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もしも悪役令嬢がインフレバトル漫画だったら

作者: 麦酒

ごめんなさい、本当にごめんなさい

(ちょっと加筆修正しました)

「ジョセフィーヌ、お前との婚約は破棄する!」


 言うなり王子の手から連続エネルギー弾が放たれ、ドレス姿の淑女ジョセフィーヌに直撃する


 余波で会場が吹き飛び悲鳴が上がる中、土煙の中から無傷のジョセフィーヌが姿を現した


 無傷!あれほどの攻撃を受けながら、その顔は涼しげでさえあった

ただ、その手に持つ扇が眩い光を放っていた……そう、彼女は全てのエネルギー弾を扇に闘気を(まと)うだけで防いだのだ


「そんなセバスチャン様、私の何が至らぬと言うのです!」


 何故婚約破棄を宣言されたのかわからない彼女は、瞬間距離を詰め扇を一閃しセバスチャンの首筋を狙う


 開幕の小手調べなど知らぬ!

と叫ぶような、一撃で勝負を決める必殺の太刀!!


 音すら置き去りにする攻撃がセバスチャンの首にせまる

しかしその音速の一撃すら、余裕の笑みを浮かべ光の盾を作り出し防ぐセバスチャン


 だがジョセフィーヌの顔にも笑みが浮かんだ

首もとに迫る扇が光だす

 刹那の瞬間に扇に闘気が込められ、光の盾ごと切り裂く力が込められたのだ!



ああ、愛しい王子様、私の(カイナ)で眠ってください



ガキンっ!


 驚愕の表情を見せるジョセフィーヌ

確かに扇は光の盾を切り裂いた


 しかしセバスチャンは扇に闘気が込められたのを察して、光の盾を幾重にも重ねたのだ


 悔しげに顔を歪ませ距離を取るジョセフィーヌに王子の言葉が刺さる


「見苦しいぞジョセフィーヌ、お主がラブラブルに行った行為は全て調べがついてる!」


 次は俺の番だとばかりにセバスチャンの周りに無数の光の槍が生み出された

ひとつひとつは小さいが、その光度は次第に増していく……闘気を槍の形に圧縮させ、ただ純粋な脅威へと変貌させているのだ


「そんなの嘘です、私は何もしていません!」


 あの槍は危険だ!

本能的にそう感じたジョセフィーヌは防御ではなく攻撃による阻害を選んだ


 未だ光の槍に集中しているセバスチャンに、振るうのは神速の右手

闘気によってネイルが伸びたかのような5条の光線がセバスチャンを襲う


それは初撃に比べたら弱いものの、集中さえ欠けたら光の槍は霧散できる……そう思っての攻撃であった


 しかし……


「黙れ!言い訳など聞かぬ!」


 あえて防御せず、受けるセバスチャン!


 けして浅くない傷がその身を刻む……耐え難い苦痛が襲っているだろうが、瞬きすらせず見詰める先に、輝きを増した槍が解き放たれた!!


 空間すら(えぐ)り十数の槍がジョセフィーヌにせまる


(逃げ場は無いっ!)


そう悟ったジョセフィーヌは扇を広げると、渾身の闘気を込め輝く分厚い障壁を作り出した


(耐えて!)


 その願いも儚く、槍は意図も容易く扇を貫きジョセフィーヌの体を襲った



 勝負あった……セバスチャンがそう判断し背中を向けた時……強烈な悪寒に襲われた!


 振り返り光の槍に貫かれたジョセフィーヌを見る


 いや貫かれてなどいない!

槍は全てジョセフィーヌの体の前で止まっていた


 槍を防いだのは宝石たち

ジョセフィーヌがいつも身に纏っていた宝石たちがまるで意思が在るかのように槍を防いた


「この宝石はみなセバスチャン様がプレゼントしてくれた物です、私はこの宝石に誓ってラブラブルに何もしていません」


 静かな笑みを浮かべ、まるで愛しい我が子を愛でるように宝石を撫でる


パリン

 聴こえるはずがない闘気の槍がガラス細工のように砕ける音と共に、光吹雪へと変じた


 ゆっくりと回りだす宝石たち……

徐々に速度を上げながろ無数の宝石がジョセフィーヌの周りを周回する

次第に残像を残し加速していくその様は、羽衣を身に付けたかのように美しい


 セバスチャンの額に汗が滲む、容易く渾身の槍を砕けく『あれ』を突破するのは容易では無いと分かったのだ


 (形振(なりふ)り構ってられない!)


 その決断を選択させられる程に、絶望的な脅威と認識させられた


 そっとポケットからハンカチを取り出す

それはジョセフィーヌからプレゼントされた逸品……手に巻くように握り、持てる全ての力を集約させる




 私は全てを賭けて冤罪を(ぬぐ)う!


 俺は全てを賭けて断罪を行う!



 高まる二人の力に会場が……大地が震える


さあご覧あれ!天に召します尊き神よ、裁決の時は来たれり!!




 破壊された会場に2人の姿が見える、一人は直視できない程の輝く右手を構えた青年、もう一人は天女のように羽衣に包まれ浮かぶ少女



そしてそれを見詰める少女が居た……腰を抜かしてガタガタと震えるラブラブルである


「無理…絶対無理…」


彼女が何を無理と言ったか定かではない、この後の爆発を機に修道院へ入ったのだから

深夜のテンションって怖くね?

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