第46話〜賢姫、相即不離を辿りて〜 中編
「だって、神器探しの始まりは…テアがくれたネックレスよ?それに…私の部屋に飾ってあった《主人の絵画》、あれに触れて現れた絵は…アンサスと私が出会った泉だったの。」
私が真剣な眼差しでそういうと、アンサスはハッとして
「フィーリアの部屋に、《主人の絵画》があったのかい…?」
「…?ええ。」
私が肯定すると、アンサスは少し考えて
「そうか―――それは僕が準備したものじゃない。おそらく…。」
「テア、ね。」
私がそう答えると、アンサスは静かに頷いた。
「それなら、あの泉に《白金の杯》はありそうだね。」
アンサスは、すぐ向かおうとしたが、すぐに思い止まって
「…少しフィーリアが休んでからにしよう。あの泉にはすぐ行けるから。」
そう言ってアンサスは静かに私の頭を撫でた。
「いつもごめんね、フィーリア。…僕はいつも君を振り回してしまう。」
しゅんと悲しそうな顔をするアンサス。
私は思わず、くすっと笑ってしまった。
「ふふ…ありがとうアンサス。」
そして私は自然とアンサスの手を取って
「…今日は少し疲れてしまったから…明日、探しに行きましょう。」
と言って微笑んでいた。
アンサスは少し驚いたようだったが、すぐに微笑んで
「ああ…よろしく、フィーリア。」
と言って私が取った手を強く握り返した。
次の日
「さあ、フィーリア。あの泉へ向かおうか。」
私は今、アンサスの執務室にいる。
ベッドが良かったのか、何が良かったのかは分からないが、昨日までの疲れがすっかり何処かへ行ってしまい、自分でも怖いくらいに元気になった。
「ええ。」
そして、アンサスと私は手を取り合い、泉へと移動した。
「―――久しぶりだわ。この景色。」
その泉は、相変わらず美しい景色だった。
色とりどりの花。
柔らかな風。
優しい小鳥の囀り。
そして…煌めく泉。
泉を眺めていると、ゆっくりと此処でのアンサスと私の思い出が蘇ってきた。
他愛もないことで笑い合ったこと。
お互いの状況に悲しんだこと。
そして、アンサスに恋していたこと。
―――ああ、私はアンサスに恋をしていたのね。
その事実に辿り着いた私は、ふとアンサスと目が合った。
どうしたんだい?と小首を傾げて微笑むアンサス。
アンサスの魔法とはいえ、ずっと忘れていたこの感情。
私は急に恥ずかしくなって、慌てて目を逸らした。
耳まで熱い…。きっとアンサスにも気付かれているわ。
私は、その気持ちを紛らわすかのように
「ど、どうやって《白金の杯》を探しましょう…?」
と思ったより大きな声でアンサスに尋ねた。
アンサスは心なしか笑いを堪えながら
「…ああ、そうだね。―――フィーリアは、どうするべきだと思う?」
と逆に尋ねてきた。
「ええと…そうね…。」
私は思考を張り巡らせる。
…私がこの泉に来られたのは、このペンダントがあったから。
このペンダントが、泉の在処を示していたから…。
そこまで考えて、私は一度考えを止めた。
もしかして、このペンダントが示していたのは…
そして、詩に書かれた【虚像は実像 記憶の中から取り出して】って…
私は大きく息を吸い込んで、ゆっくりと吐き出した。
「上手く言えないけど…《白金の鎖》の時は、手記の中、《白金の冠》の時は、亡くなった王妃の肖像画の中…みたいに、神器は記憶の中…過去のものから見つかったわ…だから、今回もそうなんじゃないかなって思うの。」
私は言葉を選びながら説明する。
「今回の場合は…もしかしたら、私たちの記憶の中、過去にあるんじゃないかしら。」
アンサスをちらりと見ると、静かに頷きながら聞いていてくれている。
「ただ、私たちの過去、が分からないわ。何が過去に繋がっているのかしら…。」
良い答えが思いつかない私に、アンサスはにっこりと微笑んで、私の頭をそっと撫でてこう言った。
「それなら大丈夫…。良い方法がある。」
◇
いつも読んでくださり、ありがとうございます。
最近更新が安定しなくてかなり読みづらいと思います…。申し訳ありません。
よろしければ、あともう少しだけお付き合いください。
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