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私、この世界を征服します。  作者: イイコワルイコ
最終章「世界を変える力」
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第4話「白光の果て」





「不死鳥よ、隔絶されしこの世界に永遠なる炎を。迷いし愚かな魂に浄化の洗礼を……焼き焦がせ、ブレイズ・エンド!!」



ギーナが空から墜すのは、虹色の巨大な太陽。

炎魔法が凝縮され生まれたそれは術者本人にも苦痛の表情を浮かべさせる。


「さすがにこれなら魔物達は片付くはず。ついでにバルディンも消せれば…」


「ダークホールとやらに吸収されないことを祈るわ!」



ギーナを後ろから抱きしめるカヒリ。

彼はこうすることで自身の魔力をギーナに移し与えることが出来る。

そのせいもあってか、元々の魔法より強力なものに"育って"しまったようで。


「予算増えたからちょっと奮発しようかな!からの予算オーバーみたいな!?」


「とにかく当てるの!当てるしかないわ!」



「うおおおおおおお!」「はああああああ!!」


声を合わせ魔法に集中する。

炎魔法の集合体…一種の核爆弾とも呼べるブレイズ・エンドはじわじわと地に迫る。

着弾せずとも威力は明確で、高熱により魔物達の動きは鈍り、その場で倒れ、



《ダークホール》



死にゆく魔物達の中、バルディンだけが立ち向かう。

虹色の太陽に両手を掲げ発動するのはカヒリが警戒する魔法。

現れた闇の渦は太陽に比べれば明らかに小さい。



「ギーナ!一気だ!もっと!」


「うぅ…ああああああっ!!」



バルディンの行動を見たカヒリがギーナに呼びかける。

それに応えるように彼女は太陽にさらに魔力を注いでいく。

2人の魔力を受けて太陽の輝きは強くなる…。



《我、不滅!》


「滅びろ!こちとら超必殺撃ってんだ!吸収したとしても耐えきれるわけねえ!」


「燃え尽きて!!!」










太陽が、地に辿り着いて、爆ぜた。












魔国に溢れかえるのは太陽の光。

光に触れた魔物は塵に変わり、カヒリ達が見て驚いた建造物の数々は瓦礫の山に変わり、




《ふうンンンンンンン!!》



しかし、バルディンは生き残った。







/////////////now loading......






