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『ライトゴロ』  作者: なかがわはじめ
10/13

第十章  音楽室

  毎日上げても 映えない

  スイーツもコスメも 映えない

  有名なスポット行かないと


  ルイ女だって 充分

  超フォトジェニック

  みんなのファボがほしいわ


   いいねの数や レスが来るの

   いつもより盛れた 自撮り

   自演も加工も ストップなら

   あとはステマ?


  どんどん 宣伝 増やして

  なんの 経費もかけずに

  ステマ 映えるためなら ステマ

  いつでも 映えたいんです


   いいねの数や レスが来るの

   いつもより盛れた 自撮り

   自演も加工も ストップなら

   あとはステマ?


  どんどん 宣伝 増やして

  なんの 経費もかけずに

  ステマ ちょびっと儲かる ステマ

  いつも 映えたことないです




「ステマはダメです」シスター了子は急いできっぱり否定した。

「じゃあ、けさのこと上げていいかしら?」

 かおり校長はスマホを片手になにげなく言った。

「ダメですよ、個人情報の最たるものじゃないですか。しかもカブ高のことですし」

 シスター了子はあきれてこぼした。

「シールで顔を隠せばアベックの写真と察してくれるんじゃないかしら、いまどきのひとなら」

「校長、古いです。いまはカップル、それもカプと短く言うらしいですよ」

「だったらハッシュドタグで普通のカプみたいに書けば……」

「それも古いんです、別の意味で。だいたい普通って何なんですか」

 かおり校長はスマホをピアノの上に置いた。ここは放課後の音楽室である。

「普通のことしてても全然映えないのよ」

「なんでそんなに映えたいんですか」

「だってえ」

 そのままでもかわいいおばあさんで、修道服の下の乙女心が隠せない。シスター了子もそれはかわいいと思っている。

 しかし、生徒の写真をひんぱんに上げたりするのは何のつもりかと疑ってしまう。ガジェット好きは昭和のひとの幼少期の夢の続きのようで、あまりむげに否定したくないのだが。

 スマホを持ってから、加速したようだ。

 よく上げてるのが、空の写真。海の近くにある学校なのに海じゃないという。

 それから花の写真。学校にせっかくあるのに花壇じゃなくて道ばたのがいいらしい。

 あとは猫の写真。港で魚を食べてるところなんかはダメで、街中で遠くに小さく写ってるか、近くで飼い猫みたいになついてる感じに撮れてるのがいいらしい。意味あるのか。

 さっきも、暮れかけて少し暗くなった教室で、修道服姿がエモイなどと言って写真を撮ろうとしたのを断ったばかりだった。

「生徒も喜ぶし、生徒がうちを志望するきっかけになってるでしょ」

 まあ、それが大義名分で、ほかの先生たちはだまっている。

「でも、男子の影響は大きいわね。みんなおしゃれになっちゃった」

「そうですか」

「カブ高にもおどろいた。ゲイにもオープンなのね、公立でも」

「あれはわたしもびっくりしました」

「ねえ、あの校長だから開けてるとは思ってたけど、みんなが普通に認めるのね」

「あの……。軽野校長はなんで我が校の馬に乗ってるんでしょうか」

「あのひと、得意だから」

「はあ、いや、たしかになついてますね」

「むかしのことだけどね。一緒に北海道行ったりしたの」

「馬でですか?」

「やあねえ。北海道で馬に乗ってたのよ」

 それはそうか、了子は思った。

「いいひとだったの。いつもそばにいてくれた」

 シスターは全国いろんな教会を巡回する。自分だけの宗教生活はまた、布教もふくむ。そして、教会の外で音楽によって布教するときは、ゴスペルがポップスに利用されたのとは逆に、世俗のものをも使う。

「京都にいるときは、フォークとあと同じくらいパンクが盛んでたくさんのひとが聴いてた。

 神戸じゃ、ジャズね。

 横浜は、ロカビリーが昭和が終わってもまだうけてたわ。

 軽野校長は音頭からロックからボッサノーバまでなんでも歌いこなせるひとだった。

 あたしも行く先々でいろいろ歌ったわ」

 どうも話がずれてるようだ。馬の話はどこに行ったんだろう。

「いつも一緒だったわ。人知れずわたしを守ってくれてた。

 あるときは私立探偵、

 あるときは片目の運転手、

 またあるときは気障な中国人、

 またあるときはインドの魔術師、

 しかしてその実体は、正義と真実の使徒」

 そんな使徒はいないが。

 でも、悪いやつはどこにでもいる。

 悪の道はいつでも口を開けて待ってる。善き道を踏みはずしてしまうこともある。

 シスターと軽野校長は綿津見ホームの出身だと聞いている。

 きっと物理的にと言うより、象徴的に守られていた、そういう気持ちなのだろう。

「それよりカブ高の先生とはどうなの、シスター了子」

「どうって、何もありませんよ」

「あれからデートはしたの?」

「デートって、パトロールで一緒に回っただけですし」

「あらまあ。デートぐらいいいじゃない?

