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私、この世界を征服します。  作者: イイコワルイコ
4章「世界を壊す力」
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第13話「変わらぬ立場」




「こうなったら仕方ない。キングエルには専愛のモアが居るはず。そんで、メドルーナには施しのチアン。からの、ロガドガ山に許しのアルタ。えー…」


カヒリはやや口早に、目線は空へ。



「クソ面倒なことするから覚悟しろよな。まず、俺がロガドガ山に単独で突っ込んで許しのアルタに接触。それからギーナとソフィーがメドルーナで施しのチアン担当。チャドとリーファンはキングエルに残って専愛のモア担当な。」


最速で女神を探す。

それは前から変わらないが、キングエルに来てからさらに重要性が変わった。

危険かもしれない。から秒読み段階まで事は進んでいたのだ。

ギーナが心配そうにカヒリを見つめる。



「よく分からんけど、俺かギーナじゃなきゃ女神のアイテムもらえないんだろ?言いたいことは分かるけど…やめ、ちょ、その目やめて?」


顔は黒い布で隠れているが、2人には目視せずとも分かるのだろう。

何か言いたげなギーナの心中を察したカヒリは続ける。


「場所がはっきりしてる2ヶ所をさっさと回収するべきなのは分かるだろ?その間に残したリーファン達がモアを見つければ後はレスナだけだし。」


「そのレスナ様はどこなの?」


「ソフィー。レスナ様は…ハートが関係しているよ」


リーファンが口を開く。


「裁きのレスナ。名前の前に来る言葉で察してほしいんだけど、まぁ優しい性格じゃないな。」


「カヒリは会ったことあるの?」


「ないけど?あぁ…細かい説明はしてらんないんだよ。リーファンはどうせ居場所知らないよな。知ってたらとっくに俺達に話してただろうし。」


「申し訳ない。恐らく"国王"になった時に代々伝えられる情報なのかもしれない」


「ん。とりあえず2人はそれなりに戦えるわけだし、経験積むくらいのつもりで女神探しつつ城の中警備してくれ。1人は外、1人は中な。交代で魔物が城の中のどっかから湧いてくるのを片っ端から潰してくれ。絶対一緒に入るなよ?まーた険悪な雰囲気になって最終的に仲間割れで殺されましたとか笑えないからな。」


「カヒリ。私たちは?」


「ソフィーとギーナはチャドの情報を頼りに探してくれ。チャド行かせるのもありなんだけど…まあこの配役がベストなんだよな。俺とギーナは移動が早いから。ソフィーはここに残してもな…」


「なんか嫌だな…その言い方」


「悪い。でも、お前を戦力として見た場合この中じゃまだ下なんだよ。ムカついたならその分強くなって見返してくれ。そしたら土下座でも土下寝でもするからさ。」


「じゃあすぐに出発ね…本当にこれでいいの?」


「すぐにアルタ回収して合流する。約束な。」




一行はあっさりと解散した。



カヒリは走ってロガドガ山へ。

ギーナは魔法で炎鳥を生み出し、ソフィーとメドルーナへ。

チャドとリーファンはカヒリにいくらかのゴールドを渡され、3人を見送った。




「装備を整えろ…か。この身軽さは彼には納得出来ないものなのかな」


「オイラは元々鎧を着ているけど、リーファンはさすがにねぃ。そこらの村人と変わらない軽装だし、上半身を保護するくらいには必要かもねぃ」


「なるほど。じゃあ早速だけど買い物に付き合ってもらえるかな」





/////////////now loading......






「よっと!」



キングエルを発って数分。


ロガドガ山の下、山頂を見上げるカヒリ。

僅かに覗く頬と口元には大量の汗。



「ガチった。本気で急いだ。これ以上は無理。息切れる。」


通常ならば数日、馬を全力で急がせても半日近くはかかる道のり。

それを数分で移動し、大量に汗をかくだけで終わる。

カヒリの人外な力がさらに明らかになったところで。



「どうせあれだろ?無双し過ぎたら会えないパターンだろ?空飛んで会いに行くだけじゃなくて、道中襲ってくる魔物と多少戯れるくらいには苦しんでおかないといけないやつだろ?」


