もない。しかし、『ビュッ』と音がした。ゴブリンの手前、5m位の所でアイス・アローが現れた。全部で10本、5匹のゴブリンの心臓に2本ずつ命中した。次の矢も、既に他のゴブリンの手前に現れている。4射で全てのゴブリンが倒れた。


  シェルさんが、怪我をしている者に、ポーションを飲ませている。


  僕は、この先のゴブリンの巣に向かった。ゴブリン特有の腐ったような臭いの他に、血と精液の臭いが強くなっている。


    『不味い。』


  あった。ゴブリンの巣だ。ハイシダの木の陰だ。何匹かの見張りがいたが、僕は構うこと無く近づいた。1匹のゴブリンが、巣の中に走り込んで、仲間を呼ぶ。残りの数匹が、剣を振りかぶって攻撃してきた。僕は、切り捨てると同時に、気を破裂させる。ゴブリンの身体は、上半身が爆砕して、下半身のみになってしまった。数合で、地上のゴブリンが居なくなった。


  巣からゴブリン・ジェネラルが出てきた。左脇に裸の女を抱えている。既に死んでいるようだが、ゴブリンにとっては関係ない。犯して、犯して、犯す。飽きたら食う。それだけだ。このボスは、他のゴブリンに、この女を渡したくないので、抱えたままなのだろう。


  僕は、無詠唱でウインドカッターを飛ばした。ゴブリンの、女を抱えた左の二の腕を切断した。左腕とともに女の死体が落ちた。ゴブリン・ジェネラルが、左腕を抱えてのた打ち回った。


  僕は、土魔法で、大きな岩をそいつの上に出現させた。


    ボキッ、ゴキュッ、ベチャッ!


  ゴブリン・ジェネラルが潰れた。


  僕は、シールドを掛けて、臭いが分からないようにして、ゴブリンの巣に潜る。生き残っているゴブリンは、『威嚇』で、無力化した。エルフの生存者を探したが、誰もいなかった。


  巣を出てから、イフちゃんに頼んで、焼き尽くして貰った。それから、女の死体に近づくと、『復元』を掛けて、傷だらけの身体を元どおりにする。死せる者の傷を元に戻すのは、物の復元と同じで、大した『気』は要らない。


  イフちゃんにシーツを出してもらって、身体を包んでから、脇に抱えて集落に戻った。集落には、数人の男達と、女・子供達が帰ってきていた。僕が抱えて来た遺体を見て、一人の男が、大声で泣き崩れていた。奥さんらしい。


  僕は、シェルさんに合図をして、そっと集落を離れた。


  この辺の集落は、森に接して設営されているので、常に魔物襲来の危険にさらされている。しかし、少ない森の恵みを求めて、人里離れた森の奥に、このようにして住まざるを得ないのだ。






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(5月20日です。。)

  ウッドワン公国公都シンク市は比較的大きな都市だった。シェルさんのミニスカートが、珍しいのか、皆、チラチラとシェルさんを見ていた。大公国から西では、物凄い勢いでミニスカートが流行していったのだが、こちらでは、未だ誰も履いていない。


  樹上で生活する事が多いエルフ族には、ミニスカートは合わないと思うのだが、パンツを見られても、足を長く見せたいと言う女性心理が、僕には分からなかった。この都市でも、きっと明日には、ミニスカートを注文したり、ロングスカートの裾を切る女性が増えるんだろうなと思う僕だった。


  久しぶりのホテルだった。テントでは、洗濯石で身体の汚れを落とす位だったから、今日は、ゆっくりお風呂に入れる。部屋は、風呂付のダブルにした。窓から、東の白蛇山脈が見える。もう5月だというのに、山頂は白く雪を頂いている。あの山脈を超えて行くとなると、雪山支度もしなければならないだろう。明日、買いに行く事にした。


  お風呂は、二人で一緒に入った。


  久し振りにシェルさんを見たら、少しだけだが、胸が膨らんでいる気がした。気のせいかも知れない。やはり、気のせいだった。しかし乳首の周りだけだが、あばら骨が見えなくなっている。


  お風呂から上がったら、長い夜が待っていた。


  翌朝、起きてから市内観光をする。この市には冒険者ギルドがあった。公立ではなく、組合形式だった。組合費を払った冒険者だけが、依頼を受けることが出来る。だが魔石等の買取りは誰でも出来た。これは、ギルドの利益になるから、当たり前であろう。


  組合ギルドであるから、組合員以外には冷たいかと言うとそうではない。スポットで依頼を受けてくれる冒険者も、ギルドにとっては美味しい相手なのだ。僕達は、特に用がある訳ではなかったが、東の山を越えるための情報が無いかを確認したかったのだ。受付の女性エルフのところへ行ってみた。


  「いらっしゃいませ。ウッドワン公国公認シンク市冒険者ギルド組合にようこそ。本日は、どのようなご用件でしょうか。」


  僕達は、東の山を越えたいのだが、魔物情報等がないか聞いてみた。


  「東の山と言いますと、白蛇山脈を越えられるのですか?」


  「ええ、それで、白蛇山脈に出現する魔物がどのような物かを知りたいの。」


  「そうですか。ちょうど今、白蛇山では『S』ランク級の魔物が出ていて、討伐依頼が、山向こうのポール市から出ています。そちら方面に行かれるのでしたら、依頼を受けていただければ助かるのですが。」


  このギルド組合には、『B』ランクまでの冒険者しかおらず、『S』ランクの魔物など、挑戦しても、魔物の朝飯か昼飯になってしまうだけだ。僕達は、その魔物が何かを聞いた。


  「はい、あちらの依頼ボードを見ていただければ、お判りでしょうが、白虎の特殊個体です。」


  なるほど、白虎は、通常種でも『A』ランクだ。大きさは、体長6m以上、牙が長く魔法耐久力が異常に高い。特に魔法を使ってくるわけではないが、戦闘スキルが高く、『瞬動』を使ってくる。特殊個体となると、大きさもそれなりだろうが、特殊能力が何かあると考える方が自然だ。


  しかし、避けて通る訳にはいかない。僕達は、受けることにした。完了報告は、ポール市で貰うので、報酬だけ、今度来た時に貰うことにした。それから、魔法道具屋に寄ってみたところ、シェルさんがものすごく欲しがった魔法石があった。シャワー石だ。野営の必須アイテム発見である。ただし、これは魔物のレアドロップ品らしく、金貨2枚もしたが、即購入してしまった。


  次に、道具屋に行き、雪山用のピッケルとアイゼン、カラビナ、ザイル等を買った。できることなら使いたくないが、用心のため、買っておいたのだ。

白虎、さすがに東の国です。ホワイト・タイガーではありません。

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