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Sなお嬢様と、Nな僕。

作者: モンキィ

朝起きて、始めて見たものが野良猫でした。by榊原。


今日初めて野宿しました。

それも、横に倒れてる土管のなかで、野良猫を抱いて・・・。


僕は榊原さかきばら) 大輔(だいすけ(23歳)独身。

19歳の時、2年バイトしてた店から放り出されて春日崎かすがざき) 裕美(ゆみ(17歳)に拾われました。

裕美お嬢様は春日崎グループという大きな会社の社長令嬢で、才色兼備の女性。

僕はその方の召使というか執事というか・・・のびみょ〜な役職に付いたんです。


でも・・・、ココだけの話・・・お嬢様は『どS』なんです。


だから、僕は毎日毎日、蹴られ、殴られ、罵られ・・・。枕をぬらす毎日でした。


ですが、仕事のない僕を拾ってくださったお方。

心のそこは優しいっ!!って、思ってたのに・・・。






昨日、お嬢様の気まぐれのために夕方大雨の中、買い物へと行きました。


「榊原。私はあのお店の肉しか食べないの。あと、野菜はあの店。魚はあそこ。フルーツはあっち。あっ!デザートはあそこのフランス料理店から、持ってきてね。ぐちゃぐちゃにしちゃ駄目よ。」


との、お嬢様のご命令で、真反対の店に寄らされたり、隣町どころか4町先の店に行かされたりが、しょっちゅうでした。


時々、本当に僕は召使なんだろうか?

お嬢様は奴隷と召使を間違っているのではないか?

と、思うのです・・・。


そして、いろんな店を回って、あとフランス料理店へ寄るだけでした・・。


そこで悲劇は起こるのです!!


僕は、いつもどおりデザートを買いました。

「(よく考えれば、このシェフを雇えばいいじゃないか・・)」


そして、店を出ようとしたころ・・・


trrrr・・・trrrr・・・


お嬢様専用の携帯がなりました・・・。


《・・・榊?いま、何処?》


その声は恐ろしく凍りついていました。まるで、ブリザードのごとく。


「えっと・・。フランス料理店の《おっそいんじゃいっ!このドンがめがぁぁ!春日崎家の召使の決まり忘れたんかぁぁぁ!!ほら、言うてみぃ!!》


お嬢様は僕の答えも待たず、怒鳴り散らしました。


「はいぃっっ!!一つ、お嬢様の言うことは絶対。一つ、お嬢様は全てにおいて一番!一つ、お嬢様の言うことは迅速にかつ、丁寧に!!一つ、お嬢様に反論にしない!!ひと《分かってんなら、はよ帰って来いよ!!これから10分以内に帰ってこないと、ムチでひっぱたいて、棒につるし上げて笑いものにしてやる!!》

ぶちんっ!!


お嬢様は言うだけいって電話を切ってしまった。

ココから、全力疾走で走って、ぎりぎり10分。


僕は走ることしか出来なかった。


デザートをなるべく揺らさないように雨の中を走る。


あと少しでお屋敷っ!!時間も何とか間に合いそう・・・。




ああ・・・。僕はなんて不運なんだろう?


僕の足元には誰かが食べたバナナの皮が落ちてました。

僕はそれをよけることが出来ず、あきらめました。


体がふわっとうき、空を見ながら落ちてゆく・・・。

ああ、花びらは落ちるときこんな感じなんだろう。


デザートの箱も僕と一緒に横に倒れて、中を見たくなかった。




「おまぁ、ふざけてんのか?こんな買い物も出来なくて・・・。のーみそ詰まってんのか?よりによってデザートを・・・。アホにも、ほどがあるんだよ!このクソアホ!!」


僕の頬にはくっきりとした手形が付いていて、それでもお嬢様はなんやら長い棒で僕を叩こうとする。


僕はMではない。ぼくはSとMの真ん中のNだ。

いじめられてばっかりだともう、嫌になる。


「あぁあ、今日、これ食べたかったのに・・・・いっ?」


お嬢様は目を見開いてこっちを見た。


きっと、僕の目から透明な液体が流れていたからだろう。

これじゃぁ、どっちが男か女か分からない。


「お嬢様はっっ・・・僕をなんだと思ってるんですかっっ!ひっ・・こんなに買い物押し付けてっっ・・・こんなん、そのみせに配達してもらった方が早いじゃないですかっ!デザートだって・・・シェフを雇えばいいじゃないかぁ・・・。ぼっ・・・ぼくはごく一般的な男だぁぁぁぁぁぁ!!」


そう言って僕は、屋敷を飛び出した。


僕はNなんだ。時には、人を怒りたい時だってある。

あのお嬢様にはM系の召使がいいんだ。


うわぁぁぁぁぁ・・・もう・・・いやだっぁ・・・。





こうして僕は、そこらへんに居た野良猫を抱いて土管にもぐりました。


そして、この23年間はじめての野宿をしましたとさ。


あ〜あ、これから、なにしよう・・・?

どうせ、お嬢様は僕の代わりなんて、何人も居るんだ。


「・・・僕なんか必要ないんだ。」




「誰がお前を必要ないって?」


独り言の僕の言葉に返事するかのような声は・・・・お嬢様の声だった。


「・・・お譲・・・様?」


お嬢様の格好はいつもからは想像も付かないようなボロボロの格好だった。


「いやっ!これは、別に榊原を探していたわけではなくて・・・あれだよ、あれ。サバイバル体験?」


その様に言うお嬢様の顔は心なしか赤かった。


「とっ、とにかく、お前がいないといじめる奴がおらんくてつまらない。・・・まぁ、ちょっとやりすぎていたかな・・・?いいかっ!これは命令だ。早くうちへ戻ってきて私の世話をしろっっ!」


お嬢様の言葉はまだ、とげとげしかったが、何だか嬉しかった。


「はいっ!これからもよろしくお願いします!!」


僕が笑うとお嬢様はスッと、そっぽを向いた。

どうしたんだろう・・・?


「あと・・・、私は、お前を召使とも、奴隷とも思ってない。私は・・・。・・・!早く帰るぞっ!!」


お嬢様は途中で言うのを止めてしまい、何が言いたかったのか分からなかったが、そんなお嬢様がとても可愛く見えた。



これからも、僕はお嬢様の元でNの召使として、生きてゆきます。



勢いだけですいません・・・。

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― 新着の感想 ―
[一言] すごく面白かったです! 絶対に小説にした方が良いと思います!! 続きも書いた方が良いと思います!
[一言] 超、面白かったです!! 特にお嬢の二重人格(?)的な所が。 また続編みたいのを作って欲しいと思います。 小説作り、頑張ってくださいね!!
[一言] 結構面白かったww 続き見たいです。
2007/02/18 22:49 結構ホント
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