遠くの空に出現した巨大な発光体。


それが視界に入るとソフィー達は足を止めた。



「あ、あれって…カヒリ達かな?」


「だとしたら、馬鹿なのさ。あんな魔法が使えるなら魔王だって葬れるだろうに、城ではなく何でもない場所に攻撃しているのさ」


「………それぐらいしないといけない相手がいたのかも」


「…クロア、お前が悲しみを忘れることを許す。…この戦いが終わるまでなのさ。それまでは、廃人でいられたら困るのさ」


道中の魔物はソフィーが光線で排除した。

カヒリ達のいる場所へ向かうほどに魔物の数が少なくなっていたのは、チャドのおかげだろう。

足を止めて会話も出来る余裕があったので、この隙にアルタはクロアを強制的に再起させる。



「…アルタ様。暑いです…」


「人間の体には辛いようなのさ。ん?ソフィー、お前は?」


「平気だよ」


「短い間でお前は本当に別人になってしまったのさ…、っ。ソフィー、クロアを隠すのさ!」


「え?」


「早く!」


2人は辺りを見回す。

少し先に身を隠せる建物がある。

少し戻れば大きな岩が積み上がって出来た洞窟らしき入口がある。

そして目の前には大きな岩…しかし隠れるという使い道には向かない。


「走るのさ!あっち!」



アルタに導かれ走る。


どうにか洞窟らしき入口に差しかかったところで





「 !!」



「 !!」



「 !」



音が消えた。

3人は中に入れた…はずだ。

すぐに視界は白に染まった。

全てが白になって、高熱がその身を襲う。

そして音ではなく、振動が伝わる。

強さからして岩が崩れ落ちるような…。




………………。



「……るか?…聞こえ……?」


「今度は真っ暗………タ?」



アルタ、ソフィーの声が途切れながら聞こえた。

ゆっくり目を開けたクロア。


「な、何も見えない」


視界は白に…ではなく、黒に染まっていた。



「入口の岩が崩れて真っ暗なだけなのさ。何か明かりになるもの…」


「えーっと…これはアルタ?」


「どこ触ってるのさ!」


「じゃあこっちがクロア」


「うん…」



ソフィーは暗がりの中で2人の頭を掴む。

そしてゆっくり自分の方へ寄せて



「いくよ」


光線を放った。

加減がされているのか光線は弱く、遅い。


移動してしまうが、若干の明かりになった。


「奥に続いてるみたいだね。アルタ、さっきのって」


「カヒリ達の攻撃は味方も巻き込む威力だったのさ。少なくとも、"特別な"体を持たない生物には敵味方問わず…といったところ。クロアが暑がっていたのを見て、女神の力を与えても間に合わないと考えて逃げ込んだのさ」


