貴族様なんて嫌いだⅢ
「それは君が決めることではないな」
「トックス様!!」
「これは間違いなく私が書いたものだ」
「申し訳ございません!まさかトックス様がこのような小娘を推薦するとは思わず.....」
「それは私の見る目を疑っているのか?」
「そのような事は、決してございません!」
「君のことは覚えておこう
"マリン伯爵家の三男"君とやら」
門番は、その言葉に顔色が青白くなり
ガクリと肩を落とした。
(おー怖っ!)
このトックス様は、相当な権力者なのか?
だとしたら、なぜ私を知っている?
「案内は私がしよう。
それでは、アメリアとやら行こうか」
「はい」
「なぜ貴族の俺が、平民の自分のことを知っているのかと考えているな?」
「.....お答え出来ますか?」
「もちろんだ
1ヵ月前に魔物退治で魔法騎士団が訪れた時に、ゴブリンの群れを1人で倒したことがあるだろう。その報告を聞いてぜひ試験を受けて欲しいと考えたからだ」
「そうですか」
「.....嬉しくないのか?
上手くいけば、宮廷務めが出来るのだぞ」
「恐れながら、まったく興味がないもので」
そういうことなら、適当にやって試験はわざと落ちて帰ろう。
貴族と関わるなんて、まっぴらだ。