 合同職員会議でも活発に発言するひとだし、コンピュータークラブのことも顧問の先生ともども熱心に取り組んでくれたみたいだし。英語の先生も協力してくれたんだったかしら。

 背も高いし、しゅっとして、メガネしてたら、まじめを絵にかいたようなひとじゃない」

 メガネとまじめさがどう関連するのか了子にはわからなかったが、

「映画には誘われましたが、その説明のほうがちょっと変わってて……」

「なになに」

「わたしはディズニーの、とくにCGが苦手って言ったんですよ。

 でも、ライオンキングならいけるんじゃないかって、すすめられて。

 わたしは人間とライオンの話だと思ってて、そう言うと、それは美女と野獣じゃないかってことで、それでよくよく聞いてみると、これがいわゆる貴種流離譚で」

「なるほど、折口信夫は西洋の動物譚にまで通用しますか」

「パクリでも西洋の話なのかって問題もありますけど、ちょっと見てみたいなって思いました」

 かおり校長はにっこり笑ってうなずいた。

「宗教にも偏見ないみたいで。やっぱりカブ高の校長がそういう方針だからなのかもしれないんですけど」

「それと校長は関係ないと思うわ」

「お酒は大丈夫なのかも気にしてくれて。でも自分も全然オーケーなくらい、くだけたところもあるみたいです」

「ふうん」

 するとそのときドアが開けられ、ひとりの生徒がはいってきた。

「失礼しまーす」

 音楽室のドアもほかの教室と同じく二枚の引き戸で、教室の右手前方にある。教壇をはさんで左側の窓際にピアノがあり、そのうしろにも入り口と対称の関係にドアがあり、楽器倉庫をかねた準備室に通じている。

 生徒のための席はすり鉢状に、いな、当たり鉢状にうしろに行くにつれ傾斜があり、その底に黒板を書割代わりにしたステージのように教壇があるというわけだ。

 入ってきた生徒は、舞台袖にはけるように、教壇を横切って身軽に駆け抜ける。

 準備室を開ける前にぺこりとお辞儀をした。

「タマちゃん、まあ、タイミングがいいのか悪いのか」かおり校長が小さな声で言った。

「あら、タマちゃん。じゃあ、わたしもコンピューター部を見にいかないと」

 シスター了子は挨拶もそこそこに出ていった。

 かおり校長がスマホをふたたび手にとってあれこれするまもなく、タマちゃんは大きなケースを抱えてすぐにもどってきた。

「あらあら」

 コントラバスの大きなケースを横たえると、置き方を半回転まちがえた三脚のような銀色の棒を組み合わせた台を取り出し、楽器を出してそれに立てかけた。あといくつか道具を出しふたを閉めると、ケースは部屋のすみに置いた。

 ピアノの椅子に座っているかおり校長に、

「ループマシンあるんでピアノトリオ行けますけど」

と、タマちゃんは声をかけた。

「ループ?」

 おみやげのチョコレートの入れものくらいの小さな黒い四角いボックスをピアノの上に置いた。表面には小さな液晶画面とたくさんのボタンやスイッチ。タマちゃんは、ピアノのそばにあったスタンドマイクのコードつなぎ直し、ボックスからのコードをアンプとコンセントにつなげた。

 なにがなんだかわからず見つめているだけのかおり校長のほうに向いてマイクを指差した。音を録るから静かにしてほしいのサイン。

 マイクをほとんど口をつけて、ボン、と低い声を出した。それからボックスのボタンを押した。

 ボン、ボン、とその音が繰り返される。ピアノのうしろと、天井に設置してある教師の講義用のスピーカーから、すでに人数が増えたように聴こえる。

 今度は、タンとツンの中間のような音を舌を鳴らすようにして出して、マイクは一瞬だけくっつけて勢いよく離した。

 ボン(タン)、タン、ボン(タン)、タン。ドラムになってる。ベースがリーダーの曲のイントロにすら聴こえる。

 次は、シャーンとツーンの中間のような音だ。また別のボタンを押すと、音が増えた。

 ツッツタッタ、タツータトゥ。それに代わる代わる、ボン、ボボン、が混じっていく。

 こうなると、リーダーのあるいはゲストのソロを待つばかりのような曲に、もうなっている。

 低音に支えられながら、軽快なリズムを構築してゆく。

「あら、自分で太鼓のトラック作っちゃったの? 即興で? すごいわね、時代ねえ。機械の力を借りてるとはいえ、むかしはこんなこと考えられなかったわ。でも、テンポがプレサイズすぎない? これでスウィングできる?」

