第43話〜皇后、夢幻泡影に輝きて〜
「はい、チェックよ。」
「う…。」
私は今、かなり追い詰められている。
リトス皇后とのチェス対決。勝てば私たちが求めている《白金の冠》が手に入れられるんだけど…。
皇后がチェスを勝負に選んだだけあって、とても強い。
リトス皇后の王は、兵3個と戦車に守られて皇后側の隅にいる。
…これを崩すのは、中々難しい。
私はじっとチェス盤を見つめる。
下手に攻め込んでも、手駒を失うだけ…。
その時、私はふと自分の王妃に目が留まった。
…この方法なら…!!
私は、自分の王妃を兵の目の前に動かした。
「あら…自暴自棄になっちゃったのかしら?」
ふふふ…と笑いながら、リトス皇后は私の王妃を何の躊躇いもなく兵で取った。
私は勝利を確信した。
リトス皇后も、静かに微笑む私を見て不思議そうな顔をしていたが、皇后も気が付いたようで
「あ…。」
と小さく声を上げたが、私は騎士を一手動かし
「チェックメイト。」
と呟いた。
「あらあら。…負けちゃったわ。」
唇に手を当て、残念そうなリトス皇后。
「すごいよフィーリア…!リトス皇后陛下はチェスの名人だったんだよ!」
興奮気味のアンサスは私を抱きしめながらそう言った。
「ふふ…それじゃあ、約束通り持ってお行きなさい。」
そんな私たちの様子を見て、優しく微笑んだリトス皇后。
すると、リトス皇后の肖像画が前に開き―――壁の窪みに《白金の冠》が現れた。
「…ようやく夫の元へ行けるわ。」
私たちが《白金の冠》を取り出している時、リトス皇后はボソっと呟いた。
「…え?」
私が思わず声を漏らすと
「私がここに留まっていたのは、《白金の冠》を守るため…。もう私がここに留まる理由はないわ。―――さようなら、2人とも。」
そうリトス皇后が言うと、絵が白く発光し始めた。
「そんな…。」
私は慌てて絵画に回り込み、リトス皇后に話しかけた。
「もう…会えないのかしら…?」
私がそう問いかけると、リトス皇后は一瞬驚いたような表情をしたが、すぐに微笑んで
「またここにお花でも持っていらして…。貴女の大胆なチェス、私は好きよ。」
そうリトス皇后が言うと、光が上の方に昇って、すぅ…と消えてしまった。
残ったのは、もう動かないリトス皇后の肖像画。
「…もっとお話ししたかったわ。」
私がそう呟くと
「そうだね…。」
とアンサスは静かに私の肩を抱き、私たちは暫くリトス皇后の余韻に浸っていた。
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