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私、この世界を征服します。  作者: イイコワルイコ
2章「独りの幸せ」
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【裏】第1話「再調査、開始」

"裏"は番外編的な扱いです。

こちらは非定期で本編に割り込む形になると思います。




「っだああ〜…っくぁぁ〜…」


溢れる湯。舞い上がる湯気。


肩まで浸かって無意識に息を漏らす。


濡れた黒髪を軽く掻き、両手で湯を掬って顔でも堪能する。


「風呂最っ高。最初はどうかと思ったけどな。疲れに効くって言ってもめちゃくちゃおなら臭いし。」


浴槽を満たす湯は白い。

効果を実感するのか、小さな傷が多く見られる腕や足を湯から出しては治り具合を観察する。


「すげぇ…切り傷とかものの10秒でツルンツルンだぞ…回復魔法ほどじゃないけど十分だな。」


「もう、外まで聞こえてるわよ?」


「いいじゃん、貸し切りなんだし。」


ドアが開いて、湯気が外へ漏れる。

浴室の湯気の半分が抜けたところで、入浴中の男は入ってきた女に風呂の湯を手で勢いよくかける。


「これめちゃくちゃいいぞ!」


「分かったから待ってて。」


女はこれに動じることはなく、男の前で長い黒髪をまとめる。


「おだんごヘアーもいいな。」


「そう?たまには髪を短くしようかしら。」


「え、切っちゃうの?」


「うふふ。長いのが好き?」


「どうせ短い髪型でも似合うよ。そんで俺はどうせメロメロになっちゃうわけで。」


準備を終えて女も湯船に浸かる。


「これ、なんの木かしら。檜風呂みたいね。…あっ…気持ちいい。」


「絶対今のあっ…は俺に言ったでしょ。完全に俺の目見ながら言ってたぞ?」


「ふふ。」


男と同じく肩まで浸かり、身を寄せる。


「なんだか、遅れた新婚旅行みたいね。」


「……ごめんな。」


「全然。毎日幸せよ。」


女は左隣で密着する男の右手を握り、湯の中で指を絡める。


「お金はあっても時間がな…。」


「しょんぼりしないの。」


「だってさー…」


「えい。」


「ちょっ!ダメ!こんなとこで!」


「ここはケガしないでね?」


「お前…アイツのキャラ伝染してない?」


「どうかしら。」


「……早く帰りたいな。」


「そうね…。」


「俺が今、何が一番ストレスに感じてるか分かる?」


「ストレス…うーん…"2人目の妻"に会えないことかしら?」


「やめい。」


「うふふ。」


「お互いにちゃんと名前で呼べないことだよ。知ってる奴からすればバレバレネームだけど、偽名ってのはなんだかんだ落ち着かない。」


「そうね。でも、本名を知られてしまったら」


「だな。別にここが悪いってわけじゃないけど、俺達には俺達の住む世界があるわけだし。」


「あ、そうそう…見つけて来たわ。濡れない紙の手帳。78ゴールド。」


「マジか!サンキュ…って78ゴールド!?高くね!?だってこれ…20枚しか紙ないけど!?ざっと10cm程の正方形の紙20枚で78ゴールド!?」


「そんなに騒がないの。」


「……はーい。」


「はい、これで書いて。」


「お、羽根ペンか。これも防水加工?」


「そうね。」


「値段言わないで、また叫ぶから。」


紙とペンを受け取り、湯船に浸かりながら男は適当に試し書きを終える。


「えーーっと。俺達的には…」


「記録に残すなら変なこと書いちゃダメよ?」


「……じゃあ世界探検記?」


「新婚旅行記は?」


「まずい、タイトル考えるだけでつまずくとか」


それは一旦置いといて、と男は早速書きはじめた。


・キングエル

外観はそんなに変わらない。

大きな城があって、城下町、森、近辺の村がある。

建物は基本、レンガか木で出来てる。

売り物は生活に関わるものから、武器や防具まで一通り揃ってる。

☆マクシミリアン国王がやたら嫌われてる。

ティーンエイジャーの悪ガキが数人で城に向かって家畜の糞を投石機で飛ばしたりとか、城の門番の前でわざと聞こえるように国王の悪口を言ったりとか…普通に考えたら斬首刑フェスティバルだ。

★キャロラインが旅立った理由が違う?


