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命の危険

龍の文様が刻まれた『鈴』を今自分が持っている。もしそれがただの文様だったらイラストとしては良い出来だとほめたくなる。ただそれが、『呪いの鈴』でなければ。

 「ウソ、でしょ?」

そう自分に言い聞かせることしか出来なかった。神子は基本的にそういった類は信じない性格をしている。だが、いざ自分が体験してみると思ったよりも精神的ダメージが大きい。

「どうしました?」

何も知らない運転手は能天気に声を掛けた。

「いや……何でもないです」

「ならいいんですけど」

神子は冷静な振りをして答えた。まずは冷静になれと自分に自信を持たせる。今の感情のまま塾に行けば間違いなく混乱してしまう。もしかすると、生徒にまで『不幸』が襲い来るかもしれない。

「今、どの辺りですか?」

何となく聞いてみる。木村はなるべく早くと言葉を付け足した。木村は神子のことを信頼してくれている。できるならその信頼を壊したくはない。

 とりあえずタクシーに乗っていれば安心だろう。どこかでそう決め付けていた。

 「進みませんねぇ」

運転手もさすがにイライラしてきたのだろう。貧乏ゆすりをしているのが分かる。もうタクシーに乗って30分は立っている。もう、20分は遅刻しているだろう。

(でも、この位の不幸ならまだ……。死なないから)

神子は少し不安定な気持ちを整理して座っていた。時々さっきのサイトを開いたりした。やはり、この『不幸』を取り除くには『誰かに渡す』か『死ぬ』しかないらしい。昨日神子が拾ったのは9時25分前後。現在は6時45分。ちなみに、授業の開始時間は6時30分から8時まで。そこから10分の休憩をとって9時35分までだ。今は15分の遅刻をしている計算になる。ここからどんなに順調に走っても10分はかかるだろう。―キィ―突然、タクシーが止まった。

「?」

神子は自体が飲み込めずにいた。運転手も不思議そうな顔をしている。―プゥゥ!―クラクションが後ろの車から聞こえる。それもそうだろう。混んでいる道の真ん中で急に車が止まったのだ。

「あちゃぁ~。バッテリーがやられちゃったよぉ。でもおかしいな?バッテリーが切れるハズはないんだけど」

運転手はドアを空けて後ろの車の運転手に事情を話して謝った。

「バッテリーが、切れるはずがない……!」

バッテリーは基本的に運転していれば切れることはないのだ。もし切れる原因があるとするならば……『不幸』しかない。

「すみません。私、降ります。これ、お金」

神子は運転手に金額分の料金を渡すと道に下りた。

「あっ、ちょっと」

運転手が何かを言いかけたが、神子に気にしているヒマはない。神子は動かない道路を横切ろうと足を動かした。―ブゥン―急に車の渋滞が終わった。まるで、錘がなくなったかのように。

「キャッ」

道路を横切ろうとした神子は、急に体の動きをとめたせいで、後ろに転んだ。これでハッキリしたことがある。

『本当に命を狙われている』

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