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久遠光一の休日

今回は秋雨さんの作品である『大罪と美徳』とのコラボです。


秋雨さん、コラボ許可ありがとうございます。


それではどうぞ!

 真っ盛りの昼間の公園。


 そこには一人の少年が誰かを待っているように佇んでいた。


「えっと、アイツが言った待ち合わせの場所は此処で良いんだったな」


 彼の名は久遠光一。負の契約者の頂点、大罪の1つ“憤怒”の系譜である“残虐”の契約者。“憤怒”のブレイカーの契約者、朝霧裕樹が最も信頼する片腕であり親友でもある。


「しかしまあ、まさかユウが実家から帰ってきていきなり休みを取れだなんて……」


 本当であれば光一は今日もいつも通りに系譜としての仕事をしている日だったが、裕樹が『家の爺ちゃんが光一を休ませておくようにって言われて急に暇を出されたんだ。ってな訳で光一、2~3日は俺がやるからお前はそれまでゆっくり休んでろ』と言われたのだ。


 裕樹にそう言われた光一は戸惑いつつも、取り敢えずは言われた通りに休みを取ったがどう過ごそうかと悩んでいた。そんな時にふと彼女の事を思い出し、折角だから今までのお詫びをする為に久々に会おうと、今は公園で待ち合わせているのである。


「ま、もし緊急時の時にはすぐ呼んでくれと言ってるから大丈夫か」


 仮にそんな事になっても俺が来た時にはユウの方であっと言う間に終わらせてるだろうと言う風に思ってると、


「やっほ~久遠君」


「お、来たか」


 約束した相手である大きな胸が特徴な黒髪ショートヘアーの女の子がやってきた。


 女の子の服装は黒のロングカーディガンを纏い、中には白いTシャツを着ており、足を綺麗に見せる黒のミニスカートを穿いている。


「少し待った?」


「いや、ついさっき来たばかりだ。けどまあ、お前と会うのは本当に久しぶりだな、江藤」


 光一と会う約束をした相手は江藤愛奈。彼女は“憤怒”のナワバリで生活をしている何の力も持ってない一般人である女の子。


 そんな愛奈が上級系譜である光一と何故知り合いなのかと言うのには当然訳がある。


 愛奈は以前、裏路地で負の契約者達に不満を抱いていた一般人の男達が鬱憤晴らしをする為に犯されそうになった所を、光一が偶々見かけて助けたのだ。


 その後は言うまでもないが、光一は一般人の男達に『そんなに俺達に不満を持ってるなら直接言え。今回はまだ未遂だから見逃してやるが、次また同じ事をしたら問答無用でぶちのめすから覚悟しておけ』と低い声を発して警告をした。一般人の男達は光一の殺気で完全に恐怖して失禁しながらも逃走した。


 とまあ、そんな事があって愛奈は光一と知り合い、今はもうお互いに親しい間柄になっていると言う事だ。


「そうだね。一ヶ月振りかな? 久遠君に会う約束が取れても、急に仕事だからって何度もドタキャンされたけど」


「それに関しては本当にスマン。お詫びと言っちゃなんだが、今日一日は江藤と一緒にいようと思ってるが……」


「ホント? それは嬉しいな♪」


 愛奈はそう言って光一の腕に引っ付く。その事により、光一の腕は愛奈の大きな胸に当たっている。


「お、おい江藤。む、胸が……当たってるんだが」


「ふふふ♪ 初心な反応をしてる久遠君って可愛い♪」


 光一に指摘されながらも笑みを浮かべる愛奈は、


「ガマン出来なくなったらいつでも言ってね。ボクが……すぐに発散させてあげるから♪」


「…………その時は頼む」


 本当だったら必要ないと言う光一であるが、何故か愛奈相手には言えなかった。そして光一の返答に、愛奈は屈託無い笑顔を見せる。


 余談であるが光一は既に愛奈とはちょっとした一線を越えている関係となっている。どこまで越えているかは……お互いに全裸を見ている関係とだけ言っておこう。


「まあそれはそうと、何処に行きたいんだ?」


「そうだね。先ずは……町に着いてから考えるよ。それまでは久しぶりに会った久遠君と恋人気分で歩いていたいから♪」


「恋人って、お前なぁ。ま、そうしたいなら別に良いけど」


 呆れながらに言う光一であるが満更でも無い様子。光一としても愛奈の事を気に入っており、傍にいて欲しい女の子だと思っているから。 


「それじゃあ行こうか、久遠君」


「ああ、そうだな」


 二人は恋人同士の様に歩きながら公園を出て、そのまま徒歩で町まで歩いていくのであった。






 所変わって――


「!!!」


「ん? どうした朝倉?」


 突然朝倉が何かを感じ取ったかのような事をしている事に、仕事をしている裕樹が気になって声を掛ける。


「い、いえ。何でもありません」


「そうか? まるで何か嫌な予感をしたかのような反応に見えたが」


「………気のせいです……(何だろう。何故か胸が凄くムカムカする……)」


「……まあお前がそう言うなら……(恐らく光一関連だな)」


 朝倉の間がある返答に裕樹は気になりながらも、敢えて何事も無かったかのように仕事を再開する。



 そして――


「むむっ! ダーリンが私に内緒で何かやっているような気がする……!」


 光一にゾッコンである大罪の1人“色欲”の花柳月は女の勘が働いていたのであった。

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