「リズム隊はこのくらいでいいんじゃないですか、ソリッドだし」タマちゃんは不満そうに返した。

「だったらメトロノームでいいんじゃない?」

 上品なおばあさんなのに、しれっとこんなことを言う。だからこそ生徒からカワイイと言われ愛されているのだが。

「それ言います? がんばって入力したのに、言います?」舌打ちを追加しそうな調子で言う。

「あらあら、ごめんなさい」かおり校長は、でも笑っていた。

「これだけで動くんですから大変なんですよ、普通はノートパソコンいりますよ。カブ高のみんなにも協力してもらって作ったんです。ソフトも完全にカスタマイズで何でもいけるし、待ち時間にやるテトリスまで入って、こんなのないと思いますよ」

 ピアノの鍵盤に向き直ると、かおり校長は機械のリズムに合わせて左手だけでいくつかコードを弾いてみた。

「なんか、わたし、自分が古臭く感じちゃうんだけど、どうなの」

 タマちゃんは、はっとして、

「あの、入れ直すのもすぐできるんで。いまヒップホップっぽくやっちゃったんで、それでそう感じちゃうんじゃないですか」

「そうなのかしら。いまどきのベースラインについていけないバドみたいな気持ちになっちゃう」

「いいですよ、合わせますよ、ラグタイム。フォービートで行きましょう」と言って、またマイクを握りなおした。

 そこにまた、ドアが開いて、ひとりの生徒がはいってきた。

「失礼しまーす」ルーミンはドアの前で立ち止まり、スピーカーから流れる音に注意を向けている。

「あらあら、集まってきちゃった? きょうはここで練習するのかしら?」

 吹部が音楽室に集まって全体練習するのは、OGの指揮者が来る週末が主であった。それ以外の日は、おのおので校内のいろんな場所に散らばって、あるいは個人で、あるいは小グループで練習するのである。屋上で、グラウンドに向かって旧校舎で、あるいは海岸まで行って楽器が壊れるくらいまで。

 全国高校コンクールのある十月、そして続く全日本大会の年末までは、それが常であった。

 しかし、今年はとくに自由課題の曲目変更を部員たちが望んだため、曲探しもあって個人練習が続いていた。

 変化は、やはりあの応援団への参加から起きた。マイコがリードして生まれたスウィングに全員が魅了されたのだ。行進曲アレンジ、日本人作品、定番曲などより、よりスウィングする曲を求めて、みんなが探し回っている。個人の技術も壊れるくらい限界まで追い込むというより、自由度、対応力を鍛えながら。

「ループマシンじゃん。これが自作のやつ? でもリズムパターンだけじゃん、SEみたいなの足せないの?」

 ルーミンは、やはり幕の途中、舞台に悠然と現れる主役のように教壇を横切りながら言った。天井のスピーカーに顔を向け聴き入っているので客席に向かって言うように。

 タマちゃんは、ボックスのオールクリアのボタンを押し、音を消した。

「加工も、追加もできるよ。いまちょっとやって見せてただけ」

「ルーミン、すぐわかるのね、この機械のこと」

「スマホでもできますよ、アプリあります。もちろん簡略化されてて、課金しないとあれですけど」

「まあ、スマホで? へええ」かおり校長はスマホを取り上げると、機械というよりも骨董品でも見るようにためつすがめつしていた。

「ベースもあるけど、そっちやるの?」

 ルーミンはマイクを指差した。

「ルーミン、フルートじゃないの」

「タマちゃんがベースやらないんなら、って思ったけど、それはやっぱりパーカッションになるんだよね」

「いや、練習するときはそうだけど、歌だから。シンセを鳴らして、歌。プリセットもあるし」

「でも歌は校長先生にやってもらったほうが……」ルーミンは準備室に行こうか、かばんからフルートを出すか、決めかねて教壇の中央に立っている。

「ええ? 歌じゃなくていいわよ。ピアノでいいわよ、わたしは」校長は急いで言った。

「そうなんですか。てっきり得意なのかと思って。じゃあ、どうしようか」タマちゃんはルーミンを見た。

「うーん」

 話の流れでは、ピアノ、ベース、フルート。

 トリオの構成としては、オルガンだったら、ベースがなくていい。しかし、シンセ的な使い方ができるマシーンがあるといっても、ノートパソコンがなくてもいいのがあだとなって、キーボードがない。

 ちなみにタマちゃんもピアノは弾ける。歌も弾き語りでやる。忘れたはずはないが、ルーミンも歌う。しかし、この三人をアイドルグループ扱いするのはマニアックすぎるだろう。なんでもいいヲタクはともかく。

