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第四十話 拝啓、実戦の始まりです

今回は、ちょっと短いです。配分が難しいです。

 警報が鳴り響き、慌ただしく格納庫に人が集まり出す。皆一様に緊張しているようで、厳しい表情を浮かべながら作業に取り掛かっている。


 オルゴンの占領地域である、アテルナ北西部から飛び立った竜鎧機は20機を超えるという。

 基本4機を1小隊とする竜鎧機編成で、20機を超えるというのはかなり大きな編成である。


 敵竜鎧機部隊の狙いは、第7北方軍事基地と思われる。第7はアテルナ北の防衛の要となる基地で、第7を落とされるとアテルナは北方地域を全て奪われる危険性があった。

 ここ13軍事基地からも、援軍として幾つかの竜鎧機が飛び立っていった。


 俺達も急いで援軍に向かわねばならない。

 「ユウゴ!是空はいつでもいけるよ」

 ミシェラから声がかけられる。是空の準備は万端のようだ。

 俺も機乗服(パイロットスーツ)を着て、操縦席に乗り込んだ。


 「ちょっと待ったあああ!」

 大きな声で勢いよく乗ってきたのは、ピリカだ。自信満々に滑り込むピリカだが、どうにもいつもと様子が違う。いや、衣装が違うのだ。

 ふふん、と胸を張るピリカ。どうにもその服に、俺から触れて欲しそう感を滲み出している。

 「・・・ピリカ、その服どうしたんだ?」

 「あれ!ユウゴ気づいたの?」

 そりゃ、あんだけ目の前で翔んでれば、目が死んでなければ嫌でも気がつくだろ。


 「どう、似合う?私も是空に乗るため、ユウゴ達が着ている服を真似て作ってみたの」

 確かに、機乗服(パイロットスーツ)の様に体にフィットした動きやすそうな造りの服装である。もしかして、最近是空に乗ってこなかったのはこれを作っていたからなのか?

 「これ、自分で作ったのか?よく出来てるな」

 「でしょ!大変だったけど似合ってるでしょ」

 似合ってはいるけど、聞きたいのはそこではない。


 「もう、ピリカ。大変な部分は私に任せっきりだったじゃない。さも、自分ひとりで仕上げたように言うのは辞めなさい」

 不満気味に口を挟んできたのはルテアだ。

 「あー、何でルテアは言っちゃうかなぁ」

 それはお前が手柄を独り占めするからだろ。


 「ピリカ、やる気なのはいいが本当に乗る気か?今回は、訓練じゃないんだぞ」

 そう、実戦だ。

 「何言ってんだユウゴ!お前が初めて乗ったとき、隣に誰が乗ってたと思ってるんだ」

 言われてみればその通り。一番危ないときにピリカは乗っていたな。


 「わかった。命の保証は出来ないが、それでもいいなら乗り込めよ」

 「はっはっは、命の保証なんて他人に求めるかよ」

 ・・・・肝の据わった妖精だな。

 「ユウゴさん!」

 ルテアがこちらをじっと見る。何かを言いかけたように見えたが、ぐっと何かを呑み込んだ。

 「お気を付けて・・・・・・」

 何か言葉を呑み込んだ声で、ルテアはそう小さく呟いた。


 格納庫を出ると、滑走路にはベリタ隊長とタグマの奴が先に出ていた。

 滑走路は、基本的に竜鎧機が飛び立つのにはそれほど必要ではない。竜鎧機は、飛び立つ前に助走というものをさして必要としないからだ。

 代わりに必要なのが降りるときである。

 滑空からの着陸には、相応の距離必要となる。もちろん垂直降下なども竜鎧機には可能であるが、やはり技術的には難しいし操縦士(パイロット)の技量も要る。

 なので基本基地には、長い滑走路が併設されることになっている。


 「遅いわよ、ユウゴ一等機士!」

 「申し訳ありません、ベリタ隊長」

 訓練時とは、比べものにならない緊張感がある。俺ももはや軍人なのだ。望む望まない関わらず、やるだけの事はやらねばならない。

 「私が先行します。2機は私に続いて翔ぶように!」

 「「了解」」


 ベリタ隊長専用嘉風が、竜羽を広げて飛び立つ。流石ベリタ隊長、飛び立ち方一つにも技量の高さがうかがえる。

 見取れていないで、俺とタグマも後に続く。俺達は一路、北に向かって進路をとる。

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