「なんかさ、国ごとの雰囲気とか細かく書きたいなーとか思ったんだけど、俺に文才がないのか何かしらの事情があるのか上手いこと書けないんだけど。」


「私達人並みに勉強してきたわけじゃないもの。」


「お、おう…。えーっと。国王からの小遣いで初期装備固めて森で強くなるっていう流れはまだ見れるし、これといって国民に悪人がいるわけでもない。」


「おかしな建物もないし、キングエルという国自体は問題ないわね。」


「でも国王が嫌われてる。天井見えないレベルで。」


「それなんだけど、この"近辺の村"で暮らしてるおばあさんが面白いことを教えてくれたの。」


「へぇ。」


「マクシミリアン王は、魔王と世界を分け合ったみたいよ?」


「………………は?」


「どういう理由かは本人に聞くしかないけど、これだけ嫌われてる事と合わせて考えたら」


「自分から進んで提言したまであるな。それに、あんだけ父親が嫌われてたらキャロラインも雰囲気違うわけだよ。何あれ。ダークヒロインすぎん?心に闇抱えてますって顔に書いてあったけど?」


「旅立った理由…それに、ブラウンがライヴァンに来ていたこともあるから…」


「なあ、もしかしてだけどさ。いや、間違いのがいいんだけど。」


男が書き足す。


★キャロラインは家出中?


「ブラウンは連れ戻しに来た。確かにそう考えるのが自然ね。」


「チャドとソフィーって面子も違うしな。しかもキャロラインとソフィーが戦力外とかマジかよって。」


「それでもアグリアスを突破したのは私達のせいでもあるわ。」


「はぁ…流れであそこまでやっちゃったけどさ、やること増やしちゃった感あるよなこれ。」


「ちょっと貸して。」


手帳と羽根ペンを受け取り、女が補足を書き足していく。


☆人物

リーファン・ハート

キャロラインが言うにはライヴァンまで行動を共にした。

が、現在行方不明。


ソフィー・ウィジャド

特に問題なし。しかし戦闘面で経験が浅すぎる。


チャド・サンダーバーグ



「なあ、チャドはまだやめとこうぜ。」


「…そう?」


女はチャドの項目を埋めるのを止めた。


「国王が完全に面会謝絶状態なんだよなぁ。無理やり会いに行くことも出来るけど、前回押しかけた時も体調悪そうだったし。」


「そうよ。国王の健康状態もおかしいわ。」


「呪いかな?」


「キャロラインはもしかしてそれに気づいて旅立ったとか?」


「……どうだろ。明日はライヴァンに行こうぜ。その次はミフィーリアからのゴルゴラだな。」


「明日からまた大変ね。」


「キングエルは始まりの地だからな。俺達も冒険の旅に出るつもりで。」


「なら、宿屋ならではのイベントももちろんあるわよね?」


「え。」



どこで稼いできたのか、大金を払って宿屋を1日貸し切った2人。

従業員や宿屋の主人はもらった金の一部を使って別の宿屋に宿泊するという異例の事態である。


完全に2人きりな状態で、人目を気にせず。



「ぎ、ギブ!」


「まだダメ。」


「ほ、本当に、限界だから!」


「うふふ。」


「ギーーーーナーーーーっ!!」



"アカスリ"が極端に嫌いな彼は、背中をゴシゴシと擦られ絶叫した。


キャロライン一行と別れた2人は、キングエルから再び旅を始める。




/////////////To be continued...?



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