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番外編〜従者、眼光紙背に徹す〜


「ふぅ…殿下がお帰りになるのは明後日か…。」


俺はアレクシス様の従者の1人、アルクトス・ドゥラーコン。


アレクシス王太子殿下がゼストス地方へ静養に行かれているので、殿下の自室や執務室の大掛かりな掃除を行なっている。


俺は人より大柄なので、こういう大掃除の際は特に重宝される。


伯父のドゥラーコン団長には騎士団に入るよう再三言われて来ているが…世話好きで痛いことが苦手な俺からしたら、従者の方がよっぽど向いていると思う。


それに、最近は休日も賃金も倍になった。中々の高待遇じゃないか?


それも、殿下の発案らしいからな。


エルピダ共和国との貿易拡大や、マギア帝国との軍事条約の締結など近隣諸国との関係も良くなったお陰で、コーディカス王国は今、1番経済成長が著しいそうだ。


明らかに、最近の殿下のお陰でコーディカス王国が良くなっていってる。


他の従者たちは、ただありがたがっているだけだが、俺はどうしても今までの殿下と今の殿下が同一人物とは思えない。


例えば








「…おい!お前!僕の書類を運べ!」


そう言って殿下は数枚の紙束を私に押し付けた。


「は、はい…。」


私はその無造作に束ねられた書類を両手でしっかりと受け取る。


「僕の執務室に置いておくように。…絶対に無くすなよ?」


そう言ってスタスタと立ち去る殿下。


俺は言いつけられた通り、その書類を執務室に持って行き


「ここで…良いか。」


と、机の上に揃えて置いておいた。


しかし次の日。


「おい!昨日お前に渡した書類、どこにもないじゃないか!」


廊下をドカドカと歩きながら声を荒げる殿下。そんな筈はない、きちんと執務室に持って行ったのだか…。


「申し訳ありません。殿下が仰られたように、執務室に持って行きましたが…。」


深々と頭を下げるが、殿下は更に声を荒げた。


「執務室だと…?僕は()()に持って行くよう言った筈だぞ!」


いや…殿下は確かに()()()と…


俺は口を開きかけたが


「もういい!役立たずめ!」


そう言って殿下は執務室の方へ向かった。


「…はぁ。」


俺には執務室と聞こえていたが、聞き間違えたのだろう。


理不尽な責められ方だが仕方のないことだ。


そんな殿下だったのに、最近の殿下は


「アルクトス、最近調子はどう?」


穏やかに話しかけてくる殿下。今まで名前なんて呼ばれたことなかったのに。


「え…あ!はい。元気です。」


突然のことで驚きつつも返事をすると、殿下は両手に大量の書類を持っていた。


「殿下、書類お持ちしましょうか?」


私が手を差し伸べると、殿下は笑って


「…ああ書類?大丈夫。このくらい自分で持って行くさ…大切なものは自分で責任を取らないとね。」


とやんわりと断り、颯爽と廊下を歩いて行った。


「…一体、どうなっているんだ…。」


人間、こんなに急に変わることってあるんだろうか…?


湧き上がる疑問は消えないまま、俺はただ小さくなっていく殿下の背中を見送ることしかできなかった。










うーん、やっぱり変だよな…。


今回、殿下に同行したガリノスに話してみよう。もしかしたら、ガリノスも何か気付いたかもしれない。


俺は、殿下の執務室に戻りながら、同僚の帰りに思いを馳せた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます。


ひとつでも「面白い」と感じていただけたら、

評価やブックマークをしていただけると嬉しいです。


とても励みになり、執筆続行の支えになります。


これからも読者様に楽しんでいただける展開を届けられるよう頑張ります。


どうぞよろしくお願いいたします!


本作は、毎週 月・木・土の20時に更新予定です。

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