 さらに言えば、フルート一本ではピアノがサポートに回っても音量が決定的に足りないだろう。

 ドラムマシーンがあるから、ピアノトリオ、プラス一管と言えなくもないが。

 女ばかりのメンバーなら、と妥協するのは二〇二〇年夏以前でも受け入れられないだろう。客も含めて。

 お気に入りのテナーサックスが壊れてしまって、バラッドしか吹けないといったようなきびしいことは求めずともよかろう。しかし、それで静かな傑作が生まれるとしたら、ヴォリュームとはなんだろうか。

 ただし、セッションすることは決まっている。

 とにかく、それはいつでも神の思し召しのように決まっている。

 だから、とにかく、ピアノ、ベース、フルートで始めようとなり準備した。

「じゃあ、マイコちゃんがいつか言ってた、ジョイ・トゥ・ザ・ワールドで」校長が言った。

「マイコが? 結局、歌もの? ま、いいか、コーラスも」ルーミンが手のひらを下にしておでこあたりに置いて校長を見、手のひらを目のあたりに下げてタマちゃんを見、あごのあたりにまで下げて、ふたりにうなづき返した。

 かおり校長もタマちゃんもうなづいた。

 そしてふたりは、校長がイントロのコードを弾くのを待った。

 しかし、一向に弾かないので、タマちゃんはそこまでくわしくないのかと思い、ドラムのアタックからすぐ歌にはいることにした。ルーミンも承知のようだ。

 マシンのボタンを押すと、ブレイクし、ファンクのパターンを繰り返すようにセットし、スタートした。

 パーカッションが鳴るのに合わせ、ベースのタマちゃんがワンフレーズだけ弾き、ルーミンはクラップで同じリズムを刻み、そして歌い出す。

「エレミアはぼろぼろなのさ

 預言に酔いつぶされたみたい……」

 ピアノで入ってくることもなく、かおり校長は、

「ちょっとちょっと。何言ってるの、何いまの。

 もろびと こぞりて……

 でしょ」

と、ブレイクさせた。

「あっ、そっちか」ふたりは顔を見合わせた。

「いいわ、若いひとはそうなんでしょ。そのエレミアの歌を続けて。わたしは行くわ」

 かおり校長はそそくさと音楽室を出て行った。

「マイコが言ってたっていうからファンクだと思うよね」

「ねえ。でも、機械が苦手なのかな。ていうか、自分が知らない機械がいやとか?」

「ねえ、スマホ忘れてるし」

 スマホはピアノの上にあった。

「じゃあタマちゃん、ベースもエレクトリック始めたって、マジ?」

「え? うん、そのほうがいろいろできるしね」

「カブ高のけいおんに佐藤もよくいるらしいけど、タマちゃんも……」

「ううん、まだバンドとかポップスやるってとこまで決めてない。ただ、武器を増やしたいから」

 ルーミンは言ってみようと思った。

「でもさ、使っちゃったら終わりの武器もあるよね」

「? どういうこと?」怪訝な顔になって、タマちゃんは強めに言い返した。

「グラビアの仕事、事務所からすすめられたんでしょ。で、やるんだって?」

 沖田多満子も、ルーミンやマイコたちと同じモデル事務所に籍を置いていた。もちろん、音楽活動のためで、ステージでの権利関係の簡略化などが主な目的で、歩合制の単年契約。バイト感覚というより、ほとんどクラブ活動だった。マイコ以外はだいたい同じような契約だったが、とくにルーミンは値の張るフルート、タマちゃんは場所をとるコントラバス、ということでもわかるように、ふたりはかなり恵まれた育ちをしている。

「ちゃんとした雑誌の仕事だって。コンビニにも置かれるような雑誌。チャンスって言われたけど、あたしもチャンスだと思った」

「コンビニにはまだエロいのも並んでるし」

「エロいって言うか、水着だよ」

「グラビアだからそうでしょうよ、でもさ……」

「まじめに考えてやってる。まじめにチャンスだと思う」

「まじめにやればいいわけじゃないじゃない。

 タマちゃん、eスポーツやってるらしいけど、あれなんて変なハンドルネームでやってるうちはいいよ。でも、学校対抗とか、本名でやるのはちがうと思う」

「偏見だよ。eスポーツはそんなんじゃないよ。スポーツだよ」

「いや、勝負っていうより、蹴落とし合いでしょ。

 戦いっていっても、消耗戦だし。

 なんか見苦しいよね」

「戦いだから、きれいごとばっかじゃないよ」

「きれい、汚いじゃないのよ。みっともないかそうじゃないか。

 みっともないハンドルネームが似合うようなもんでいいじゃない。

 それが企業に利用されて、ゲームメーカーじゃなくて、別のところがなんか騒いでない?

