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独立エンブラ学園 緊急事態発生 遊佐翔と里村有紗が!

~来牙視点~



 朝の全校集会が終わって俺達は教室に戻った後、二時間目の授業が始まろうとしていた。因みに二時間目は数学だ。


「次は三代子ちゃんの授業か。なら今の内にカツサンドを食っておかないとな」


「何で北浦先生の授業だと分かってお前はすぐにカツを食うんだ?」


 翔は数学の授業でカツサンドを必ず食べている。相手が北浦先生だと分かっているから、いつも通りに言い包めて食える相手だと思ってるからな。


「さてと、アタシはゲームでもしよ~っと」


「貴方もよくもまぁ平然とゲーム何て出来るわね」


 有紗も有紗でゲームをやろうとしていた事に美咲が呆れていた。理由は翔と同様に北浦先生を簡単に言い包めれるからである。


「ホントに北浦先生って相変わらず生徒達に舐められてるわよね、来牙君」


「そうだな」


 呆れ顔となっている美咲の台詞に俺が頷いていると、教室の戸から北浦先生が入って来たと同時にもう一人のおっさんが入って来た。


「み、皆さ~ん。授業を始めますよ~。それと今日は朝の全校集会でご紹介された吉田先生もこの2-2で授業をする事になりました~」


「どうも」


 北浦先生の紹介におっさん――吉田先生が俺達に礼をして来た。その事に翔と有紗が予想外な顔をしている。


「こ、こら~遊佐君に里村さん! 吉田先生が来たのに何をしてるの~! 早くそれをしまいなさい~!」


「んあ?」


「へ?」


 名指しをされた事に翔と有紗は素っ頓狂な声を出すが、カツサンドやゲームをしまう事はしなかった。


「ちょっと、これから授業が始まるのにそんなの出してはダメですよ」


「「んなっ!」」


 そう言った吉田先生が翔のカツサンドと有紗のゲームを没収した。


「何しやがるんだよ! 俺様は今カツサンドを食ってる最中だぞコラ!」


「ちょっと! あとちょっとでステージクリアーだってのに何すんじゃぁコラァ!」


「そんな事を言う暇があるんでしたら、早く教科書とノートを出して下さいね。さ、北浦先生。授業を始めて下さい」


「は、はわ~。吉田先生凄いです~」


「「ちょっとまてやゴラァ!」」


 北浦先生に授業を促すよう言う吉田先生は教壇の近くに立つと、翔と有紗が立ち上がる。


「おいテメェ! 吉田つったか!? 俺様の楽しみを勝手に奪ってんじゃねぇ!」


「そうだよ! アンタがアタシのゲームを奪う権利なんか無いはずだろうがぁ!」


 授業が始まる前にあんなのを出すお前らがどうかと思うんだが。


「これは失礼しました。ですが今は授業が始まるのです。お楽しみは休み時間でやって下さい。この授業が終わるまでは預かりますので」


「ふざけんな! 待ってたらカツの鮮度が落ちちまうじゃねぇか! そのカツサンドはすぐに食わないといけねえんだよ! 今すぐ返しやがれ!」


「そうだ! それにこの学校は自由だから何もしてもいいんだよ! だからさっさとアタシのゲームを返せコラァ!」


 これが北浦先生だけだったら納得しているんだろうが、吉田先生はそうはいかないみたいだ。


「…………色々と突っ込み所が満載な台詞ですね。北浦先生、あの子達はいつもああなんですか?」


「え? あ、あうあうあう……えっとぉ……」


「ふむ……どうやらあの子達は北浦先生がこう言う性格だと分かっていて好き放題しているみたいですね」


 北浦先生が慌てふためいているだけで分かったのか?


