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憎まれっ子、死ぬ。

全てが平凡であるはずの俺、北條ユウは、悪気は無いのだが嫌われてしまう性格をしている。親とも必要最低限しか話さないし、弟は俺の事を嫌っているから俺を居ないものとして扱っている。

ある夏の朝、学校へ向かう途中、幼馴染のユリが話しかけてきた。

「おはよっす!あんたまた寝癖つけたまま登校してるの?そういうところからしっかりしないと友達出来ないよ?」

「余計なお世話だ。お前こそ下着はもう少し地味な色にしたらどうだ。派手な赤が透けて見えてるぞ。」

「はぁ…サイッテー。ほんとそういうとこだよね。」

「そういうところも何も親切心で教えてやってるんだが?そうだ、俺のベストでも貸し…」

「もういい。じゃあ先行ってる。」

 ユリが明らかに不機嫌になっている。また何かやらかしてしまったみたいだ。一体何がいけなかったんだ…?下着が透けて見えていたら恥ずかしいだろうし教えたまでなのに…。ベストで隠せば皆に見られる事もないだろうに…。などと考えているうちに学校に着いた。


俺の教室は2年1組、もちろんクラスに友達は居ない。最初は皆話しかけてくれたのだが、どうやら俺は一言多かったり、正論ばかり言うから次第に皆が離れていった。1人は寂しいが、慣れてしまえば気が楽だ。うん、1人の方がいい。と考えている内にチャイムが鳴る。「はいチャイム鳴ったぞーお前ら席につけー」と言いながら担任が教卓に着く。そして午前のホームルームが始まる。そのまま可もなく不可もない成績の俺は何事も普通にこなし、今日も何も無い学校が終わった。驚く程に何も無い日常だ。


 帰り道、ユリがまた話しかけてきた。「うい!今日もお疲れぃ!」朝の不機嫌は嘘のように直っている。付き合ってほやほやの彼氏と上手くいっているようだな。「あぁ、お疲れ。今日は彼氏と帰らないのか?」と聞くと、どうやら部活で帰れないらしく、俺はユリと同じ帰路につく事になった。

 ふと気付く。ユリは車道側を歩いてくれている。おいおい、女の子に車道側を歩かせるなんて男が廃るぜなんて思いながらユリの肩を抱き、俺が車道側に立とうとすると「きゃっ!何!?触らないで!!」とそのまま突き飛ばされた。あぁ、そうだよな。いくら幼馴染でも俺みたいな嫌われ者に触れられたら気持ち悪いよな…なんてスローモーションになる世界でショックを受け落ち込んでいた。スローモーションの感覚の中で、いつもとは違う、変な違和感を覚える。……轟音がする。そう、俺が突き飛ばされたのは車道側。不運にも俺が突き飛ばされ、倒れた先に丁度トラックが。ドンッと鈍い音だけ聞こえ、その音を最後に俺の意識はもうそこには無かった。


 目が覚めた時、俺は目が痛くなる程の真っ白な部屋に居た。あぁそうか。俺は死んでしまったんだと理解するのに時間は要らなかった。そして色々考える。弟や皆は俺が居なくなって喜んでるだろうな。もう少し親孝行すれば良かったな。ユリは気に病んでないといいが…。トラックの運転手さんにも申し訳ないな。俺に全責任があるから無罪になったらいいのにな。――「出来ますよ?」

突然後ろから声が聞こえた。「誰だ!」しばらく大きな声を出していなかったせいか、上擦った声で叫ぶ。

「私は転生の女神。貴方は前に生きていた世界で小さな恨みをたくさん、それはもうたくさん受けました。貴方が生まれ変わるのであれば、良い行いをしなければなりません。」と女神はつらつらと言う。

「ちょっと待て!俺はそんなに恨みを買った覚えは……」ここで言葉に詰まる。思い当たる節が多過ぎる。何も言い返せなくなった。俺は今までこの口でたくさんの人を苛立たせ、落ち込ませ、不快にさせてきたのだろう。

「なら俺は転生しない方がいいんじゃないか?このまま消し去ってくれ…」俺は覚悟を決めた。だが女神は一蹴する。「それはなりません。貴方は今までの罪を精算する義務があります。それをしなければ貴方は地獄で永遠に苦しみ続けるでしょう。」

「じゃあどうしろって言うんだよ!皆に謝りたくても今更遅いだろ!」

「確かに、前の世界の人々にはもう謝れません。ですが、貴方が別の世界でやり直すというのであれば、前の世界で貴方の存在を無かったことにして差し上げましょう。」

何を言っているんだこの女神は……存在を無かったことに……?

「貴方の存在を無くせば、運転手も幼馴染のあの子も、変わらぬ日常を送る事が出来ます。」

そうか…だからあの時「出来ますよ」と言ったのか…。

俺が生きた十数年が無になるのは口惜しいが、そうも言っていられない。俺のせいでユリや運転手が殺人犯扱いされるのは俺には耐えられない。

「わかった!俺の存在を無かったことにしてくれ!そして俺を別の世界へ飛ばしてくれ!」

「わかりました。別世界には魔物やモンスターがたくさんいますので気を付けてください。それでは飛ばし――」

「待て待て待て!!今とんでもない事言わなかったか!?俺が元いた世界では魔物やモンスターなんて物語の中でしか存在しなかったぞ!?普通の人間がそんな世界に行って大丈夫な訳あるか!!」

「はぁ…うるさいですね…」今うるさいって言ったかこの女神。

「では何らかの能力を授けます」何らかの能力…?適当すぎやしないか?

「貴方の最も優れた所が強化されます。それが活性化される度に強くなりやすくなります。」

「俺の優れた所…?勉強も運動も平々凡々な俺に優れた所なんてあるのか…?」

「それでは行きますよ。ほーい」え?そんなにあっさり?

腑抜けた掛け声で女神が俺に手をかざすと、光の粒が俺にまとわりついた。

「おぉ…それで、一体何が強化されたんだ?」

「あっ…嫌悪力が強化されたみたいですね…?」

嫌悪力。聞いた事ない言葉だ。酷くないか?いくら優れた所が無いからって、嫌われる事を能力っていうか普通。

「まぁ…俺は前から嫌われやすかったしね」と小さな声で呟いた。しかし女神にはこう聞こえてしまっていたようだ。

「まぁ…お…前………………わ…………………………しね」

「なんですって?もういいです、はい行ってらっしゃーい」

「なんの事だ!?いきなり過ぎないか!?うわぁぁぁぁぁ!!」


こうして嫌われ者の俺の旅が始まろうとしていた。

初投稿になります。まだここまでしか書けていないので、何かアドバイス等ありましたらご教授頂けると幸いです。今後も何卒宜しくお願い致します。

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