第44話〜心魂、山紫水明を映して〜
私は胸にぽっかりと穴が空いてしまったまま、《天空の宮殿》から帝城へと戻ってきた。
「ごめんねフィーリア…暫く休もう。―――必要なものは何でも言って。すぐにメイドを呼ぶから。」
アンサスは申し訳なさそうに私の頬を撫でる。
「ありがとうアンサス。…でも良いの?《白金の杯》は…?」
「ああ…フィーリア。僕も、神器を揃えるのについ焦ってしまった。フィーリアが落ち着いたらまた探しに行こう。それに…実のところ、《白金の杯》の場所はまだ分かっていないんだ。」
最後に、おやすみ、フィーリア。とアンサスは言って、私に与えられた部屋を後にした。
落ち着いて部屋を見渡すと、調度品も装飾品もどれも品の良いもので揃えられており、できるだけ居心地が良くなるようにという配慮を感じられる。
ただ、その中で一つ気になる絵…シンプルな木の額縁に入った真っ白なキャンバスが壁に掛かっている。
「一体これは…?」
私が近寄ってよく見ようとしたその時
「…そちらの絵は、《主人の絵画》という絵になります。」
声のする方を見ると、そこには1人のメイドが立っていた。
「申し遅れました。…私、ケラスィアと申します。フィーリア様の専属メイドを仰せつかっております。」
深々と礼をしたケラスィアに、私は
「ありがとう…。ところで、この《主人の絵画》って…?」
と尋ねると、ケラスィアは
「百聞は一見にしかず、フィーリア様、額縁にお手を触れてみてくださいませ。」
と言い、その真っ白なキャンバスを指し示した。
私は言われた通り額縁に手を添えると
すぅ…
真っ白だったキャンバスにインクが滲み始め、どんどん絵になっていく。
そしてできた絵は…
「ここは…。」
私はその絵を見て、アンサスの元へと駆け出した。
◇
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