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久遠光一の休日 Ⅴ

 愛奈の不意打ちの発言から数十分後、


「はあっ! はあっ! 江藤、江藤っ!」


「あっ! あっ! 久遠君、もっと……もっと強く抱いて!」


 とあるラブホテルの部屋にて光一と愛奈はベッドで互いに求め合っていた。それも全裸で。


「え、江藤……。俺、もう……」


「良いよぉ、ボクも……もう限界……!」


 そして二人は先ほどまで必死に我慢していたが、


「うっ!」


「ああ~~~!」


 お互い強く抱き合ったまま弾けるような声を出した。






「ありがとう久遠君。ボクの我侭を聞いてくれて」


「別に。俺はただ江藤を元気付けただけにすぎないよ」


 行為を終えた二人は全裸のままで布団を被っており、仰向けになってる光一に愛奈が抱き付くように寄り添っていた。そんな愛奈に光一は片手で愛奈の肩を背後から掴んで、そのまま抱き寄せている。第三者から見たら完全に恋人同士の様な関係だと思うだろう。


「そう言った割には、久遠君だって満更じゃなかったでしょ。ボクの裸を見て凄く興奮してたじゃない」


 ラブホテルに行く前までは震えながら光一に引っ付いて弱々しい雰囲気を出していた愛奈だったが、今はもうすっかり無くなっていつもの調子に戻っていた。そんな愛奈からの指摘に、光一は図星を突かれたかのように少し戸惑っている。


「い、いや、あれは……」


「おまけに喘ぎ声を出させる為に、あんなに凄いテクを使って……ボクまだ思うように体が動かないよ」


「お、お前なぁ……」


 何とか言い返そうとする光一だったが、事実な為に出来なかった。実際、光一は愛奈の全裸を見て興奮しており、愛奈が弱々しくも誘うかのように『抱いてぇ……ボクを久遠君の事しか考えられないようにしてぇ』と言われた直後に光一は理性が崩壊して突っ走ったのだ。


 それから光一は貪るかのように攻め、更には喘ぎ声をもっと聞く為に何度も何度も愛奈の弱点を攻め続けて果てさせた。まるで女の体を知り尽くしたかのようなテクニックと言っても過言ではない。恐らく色欲の契約者である花柳月をも落とす事が出来るかもしれない。尤も、光一が花柳月にしたらの話だが。


 話が少し脱線してしまったが、光一は自分の欲望を巧く引き出されている愛奈に敵わないだけでなく、自分にしか見せない弱々しくも甘える顔をするから強く出れないのである。


「久遠君の結婚する花柳さんは大変かもね。主にエッチ関連で」


「何でそこで月の名前が出る? ってか、俺と月はそんな関係じゃ無いよ」


「でもあの人は久遠君にゾッコンなんでしょ? 天城君達から聞いてるよ」


 因みに修哉は月の光一に対するゾッコンぶりに呆れており、佐伯姉弟は優しく見守っている。特に紫苑は月の行動を見て、修哉に思いっきりアタックしようかと時々考えている事もあるが。


「あの三人が江藤に何を言ったかは知らないが、これだけは言わせてくれ。俺と月は結婚する予定は無いし、付き合ってもいないっての」


「ふ~ん……」


 断言する光一に愛奈は少々疑うような視線を送るが、


「ま、別に良いけどね。ボクとしては結婚出来なくても愛人でもOKだし、もし久遠君との子供が出来た時は一人で育てるから」


「おい」


 軽く流して何気に凄い事を言った事に光一が即座に突っ込む。


「何サラリととんでもない事を言ってるんだよ。冗談でも言って良い事と悪い事が――」


「本気だよ。このご時世に、ボクみたいな弱い一般人は契約者やテロリストにいつ殺されるか分からないからね。だからせめて死ぬ前に誰かと結婚して、愛の結晶を作りたいって思ってるの」


