エーブラム殿下Ⅱ
「その考えとは?」
「まずアメリアが真実を言ったところで誰が信じる?あの子は平民だ。そしてシャーロットは貴族だが男爵の娘でさほど身分は高くない。あの子は家の階級をあげるために王子である俺に協力するさ」
「ですが.....」
「それよりも今は政治の方が問題だ」
「王妃様とその父であり宰相のイーサン様ですか」
トックスは深いため息をついた。
現在、権勢を欲しいままにしている2人であり自分たちに異を唱える者に対して、左遷をしたり最悪処刑までしている。
結果として自分たちと自分たちを褒め称える者が政治の中心で権勢をふるい、優秀な人材が埋もれている事態になっている。
それで上手くいくはずがなく横領や融着、政治の場は腐敗の温床となった
「腐敗を正すためにも今は優秀な人材を側におきたい。そして実績を積み味方を増やす必要がある。それはお前も同じ考えてだろう?」
「だとしてもアメリアは変だと思いませんか?
孤児院育ちという平凡な経歴に、剣術や魔法といった非凡な才能です。あきらかに何かあります」
「あの子はそれらに目を瞑る程の才能を持っているのも事実だ。何より無能な者は必要ない。ここは俺に従え」
「.....仰せのままに」