 カネ集まるとこはそういううさん臭いやつが集まってさ、最初に始めた人は関係なくなってない?」

 これはクリティカルな反論だったようだ。

 ゲーム業界の再編、縮小は、むかしの繁栄を知らぬ世代にも痛切な失敗として共通体験化している。

 クソゲーと笑いたくても、そのメーカーがなくなっていては、死人をむち打つまねになる。ガラパゴス化は畢竟ヲタクコンテンツ化でありアニメキャラ化であった。それにひきかえ海外製ゲームの異形のキャラクターにほの見える、非白人を下位と思わせるような嫌悪感。

 一度は覇権を獲ったのだから、白人中心とはちがった世界を構築できたはずが、バーチャでさえできなかった敗残の印象。

 ハリウッドのC級映画の世界観で、破壊や創造をおこなうとしても、ドナルドダックを百匹に増やせ、マクドナルドを百軒建てろ、テロリストを百人殺せ、それでハッピーエンディングとなるのか。

「なによ、VRなんて言ってさ、仮想空間の土地を売りますってそんなもん誰が乗るのよ。

 だいたい、VRゴーグルつけてゲームやってる姿ってなによ、あれ。

 ひとりだけキョロキョロ、オロオロしてさ、

 日照りのときは涙を流し、

 寒さの夏はおろおろ歩きじゃないんだからさ」

 タマちゃんはやっといつもの柔和な顔でちょっと笑った。仮想ならば、雨にも風にも負けるはずがない。しかし、それをやってる姿は、はたから見ると負けたあとのようなのは認めざるをえない。

「やっぱりさ、一緒にやろうって、ひとに言いにくいジャンルでしょ。

 ゲームを気に入るかが一番の問題じゃないよね。

 それよりひっかかることがあるよね」

「そっちがやってるバイトだってヤバイでしょ」タマちゃんはむきになった。

「だからタマちゃんは誘ってないし、ひと選んでるよ。

 まじめにもやってない。まじめなのは向こうだけで、あたしたち表舞台だけど限定的で、契約もないし資本関係もない。ワンナイトスタンドで、バックダンサーであり、コーラス隊だし。

 それに向こうだって軽々しくおもてには出さないけどね」

「でも、求められてるからやってるってことでしょ。需要があるんでしょ」

「そうだけど」

「音楽でもりあげるのが仕事なんでしょ。

 じゃあ、ゲームも一回でも盛り上がればいいじゃない。

 グラビアでもなんでも、一回でも夢中になれることがあれば、それでいいと思うけどな」

「なんでもってわけには行かないよ。

 エロでバズるのは一回はあるけど、一回しかないよ」

 直接な物言いに、タマちゃんは一瞬、言葉に詰まった。

「グラビアアイドルってジャンルはあるよ。そんで巨乳はグラビアをやる大義があるようになってる。

 でも、ジャンルや雑誌が決めるんじゃなくて、あくまで本人だから。

 あくまでアイドルの前提があってだからね。

 ヴァラエティー進出って、先があるからやることだから。

 アイドルとしてなら、音楽的にいろんなジャンルがやれる。まあ、日本がジャンルにうるさいだけなんだけど、普通のロックバンドがアコースティックバージョンやると文句言われたり、ヒップホップやると売れ線狙いって馬鹿にされたり、パンクやるとへたになったって言われたり、うるさいじゃん。アイドルは言っちゃうと歌謡曲で低く見られがちだけど、でも、自由はあるよね。

 タマちゃんにとっては音楽が第一義でしょ。ゲームじゃないでしょ。やりたいのは音楽でしょ。

 逆にさ、グラビアアイドルで売れて、そのごほうびの企画で屁みたいな歌を出すひといるでしょ。あれをやりたいかって話よ。そうなるとさ、ベースじゃなくて歌メンしかできないと思うけど、どうよ?」

 しかし、まだタマちゃんは納得しがたいようだった。

「でも、チャンスなんだよ。ジャンルやいろんな段階や全部飛び越えて、自分の自由にできる場所に行けるかもしれない。そんなうまく行くことばっかり考えてるわけじゃないけどさ、なんにしても、きっかけにはなるよ」

「一夜明けたらスターって、昭和の時代だよね。

 いまはSNSやなんか使って自分で顔を売れる。自分を知らしめることはできるよ、誰に届いてるかはともかく。

 それで、チャンスよりももっとちかい、オファーや依頼が自分の一歩手前まできてると、みんな思ってる。

 でも、ちがうよね。一歩か、百歩かじゃなくて、ステージがちがうんだよ、そこから先は

 うちにアイドルやってる子がいるって噂になって、カブ高で出回ってたのはタマちゃんの画像だったよね。

 カブ高のたぶん男子のほとんどには知られてたけど、でも、なんか変わった?

