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第二話 喪失した心
暑い。
ジリジリと照らされたアスファルトの反射熱で皮膚が焼かれる感覚がする。
陽炎がゆらゆらと揺らめいている。
どのくらい歩き続けただろう。いつまで経っても人ひとり居らずひたすら歩き続けている。
道路が一本どこまでも続いている。
見渡す限りは砂漠のように草木も無い。
喉はカラカラで張り付き吐きそうになる。汗は絶えず頬を滝のように伝う。
水を飲みたい。
ゴクリと喉を鳴らす。
あとどのくらい歩けばいいのか。
誰もいない、孤独感に支配される。
「おーい、誰かいないのかー!」
時おり誰か人を求めて声をかけようと辺りに叫ぶ。
返ってくるのは声ではなく誰も居ない虚しさだけだった。
「ちくしょう」
再び歩みを進める。
腕はぶらぶらと力なく垂れ下がり、足は前にただ突き出している。
太陽は容赦なく俺を照らし続け水分と体力を奪っていく。
「誰か……」
心細さに耐えながらも俺はひたすら歩き進めるしか無かった。