「アレだけで分かるなんて、何かあの先生凄いわね」


 美咲も吉田先生を見て少し驚いている。


「えっと、遊佐君と里村さんと言ったかしら? 授業が始まる前に物を食べたり、ゲームをするのはダメですよ」


「何で新参者のテメェに、んな事言われなきゃいけねえんだよ! 俺様の自由を侵害してんじゃねえ!」


「さっさとアタシのゲーム返せ! 自由に対する冒涜だ!」


「…………君たちの場合は自由と言うより、無法と言った方が正しい気がするんですが」


 それについては俺も同感だ。


「とにかくこれ等は授業が終わるまで……いや、君たちの場合は放課後まで預かった方が良いかも知れませんわね。あ、でも遊佐君のカツサンドは昼休みに返しますので」


「「~~~~~!(ブチブチブチ!)」」


 吉田先生の台詞に翔と有紗がブチ切れたかのように憤慨し、何か切れる音が聞こえた。


「もう許さねぇ! 勝手に俺様の自由を奪っておいただけじゃなく、偉そうな事を言うテメェには俺様が直々にぶっ飛ばしてやる!」


「新米教師の分際でアタシ達の自由に口を出すんじゃねえ!」


「はわぁ~! だ、ダメですよ遊佐君に里村さん!」


 そう言って二人は吉田先生に襲いかかる事に、北浦先生が止めようとするが遅かった。


「おやおや、初日早々にトラブルとは……仕方ありませんね」


 

数分後



「さあ北浦先生。予定外な事がありましたが、授業を始めましょうか」


「で、でも……」


「あの二人の事はお気になさらず。この二人には私の方で補習をさせますので」


「は、はあ……」


 何の問題なく言う吉田先生に北浦先生が二人を見ると、


「「………(ピクッ……ピクッ……)」」


 翔と有紗は物の見事に気絶して席に座らされていた。


「凄いわね、あの先生。遊佐君と里村さんを一瞬で気絶させるなんて」


「しかも二人の首に手刀を当てただけで気絶とは……。あの吉田って先生、相当の実力者だな」


 あの時、二人の攻撃をあっさり避けた吉田先生は即座に背後を取って手刀で軽く気絶させた。喧嘩慣れしている翔と有紗を一瞬でな。これが西郷だったらキツイ制裁を下しているだろうが。


「これは遊佐君と里村さんにとっては不味い展開になりそうね」


「そうだな。西郷のように常識な考えを持っているだけじゃなく、西郷並みに強かったら尚更」


 となると吉田先生の他にいた家の爺さんに良く似ている宮本って爺さんも意外と強かったりするんだろうか。もしそうならこのエンブラ学園には西郷が三人いるも同然になる。


 翔と有紗から見れば最悪だろうが、俺と美咲、そして常識的な考えを持った生徒には心強い味方だな。


「北浦先生、教師である貴方はもう少し自信を付けるべきです。そうなる為に私は貴方の補佐に付いてますので」


「そ、そうですか。あ、ありがとうございます」


 吉田先生の台詞に北浦先生が礼を言う。これは翔と有紗にとっては最悪な展開だな。


「あ~らら。どうやら遊佐君と里村さんは暫く好き勝手な行動が出来ないわね」


「ま、そうしてくれればコッチとしても好都合かもしれないな」


 落ち着いて授業が出来るなら俺は何も言うつもりは無い。 


「では皆さん、授業を始めます~」


「既に全校集会で知っていると思いますが、私はこの度に北浦先生の補佐をする事になりました吉田源一郎です。以後よろしくお願いします。尚、文句がある場合は遠慮無くかかって来て下さい。私はその思いに答えますので」


 その言葉にこの教室にいる生徒達は何も言わなかった。さっきの翔と有紗を気絶したところを見たから、下手に逆らえる相手じゃないって分かってるからな。


 そう言えば宮本の爺さんは一体何処で授業をしているんだろうか。意外と絵梨のクラスで授業をやっているかもしれないな。


 俺がそう考えていると漸く二時間目の授業が始まるのであった。

吉田源一郎が北浦先生の補佐に付いた事により、翔と有紗の自由が一瞬で無くなってしまいました~!


次回は宮本竜三の授業ですのでお楽しみに!

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