 たとえば、タマちゃんがアコギ持ってストリートで歌ったとして、カブ高の知ってるひとがみんな見に来ると思う?」

「すごい反対するね」

「そりゃするよ、うちらのサポートメンバーだし。心配だし」

 嫉妬とか、競争心とか、そういう感情からじゃないのはわかってくれたのか、タマちゃんは少し表情をやわらげた。

「でもさ……」

「まだ言うか。

 じゃあ、マイコに言える? グラビアやってみようって。

 そんでマイコと一緒にグラビアやってさ、マイコに勝てる? それともミクを誘う? ミクなら勝てる?」

 あたしに、と言わないだけ、まだ冗談めかしていた。あたしたちの四人目に、と言ったことがないのも思い出してくれと、ルーミンは思っていた。

 それでも、タマちゃんはだまって考えていた。

 ここまで来るとは、ルーミンには意外だった。

 勝てる、と思っているとしても、一ヶ所においてにすぎない。そんな限定的で短絡的な勝利が、その名に値するかどうか、わかりそうなものだと思っていた。それを押しても、得がたいものがあるのか。そのもとの不満とは何か。

 いくら策士とはいえ、やはりルーミンも十七才であった。

 性を消費されるとは、ネットでもよく見かける言説である。アイドルはその当事者であり、グラビアはまさに該当する問題である。ネガティブにしか、あるいはアイドルの側からしか見られないのはしかたがあるまい。

 しかし、対価を本人以外が得ている、という利益についての不満だけを言っても、契約の問題にはとどいていない。

 さらには、契約にないことがおこなわれているという不満では、商品となることの問題にやはりとどかない。

 事前の、あるいは事後としてしかとらえないなら、たとえ自由を得ても、なにものにも束縛されないことと、なにものにもかえりみられないことの二面性のうちに課題は霧消してしまうだろう。

 蕩尽についてならば、構造ではなく物について語れるであろうが、精神よりもっと抽象的なほうに問題がずれてしまう。

 ここでは、一方的に消費されるだけでなく、それにともなって生産されたものに注目すべきである。消費の対象となったもののほかに、交換はされていないが消費者の側に生み出されるのをみちびいた、関連するものである。商品自体だけでなく、意図しなくても、その代償も犠牲もとるに足りないと思えても、男たちに与えられたものについてである。

 女の性が消費されたとき、男には、迷いがもたらされる。

 どうすれば女にもてるか、どこに行けばこんな女がいるのか、その女を落とすために必要なものとは何か、などの性に関連づけられたものではない。

 皮肉に言うならば、それは賢者の悩みである。



  われわれはどこから来たのか。

  われわれはなにものか。

  われわれはどこに行くのか。



 女親は、子供に「自分はなにものか」と訊かれれば、誰の子かを正確に答えることができる。

 男親は、どんなに確信があっても、それを自分で正しいと証明することはできない。よって真実を告げることは不可能である。

 女親は「自分はどこから来たのか」と訊かれれば……。

 もとい、画家が考えることではないような迷いを与えられるのは、消費されたときだけである。

 十七才かどうかではなかったか。いくらルーミンとはいえ、理性の世界から抜け出さないことには解けないような別次元のむずかしさでは、やはり……。

「いまが楽しければいいっていうのは、一面では真理なんじゃない。いま、あたしたちは青春時代という二度と帰ってこない季節にいる。いましかできないことなんだったら、あたしはやってみたいと思う」

「そんなさ、日本には四季があるから、みたいな話やめてよ。外国の夏は湿度がないから、日本よりよっぽど過ごしやすいけどね。温暖化で三十年に一度や、五十年に一度の雨が毎年のように降ってるけどね、いまが一番、日本が一番ていつまで言えるんだろね」

