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【Side:光子】 光子の破滅

※ゲス姉注意

※ゲス姉・光子視点の提供でお送りいたします

※残酷描写あり


どういうこと!?


一体どういうことなのよ!


昨日訳も分からずお父さまに結界を張らされて、気が付けば王城の騎士に囲まれ、そして縄で縛られている。


屋敷の中では次々と使用人たちが捕らえられ、暴れながら怒鳴り散らしていたお父さまは騎士に昏倒させられ、ぐったりとしながら引きずり出されて行った。お母さまもまたお父さまと一緒に抵抗していたけれど騎士に引きずられるようにして連れていかれた。それに何より許せないのがーー


どうして、我が春宮はるみや家に鬼どもが跋扈しているの!?


鬼どもは騎士たちと一緒に来て、そして屋敷のあちこちを破壊し、物を運びだして行く。一体どういうことよ。ここは人間の退魔師の超名門・春宮家なのに!!


「おい、次はお前だ!」

太い怒鳴り声がしたかと思えば、私が縛られた縄を騎士に思いっきり引っ張られ、まるで引きずるようにしてずるずると連れていかれる。


「や、やめて!私が誰だか知っているの!?私は王太子の婚約者!未来の王太子妃の光子ひかりこよ!?特別な才能を持った春宮家一の退魔師なのに!」


ずるずると引きずられて行き、通された部屋には漆黒の髪と角を持つ鬼が待っていた。


「五月蠅い女だな」

短くそう吐き捨てる鬼。


「何ですってぇっ!?」

憎々しい鬼めがぁっ!


「お前が例の“光子”とやらか」


「そうよ!私が光子よ!私にこんなことをしてただで済むと思ってるの!?」


「貴様こそ、人間ごときが鬼に対して何様だ?」


「ひっ!?」

その瞬間、目の前の鬼から恐ろしいほどの覇気がほとばしる。人ならざるモノが発する、魂の底から湧き上がってくるような恐ろしさ。


「貴様は、篝に随分と手ひどいことをしていたようだな」


「は!?何で役立たずの名前なんかを!」

コイツが持ち出すのよ!


「役立たず、だと?」


「そうよ。霊力もまともにないーー」

お父さまはあぁ言っていたけれど、そんなはずない。あの子は役立たず!私こそが最上なのだわ!


「使用人どもは命が惜しかったのか、鬼で脅したらお前が篝に何をしてきたのかすぐに吐いたぞ」


「はっ!?私が何をしたって言うのよ」

あの使用人どもめ!私がよくしてやっているのに、どんな嘘を吐いたって言うのよ!


「食事を与えないのは当たり前、殴る蹴るは日常茶飯事。術の実験台にしたこともあった。更にはーー」

鬼の瞳に、炎のような影が揺らめく。


「浄化の炎で焼いたんだったか」

何で、そのことをっ!おのれ使用人どもめ!チクりやがってええぇぇぇっっ!!


「そうよ。役立たずを浄化してやろうという最高の退魔師である私からの善意よ!」


「そうか。では俺も善意で、お前を鬼火で焼いてやろう」

そう、目の前の鬼がニィッとほくそ笑めば、その掌の上にぼうっと炎が宿る。


鬼火ーー鬼が宿す霊力の塊。


「ひっ、や、焼くってーー」


「俺の篝を虐げた罰だ」

“俺の”?一体、どういうこと!?ま、まさかっ!


「あの役立たずがアンタたち鬼を春宮に!」

招いたの!?今まで生かしてやったって言うのに、何てことをっ!!許せないわっ!


「違うな。俺が貴様らを根絶やしにしたいだけだ。篝が望んだわけではない」


「は?」

ね、根絶やし?


「燃えよ」

そう、鬼が呟けば、鬼火が私に近づいてくる。


「い、いや、いやあああぁぁぁっっ」

逃げたいが、動けない。目の前の鬼が発する圧のせいで、動けない。


「あああああぁぁぁぁぁっっ」

そして私の目の前が、青白い炎で遮られた。



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