17/17
娼婦暴行事件Ⅱ
「どこか行きたいところはある?」
「あなた様の行きたいところに行きたいですわ」
「なら教会に行こうか」
「はい」
﹌ ﹌ ﹌ ﹌
「はい。そこの売店で売っていたスープだよ。良かったらどうぞ」
「ありがとうございます」
『飲んだフリをしろ。その後は寝たフリをしてみろ』
相変わらず魔法通信で無茶ぶりばかりを要求するのはエーブラムだ。
熱々のスープをどうやって、飲んだフリをしろというのだ。
(まぁ出来ますけど)
アメリアは魔法で男の死角からスープを地面に落とし、飲んだフリをした。
それにしても、この男の振る舞いは紳士そのものだった。
教会に向かう道中も自分が車道側を歩き、馬車がきたらそっと肩を抱き寄せる。
どこぞの王子様よりも紳士的だった。
アメリアはそんなことを考えながら、寝たフリをした。