「………………」


 真剣に言う愛奈に光一は何も言えなかった。確かに愛奈は一般人であり、契約者やテロリスト達に真っ先に殺されてもおかしくない。以前の正義の勢力にナワバリを襲撃された際、北郷と対峙して生き延びたこと自体が奇跡なのだ。もしまた同じ襲撃が遭った時には今度は殺されるかもしれない。奇跡と言うのは、そう簡単に何度も起きないから。


 だから愛奈はいつでも殺される覚悟を持つ前に、女としての幸せを知りたい為に誰かと愛し合い、その人との子供を作りたいのだ。女の幸せを知る前に殺されるのは嫌だから、愛人でも良いから光一と愛し合って子供を作りたいと願っている。


「ま、あくまでボクの勝手なお願いだから聞き流して良いよ。こんなの契約者から見たらどうでも良い事で――」


「そんな事無いさ。江藤の言ってる事は女として、人として当然の権利だ」


「え?」


 駄目元で言ってる愛奈に光一は否定しながら、愛奈を両腕でそっと抱き締める。


「いくら契約者と言えども、人の幸せを壊す権利なんか元から無い」


「………………」


「俺もたかが上級系譜。いつ死ぬかわからないのは、俺だって同じ――けど、だからと言って、もう諦めたかのような事は言わないでくれ。もし江藤が諦めて死んだら俺だけじゃなく、ナワバリを必死で守ろうとする修哉達も悲しむ事になる。いや、あの三人の事だから怒鳴るだろうな」


 もし修哉達が愛奈の台詞を聞いていたら、確実に怒っていただろう。ナワバリや大切な人を守る為に必死で強くなろうとしている修哉達からしたら、自分達のやろうとしている事を否定されているも同然だから。


「俺達を信じて強く生きてくれ、江藤。修哉達もきっとそう思ってるから」


「……ありがとう久遠君……(チュッ)」


 そう言って愛奈は光一と同じく抱き締めて、そのまま光一の頬にキスをした。キスをされた光一は照れながらも、満更じゃ無さそうな顔をしている。


「じゃあさ、今後強く生きる為に、久遠君にいくつかちょっとお願いしたい事があるんだけど良いかな?」


「ああ、俺に出来る事なら良いぞ」


 元気そうになった愛奈に光一は何でも言ってくれと言わんばかりの返答をする。


「じゃあ先ず一つ目、光一君……って呼んで良いかな? そしてボクの事も愛奈って呼んで欲しい」


「全然構わない。俺としても、愛奈に名前で呼んで欲しかったからな」


 一つ目のお願いにアッサリと返答しながら愛奈を名前で呼ぶ光一。


「次に二つ目。何か遭って相談したい時に連絡して良い?」


「ああ、良いよ」


 問題無く答えていく光一。しかしこの後ちょっと後悔する事になった。


「最後に……今からボクと光一君の子供作って良い?」


「それもお安い御用……え゛?」


「ふふ。じゃあ今度はゴム無しで思いっきりしようね♪」


「ちょ、ちょっと待て愛奈! いくらなんでもそれは……!」







 所変わって――


「!!! な、何かしら? 今すぐにでもダーリンの所へ行かなきゃいけない様な気がする……!」


 色欲のナワバリにて仕事をしている花柳月が再び女の勘が働いていた。それも危機迫るような顔をして。

旅人『う~ん……』


修哉「何を悩んでいるんですか?」


旅人『いや……今度は光一と花柳月のラブシーンも書いた方が良いかな? って思って』


修哉「色欲の花柳さんですか。あの人となると、確実に向こう行きになりそうですね」


旅人『だよねぇ~。軽く考えてみたけど、どうあっても濃密なラブシーンしか思い浮かばないよ。ついでに色欲の系譜も混じったハーレムラブシーンもありかなって考えてる』


修哉「それはちょっと……」


旅人『やっぱ止めた方が良い?』


修哉「花柳さんが抗議すると思いますが、そうした方が良いと思います」

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