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黒鬼と白鬼と赤鬼

※妹萌え好き注意!


「鬼灯、篝ちゃ~ん。屋敷の中を案内しに来たよ~!―――って、何で陽春ようしゅんさんが鬼灯に完全服従してんの?」

屋敷の客室の区画を見て回ろうとしていれば、赤鬼の一族の子息である浅緋あさひさんと夕緋ゆうひくん兄弟がやってきた。


「まぁ、何となくわかるけどね」

「うぐっ、お前のその余裕が憎いっ」

浅緋さんの言葉に対し、陽春さんがくわっと後ろを振り向き口を尖らせる。


「あのね、陽春の角がピンチだったの」

「え?まさか篝さんナンパしたの?女と見れば見境なく声かけるんだから」

杏子ちゃんの言葉に、夕緋くんがはぁ~っと溜息をつく。当たっているところを見ると、みんな見慣れていることーーなのかな?いきなり声を掛けられてびっくりはしたけど。


「私はあと3~4年経ったらとか言うんだから!失礼しちゃう!」

「それは的確な意見だな」

「何だと夕緋~~~~っ!」

杏子ちゃんがぽかぽかと夕緋くんにじゃれつけば。


「あっ、こらやめろジャジャ馬女~っ!」

「何よ~!」


「仲良し?」

「えぇ、いつもあんな感じで」

氷菓をちらりと見やれば、ふふふっと微笑みながら氷菓が告げる。


「仲良くなんてないもん!こんながさつ!」

「がさつって何だよ、お前はっ」


「ほらほら、お前らケンカしないの。仲良くな~」

と、浅緋さんがふたりの頭にぽふっと手を乗せれば、渋々ふたりは口をつぐむ。


「鬼灯も放置しない~っ!」

そう言って浅緋さんが口を尖らせれば。


「俺は篝を愛でるので忙しい」

そう言って私を後ろから抱きしめた。


「あ、あのっ!鬼灯ったら!」

「あっ!ちょっとお兄ちゃん!お姉ちゃんの独占禁止ーっ!」

そう言って、杏子ちゃんが私に前から飛びついてきた。


「杏子ちゃんったら」

なでなでと杏子ちゃんの頭を撫でていれば、鬼灯が負けじと首筋に顔を埋めてくる。


「ひゃっ」

「ん、篝♡」


「俺思うんだけどさ。杏子ちゃんが一番すごいよな。あの鬼灯さまさまを前に篝ちゃんに抱き着くとか」

と、陽春さん。あの鬼灯って、どういう?

「何で鬼灯に“さま”2つつけてんのかは知らないけど、ま、アイツも妹には甘いってことじゃないか?」

と、浅緋さんが答える。

確かに、鬼灯は何かと杏子ちゃんのことを気にかけているような気がする。

そう思うと自然と笑みがこぼれた。


「篝?」

鬼灯がきょとんとして名前を呼んでくる。


「ううん、何でもない」

鬼灯に笑みを返す。


そして、新たな声が加わる。


「あ、鬼灯、こっちにいたんだ」

そう言って歩いてきたのは、銀色のさらさらの髪に赤い瞳、白い鬼角を持ち、雪のような白い肌を持つ美しい青年だった。


白夜はくやか」

鬼灯がぼそりと呟けば。


「雪の国の鬼の長の一族である、白鬼の白夜さまです」

そう、氷菓がそっと教えてくれる。


「白夜もついさっき着いたとこなんだよ。俺と白夜と鬼灯は鬼の長の一族の子息の中でも同い年なんだ」

そう、浅緋さんが追加で教えてくれる。


「ナンパヤロウが何したかは何となくわかったけど」

「うっさいわっ!全くお前も鬼灯も白黒そろって口悪くちわりぃなっ!ちったぁ年上を敬え!」

白夜さんの抑揚のない言葉に対し、陽春さんが吠える。


「年上とかそう言うのよりも、黒が一番強いからね。その次が白」

と、白夜さん。


「確かにそうだけど~」


「でも、椿つばきさんは尊敬してる。人格的に」

「どゆ意味!?その方が傷つくわぁっ」

椿さん、という方も鬼の長の一族の子女なのだろうか。


「でも、俺も少しは反省している。角は折られたくないからな」

そう言えば、さっきも角を折るとか折られるとか言う話をしていたけれど。


「まぁ、それはイイや」

「流すなーっ!」

陽春さんが抗議するが、白夜さんは気にせず続ける。


「久々に会ったんだ。鬼灯と手合わせしたい。浅緋、道場借りていい?」

「あぁ、もちろん」


「あの、手合わせって?」

鬼灯をちらりと振り向けば。


「あぁ、いつもの剣の手合わせだ」

「その、それって」


「心配ない。木刀でやるし、鬼同士慣れているから」

「お兄ちゃん、これでも強いからね。剣さばきは認めてあげる」

と、杏子ちゃん。


「剣さばきは、とは何だ。生意気な」

「妹は生意気くらいがかわいいんです~」

鬼灯が不満げに呟けば、杏子ちゃんが口を尖らせる。

―――でも、


「た、確かに」

杏子ちゃんはかわいい。

「んなっ」

鬼灯は不満そうだったけれど、私にとってはかわいい妹同然である。


「いいなぁ~、俺も妹欲しい!確かに生意気くらいがかわいいよな~」

と、浅緋さん。


「貴様は妹にどんな幻想を抱いているんだ」

ぼそりと鬼灯が呟いたが。


「えぇ~、聞きたい?例えば~、疲れて帰ってきた時に“おかえりっ、お兄ちゃん”って、エプロン姿で上目遣いにーー」

浅緋さんがへらへらと微笑めば、弟の夕緋くんから急襲を受けていた。


「変なこと言ってんじゃねぇ」

「ぐはっ。いいじゃん~、俺も妹欲しいの~っ!」


「―――私はお兄ちゃんがいい」

杏子ちゃんが浅緋さんを冷めた目で見る。


「あれは捨ておけ」

「おっけー」

同じような冷めた目で見る鬼灯に対し、杏子ちゃんが即座に頷く。


浅緋さんと夕緋くんのように、鬼灯と杏子ちゃんの息はぴったりなようで何だか微笑ましくて苦笑が漏れた。そして鬼灯と杏子ちゃんと手を繋ぎながら、みんなで道場に向かうことになった。



多忙のため、明日の更新はお休みします<(_ _)>

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