第一話 病ンデレラと王子様
世界はよどみ、渦を巻く。
世界にはたくさんの「非」が溢れている。
実はクラスメイトが超能力者だったり、お母さんが深夜になるとモノホンの鬼婆だったり、お父さんが血よりトマトジュース派の吸血鬼だったり、愛しの彼女が浮気三昧の色っぽい魔女だったりするかもしれない。
世界は広くて、実は狭かったりする。
世界に三人は自分と同じ顔つきの人がいると言うけれど、近所にそっくりそのまんまの自分が住んでいるかもしれないし、自分が大ファンの漫画家が実はお父さんでしたー、なんてこともあるかもしれない。
世界は実に不公平だ。
「あいつなんて殺してしまおうホトトギス。ふっふっふっふふふふふ腐腐腐腐」。そう影で嘆いている病み期と中二病真っ盛りな眼帯少女。神様は信じたいけど信じられない、と言いつつ神頼みの受験生。本当はオンナノコに生まれたかったとオカマの皆様の声。
奇妙な世界。汚れた世界。腐った世界。愉しみの無い世界。
そんな世界の全てを知るのは、私の兄ちゃんしかいない。
恋治。
私の兄ちゃん、恋治は、高校に入ったばかりの新入生だ。
そんな恋治は、顔つきはトップクラス、スポーツ万能、成績優秀、男子女子問わずの受けが良く、要するに「神に恵まれた子」だ。
そんな私は、ほとんど恋治の真逆である。影では悪口を叩かれたり、親にまで信頼を失わせてしまったりした。しかし悔やんではない。なぜなら、今では頭の中の「もうどうでもいい」コーナーに収納されているからだ。どうでもいい。
文歌。
それが、世界一「神に恵まれない子」の名だ。
私は「文歌」として、正々堂々と生きようとは思っている。が、あまりにも周りの環境が良くないため、実行するわけがない。したって無駄だ。
そんな痛げな私をずっと幼い頃から見ていた恋治は、「妹をいじめるなんて死んでも許さない」と、いつも何事から私を守ってくれた。
「兄」という立場を忘れてしまえば、それは、儚くとも私だけの「王子様」だった。
はずだったが。
恋治は困ったことに、「世界破滅までのカウントダウン」を知っています。
* * * * * *
「ついに全知能なる神を、俺達人類が怒らせてしまった」と彼は言いました。
「じゃあどうするの?」と私は問いかけました。
すると、彼は、こう言いました。
「世界が滅びるまで、俺がこの世界に愛を注ぐまでだ」
彼はにやりと微笑みました。
これが、彼―――兄ちゃんの、世界を愛す物語の第一小節目でした。
なんだか色々ごっちゃで、読みにくいです;
ただ、自分が「書きたい!!」ってだけです。読んでくださった方には感謝です!!