 負けず嫌いもゲームだけならいいが、こうなるとルーミンももっと攻めざるをえない。

「ちょっとおおげさじゃない。そんなおおごとかな」攻められてひるんだのか、心配されすぎて恐縮してるのか、わからないような態度だった。

「いまをことさらに語るなんて、人生お先真っ暗のヤンキーがやることでしょ。

 人生語るやつはだいたい現実から乖離して、終わりから見てる。

 いまを改革する気がない。いまある問題点がわからないか、どうにもならなくて、改変したあとを考えられない。

 いまさえよければなんて、人間だれでも一本は小説を書ける、みたいな世迷言じゃない。

 一回は読める、読み返すことのない小説でいいなら、そこら辺にあふれてるでしょ。

 なんでわざわざ、そんなつまんない自伝みたいなもんを書かなきゃなんないの。なんでそんな言いわけを聞かなきゃいけないの。

 タマちゃん、アイヒマン知ってるよね」

「スペシャリストでしょ」

「アイヒマンは裁判でクソつまんない証言しかしなかった。もし自伝があったとして、それ、おもしろいと思う?」

「……」

「おもしろいはずだよね。

 アイヒマンは組織に忠実なまじめな男だった。それでやったのはユダヤ人大虐殺。戦争を生き残ってそれを証言できた。

 話としてはおもしろいはずだよ。

 でも、本人はクソまじめに仕事をこなしただけだった。クソつまんない証言しかしなかった。

 気持ちの問題じゃないよね。ていうか、本人はどうでもいいよね。

 なにを、いつ、どう言うか。全部だよね。どうして、てそのときに思わなかったことも、あとから考えてわからないって証言するのも、同じことで、全部だよね。

 いまが楽しければ、なんてそんな話を限定して逃げてないでさ。

 ちょびひげのチビに、ちょびひげって言えるかどうかだよね。

 刈上げのデブに、刈上げって言えるかどうかだよね。

 資本主義のブタに、ブタって言えるかどうかだよね」

 最後の三連符のような攻撃は効いたようだった。タマちゃんはだまった。

「そうね、ブスにブスと言っちゃいけない社会になっちゃってるしね。その気持ち、大切よね」

 かおり校長だった。

 しっかり目を見つめ向かい合っていたふたりは、校長がもどってきたのに気付かなかったのだ。

「え? 校長……」ふたりは同時に言って振り返った。

「ちょっと忘れもの」と言って、ピアノのうしろ、黒板の端の下のほうにあるコンセントから充電器をはずした。コードを手にくるくる巻いてまとまりにしながら、またピアノのところまで来た。

「わたし、いつも百パーセントにしたいひとじゃないのよ。だから、よく忘れるのよ」

と、スマホを忘れたことにはしたくないようだった。

「あのう……」

「でもね、ルミちゃん。いまこの瞬間に賭けてみたいって気持ちはわかってほしいわ。

 たとえば、映画のスタントマン。この役に懸けるどころか、代役なんだけどね。でも命懸けでやるのよ。どうなってもいいのかよってくらい、危険なことに挑むの。

 そして、主役はそんなみんなの気持ちを全部を背負うんだよ。

 それなのにさ、若いってだけ、かわいいってだけでお人形さんて言われるのよ。主役だと。

 それでさ、脇役のブスがしれっとした顔してるだけで、味があるとか言われるのよ。ブスなだけで何もしてないのに。

 ブスなだけだから、何も懸けない、何も磨かない、何かを失うようなことはしない。そんなだから、序列にだけうるさいヴェテランにも好かれる。ブスのポジションで、そうやって生き残る。

 そしてまた、序列にはうるさいけどずうずうしいだけでブスのヴェテランが再生産される。

 B級とは言われないけど、つまんない文芸作品でややうけのコメディエンヌを振られる。駄作のなかでそこそこの演技なら、つまんない演技でしょうが。泥人形みたいなもんよ。なのにまた、味があるとか言われる。

 おまえらの馬鹿舌をどうにかしろってんだよ」

 いつも上品なおばあちゃんなのに、よほど腹にすえかねたことなのか。

 ルーミンもタマちゃんも口をあんぐりさせ、顔を見合わせた。

「あのう……」タマちゃんがふたたび何か言おうとすると、

「あらいやだ。熱くなっちゃったわね」手をこちらに向かってひらひらさせて、何かを追い払うような仕草をした。あるいは、いま言ったことはすぐにどっか行け、か。

 しかし、ひらひらさせた反動で離れて行くようなそぶりの校長は、振り向く前に、

「でもね、これだけは言っとくわ。タマちゃん、ポルノはダメよ」

と、断言した。

「ロマンが付こうが付くまいが、ポルノになったらそれでおしまい。

 ポルノとしか思われない。

 B級も何もないの。実験作も前衛もない。

 それだけは忘れないでね」

 そう言い置いて、かおり校長は去ってしまった。

 ルーミンは何を言ってよいかわからなかった。おばあさんの世代には、水着になることは半裸になることで、それはもうポルノなのかもしれない。話の腰を折られただけで、タマちゃんのグラビアの件はまだ宙ぶらりんのように思う。

 すると、タマちゃんが、

「なんだろう。

 ブスに恨みがある美人ってめずらしいよね。

 普通はブスが世の中を恨んでるだろうに」

と、すじの通ったことを言う。

「馬鹿舌だって。

 ファストフードの前から、そういうのがあったってことかな」

「たぶん、むかしのひとはハングリーだったのよ」ルーミンは言ってみて、自分でもずれたこと言ってるなと思った。それで、

「マイコにもグラビアの話、来たことあるんだよね。

 マイコはハングリーだからさ、やってもよさそうじゃん。

 でも、やらなかったよ。

 三人でって話も、マイコが断った。

 あと、佐藤もハングリーだけどさ」

「佐藤はカネにならないことはやらないよね。でも、カネになるからあのバイトもやってってるんだから、もしかしたら……」

「ヤスがやるの? グラビア? ぷっ」

 ふたりは同時に吹き出した。

「見た目だとマイコ全然ハングリーに見えないけどな。パンがなければケーキを食べればいいって言いそう。アイドルもファンクもジャズもって貪欲さはあるけど。……マイコってハングリーかな」と、タマちゃんがまじめな顔にもどって訊くと、