「クロア、体に変わったところはない?」


「少し体が痺れるけど…大丈夫」


「入口ってあれだよね。私の攻撃で壊せると思うけど」


「外の状況次第ではクロアが危険なのさ」


「じゃあ…あっち?」


洞窟を進むか…それはそれで躊躇ってしまう。

もう少しで味方と合流出来るかもしれない。

それなのに、どこに続いてるかも分からない洞窟を進むのは


「そもそも、ここが魔物の巣だったら大変なことになるのさ」


「私とアルタがいる」


「……仕方ない」



アルタは洞窟を進むことを決めた。

より安全な方を選んだつもりだ。

彼女1人、もしくはソフィーやレスナ…この場にいるのが女神だけなら、彼女は身の安全などという項目を思考から除外していた。

しかし、今はクロアがいる。

魔国に乗り込む時点で、守るべき人間が側にいたのだ。

故に、アルタは誰よりも人間の安全を考えて



「あ、分かれ道」


「血の匂いがする…」


「もし魔物達が全て外に出払っていたら、なんて弱い希望までもが簡単に打ち砕けたのさ」



ここは魔国エンヅォルト。

人間を滅ぼすために生きる魔物達や魔王がこの国にいる。

そこに人間を連れてきた時点で、安全など。


少し考えが甘かったとアルタは気を引き締めなおす。



洞窟内の地形など分かるはずもなく、ソフィーの勘で進んでいく。

幸運なことに道中で魔物と遭遇することはなく。



「これで4人目。人間をここに連れ込んで食していたみたいなのさ」


「クロアは見ちゃダメだよ」


洞窟内で何度か発見したのは食い散らかされたままで放置状態の人間。

死体とも言ってやれない惨い姿。

これを通り過ぎるまで毎回ソフィーが手でクロアの目隠しをする。




「……」


「クロア、ちょっとくすぐったいよ」


「風…、外の匂いがする」


鼻を細かく動かすクロア。

彼なりの匂いの判別は、通常人間が嗅ぎ分ける匂いよりさらに細分化されている。


そこからはクロアが進む道を選び、数回分かれ道を行ったところで



「あ!外!外だよ!」



3人は洞窟を抜けた。



「それなりに距離があるとは思っていたが、これじゃあカヒリ達とは合流できそうにないのさ」


「なんか、あっちの方…遠くから見てるとメドルーナみたい」


「明かりがあるだけいい。向かうのさ」



松明の明るさがこの国では心地よい。

それを求めて近づいていくと



「今度は魔物の死骸なのさ。乱暴に潰されて…ここにも誰かいたということになるのさ?」


「いっぱいあるね…」


「………」


敵がいる気配もないので松明の近くで少し休むことにした3人。

洞窟を休まず歩き続けて抜けたため、本来ならば相応の疲れが出るが


「アルタのおかげだね。でもちゃんと休んでおかないと…ね、クロア。何書いてるの?」


地面にクロアが指で書いていく…それは



「洞窟の距離…」


「クロア、お前のそれが正確な図だとしたら、とんでもないことになるのさ」


クロアが書いたのは、延々と進んできた洞窟内の道とすぐ隣に人間の世界の縮図。

ほぼ同じ大きさで考えて、今の洞窟だけで


「ライヴァンからメドルーナまで行けちゃうの?私達…長い時間洞窟に…」


「中は暗い。そして閉所。時間の感覚は魔国の空を見れば分かるが完全に狂ってしまうのさ。それに、女神はそんなことを考える必要もない」


「ここも魔国…なの?」


「クロア。魔国は人間の領地を全て合わせても足りないほど広い。ここが魔国のどの辺りかは不明だが、魔国であることは間違いないのさ」


「カヒリ達がいたのって…あっちの方向?遠すぎて見える気がしないね」


「仕方ないのさ。こっちはこっちで出来ることがあるかもしれない…ここで何者かが大量の魔物を殺した。そいつがあの広い洞窟を進めるとは思えないのさ」


「もしかしたら複数かも?」


「強力な味方になれば心強いのさ」





「アルタ。ふざけたことを言うな」




3人は声のする方へ注目する。

そこには


「レスナ…!!」


まっ黒焦げな姿のレスナがいた。



「1人なの?あ、レスナがここの魔物を」


「落ち着けソフィー。私がここに移動した時点で魔物達はこの状態だ」


「移動した、ということはあのへんちくりんな男は」


「ブラウンなら置いてきた。あんな男に私の力を与えるなど…我ながら反省が必要だ」


「レスナ。ここはどこなのさ」


「私が知るはずないだろう。だが、お前達が来てよかった。1人で乗り込むか迷っていたところだ」


「なんのこと?」


「ついてこい」



レスナが先にこの場所まで逃げてきていた。

合流し、4人は移動する。


近辺はまさにメドルーナ。

破壊こそされているものの、屋台らしきものがあったり、店の名残りを感じたり…。

富裕層を思わせる大きな屋敷もあった。



「メドルーナで飴もらったなぁ…」


思い出に浸るソフィー。それを見てなんとなく一緒に思い出す素振りを見せるクロア。

アルタは険しい顔のレスナを見ていた。



「レスナ。お前は何を見つけたのさ」


「見れば分かる」



賑やかな場所を離れ、枯れた木々の生い茂る地帯を抜け、それはようやく一行の前に。

どこまでも高く、何よりも黒い。

そびえ立つそれは。



「城…!!」


「お城ってことは」


「この中から強大な力を感じる。魔王はこの中だろう。女神が3人いれば、戦うことは出来るはずだ」


「待つのさ。クロアは」


「クロアには我々の力を最大限与える。神と同等になるほどの力を」


「そしたらクロアの体はどうなるのさ」


「人間のために戦い死ぬのなら、それは英雄として讃えられる。人間にとってそれは生死よりも大事なことだろう?」


「お前…」


「ならば置いていくか?こんな広い国に、味方もいない。1人で人間の世界まで帰れるのか?」


「どこまでも嫌な奴なのさ。もう少し人間に寄り添って」


「それでどうなる?」


「2人とも。クロアはもう行っちゃうよ?」


「は?」


アルタとレスナが険悪な空気になる中、クロアは先に城へ向けて足を動かしていた。



「待つのさ!」


選択の余地はない。

それはクロアがよく分かっている。


追いついたアルタとレスナは歩きながらクロアを強化することにした。



「子供にこんなことを…」


「神は人を選んだりしないぞ、アルタ」


クロアの体は、変わっていく。

柔い子供の体が、身長が低いだけの屈強な男に。

露出する腕は筋肉が膨らんで張りを見せ、筋も立っている。

同時に、彼は大量に汗をかいていた。



「これはお前が一方的に殺されないためなのさ。元々のお前の運動能力と合わせれば、人間の代表を名乗れるほどに」


「アルタ様。大丈夫です。ありがとうございます」


「その代わりお前の命は残り短い。敵を見たらその感性を存分に発揮しろ。死ぬまでお前は」


「レスナ様。力を授けてくれてありがとうございます」



対立的状態の2人の女神に力を注がれる。

クロアはどちらにも感謝を伝え



「ここに、キャルがいる気がする」


「私もそう思う」


クロアとソフィーは手を繋いだ。



4人が物語に出てくる巨人でも通れるような大きな城門を抜けると、大きな扉は勝手に開いた。



「魔王が歓迎しているようだ」


「レスナ。ふざけたことを言うんじゃないのさ」


「ふん」



4人を迎え入れると、城の扉は固く閉ざされた。






/////////////To be continued...


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