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篝と鬼灯の日常

※後半鬼灯視点入ります(/・ω・)/


「しっぽが1本、しっぽが1本、しっぽが1本」

「みゃう?」


「お姉ちゃん何してるの?」

ねこたちに囲まれながら、ねこたちを見回していれば、不意に杏子ちゃんの声が聞こえて顔を上げる。


「杏子ちゃん。あのね、猫又さんを探していたの」

「ね、猫又!?ここにいるの!?」


「うん、昨日デートに行った時に、鬼灯が」

「むー。そう言えばそうだった。お兄ちゃんめ、抜け駆けして~~~~っ!」

「ぬ、抜け駆け?」

「お姉ちゃんは気にしなくていいのっ!あ、お土産のお菓子美味しかったよ!」

「そう、良かったぁ」

デートの際に、氷菓、砂月さん、それからお父さんや、本邸の杏子ちゃんたち、そして鬼灯と暮らすお屋敷のみなさんにお土産を買って帰ったのだが、喜んでもらえて何よりである。


「今度はお兄ちゃんには内緒で私と行こうねっ!」

と、杏子ちゃんが腕に抱き着いてくる。

「うん、またお買い物行こうね」

あ、そう言えば。


「あの、杏子ちゃん。つけって、なぁに?」

「がはっ、お姉ちゃんがつけを知らないとは。お兄ちゃんがなんでも買って上げそうで、恐い」

「へ?」

そしてつけについて杏子ちゃんに教えてもらえば。


「そう言うことなんだ」

「そうだよ。私も高いものや行きつけのお店はするかな?露店や雑貨屋さん何かは直接支払うけどね。鬼の居住区の行きつけのお店ではおさの一族の顔ならだいたい知られている思うし、つけ払いばかりだよ」

「一族のみなさんの顔がーー」

知られているのか。そりゃぁ、そうかも。この国の鬼の一族を纏める一族だもんね。


「お兄ちゃんとのデートでは大丈夫だった?」

「小さな妖怪さんたちには出会ったけど」

「声、かけられたりとかは?」

「ーー特に」

なかったかも。


「ふふふ、鬼灯さまをご存じの方ならあんなにご機嫌な様子の時にわざわざ声を掛けて気分を害させることなどしませんよ」

そう、傍らに控えていた氷菓が教えてくれる。


「それが分からない方は、ーー陰ながら間引きましたので。ほほほ」

ま、間引き?一体何をしたのだろう。でも氷菓の笑顔に詳しく聞かない方がいいような気がした。

「おぉ、さすがはお兄ちゃんとのデート。ぬかりない」


「もちろん、篝さまと杏子さまのお出かけでも、ぬかりなく行っておりますから大丈夫ですよ」


「さ、さすがは氷菓!既にぬかりなかった!」

杏子ちゃんがキラキラとした目で氷菓を見やる。


「ですから安心してお楽しみくださいな」


「あ、ありがとう、氷菓!」

やっぱり氷菓の普段の優しい微笑みは安心する。

たまに笑顔が恐いような気がするけど?


「そうだ、それで猫又!氷菓は猫又、見たことある!?」

「―――あら、そうですね。心当たりはありますけど。ふふっ、意外と近いところにいるかもしれませんね」

そう言えば、猫又さんを探していたんだった。


「そう、なの?でもみんなしっぽは1本で」

「にゃーぅ?」

ねこたちはこてんと首を傾げる。かわいい。なでなで。


「猫又探しをしているの?」

ねこたちと戯れていれば、お父さんがねこを抱っこしながらこちらにやってきた。


「うん、お父さん。何かヒントはない?」

「う~ん、そうだなぁ。オス、メスどっちもいるかな?」

「みゃぉん」

そう言いながらねこを撫でるお父さん。何だかヒントになっていないような。

でも性別、か。


「おかかちゃんは、おとこのこ?」

私はそばに来てくれたトラネコに声を掛ける。


「そのこはメスかな?」

と、お父さん。


「おにぎりはおとこのこ」

そう、お父さんが腰をおろし、近づいてきたぶちの顎をもふもふと撫でる。


他にもしゃけちゃんにこんぶちゃん、それからしらたまちゃんにーー


みんなしっぽは1本である。


「仲良くなったら、猫又も来てくれるかもしれないね」

そう、お父さんが微笑む。


「うん。私、このこたちともっと仲良くなりたい」

ねこじゃらしを振ってあげれば、しらたまちゃんが見事なねこぱんちを決めてくれる。今日も今日とて、お父さんのお屋敷で、遊んだり、お勉強をしたり、氷菓に刺繍を教えてもらったりしながらゆったりと過ごした。


***


(Side:鬼灯)


「叔父上、篝を」

迎えに来たのだが。


「(今、ちょうど一休み中だよ)」

叔父上がこそっと告げてくれる。


「(では、少し寝かせておくか)」

篝が杏子やねこたちと仲良く寝ているのを見て、やれやれと傍に腰をおろす。


「(はい、お茶をどうぞ)」

「(あぁ)」

氷菓に茶をもらい、ずずっと啜りながら篝の寝顔を眺めていれば。


「(今日は猫又を探していたんだ)」

「(猫又?)」

それなら、今篝と杏子の間や傍らでですやすやと寝ているが。


「(恥ずかしがり屋さんだからね)」

「(あぁ、そう言うことか)」

くすっと小さく苦笑すれば。

「にゃーぅ?」

1匹の黒ねこが俺の太ももに前足をぺたんとくっつけてくる。


「(わかっている。全くお前らは恥ずかしがり屋だな。お前はーーこんぶだったか)」

「なーん」

どうやら当たっていたようだ。

篝が目を覚ますまで、暫し猫又たちと寝顔を堪能したのだった。


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