「ハングリーだし、もっと強いよ。エースはゆずらないし。ミクが美紅だから、メンバーカラーは赤じゃん。エースのカラーじゃん、普通はそっちが。マイコの青も、言えば主要メンバーのカラーなのにさ、でも、まだ赤がほしいって言うからね。

 それにジャズは力だって持論だし」

「そうなの、マイコはジャズは進化だと思ってると思ってた。マイルス的な。変化と進化」

「それはタマちゃんでしょ。ベースメンは、アレンジャーもやるから、楽理的に考えるひと多いし」

「そうなんだけどさ、でもマイコとは話も合うし、音を合わせやすいから、そうなんじゃないかなって思ってたんだけど」

 ルーミンもジャズの論争なら歓迎だった。

「力よ。ピアノはハンマーでぶったたいて音を出すんだってよく言ってる」

「マイコが? 聞いたことないんだけど」

 タマちゃんの気の強さをマイコも知ってるってことか。

「じゃあ、マイコが言ってるマイルスの異名も知らない?」

「なに? 帝王、じゃなくて」

「マイコは、マイルスを毛布・オブ・サウンドって言ってるよ」

「ふむふむ。なるほど。あたたかくって、少しくさい。っておい」

「うふふふ」さすがに理解がはやい。ミュートの音の感じがよく出てるもんな。

「ええー。じゃあ、コルトレーンもあんまりってこと? あたしは好きなんだけど。フリーのちょっと前までだけど」

「タマちゃん、マイルス派じゃないの。エレクトリックにも興味あるし」

「あたしは武器がほしいだけだから。フュージョンなんかやる気ないし」

 ここからは、フュージョンはジャズか、アシッドジャズは迎合じゃないのか、新伝承派はモードではなくぬるいハードバップではないか、など、答えのない会話が続く。

 ルーミンは目的を達したから忌憚なく語るし、タマちゃんもそれとこれとは別で我を通す。

 テーマはともかく、つまりは女子高生の会話である。

 では、ここで脇役について一言しておこう。

 脇役は大事である。ディティールだから。

 たとえば、ミステリ小説なら、主役と同じくらいにくわしく書かれないと、犯人役を負えない。あるいは、犯人と疑われる役はできない。しかし不自然でないようにヒントや証拠をまぎれこませるためにも、描写は脇役以上であってはならない。また、そのようなかたよりを感じとられないように、ほかの脇役たちもこまかく描写されねばならない。そして事件以外の疑惑を生まないために、つまり二時間ドラマで残り十分になったからもうこいつしか犯人いないと推理でないところでばれるような興ざめをさけるためにも、消えた人間だからと矛盾させてはならない。犯人が露見するとき、思い出しても狂いがないようディティールは最後まで維持しなければならない。

 なにより、ミステリはフェアである必要がある。小説のなかの探偵役と同じ情報を読者に与えなければならない。読者も同じく犯人を推理する構造になっているのに、探偵だけに抜け道を与えるようなまねをされては、ゲーム性が損なわれてしまう。いわゆるチートである。

 探偵が反則を犯しては、役不足、いな、失格である。

 よって、重要なヒントの情報は事件と同時に、あるいは探偵が知るのと同時に読者に提供される。描写はあらかじめなされる。

 一方、冒険小説は思いがけぬことが起こるのが筋であるから、描写はその都度おこなわれる。目が向いたところを、目に入ったものを、あとから描く。ドアの陰に誰かいても、物音のヒントも与えてはならない。

 この小説にも、さまざまな脇役が登場する。彼らは地味と言われたり、何曜日に学校に来ると指定されたり、何かを示唆しているように見える。それは、描写が後にされることで伏線のようであったりするし、描写が少ないために引き立て役にすぎないと思わせたりもする。しかし、ゲームの楽しみだけが小説ではないのである。情報や教養の種になるのが役に立つことであり、それ以外は読む意味などないわけではない。

 もしも、この小説の冒頭で殺人事件が起きていたら、説明されない人物がいることや、いろいろなひとが途中から登場することは、フェアじゃないという謗りも甘んじて受けようが、それでつまらないとなるものではあるまい。

 ヒントや疑惑のような誰かの気配は、読者自身の影かもしれない。あるいは、読者にしか見えない誰かかもしれない。

 くどくどと書くよりも、冒険小説はとにかく『パルムの僧院』に直接あたられるがよい。

 その作者スタンダールは、登場人物たちにしばしば次のように語らせる。




  自分は何であるか。

  自分は何をなせばよいのか。

  自分はどうすれば偉大に、また幸福になれるか。




 そして、スタンダール本人はこのようにも語る。

 すべて立派なモラルなどというものは、つまり芸術家が何か成心を持っていることは、芸術品を殺してしまう。


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