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そして、3日目の宴


3日目も、鬼灯は白夜さんと一緒に長の会合に出席したようだ。私は縹花お姉さまたちに再び女子会に誘われ、楽しい時間を過ごすことができた。


そして3日目の夜は最終日とだけあって、宴会も盛大に幕を開けた。


「此度の会合で、白鬼の白夜はくやが正式に白鬼のおさの地位を引き継ぐことになった」

幹事の朱月あかつきさんと白蓮はくれんさんの間に並んだ白夜さんがぺこりと頭を下げる。そう言えば、長の地位を継ぐのだと言っていたっけ。


「今回の会合では、白夜の長の継承についても議題のひとつに上がっていたんだ」

鬼灯が補足してくれる。

「そうだったんだね」

白夜さんは今年20歳で成人を迎えるから。


そして白夜さんが本日付で長となったことを祝って乾杯の音頭を上げ、わいわいと賑やかに盛り上がり始める。


白夜さんは朱月さんに挨拶をすると、長の代理を務めていた白蓮さんと一緒にお義父さんに挨拶をしていた。これから各長に挨拶回りをするようである。


「ま、白夜も挨拶回りが終われば戻ってくるだろうし、それまでは一緒に飲もうか」

そう言って浅緋さんが鬼灯の席の側にやって来て酒瓶を掲げる。


「お、お酒っ!」

「篝ちゃんも飲む?」

と、浅緋さんに問われたのだが。


「篝はまだ未成年だっ!」

「ありゃ、そうだったか。ごめんごめん」

鬼灯の指摘に浅緋さんへらへらと笑い、鬼灯のさかずきに酒をぎ始める。


「お姉ちゃんはジュース飲むでしょ?」


「うん、杏子ちゃん」

杏子ちゃんと一緒にジュースを注ぎ合えば、夕緋くんがとことことやってきた。


「全く、最終日だから浅緋兄が飲みまくる気だ。面倒くさい」

そう言いながら。


「また飲み比べやるの?酒豪どもめ」

と、杏子ちゃんに呆れられている。


「その、そう言うの私、よくわからなくて」

「いいのいいの。そうだ、他のところに行こうよ。縹花お姉さまのところとか」


「う、うん!」

杏子ちゃんと夕緋くんと一緒に縹花お姉さまのところへ向かえば、縹花お姉さまが同じ群青色の角の男性の首をガクガクと揺らしていた。そして私たちに気が付くと。


「あぁ、篝ちゃんに杏子ちゃん。ついでに夕緋くんじゃない」

「ついでって、オイ。安定の妹重視じゃん」

と、夕緋くんが呆れていたが、縹花お姉さまがとたとたとこちらに来てくれた。


「あの、あの方は?」

縹花お姉さまが首をガクガクと揺らしていた男性を見やると、畳の上に大の字で仰向けになっており、同じ群青色の角の女性たちに介抱されていた。


「お父さまです。隣がお母さまで、ビジネスの取引もこの機会に一緒にしているので、叔父さまや叔母さまたちも一緒ですわ」

どうやら、この全ての鬼の長が集まる会合では、そう言った取引なども行っているようだ。思えば、全ての鬼の長が集まる以上、一緒にやってしまえば便利である。


それにしても、何故お姉さまはお父さんの首をガクガクと?と思っていれば。


「全く、お父さまったら。妹たちと戯れる素晴らしき宴会で、見合いの話をし出すんですから」

どうやら、原因はそれだったらしい。というか、宴会の趣旨がお姉さまの中で変わっているような。


「お姉さまのところって弟もいなかったっけ。そう言えば今回、見かけてないね」

と、杏子ちゃん。


「あぁ、弟は今回はお留守番ですわ。稽古で張り切り過ぎて捻挫しましたの。鬼ですからすぐに治るでしょうが、念のためですわ」


「お、お大事にしてくださいね」

そう、お姉さまに告げれば。


「ありがとう、篝ちゃん!お姉さま嬉しいわ!」

「いや、縹花姉にじゃなくて、弟の方に言ったんじゃ」

そう夕緋くんが呟けば。


「いいのっ!聞いたのはわたくしなのですから、わたくしが脳内妄想するのです!」

「いや、おいおい」


「それはともかく。せっかくですからあっちで飲みましょう?」

そう縹花お姉さまに手を引かれて、結局もとの場所に戻ることになった。その間に、ふいに緑色角のひとが視界の端に入った気がした。


「(鬼灯さまに頼まれておりますもの)」

小さく縹花お姉さまが呟いたのだが、宴会場の喧騒の中でよく聞こえなかった。


元の場所に戻れば、萌黄ちゃんと菫ちゃん、ひいらぎくんが待っており、改めてみんなで乾杯をして盛り上がったのだった。



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