小走りでロガドガ山を登り始めたカヒリ。

女神との接触に失敗しないために条件を考察しながら進む。



「それこそ、半分進んだくらいでわざと転んで膝擦りむくとか。あとそこら辺の雑魚に1発もらっとくか。」


その言葉を聞いて…というわけではないだろうが、軽傷をもらうのに良さそうな魔物が現れた。



《ギィィオ!》


「身を守る甲殻が甲冑着たナイトみたいだな。岩小人ってとこか。」


黒と紺が入り混じる岩に身を守られながら突進してくる人型の魔物。

岩小人はまさにそのままで、カヒリは何度も頷いてピッタリの命名をしたと満足げだ。


《ギィィッオ!》


「う、うわあああー…あがっ!?」


魔物の突進を正面から受け、雑に後ろに転ぶ。

手をつかなかったせいで後頭部を地面にぶつけてしまい、予定外の痛みに苦しむ。


「くっそ。落ちてる石のが痛いじゃねえか!ふざけんなよ!この野郎!」


カヒリの八つ当たりは魔物へ降りかかる。

斜め上から振り下ろされる回転蹴りが魔物の頭を捉えると


《ギィィ!?》


その場に驚きの声だけを残して吹っ飛んでしまった。



「これ、人間のレベルを超えて走ったらダメだよな…。急いでるのに急ぎたいのに急げるのに急いじゃいけない。もう意味分からん。」


と言いつつ、登山にしては異常な速度で走りだすカヒリ。

代わりに数秒毎に


「もがぁ!……っでぃ!?」


わざと転んだ。




ふざけた演技をしつつ、襲い来る魔物と戯れているとあっという間にロガドガ山の半分以上を進んだ。



「事前情報だと、ハートから山頂に向かう途中の洞窟なんだよな。だから1回頂上経由してからの…あ、そういえば。あいつ元気にしてるかな。」



厳しい斜面もなんのその。軽い足取りで進む。

疲れるどころか何かを思い出し楽しみにしている。


そんな浮かれたカヒリの様子に



「止まるのさ」



「うおおっ、ちょっ!急!」


突然カヒリの目の前に何かが現れる。が。


「と、止まれ!止まっ」


まさにこれから勢いが乗るところ。

カヒリは急停止出来ず正面から突っ込んだ。

それは山を登り始めてすぐに遭遇した岩小人の突進のように。



/////////////now loading......




「えっと…"一応"すいませんでした。」


「一応とはなんだ!人にぶつかっておいて!」


「突然飛び出してきたのお前だろうが!車は急に止まれないんだよ!ちゃんと右見て左見て、さらに右見て安全確認したら渡りますよーって手挙げてから出てこい!」


「お、お前…!人間が、誰にそんな口を…」


「ふっざけんな。分かってるよ!女神だろ!?こんな場所で幼女がハイキングとか有り得ねぇもん!お前あれだぞ、声を吹き込んでもらったら中の人が恥ずかしい気持ちになるくらい思いっきり幼女ボイスだからな!恥を知れ!」


「一体何の話を……」


早口で捲るカヒリに太刀打ち出来ない。

しかしその存在は咳払いで落ち着きを取り戻し、改めて



「許しのアルタだろ?分かってるよ。文字だけ見たら究極に頭おかしいけど、目くれ。」



改めてカヒリにめちゃくちゃに言われた。

幼女……女神アルタは、俯いて体を震わせる。



「いや、分かる。分かるよ?でもお前目なんでしょ?逆に目をアイテムに設定したのが悪いと思うよ?そんなもんホイホイ渡せるかー!だろ?分かる。うん。でも急いでるんだよ。お前ら女神が想定してるよりもかなり事態は」「…ぬ……」


「ほぇ?」


「許さぬぞーー!生意気な人間め!地に伏せろ!許しを乞うがいい!さもなければ今すぐにでも…こんのおおおおお!頭から手を離せえええ!」


怒りを爆発させる女神だが、姿は幼女でしかない。

カヒリはアルタの頭を片手で押さえる。

アルタは両腕を乱暴に振り回す。

逆ならばいくらか納得は出来たはずだが、どうしてこうなったのか。



「なぁ。これでも人間らしくここまでお前に会いに来たんだよ。」


しばらくそのままの状態でアルタを暴れさせ、彼女が息を荒くして疲労が確認出来たところでカヒリは真剣に話を切り出した。


「はぁ……はぁ……」


「確かに俺も女神には助けられなきゃヤバい時もあった。でもそれは"人間らしく"戦う場合だ。」


息を整えたアルタはカヒリの右手を掴む。

手のひらを触り、指に触り……指先を軽く握って、


「ほれ」


「は?……はぁ!?痛ええええちきしょうやりやがっ……ぎゃああああああ!」


薬指を逆方向へ曲げた。


「許しを乞うか?」


「お前!もう茶番はいいだろ!?世界の危機だぞ!?」


「私は許しのアルタ。人間、お前の言う通り女神だ。神だ。態度を改めて許しを乞うか?」


「汚ねぇ!この女神汚れてるよ!神名乗るには精神年齢低すぎだよ!だああああこのおおおお!」



カヒリは無理やりアルタの手を引き離して距離を置く。


そして



「すいませんでしたああああ!!」



土下座をした。




/////////////now loading......





「……っ」





「探せー!」


「お前達は家を見張れ!」




森の中。


木の上に隠れて追っ手をやり過ごす。



「ごめんなさい。お母さん」



予想は出来ていた。とはいえ、実際にその通りの展開になってみると思ったより対策が出来なかった。


クロア・ルカリスは10歳の若さにして、命を狙われていた。


それは先の国王との一戦の時点で分かってはいたが、国王に負傷させたことで確かなものに変わってしまった。


国の守り手達が、1人の子供を全力で殺そうとしている。


震える手をどうすることも出来ない。


まだ、彼には足りない。


人を守るための力、自分を守るための力、何を優先するべきか考える力


とにかく力が足りない。



裏切り者になってしまった。

そう扱われる以上、堂々とハートで姿を晒せない。

捕まれば王族に始末される。

それ以前に、国王の怪我を知った怒る守り手によって処刑されるかもしれない。


緊急事態。緊急事態。


脳内を渦巻く焦り、緊張、恐怖。



「…リーファン」


久しぶりの再会。

記憶を辿り、深呼吸する。


クロアにとって憧れの存在、リーファン・ハート。

彼のように落ち着いた存在であるために。


まずやらねばならないこと。




「…お母さん」




決意したクロアは木の上を移動し、ハートへ戻った。


案の定、母親は狩人に捕まっていた。




「7人。そこから少し離れて4人。2人は守り手…」


クロアは無音で木の上を移動し、状況を把握する。

弓を構え、矢の残りを気にしながら


「あれ……」「クロア」


状況を打破する手がかりを見つけたその時だった。

背後から呼ばれ、クロアの体はビクつく。



「…クロア。何があった」


恐る恐る振り返ると、そこには優しい目をしたナムカがいた。





/////////////To be continued...


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